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カナヘビは野生の他にもペットショップでお迎えすることができる
日本には固有種も含めた沢山の爬虫類が生息しています。
その中でも比較的飼育しやすいのがカナヘビ、ニホントカゲ、 ヤモリ 、 イモリ です。
今回は、私たちの最も身近な場所にいる「カナヘビ」について、他のトカゲ達と比べながら詳しく解説します。
カナヘビは場所によってはトカゲと呼ばれたりもしますし、ヤモリとイモリは名前がよく似ていて、どっちがどっちだったかな…と少し混乱してしまう人もいると思います。
しかし、一度頭に入れてしまえばすぐに見分けがつくようになります。
カナヘビの説明を始める前に、まずはそれらのトカゲ達の特徴について解説します。
茶色い体に、きょろりとした可愛い目が特徴の トカゲ 。
日本全土でその姿を見ることができます。
一見地味な色をしたその茶色い体は保護色で、鳥や猫などの天敵から身を上手く隠せるようになっています。
幼体から成体まで、体の色は茶色のままです。
地面や枯れ葉の上にいると、カナヘビが動くまでどこにいるのかがわからないほどです。
食事や日光浴をするために時折木の上や塀の上にいる様子も見ることができますが、天敵に狙われる可能性も増えるので基本的には地面の上で活動しています。
天敵に捕まったときに尻尾を自ら切り離すことがありますが、尻尾には再生能力があるので時間がたてば生え揃うため、問題はありません。
なお、ニホンカナヘビは、東京都環境局が2021年に公表した「東京とレッドリスト(本土部)2020年版」において、絶滅危惧1類に指定されています。
ニホンカナヘビは全国の広範囲に生息しているので日本から絶滅の恐れはまだ低いですが、全国的に減少傾向にあることは気に留めておきましょう。
主に西日本と東日本、伊豆半島から伊豆諸島に生息しています。
一見同一種に見えますが、西日本、東日本、伊豆半島から伊豆諸島ではそれぞれ別の種類のニホントカゲが生息しています。
成体は茶褐色になり、カナヘビとよく似ていますが、幼体は黒と白の混じった体に鈍い銀青色の尻尾が特徴の美しい姿をしています。
ニホントカゲは地面に潜って暮らす性質を持っているので、カナヘビと比べるとあまりその姿を見ることができません。
しかし、大きな岩や枯れ木などを持ち上げてみると、巣を作って寝ている様子を発見できると思います。
もちろん飼育しない場合は、少し観察をしたら石や木をもとの場所に戻してあげてくださいね。
壁にぴたりと張り付いている姿を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
ヤモリは人の居住地域のみに生息しています。
そのため「家守」という漢字を当てられ、古くから親しまれている爬虫類です。
手に渦巻のような形をした吸盤がついているので、アスファルトだけではなく、なんとガラスに張り付くこともできます。
夜行性なのでヤモリが住んでいる家では、夜の明かりに引き寄せられた昆虫を狙っている姿を見られるようです。
動きが素早い上にコンクリートにも似た灰色の保護色の体をした個体が多いので、見つけるまでが少し大変ですが、一度目にしたことがある方は比較的すぐに発見できるでしょう。
ヤモリも尻尾切りを行いますが、こちらも再生能力を持っています。
上に挙げた三種類のトカゲ達のような爬虫類とは違い、両生類である アカハライモリ は水田や池など水気がある場所に生息しています。
こちらは「井守」という名称で親しまれています。
名前の通り、腹側が赤く染まっているのが特徴です。
アハカライモリは日本の固有種で、北海道や伊豆諸島を除く日本全域に生息している両生類です。
ただ最近では、そちらに持ち込まれたアカハライモリが増えたことが問題になっていると言います。
また、イモリは他の爬虫類や両生類よりも再生能力が高いことでも有名です。
他のトカゲが尻尾切りを行う際、切った骨は二度と再生しません。
しかし、イモリは尻尾の骨や、脊椎動物は回復機能がないとされている目のレンズまでも再生することができます。
この特性から、アカハライモリは非常に頑丈な生き物とされています。
実はアカハライモリは毒を持っている生き物です。
テトロドトキシンという毒の名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
フグの持つ毒と同じものを、アカハライモリは皮膚から分泌しています。
真っ赤な色のお腹は、自分が毒を持つ生き物だという警戒色であると言われています。
イモリを触ったあとは その手で目を擦ったり食べ物を食べたりすることは避けましょう。
アカハライモリのテトロドトキシンでの死亡例はありませんが、目を傷めてしまったり雑菌が体の中に入ってしまったりするので、触った後は手をしっかりと洗ってください。
カナヘビとニホントカゲはとても良く似ています。
ニホントカゲは成長するにつれて茶色になるため、幼体の時はすぐに見分けが付きますが、成体になってしまうと一目で区別することは難しくなってしまいます。
