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猫の顎などに黒いポツポツしたものがあるときは、猫ニキビである可能性が高いです。
猫ニキビの正式な病名は「猫挫創(ねこざそう)」というものであり、皮膚病の一種です。
猫ニキビの正体は角栓(コメド)で、猫の場合は黒いブツブツとなって現れます。
人間のニキビも角栓が毛穴に詰まることによってニキビの原因となることがありますよね。
猫の場合は、汚れが皮膚の分泌物と混ざってしまうことによって毛包が詰まってしまい、ニキビ(角栓)を発生させます。
予備知識がないと、「汚れやキャットフードが顎に着いたのかな」などと思って見過ごしてしまうこともあります。
猫ニキビは早期に対処すれば重篤な症状にはなりませんが、顎は猫が自分でグルーミングができない場所なので、自然治癒はあまり期待できません。
放置すると炎症を起こしてしまう可能性もありますので、飼い主さんのケアが必要です。
猫ニキビは皮膚の乾燥を防ぐために皮脂が分泌される場所にできやすく、顎の他には口やしっぽの付け根などにも見られることがあります。
その中でも顎にできやすいのは、猫が顎を自分でグルーミングできないからです。
猫は体を舐めたり、舐めた前足で拭ったり(顔を洗う)などして綺麗にしますが、そのようにできない場所があり、顎はその一つです。
皮脂が出やすいことと、猫が自分で手入れができない場所であることが重なって、顎にニキビができやすくなっています。
猫ニキビは性別や年齢に関係なく発症する可能性があります。
ただし、猫ニキビができやすい子がおり、そういう子は繰り返し猫ニキビができてしまうことが多いので、定期的に顎を綺麗にしてあげた方が良いでしょう。
猫のニキビの主原因は皮脂と汚れが混ざってできた角栓です。
猫ニキビは人間にも他の猫やほかの動物にも移ることはありません。
猫の顎にできる猫ニキビの症状をご紹介します。
下に行くほど重症な症状になります。
猫ニキビは命に関わるほどの病気ではありませんし、軽度の場合は猫自身も気にしていないことが多いです。
しかし、放置すると赤くなって炎症を起こしたり、猫が気にして引っかくことにより傷ついて出血するなど、重症化してしまうことがあります。
さらに、引っかいた傷から何らかの菌が入ってしまい、二次感染を引き起こしてしまうかもしれません。
そこまで悪化すると、治療には時間もお金もがかかってしまうことになります。
猫ニキビが悪化し猫の皮膚の環境が悪くなると、マラセチア菌が繁殖してしまう可能性もあります。
マラセチア菌は健康な猫でも皮膚、耳の中、口の周り、肛門、膣などに普通に存在している常在菌で、通常は悪さをしません。
ただ、猫ニキビの悪化により皮膚の状態が悪くなるとマラセチア菌が異常に増えて、皮膚炎や外耳炎を引き起こしてしまう可能性があります。
顎に黒いポツポツが付いていて、炎症などは見られないという軽度の症状であれば、おうちでの対応が可能です。
猫ニキビが発生している個所を綺麗にすることが第一なので、ペット用のウエットティッシュや蒸しタオルで優しく黒いポツポツを取り除いてあげてください。
取れやすいという理由で歯ブラシなどを使用する人もいますが、皮膚が弱くなっている可能性があり、傷つけることによって炎症を引き起こすリスクがあるので、やらない方が無難です。
猫ニキビができている箇所に、人肌程度に覚ました蒸しタオルを少しの間押し当てて、角栓を浮かせるようにしてから拭いてあげると取れやすいです。
決してゴシゴシと力を入れて拭かないようにしましょう。
蒸しタオルは濡らしたタオルをレンジで30秒ほどチンすればできますので、手間はかかりません。
熱いと猫がやけどするので、十分に冷ましてから使用してください。
一度では綺麗にできなくても、毎日続けていると綺麗にできますよ。
筆者はこの方法で多くの猫の猫ニキビを手入れしてきました。
軽度の猫ニキビへの対処はこれだけでも十分です。
特にイソジンやマキロンなどの消毒液などを使用しなくて大丈夫です。
