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ミヤマクワガタという名前を子供時代に一度は聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ただ珍しいからというだけではなく、その渋みのある体色、冠状突起とよばれる特徴的な頭の形などもミヤマクワガタの魅力の一部です。
その中でも70㎜を超える大型のミヤマクワガタは非常に貴重で、数万単位の値段がつけられることもあります。
今回は、そんなミヤマクワガタの生態から飼い方までを詳しくご紹介していきます。
「深山」、と名前にもある通り、ミヤマクワガタは山の奥に住んでいます。
山奥と言っても、標高が高くて涼しい場所ならばミヤマクワガタは生息しているようです。
ノコギリクワガタ が暖かくて湿気のある場所を好むのに対して、ミヤマクワガタは涼しくて湿気のある場所を好みます。
このため、ノコギリクワガタがよく見られる地域ではミヤマクワガタが珍しく、ミヤマクワガタがよく見られる地域ではノコギリクワガタが珍しい傾向にあります。
最近では温暖化の影響からかノコギリクワガタの分布が増え、ミヤマクワガタの分布は減少していると言われています。
それゆえ、ミヤマクワガタは昔も今もあまり身近ではない クワガタ です。
幼虫の時は、ノコギリクワガタの幼虫は朽ち木の中であればどこでも問題はありませんが、ミヤマクワガタの幼虫は腐食した朽ち木の中でないと成長しません。
この特性があるため、住み分けはできているようですが人工的なミヤマクワガタの繁殖は少し難しいようです。
ミヤマクワガタの最大の特徴は頭にある冠状突起(耳状突起)です。
大きく張った突起は、幼虫の時に寒い地方で暮らした個体ほど大きく発達していると言われています。
また、ミヤマクワガタの体表には細かい産毛が生えています。
そのため、遠くから見ると金色のようにも見えます。
ノコギリクワガタにはこの産毛が生えていないので、冠状突起が目立たなくてどちらのクワガタかわからない・・・と思ったときは産毛が生えているかを確認してみてください。
冠状突起も、体表の産毛もすべて雄の特徴です。
一方雌の個体は腹側に細かい産毛が生えています。
他のクワガタの雌とよく似ていますが、足にいくつか長楕円の黄色紋が表れているので、腹側を見ると簡単に判断することができます。
ミヤマクワガタは雄も雌も力が強く、一度どこかにしがみつくと中々引きはがすことができません。
先が鋭利になっている顎の力も相当に強いため、挟まれないように注意をしましょう。
痣になったり、出血してしまう時があります。
ペットショップやインターネット通販では、68㎜から75㎜程度のミヤマクワガタが一万円越えで売られています。
その一方で、40㎜から67㎜程度のミヤマクワガタは千円から4千円程度で購入することができます。
もし繁殖をさせたい場合はペアで売られているミヤマクワガタを探すと楽ちんです。
勿論野生でも手に入れることができますから、ミヤマクワガタは他のクワガタと同じように5月下旬から9月中旬にかけて山へ向かうとその姿を見ることができます。
一番活発に動くのは7月から8月にかけてなので、その時に条件を満たした場所に行けばほぼ確実にミヤマクワガタに会うことができます。
では、ミヤマクワガタはどうやって捕まえるのでしょうか。
一番有効なのは昼間に木を蹴って落とす採取方法です。
他の甲虫も良く集まっているクヌギの木を探し、幹の根元を強く蹴ります。
すると昼間は木の上に隠れている カブトムシ やクワガタが落ちてくるのです。
木を痛める、という点に関してはハンマーなどの道具を使わなければ問題はありません。
ただし、木はとても固いので自分の足首を痛めないように気を付けてください。
また、昼間に樹液が染み出ているクヌギの木を見つけておいて、早朝にミヤマクワガタがいないかを確かめる方法もあります。
樹液が染み出ているクヌギの木を見つけることが出来なくても、木にアルコールをかけて発酵させたバナナやリンゴを括り付けておくという手があります。
カブトムシやクワガタは、ただ樹液を舐めているというわけではなく、発酵して甘くなった樹液に集まっています。
沢山採取できるスポットは、必ず樹液が発酵したどこかツンとして甘酸っぱい匂いがするはずです。
