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チベタン・マスティフは主に中国にて「裕福の象徴」として人気の 犬種 です。
中国や海外などではペットとして流通している犬種ですが、日本ではほとんどその姿を見かけることのない犬です。
立派な体躯のチベタン・マスティフの飼育はあこがれるものがありますが、果たして日本でも可能なのでしょうか?
こちらではチベタン・マスティフの歴史から特徴、飼育事情などを併せて紹介していきます。
チベタン・マスティフは中国のチベット高原を原産地とする超大型犬です。
古くからチベット高原で牧羊犬や番犬として徴用されてきた種類であり、世界の大型犬の原種になった犬といわれております。
古くはチベット高原に留まらず、ネパールやモンゴルなどで宮殿や遊牧民のテントの護衛犬として活躍してきました。
「東方神犬」との別名もありその姿から神格化されてきた犬でもあります。
歴史書などにも多く登場し、チンギス・ハーンは3万匹のチベタン・マスティフの軍団を引き連れて西征したともいわれています。
航海者、マルコ・ポーロの「東方見聞録」にも登場し、ロバのように高くライオンのように力強い咆哮の犬との記述があります。
1955年に中国がチベットと合併すると「チベタン・マスティフの殺傷命令」が下され、国内の数が激減してしまい、絶滅状態へとなります。
しかし、チベタン・マスティフに興味をもったイギリス人が自国に持ち帰ったり、アメリカに輸出された個体が生き残りその後計画的繁殖によりその数をふやしいていきます。
ヨーロッパでの飼育が一般化すると、1828年にジョージ4世ロンドンの動物園に寄進したりといった記録が残っています。
さらにはインドの総督がビクトリア女王に献上したりといった政治間での献上品としても扱われました。
最大の特徴はその身体の大きさで、成長すると66センチ前後になり体重は64kg~82kgと非常に重くなります。
寿命は10年前後であり、超大型犬としては長命なほうになります。
雌の発情期が野性の狼同様年に1回しか来ないという特徴があり、繁殖は他の犬種に比べて時間がかかります。
首周りの毛がライオンのように見えることから、特に毛量が多いものを「獅子型」短いものを「虎型」と二種類に分けています。
特に中国ではこの「獅子型」が好まれる傾向にあり、さらに毛の長い「大獅子頭型」は富の象徴としてさらに高額で取引されています。
毛色は主に黒色、赤毛、金、灰色などに構成されておりそれらの毛色がまじりあうこともあります。
尾の毛は長い巻き毛で中国では菊の花にたとえられています。
性格は勇敢で大胆、頑固な一面もありしつけには相当の気力と体力、根気がいる犬種です。
力が大変強く、広い飼育スペースを必要とするために一般の家庭での飼育は困難です。
チベタン・マスティフは主人への忠誠心は厚く、護衛犬番犬として能力を発揮します。
チベタン・マスティフは昔から僧侶などの支配階級の者しか飼育ができない犬でした。
2000年以降の中国での高度経済成長をきっかけにその歴史的な背景も手伝い、裕福層の間でブームが巻き起こります。
その結果元々の希少さから値段はどんどん上昇して、ピーク時は億単位で取引されるという事態になりました。
その一方で忠誠心が厚く、外部に対して獰猛な性格や狭い都市部での生活のストレスから人を襲う事件が多発し、数年で人気は下落していきました。
コストの面からも飼育の維持が非常に困難になり悲しいことですが、遺棄する飼い主が後を立たず、野生化したチベタン・マスティフが問題となっていったのです。
こうしたブームの反省から現在中国では数万円まで価格が下がっており、取引されています。
一般の家庭での飼育は難しく、一部の動物園やテーマパークや高級官僚などが飼育するにとどめている状態で落ち着いています。
日本での飼育については数年前より専門のブリーダーがおり、国内で入手することも可能になりました。
価格は数百万円ほどで取引されており、いずれにしても高級犬なのは変わりありませんね。
日本国内のチベタン・マスティフについては中国産のものより血統が薄い傾向にあり、立派な体躯をした個体を手に入れるのは難しいです。
交雑種もおり、毛並みも粗悪なものが目立つのが現状です。
その代わり、性格が多少温和であったり価格も安めに設定されていたりという面があります。
いずれにしてもチベタン・マスティフの飼育には規制もあり、飼育の継続には費用と気力と体力が必要です。
購入は自身の飼育経験と終生飼育できる環境、予算、覚悟があるかを熟考した上で決定することが望ましいです。
チベタン・マスティフが病気になった場合治療はその巨大さと体重から治療が困難になることが予想されます。
日本での頭数が少ないことから見てもらえる獣医師も限られてしまいます。
さらには寝たきりなどの介護や投薬が必要になった場合、飼い主の負担は相当のものです。
幼少の頃より免疫力を高め、病気になりにくい健康で丈夫な身体を作ることが大事ですね。
こちらではかかりやすい病気と丈夫な体作りに必要なエサについて紹介いたします。
チベタンマスティフはその身体つきから股関節形成不全になりやすい犬種です。
股関節形成不全とは股関節に何らかの異常をもたらし歩行困難、関節痛、症状が悪化すると寝たきりや発熱などを発症します。
幼少のころからの身体づくりが大事であり、高たんぱく・低脂質のドッグフードを与えて筋力を向上させるのが良いでしょう。