それでは、カナヘビとニホントカゲはどのように判別するのでしょうか。
カナヘビにもニホントカゲにも瞼があります。
カナヘビは目の上だけに瞼のような膜がありますが、ニホントカゲは人間と同じように目の上下に瞼がついています。
捕まえたら、ぜひ目の動きを観察してみてください。
カナヘビの尻尾は体と同じぐらい長いです。
敵に襲われたりなどして尻尾切りを行っていないカナヘビの尻尾は、体と同じぐらいの長さがあると言います。
一方、ニホントカゲの尻尾は、幼体のときも成体の時も体の半分ほどの長さです。
自衛のために自ら切り離してしまい、ほんの少ししか尻尾が残ってない場合は判断がつきにくいですが、カナヘビとニホントカゲを触らずに見分けられる特徴的な要素です。
カナヘビとニホントカゲの違いは触れると簡単にわかります。
カナヘビは鱗がざらざらとしていて、すこし鮫の肌に似ているでしょうか。
鱗自体は柔らかいのですが、手触りはあまりよくありません。
一方、ニホントカゲは鱗がつるつるとして滑らかな触り心地です。
そのつるつるとした鱗でどんな隙間にもするりと入ってしまいます。
カナヘビには「ヘビ」という単語が含まれていますが、手触りが蛇に似ているのはどちらかというとニホントカゲの方なのです。
トカゲや蛇は舌先をちろちろと出して匂いを嗅ぎます。
私たち人間や犬や猫のように鼻から匂いを嗅ぐのではなく、舌先に匂いの粒子をつけてそこから獲物の匂いを感じ取るのです。
カナヘビの舌先は、蛇のように二又に分かれています。
一方、ニホントカゲの舌先は分かれておらず、哺乳類のような形をしています。
カナヘビもニホントカゲも、主に原っぱや雑木林、時折人家の庭などで暮らしています。
しかし、良く現れる場所には違いがあります。
カナヘビはいつも地面の上にいます。
あまり高くない木にも登るときがありますし、岩の隙間などに入ることはあっても地面の下にもぐることはありません。
このため、土が踏み固められている場所でも問題なく暮らすことができます。
一方で、ニホントカゲは柔らかい地面の中に潜って暮らすことが多いです。
ニホントカゲが暮らしている場所にある石の下をよく見てみると、穴を掘って巣を作っている様子が見られるかもしれません。
また、日光浴が好きなので、日当たりが良い場所では気持ち良さそうに日の光を浴びている姿を見ることができます。
カナヘビは野生の個体だけではなく、ペットショップで購入することもできます。
値段は500〜1,000円円程度と、あまりお金がかからない生き物です。
野生の個体は原っぱや雑木林などで簡単に捕まえることができます。
カナヘビは土に潜ることはしません。
草花の下や、枯れ木などの上で活動しています。
カナヘビは日光浴が大好きなので、晴れた日に原っぱや雑木林の日の当たる場所に向かうと、そこで日光浴をしている姿を見つけることができると思います。
一方、夏はカナヘビにとっても暑すぎるため、早朝や夕方に姿を現すことが多いです。
近付くと逃げてしまいますが、少し離れた場所でぴたっと一瞬止まります。
ニホントカゲのようにするすると素早く逃げることがないので、その隙を狙ってください。
手でぎゅっと地面に押さえつけてしまうことを避けるため、そっと包み込むように捕まえるのをおすすめします。
カナヘビの飼育に必要なものは以下の7つです。
こちらはカナヘビが運動できるような大きさであればどんなものでも大丈夫です。
幼体の時から飼育したとしても、将来は手のひらの半分ほどの大きさになるのであらかじめ広い水槽を購入することをおすすめします。
高さがある程度あるものを選ぶと、水槽の中に木や草をレイアウトしてカナヘビが動いている様子を観察できると思います。
また、カナヘビは脱走が得意です。
イモリのようにつるつるとしたガラスやプラスチックを上ることはできませんが、下手に木を水槽の入り口付近に置いておくとするするとよじ登ってそこから脱走してしまいます。
そのため、カナヘビが呼吸できるような穴を確保しつつ、脱走ができないような蓋がついている飼育容器を購入するのがおすすめです。
こちらは爬虫類用に売っている床材を使用するのが良いでしょう。
売られている土や、自分の庭の土を使用しても問題はありませんが、土の中には微生物や小さな虫がいることが多いです。
食べ残しや湿気で繁殖してしまい、カナヘビが弱ってしまう可能性があるためおすすめはできません。
もし使う場合は、一度ジップロックに入れて電子レンジで加熱するとその心配はなくなります。
カナヘビは脱皮をします。
脱皮は健康のバロメーターにもなりますが、時折脱皮不全を起こしてしまう場合があります。
その理由として、湿気が少ないということあります。
カナヘビは水もよく飲むので、飼育している場所の湿気を保つ意味でも水場は作ってあげてください。
汚れたり新鮮でなかったりすると飲んでくれない可能性があるので、2,3日に1度は換えることをおすすめします。
また、そろそろ脱皮をするかな…と思ったら、霧吹きで湿度を上げてあげる方法も良いと言われています。
他の爬虫類と同じようにカナヘビも冬眠をします。
冬眠をさせる場合は、保湿効果がある柔らかい腐葉土をたくさん用意してあげて、そこで眠らせてあげてください。