このため、発酵させたフルーツは甲虫達にとっておいしそうなご飯に見えるというわけです。
この際に注意してほしいことは、仕掛けた餌にはスズメバチなどの危険な昆虫なども寄ってきてしまうということです。
もし仕掛けた餌の傍にスズメバチの姿が見えたら絶対に近づかないようにしましょう。
次は光で集める方法です。
昆虫が容易に捕まえることができる場所では、街灯の周りに蛾や羽虫などと一緒にカブトムシやクワガタが集まっている姿を見ることができます。
ミヤマクワガタもよく光に集まる習性を持っています。
街灯だけではなく、自動販売機の明かりなどにも引き寄せられるようなので、夏の夜に外に出かけたときは是非灯りの近くに寄ってみてください。
カブトムシやクワガタだけではなく、オオミズアオ(蛾)などの少し珍しい昆虫も見つけられるかもしれません。
沖縄ではヨナグニサンなどの天然記念物の蛾を見ることができるかもしれないので、街灯などの明かりは昆虫好きにとっては絶好の観察、捕獲スポットです。
しかし、明かりには高確率で蛾が寄ってきているので、もしそれらが苦手だという方にはあまりお勧めできない採取方法です。
昼間も動くミヤマクワガタですが、一番活発になる時間帯はやはり夜から早朝です。
ミヤマクワガタが生息している山で、懐中電灯を使うとその姿を確認できると思います。
夜の山は危険なので、捕獲の際はなるべく早朝に向かうように心がけましょう。
また雨の日や風が強い日などはミヤマクワガタもほかの甲虫も中々姿を見せないので、身の安全のためにも捕獲を行うことはお勧めしません。
あまり沢山捕獲しすぎることは生態系の乱れにもつながってしまうため、モラルを守った昆虫採集を行いましょう。
ミヤマクワガタは他のクワガタと比べると短命なクワガタです。
飼育環境はしっかりと整えて世話をしてあげましょう。
ミヤマクワガタの飼育に必要なものは他のカブトムシやクワガタの飼育セットとあまり変わりがありません。
しかしその生態から、使用するマットや温度に関しては少し違った対策が必要です。
必ず必要なものは
の2つです。
ミヤマクワガタが暮らしている場所は深い山の中です。
山の土はその多くが腐葉土であるため、ミヤマクワガタを野生と同じように飼育するためには欠かせないアイテムです。
発酵されたものとされていないものの2種類ありますが、成体であればどちらでも問題はありません。
尚、朽ち木マットはミヤマクワガタを繁殖させる時に餌として必要なものなので、繁殖をさせない場合は特に必要はありません。
一方、ミヤマクワガタの幼虫の場合は発酵している腐葉土が必要です。
朽ち木マットと混ぜて、良質の餌になるように工夫をしてあげてください。
この場合、 園芸用の腐葉土は使用しないほうが良いです。
園芸用の土は虫があまり発生しないように 殺虫剤 が入っていることがあります。
勿論幼虫が殺虫剤の入った腐葉土を餌にすると体調を崩してしまったり、最悪死んでしまうことだってあります。
幼虫用の腐葉土は専用のものを使用するのがお勧めです。
大型のホームセンターや昆虫専門店ならほぼ100%売られているはずですが、買いに行く前に電話等で確かめておいてからが無難です。
勿論ネット販売もされていますし、幼虫を飼育する場合は専用のキットもあります。
ミヤマクワガタだけでなく、カブトムシなども飼うのが初めてという方は、キットを使って安定した飼育をすることをお勧めします。
また、発酵マットを使う時は「ガス抜き」と呼ばれる手順が必要になってきます。
マットの説明に書いてあることも多く、再発酵を防ぐ手順として有名です。
方法はマットを一度混ぜてから日陰に放置するだけです。
これだけで再発酵の防止ができます。
発酵マットが再度発酵し始めてしまうと、マットの温度が高くなってしまいます。
成虫ならば自分でマットから抜け出して熱から逃れることができますが、幼虫は逃げることができません。
高熱で死んでしまう可能性をなるべく防ぐためにも、もし幼虫の時からミヤマクワガタを育てる、もしくはミヤマクワガタを繁殖させる場合は行っておくことをお勧めします。
草木がたくさんある場所は太陽がどんなに照っていてもどこか涼しくて気持ちがいい、という経験をしたことはないでしょうか。
ミヤマクワガタはその生息地から、涼しい所でないと体調を崩してしまいます。