また、コンドロイチンやグルコサミンといった軟骨成分に働きかけるサプリメントやおやつなどもおすすめです。
適度な運動が必要であり、多くの運動量を必要とします。一般のドッグランなどでは入店を断られてしまう場合もあり、なかなかチベタン・マスティフが自由に運動するスペースというのは限られてしまいます。
そのため、購入前にチベタン・マスティフがのびのび運動できる環境を用意してあげるのが理想的です。
チベタン・マスティフはその被毛の分厚さから皮膚疾患にかかりやすい種類でもあります。
ライオンのように立派な被毛は毎日のブラッシングが欠かせなく、定期的に清潔に換気して湿気をため込まないようにすることが大事です。
毎日のブラッシングは病気の早期発見にもつながり、なによりも飼い主との信頼関係を深める最大のコミュニケーションです。
愛情をもってブラッシングしてあげれば、揺るがない信頼関係を構築することができ、チベタン・マスティフにとって幸せな環境と言えるでしょう。
また、被毛の質を維持するには脂質をおさえたフードが良いでしょう。
ビタミンなどの接種も皮膚の状態を維持するのに必要な栄養素であり、積極的に与えたい栄養素の一つです。
上記のような理由から与える、 ドッグフード はなるべく無添加で自然素材のものがおススメです。
おすすめの 餌 は画像のユーカヌバ等です。
犬種によってのラインナップも充実しており、海外で愛用されているブランドでもあります。
最大の魅力はラインナップの多さと大型犬に心強い大袋が豊富な点です。
こちらのフードは筋肉をつくるのに必要な動物性たんぱく質を主成分にしており、アレルギーの出やすい穀物類を極力使用していません。
アレルギーにも配慮されており、ビーフ・チキンはもちろんアレルギーが出にくいといわれるラム肉を使用した種類もあります。
値段は少し高級品ですが、チベタン・マスティフの身体を維持するためには必要な栄養源といえるでしょう。
チベタン・マスティフの巨大な身体を維持するためには多くのエネルギーが必要になります。
もちろん量も食べるので他の犬よりも食費は高額になります。
一日平均600g~800gのエサを必要とするチベタン・マスティフは一年間で約50万円の食費がかかるといわれています。
経済的な負担も視野に入れて飼育を検討する必要があります。
一般的に市場で入手可能な毛色を紹介させていただきます。
海外購入などもチベタン・マスティフを入手する一つの方法ですが、検疫等にかなりの気期間がかかります。
さらには輸送費などの面から考えて費用は数千万円かかる高値の花と言えるでしょう。
チベタン・マスティフの基本色になります。単一の黒が一番多く、ブラック&タンや体の一部にホワイトの入る個体もいます。
トライカラーの個体もおり、黒、茶、白で構成されている個体が多いです。
暑さには弱く、熱がこもり易いので夏季の熱中症等には注意が必要な毛色です。
人気が一番高い毛色でもあり、個体数も一番多いです。
グレート・ピレニーズ を連想させるようないでたちですが大きさは2倍~3倍になります。
被毛の白さを維持するのが難しいという点があり、十分な手入れが必要な毛色です。
口元は涎などで焼けやすく茶色に変色しやすいので、こまめに涎や汚れをふき取る必要があります。
こちらは チャウチャウ のような赤褐色でライオンと間違えられた色といわれております。
たてがみの部分が非常に目立ち、立派にみえるので愛好家の間では人気の毛色となります。
稀に頭部や頭に白、黒が混じることがあります。
チベタン・マスティフの間でも珍しい種類の色で希少価値の高い毛色です。
日の光を浴びるとシルバーに近い色に輝き、立派な印象を与える為ドッグショーにおいて人気があります。
値段も他のチベタン・マスティフに比べ、さらに高額で取引されています。
原産国 : 中国・チベット高原
値段 : 数百万円~数億円
毛色 : ブラック、ホワイト、レッド、ブラック&タン等
寿命 : 10歳~12歳前後
体重 : 62kg~100kg
体高 : 66センチ~72センチ
特徴 : 筋肉質で巨大な身体と獅子のたてがみのような毛
性格 : 独立心が強く、勇猛果敢であり飼い主に忠実、番犬・護衛犬として活躍する。
かかりやすい病気 : 股関節形成不全、皮膚疾患等
注意点 :
一般家庭での飼育は非常に困難であり、購入も飼育も課題の多い犬種です。
有り余る力があるため、徹底したしつけが必要になり獰猛な性格が顕著した場合、事件に発展する危険があります。
終生飼育するための費用、広大な飼育スペースを確保し責任をもって迎えることが必要な犬種です。
超大型犬の中でも特異な経緯を持つチベタン・マスティフについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
チベタン・マスティフは本来護衛犬や番犬として私たちの暮らしを支えてきた心強いパートナーでした。
しかし、原産国中国では一時のブームのため、慣れない都市部での生活や無計画な繁殖行為により悲しい運命をたどる個体が増加してしまいました。
本来共存し、生きてきたチベタン・マスティフが凶暴化し、人を襲うという事件が発生してしまった背景には私たち人の責任があります。
大切なことはその犬種の本質を理解し、責任と愛情をもって最後まで飼育していくことといえるでしょう。
こちらの記事を参考にチベタン・マスティフについて、また犬の飼育について興味を持っていただけたら幸いです。
公開日 : 2017/09/16