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イングリッシュ・マスティフの特徴は、非常に大きな体としわが刻まれたいかつい顔です。
彼らは体に対して頭部が大きく、強靭で筋肉質、骨太で威厳があるがっしりとした体型をしています。
垂れ耳で口の周りの皮膚もたれていて、額や鼻のまわりには深いしわがあります。
イングリッシュ・マスティフはイギリスで生まれたといわれている、非常に古い歴史を持つ犬種です。
彼らの祖先はチベット(中国)原産の紀元前から存在する犬種 「 チベタン・マスティフ 」 ではないかと考えられていますが、詳細ははっきりとわかっていません。
マスティフタイプの超大型犬は古代から猟犬や護衛犬、軍用犬として活躍してきました。
古代バビロニアの粘土板には、兵士と共にライオン狩りに挑むマスティフタイプの犬が描かれています。
その姿を見ると古くからマスティフタイプの犬が存在し、今もほぼ姿を変えていないことがわかります。
彼らはその力強さから 闘犬 として利用され、時に牡牛やクマ、ライオンや人間の剣闘士と戦いました。
しかし、闘犬は動物愛護精神の高まりとともに廃止となり、代わりにドッグショーが流行しました。
当時裕福な人々はこぞってイングリッシュ・マスティフを飼育し、ショーに出場させたそうです。
その後2度の世界大戦を経て、イングリッシュ・マスティフは絶滅に近い状態になってしまいました。
そうというのも、多くの人にとって戦時中に体が大きく、人間と同じくらい物を食べるイングリッシュ・マスティフを飼い続けることは難しかったのです。
第二次世界大戦後、愛好家たちの中でイングリッシュ・マスティフの姿を取り戻そうという動きが広がりました。
そしてアメリカやカナダでわずかに生き残っていた個体を元に、 ブル・マスティフ や グレート・デーン 、 セント・バーナード など多くの犬種とブリーディングが行われ、なんとかイングリッシュ・マスティフの姿が再建されたのです。
なお“マスティフ”という名前が付く犬種は多く存在しますが、最も有名なマスティフであるイングリッシュ・マスティフは単に 「マスティフ」 と呼ばれることもあります。
イングリッシュ・マスティフの体高はオスで75cm以上、メスで68cm以上です。
体重はオスで72~104kgほど、メスで54~77kgほどで、オスは100kgを超えることも珍しくありません。
イングリッシュ・マスティフのカラーはアプリコット・フォーン、シルバー・フォーン、フォーン、ダーク・フォーン・ブリンドルが認められています。
どのカラーでも必ずマズルと耳、鼻、目の周りと間がブラック(黒色)になります。
イングリッシュ・マスティフは落ち着きがあり、とても愛情深い性格をしています。
いかつい見た目をしていますが優しく控えめな性格で、常にどっしりと落ち着いています。
子どもに対しても優しく、きちんとしつけがされていれば、家族や自分に危険が迫らない限り攻撃することはほとんどありません。
彼らは良くも悪くもマイペースであり、自分から輪に入っていくというよりは遊んだり作業したりしている家族を少し離れたところから見守ることを好む傾向にあります。
諸説ありますが、イングリッシュ・マスティフの寿命は6~10年ほどだといわれています。
犬は体が大きいほど寿命が短いと言われており、超大型犬であるイングリッシュ・マスティフも短命な傾向にあります。
英名:English Mastiff(Mastiff)
別名:マスティフ
原産国:イギリス
サイズ:大型犬
グループ:2G・使役犬
大きさ:
体高・オスで75cm以上、メスで68cm以上
体重・オスで72~104kgほど、メスで54~77kgほど
寿命:6~10年
次にイングリッシュ・マスティフをおすすめしたい人、イングリッシュ・マスティフとの暮らしに向いている人について説明していきます。
イングリッシュ・マスティフは優しい性格ですが、人間と同じかそれ以上の大きさを誇る超大型犬です。
どんな状況でもその巨体を制御できるように、常に飼い主の指示を聞く状態にしておく必要があります。
犬としては遊んでいるつもりであっても、人に大怪我をさせる可能性があることを常に肝に銘じておきましょう。
そんなイングリッシュ・マスティフは、犬の飼育頭数が豊富な方におすすめの犬種といえます。
イングリッシュ・マスティフは体が大きく、成犬になると成人男性くらい(あるいはそれ以上)の大きさになります。
そんな彼らが健康に過ごすためには、ゆったりと寝ころんで休めるだけのスペースが必要不可欠です。
また彼らは暑さに弱く、寒さに強いため、夏場は室内で過ごさせる必要もあります。
そんなイングリッシュ・マスティフは、自宅の内外に広い敷地がある方に向く犬種といえます。
イングリッシュ・マスティフは体が大きいため、日々のエサ代だけでも相当な費用がかかります。
また、ペットシーツなどの消耗品の費用や病院、トリミングサロンに行く費用も高額になりがちです。
それに加えて万一の通院時には公共交通機関が使えず、移動用の自家用車が必要になるという点などを総合的に考えると、イングリッシュ・マスティフは金銭的な負担が大きい犬種といえます。
そんなイングリッシュ・マスティフは、金銭的な余裕がある方でなければ飼育するのが難しい犬種だといえます。
次の項目では、イングリッシュ・マスティフのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
イングリッシュ・マスティフは、ブリーダーから購入できます。
国内では希少な犬種である彼らは、ペットショップではほぼその姿を見かけません。