冬眠をさせない場合はヒーターが必要です。
秋頃の気温が25℃以下になってくると、カナヘビは冬眠の準備を始めるためにたくさん物を食べ始めます。
いつもより食欲が増えたなと思ったら、ヒーターをつけてあげてください。
また、昆虫を主に与えている場合だと冬は コオロギ やミルワーム程度しかペットショップに売られていないかと思います。
フードを主食にしているのであれば問題はありませんが、冬場に餌が偏ってしまうという場合は、カルシウムなどが含まれた爬虫類用の栄養剤をコオロギとミルワームにまぶしてから与えてください。
カナヘビは日光浴が大好きです。
これは爬虫類が自分で体温を上げることができず、日光を浴びてビタミンD3を作り出してカルシウムを吸収するためです。
そのため、紫外線がないと弱ってしまいます。
しかし、カナヘビを毎日日光浴させるのは大変です。
下手をすると日光が当たりすぎてしまい、カナヘビが暑さで弱ってしまうことがあります。
その悩みを解決してくれるのが、紫外線ライトとバスキングライトです。
紫外線ライトは疑似的な日光浴を、バスキングライトはホットスポットを作ってくれます。
この2つのライトを同時に使うことで、毎日カナヘビに日光浴をさせてあげることができます。
紫外線は人には見えないもので、知らない間に紫外線照射量がへっていることがあります。
それを防ぐためにも、半年に一度は紫外線ライトを買い替えるようにしましょう。
カナヘビは口に入るサイズの昆虫であれば大抵のものは食べてくれます。
野生の個体はワラジムシやバッタ、ミミズ、時には地面に落ちた果物なども食べているようです。
一番食いつきが良いのは生餌ですが、飼育の際に少しずつ慣らしていけば爬虫類のフードも食べてくれるようになります。
生餌を与える場合は、コオロギやミルワーム、デュビア(餌用のゴキブリ)などがおすすめです。
野生個体を捕まえて飼育を開始する場合は、デュビアを食べずに、コオロギやミルワームばかり食べるケースも多くあります。
デュビアは噛みつかないのですが、コオロギやミルワームは噛みつくことがあるので、口に怪我をすることがあります。
できれば、コオロギなど動きの速い生餌は、肢を折って動きが鈍くすることをおすすめします。
なお、ミルワームは高カロリーな生餌です。
昆虫を食べる生き物のほとんどが大好物なミルワームですが、欲しがっているからと与えてしまうと肥満の原因になるので、主食ではなく時々のおやつとして与えてあげてください。
ミルワームにはカルシウムの吸収を阻害してしまうリンがたくさん含まれているので、そうした面でも主食にするにはおすすめできない生餌です。
もし飼育し始めで手に入れやすい餌がミルワームしかなかった場合は、粉の栄養剤を振りかけてから与えてください。
また、他の爬虫類と同じようにカナヘビには毎日餌を与える必要はありません。
1週間に2回程度の給餌が目安です。
幼体の時は頻繁に餌を食べるので、孵化したばかりのコオロギやデビュア、ダンゴムシと違って殻がやわらかいワラジムシなどを常にケースの中に放してあげると飼育が楽にできます。
この時は餌となる昆虫が死なないように、ケースの中に野菜を入れてあげると良いでしょう。
痛んでしまうと昆虫も野菜を食べなくなる場合があるので、3日に一度は取り換えるようにしてください。
フードに慣れさせておくと成体になってからの餌事情も楽になるので、幼体から飼育を始める方はぜひフードを定期的に与えるようにしてあげてください。
似ていますが、また別の種類の生き物です。
もしカナヘビではなくニホントカゲを捕まえてしまったときでも、基本的な飼育方法はそこまで変わらないので問題はありません。
爬虫類専門店に行くと、時折入荷していることがあります。
必ず手に入れたい場合はネット通販を利用すると良いでしょう。
人の力はカナヘビにとって強すぎることが多いです。
特に幼体は骨も脆く、下手をすると骨折させてしまうこともあります。
お椀を作るような形にした手を、素早くカナヘビに被せると簡単に捕まえることができますよ。
自分の体の中でビタミンD3(カルシウムの吸収を助ける効果を持っています)を作り出せない爬虫類には必ず日光浴が必要です。
具合が悪そうだと思ったら日光浴、消化不良の時も日光浴、産卵の時も日光浴、とにかく紫外線がないとすぐに体調を崩してしまいます。
紫外線ライトとバスキングライトは、カナヘビを飼育する際には購入していただきたい商品です。
特にミルワームは高カロリー、かつカルシウムの吸収を妨げるリンを含んでいるので、カルシウムパウダーをまぶしてから与えるのがおすすめです。
カナヘビは人に慣れてくれる生き物です。
慣れれば手から餌を食べてくれますし、呼ぶとこちらに来てくれたりもします。
飼育のコツを掴むまでは少し大変だとは思いますが、どんな生き物でも飼育するには苦労が付き物です。
カナヘビを捕まえた際は、ぜひ本記事を参考にしてください。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/05/22
公開日 : 2017/10/15