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多くの犬はなぜ、チーズが好きなのでしょうか。
乳製品が好きな犬は多いです。
牛乳自体を好む子もいますが、牛乳はそのまま与えると乳糖を分解できない子がいるので、下痢を発症することがあります。
※合わせて読みたい: 犬に牛乳がダメな理由と、犬にあげても大丈夫なミルク
そのため、牛乳をそのまま与えている飼い主さんはあまりいないと思いますが、ヨーグルトなどの乳製品はあげている方もいるでしょう。
ヨーグルトも犬は大好きなことが多いです。
このように犬は乳製品を好むので、チーズも大好きな子がたくさんます。
犬がチーズを好む理由は、その匂いの強さにもあるでしょう。
乳製品を好むとお伝えしましたが、実は犬はあまり味覚は鋭くありません。
もちろん、甘いや苦いのような味覚を感じることはできるのですが、人間のような繊細な味覚センサーを犬の舌は持っていないために、あまり細かい味の違いはわからないことが多いようです。
犬が非常にこだわる部分といえば、匂いでしょう。
味の感覚は鈍い犬ですが、嗅覚は人間の1億倍とも言われており、匂いにはとても敏感です。
人間にとっても匂いは非常に大事な要素で、鼻をつままれて食べ物を口に入れると味がよくわからなくなりますね。
犬の味覚はあまり鋭くなくても嗅覚はとても鋭いので、匂いによって食べ物の味を感じていると言えるところもあります。
そのため、犬は強い匂いをするがする食べ物が好きで、普段のご飯も温めて匂いを立たせてあげると食欲が増進したりするものです。
人間にとって一般的なチーズはそんなに匂いが強いと感じないかもしれませんが、手に持っているとチーズの匂いが指に移りますし、そのくらいの匂いの強さであれば犬にとってはかなり強く感じることでしょう。
さらに、犬は発酵した匂いが好きであると言われています。
犬は野生で生きていた頃は狩りをし、余った肉は土に埋めて隠していました。
食べ物がないときに土から掘り出してその肉を食べるのですが、埋められた肉は時間が経つと発酵します。
つまり、腐りかけて強烈な匂いを放つのですが、これが犬にとってはたまらなく良い匂いに感じることがあるのです。
どんな発酵食品でも好きというわけではありませんが、チーズは発酵食品なので、犬の好みに合った食べ物と言えるでしょう。
チーズは人間にとって栄養に富んだ食べ物であることが知られていますが、その栄養素は犬にとっても健康効果が高いです。
チーズは牛乳から作られますが、牛乳は乳糖を分解できない犬が下痢をしてしまうので、与えない方が良いとされています。
しかし、チーズは生成される過程で乳糖が取り除かれる、もしくは分解されてしまっているので、犬が食べても大丈夫です。
ただし、ちょっと心配な点が、チーズに含まれている塩分です。
また、チーズはカロリーも高めなところがやはり気になる点ですね。
塩分やカロリーのことを考えると、与える量に気を付ける必要はありますが、チーズは犬が食べても大丈夫ですし、栄養価の高い食べ物と言えます。
100gのチーズを作るためには1000mlの牛乳が必要です。
つまり100gのチーズには牛乳1000mlの栄養が凝縮されており、さらに乳酸菌がプラスされた発酵食品なのです。
乳酸菌や発酵食品は犬にとっても健康に良いとされていますし、その他にも様々な栄養素が含まれています。
チーズの種類によって栄養素は多少異なりますが、チーズにはタンパク質、脂質、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、葉酸、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンDなど多くの栄養素が詰め込まれています。
その中でも特にチーズにたくさん含まれているのが、タンパク質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンBです。
ただし、 腎臓病や尿路結石、膵炎などの持病がないことが前提 です。
これらの病気では、チーズの栄養素であるタンパク質やカルシウムなどが、病気を悪化させることがあるからです。
持病がある場合には、必ず担当の獣医師にチーズをあげても良いかどうか確認するようにしましょう。
タンパク質は筋肉や血液などの元になる栄養素です。
そのタンパク質の元となっているのがアミノ酸ですが、チーズのタンパク質に含まれるアミノ酸は特に良質であるとされています。
アミノ酸は病原菌やウイルスのような外敵と戦うなど、健康を維持するために必要な栄養素でもあるので、特に高齢犬などには摂らせてあげたいですね。
カルシウムは骨や歯を作るための栄養素であり、もちろん犬にとっても必須の栄養素です。
チーズに含まれているカルシウムは、体内に吸収されやすく少量でも十分な量を取ることができるので、特に優秀とされています。
ビタミンAは皮膚や粘膜、眼の健康を維持するために必要なので、特にシニア以上のワンちゃんには効果的な栄養素ですね。
AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準によると、ビタミンBは犬の必須ビタミンとされています。