お迎えを検討している方は事前にブリーダーを探し、子犬がいるか、また今後ブリーディングの予定があるか問い合わせておくと良いでしょう。
なかなか理想の子犬に巡り合えない場合は、海外ブリーダーからの輸入を考えるのも1つの手です。
自力での輸入が難しい場合は、動物の輸出入に強い動物商やブリーダーの力を借りると良いでしょう。
また何か事情があり(飼い主の病気や飼育放棄など)、里親を探している個体がいるかもしれません。
イングリッシュ・マスティフのお迎えを検討している方は、里親募集サイトをチェックしてみても良いかもしれません。
イングリッシュ・マスティフは、 1 頭あたり25~50万円程度で販売されているようです。
国内では希少な存在であることから、カラーや性別、年齢や血統によって価格が大幅に上下する可能性があります。
次の項目ではイングリッシュ・マスティフの飼い方と、そのポイントについて説明していきます。
イングリッシュ・マスティフの主食には、品質の良い総合栄養食のドッグフードを与えましょう。
イングリッシュ・マスティフのような超大型犬は成長が遅く、2歳くらいまで体が成長し続けます。
骨や筋肉を適切に育てるために、成長期の間は特に栄養バランスに配慮したフードを選んでください。
また、肥満になると関節や骨に余計な負担がかかってしまうため、太らせないように注意してください。
与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談すると良いでしょう。
イングリッシュ・マスティフのブラッシングは、週に2~3回行えば十分です。
彼らの被毛はダブルコートなので、抜け毛の量は少なくありません。
しかし、短毛種であることから、手入れ自体にはそれほど手間がかかりません。
ただし換毛期になると抜け毛の量が一気に増えるため、その間だけはブラッシングの回数を増やすと良いでしょう。
また、ブラッシングをする際には、汚れがたまりやすい耳の中や顔のしわも一緒に掃除してください。
コットンや固く絞った濡れタオルなどを使い、しわを優しく広げながら拭うと良いでしょう。
This is how one washes an Old English Mastiff (Stanley)! pic.twitter.com/dqxBFxlz0F
— Amber P (@AmberPeaceful) August 24, 2019
イングリッシュ・マスティフ のシャンプーは、月に1回は行いましょう。
月に1回とは言え、体が大きい彼らの体を洗うこと、乾かすことは大変な重労働です。
小さいうちから水に濡れること、シャンプーをすることに慣らしておくことをおすすめします。
イングリッシュ・マスティフ の散歩は 1 回30~60分程度、1日2回行くと良いでしょう。
様子を見ながら、無理をしない程度になるべく長めに散歩させられるとベストです。
彼らは運動好きでアクティブな犬種という訳ではありませんが、毎日の散歩が欠かせません。
なぜなら、体を動かすとストレス発散になるのはもちろん、筋肉の維持と成長を促せるからです。
彼らの健康を維持するためにはしっかりと筋肉をつけ、重い体を支える関節への負担を少しでも減らすことが大切です。
イングリッシュ・マスティフは賢いものの、頑固でマイペースな性質があるためしつけは簡単とはいえません。
そうとはいえ、これだけ大きくパワフルな体を持った犬を、飼い主が制御できないようでは困ってしまいます。
彼らを自宅に迎えたら、愛と忍耐を持ってじっくりとしつけていく必要があります。
どうしてもしつけが上手くいかない時は、プロの訓練士の力を借りることをおすすめします。
イングリッシュ・マスティフは体が大きく、体重が重いため関節の病気になりやすい傾向があります。
日頃から関節に負担をかけないように体重を適切に保ち、適度に運動をさせるようにしてください。
また、大型犬であることから 「胃拡張・胃捻転症候群」 が起こりやすいことも覚えておきましょう。
これは胃が拡張してねじれ、胃とその周辺の血流が阻害されてしまう致死率が高い急性疾患です。
食後に不安そうな様子や苦しそうな様子を見せる、嘔吐もしくは吐き気、腹が異様に張るといった症状が見られたら直ちに動物病院に連れて行ってください。
その他、起こりやすい遺伝病としては 心臓病、股関節形成不全、てんかん、フォンウィルブランド病(VWD) などが知られています。
遺伝病を避けるためにも、子犬は必ず信頼のおけるブリーダーから迎えるようにしてください。
イングリッシュ・マスティフは、とてもよだれが多いことで知られています。
よだれが皮膚についたまま放置すると皮膚炎の原因になるため、こまめに拭ってあげてください。
外出する際はハンカチやタオルなど、よだれを拭ける物を携帯することをおすすめします。
イギリス生まれの大型犬 「イングリッシュ・マスティフ」 について説明してきました。
非常に大きな体を持ったイングリッシュ・マスティフは優しい性格であるものの、実際に飼うためには多くの条件があることが伝わったでしょうか。
イングリッシュ・マスティフは日本では知名度が高い割に、飼育頭数が少ない犬種です。
純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数を見てみると、イングリッシュ・マスティフは2019年(1月~12月)に10頭(142犬種中108位)のみ新規登録が行われています。
イングリッシュ・マスティフを自宅に迎える際は、超大型犬を迎える環境を整えておいてください。
余裕のある環境で育ち、正しくしつけられたイングリッシュ・マスティフは素晴らしい家族の一員となってくれるはずです。
最終更新日 : 2021/03/25
公開日 : 2020/09/16