ミヤマクワガタの適温とされる16~25℃は、夏の住宅地の外では再現ができません。
ですのでミヤマクワガタを飼育する場合は、家の中の涼しい場所か、もしくはクーラーをつけた部屋を用意することをお勧めします。
冷たい空気は下にたまるので、ミヤマクワガタが冷えすぎないよう、丁度いい場所を探すのに温度計はとても便利です。
基本的には昆虫ゼリーで問題ありません。
ただし、昆虫ゼリーは雄の個体の場合、発達した顎が引っかかってしまい底のゼリーを食べることができません。
雌は顔を突っ込んでゼリーを食べることができますが、雄は気を付けていないと餌はあるのに食べられなくて弱ってしまう場合があります。
餌の場所を決めてそこにゼリーを出して入れる、小まめにゼリーを交換する、などの対処が必要です。
果物も良く食べてくれます。
トラップにもよく使われている、リンゴやバナナなどがおすすめです。
しかし水分の多いスイカや桃、メロンなどの果物は与えると下痢の原因になってしまいます。
樹液を吸っているといっても水分をそのまま吸収しているわけではないので、水分が多い果物は体調を壊す原因になってしまうのです。
なので甘いものが好き!という印象の多いカブトムシやクワガタですが、砂糖水も同様に与えないようにしてください。
ちなみに、蜂蜜もそのまま与えてはいけない食べ物の一つです。
山でトラップを仕掛ける時に、蜂蜜を木に塗っておびき寄せるというイメージが使われている時がありますが、下手をするとその蜂蜜でカブトムシやクワガタが死んでしまうこともあるので絶対に止めましょう。
よく観察してみると分かるのですが、カブトムシもクワガタも口がブラシのようになっています。
その口で樹液やゼリーを舐めるのです。
しかし、蜂蜜はそれらに比べるととても糖分が高い食べ物です。
水で薄められていない蜂蜜を舐めるとそこで蜂蜜が固まってしまい、二度と餌を食べられなくなってしまう可能性が高いのです。
特に、涼しい場所で暮らすミヤマクワガタには致命的と言ってもいい食べ物です。
勿論、他のカブトムシやクワガタにも薄めていない蜂蜜を与えることは避けましょう。
ミヤマクワガタの繁殖方法は、成体を飼育する際に温度管理がしっかりとできていればあまり問題なくできると言われています。
夏の終わりから秋にかけては産卵の季節です。
飼育場所のマットを沢山敷いて、卵が孵化したときに餌に困らないようにしてあげましょう。
飼育していた場所が衣装ケースなどの広い場所なら、マットを追加していけば幼虫が餌に困ることはありません。
しかし、30cm水槽などでは、幼虫が過密状態になってしまう場合が多いです。
そのため、あまり広くない場所で繁殖をさせてしまったときは、幼虫がある程度大きくなってきたらそっと掘り出して個別に分けて育ててあげてください。
掘り出した幼虫は育てていた場所と同じマットを基本の餌にしつつ、徐々に栄養価の高い菌糸マットなどを加えていくと良く育ってくれます。
また、産卵前の雌は卵を産むために高たんぱくの餌を必要とします。
産卵の季節がやってきたら、バナナやヨーグルトなど、タンパク質が含まれている餌を与えると良く食べてくれます。
夏でも25℃の気温程度しかない場所がお勧めです。
夜の山は危険なので、山に入る場合は必ず早朝にトラップを確認するようにしてください。
飼育の際に一番重要なのが温度管理です。
せっかくのミヤマクワガタを弱らせないように、しっかり温度を確認して育ててあげてください。
また、ある程度の湿気も必要なので、ケースが乾燥してきたなとおもったら霧吹きを何度かかけてあげることも忘れずに。
水で薄めていない蜂蜜と砂糖水は厳禁です。
ミヤマクワガタの寿命は、ほかのカブトムシやクワガタと比べると非常に短いです。
活動を始めた成体は平均2か月ほどしか生きないと言われています。
そういった面でもミヤマクワガタは珍しいクワガタの一つとされています。
もしミヤマクワガタを捕まえたときは、大事に育ててあげてください。
この記事がミヤマクワガタを捕まえた方や、これから飼育するという方の参考になれば幸いです。
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最終更新日 : 2022/07/11
公開日 : 2017/10/24