消毒液を使用すると染み渡り、猫がケアを嫌がるようになることもあるのでおすすめしません。
綺麗になったら、1週間に1度程度、猫の顎の状態を見て再発防止に努めましょう。
脱毛や皮膚が赤くなっている、腫れているなどの症状が見られるときは、猫ニキビの症状が中程度に進行してしまっている状態です。
自宅のケアだけで治すのは難しいですし、かえって悪化させてしまうこともあるため、獣医に診てもらいましょう。
猫ニキビは顎にできることが多く、見えにくいために重症化するまで飼い主さんが気付かないこともあります。
引っ掻いてしまい出血しているときは、他の菌に感染してしまう二次感染のリスクもあるので早急に動物病院へ連れて行ってください。
猫ニキビの治療は軽度であれば、獣医で患部の毛を剃って、黒い部分を消毒液などでふき取るだけなので、診察料は1,000円~2,000円程度です。
脱毛や皮膚が硬くなるなどの中度の症状であればそれに加えて、薬用シャンプーで洗うなどの処置をすることもあり、そうすると3,000円~5,000円程度の診療代になるでしょう。
重度になって傷や出血を伴うと、炎症を抑える薬や抗生剤、ステロイド剤などの投与も必要になってきます。
また、一度では治らず、通院の必要も出て来るかもしれません。
そうすると、治療費も軽度~中度よりも高額になってきます。
猫ニキビの原因ははっきりしたことは判明していませんが、いくつかの要因があると考えられます。
食器の雑菌が猫の口の周りに付いてしまい、猫ニキビの原因になっている可能性があります。
猫が使用する食器は食事の度に都度洗って清潔な状態を保ちましょう。
プラスチック製の食器を使用しているときは、陶器や金属製のものに変えることをおすすめします。
プラスチックの傷に菌が繁殖してしまい、洗っただけでは取り除くことができないことがあるためです。
猫はストレスに弱い動物です。
何らかのストレスによって体の抵抗力が低下し、猫ニキビを発症する可能性があります。
ストレスが原因であることが考えられるときは、そのストレスを取り除いてあげるようにしましょう。
※関連記事: 猫にストレスを与えないお世話の仕方
稀なケースではありますが、ニキビダニが原因の場合もあります。
ニキビダニと呼ばれる毛包虫(もうほうちゅう)が大繁殖することによって猫ニキビを発症させます。
ダニと名前が付いていますが、血を吸うダニとは異なり、健康な猫でも多くの猫に寄生しています。
通常は悪さはしませんし、他の猫や人間にうつるということはないとされています。
ただ、猫の体調不良や抵抗力が低くなることなどによりニキビダニが通常よりも大量繁殖してしまい、猫ニキビを発症させることがあります。
猫が住んでいる場所が汚いなどの不衛生な環境がストレスになったり、猫自身に汚れや菌がついてしまったりすることによってニキビダニの要因になることがあります。
不衛生な環境は人間にも猫にも悪影響を及ぼします。
清潔な環境を維持するように心掛けてください。
筆者は保護活動をしているのでたくさんの猫に接してきましたし、猫ニキビのケアもしてきました。
筆者が観察したところでは、猫ニキビができやすい子がおり、繰り返し発症することがあります。
皮脂が多いというような体質の差によるものであると考えられますが、一度発症してしまった子は繰り返して発症する傾向があるため、定期的に蒸しタオルで拭いてあげるなどの予防に努めることをおすすめします。
猫ニキビ自体は命に関わるような重篤な病気ではないですが、放置すると悪化することが多く、炎症などの他の症状を招いたり良いことはありません。
軽度であればおうちのケアで十分改善できるため、ときどき猫の顎の下もチェックしてあげるようにしてください。
毛色の黒い子は見ただけではニキビが分からないので、顎を触ってみてください。
ニキビがあればブツブツと手に触れるため、そのときは今回ご紹介した方法で対処してみてください。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/05/09
公開日 : 2018/11/08