チーズにはビタミンB群が含まれており、特に多いのがビタミンB2。
ビタミンB2は疲労回復や皮膚や粘膜の生成や再生を促す、犬にとっても大事な栄養素です。
脂質の摂りすぎはもちろん肥満の元なのですが、体を維持するためには必要な栄養素の一つでもあります。
チーズには脂質を分解しやすくするビタミンBが含まれており、さらにチーズの脂質は燃焼しやすいので、他の食べ物の脂質より太りにくいとされています。
チーズといっても様々な種類がありますが、犬におすすめなのはどんなチーズなのでしょうか。
日本でよく見かけるチーズには大きく分けてナチュラルチーズとプロセスチーズがあります。
日本で安く簡単に手に入るのは、プロセスチーズでナチュラルチーズは少し高価なイメージがありますが、犬に与えるのはナチュラルチーズがおすすめです。
なお、ナチュラルチーズとプロセスチーズの主な特徴は次の通りです。
ナチュラルチーズは乳酸菌と酵素で発酵させて作られますが、プロセスチーズはナチュラルチーズを過熱して再度固めたものなので、乳酸菌は死滅してしまっています。
また、プロセスチーズに使用されている乳化剤には「リン」が含まれています。
リンは過剰に摂取しなければ問題はありませんが、カルシウムの吸収を阻害する働きがあります。
そうなると、せっかく豊富に入っているカルシウムの健康効果はあまり期待できなくなります。
プロセスチーズにも良い点はありますし、ナチュラルチーズに含まれる多くの栄養素は摂ることができますが、これらのことを考えると愛犬に与えるチーズはナチュラルチーズがより良いと言えるのではないでしょうか。
また、後ほど解説しますが、プロセスチーズにはナチュラルチーズよりも塩分が多く含まれていることが多いのも欠点です。
そして、犬は匂いが強いナチュラルチーズ(特に熟成期間が長いハードタイプ)をより好むことからも、筆者はナチュラルチーズをおすすめします。
ナチュラルチーズにはハードタイプとソフトタイプがあります。
一般的にハードタイプは長い間熟成させたもので、ソフトタイプは熟成期間が短いフレッシュチーズです。
ハードタイプは栄養的に優れていますし、匂いが強いので犬が大好きなことが多いですが、塩分含有量がフレッシュチーズよりも多いです。
もしハードタイプを与えるときは、量を少なめにすると良いでしょう。
チーズを犬に与えても大丈夫であると解説してきましたが、人間のおつまみ用チーズを与えることはやめましょう。
チーズの他にタラを使用していたりするので犬は好みますが、プロセスチーズな上に、味付けも他のチーズより濃い場合が多いです。
さらに、常温保存できるように作られているため、保存料も多く使用されています。
チーズには塩分が含まれていますが、種類により異なります。
2.8g
熟成期間の長いチーズほど塩分濃度が高い傾向があり、ソフトタイプのフレッシュチーズは塩分濃度が低めです。
また、プロセスチーズはかなり塩分濃度が高いことが分かりますね。
犬に必要な塩分は諸説ありますが、1日あたり242mg/kgと言われています。
体重10kgの犬であれば、2.42gです。(出典: ペットの健康と食塩 )
よく個別包装で売られている大きさのチーズ1個(15g程度)の塩分量は、カマンベールチーズだと0.3g、クリームチーズだと0.105gになります。
ドッグフードには塩分が含まれているので、改めて塩分を取らせる必要はないのですが、少量のチーズを与えることはそれほど問題ではないでしょう。
犬の大きさや塩分濃度よってあげ方に気を付ければ、それほど塩分が多い食べ物であるとうわけではありませんね。
チーズにより塩分の含有量が異なりますが、ナトリウムの量から塩分の目安を計算できます。
チーズが入っている箱などに記載されているナトリウムの含有量をもとに計算してみてください。
食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷10000(出典: 一般社団法人日本乳業協会 )
チーズは犬の大好物であることが多いので、ここぞというときのご褒美に使えます。
いつもあげているとチーズしか食べなくなることもあるので、極力あげすぎには注意しましょう。
薬を飲ませるときにクリームチーズで丸めると、うまく呑み込んでくれることが多いですよ。
栄養面でも優れていますので、栄養補助食品としても使えます。
普段の食事にちょっとだけ添えても良いですし、食欲がないときに与えても良いでしょう。
チーズは大好きな犬が多いので、犬を喜ばせるおやつや、しつけの際のご褒美として活躍してくれます。
与えすぎにさえ注意をすれば、チーズの栄養効果も期待できますね。
乳製品にアレルギーがある犬もいるので、最初は慎重に少量から与えるのが良いでしょう。
また、持病で食餌療法や毎日の投薬をしているケースでは、チーズが影響することがあるので、必ず担当の獣医師に確認してから与えるようにしてください。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/04/21
公開日 : 2018/11/11