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猫 を飼っている人であれば、「すりすり」と聞けば猫が頭や体を飼い主さんにこすりつけてくる行動だとすぐに分かるでしょうし、毎日すりすりされるという方もいるでしょう。
しかし、猫好きでも猫を飼えない人はすりすりという言葉からどんな行動かを想像はできても、実際の様子を見たことがない方もいるかもしれません。
なぜなら、猫は基本的に警戒心が強い動物で、猫が体や頭をこすりつけてくるのは、相手に対して信頼感を持っていないとしない行動だからです。
猫は警戒心が強い傾向があり、人や環境に慣れるのに時間がかかることが多いですが、それにも個体差があります。
警戒心の強さ加減や個々の性格によってはあまりすりすりしない子もいるので、猫だったらみんなが必ずしもすりすりするわけではありません。
筆者は保護活動をしており、これまで100匹以上の猫ちゃんと接してきましたし、多くの終生保護猫と暮らしています。
長年一緒に暮らしていてもほとんどすりすりしてこない子もいます。
観察した限りでは、飼い主さんにすりすりしてくる子は独占欲が強い子、甘えっこが多いようです。
猫がすりすりしてくるのは何か理由があるのでしょうか。
ここではいくつかの理由をみていきます。
猫は 爪とぎ をしたり体をこすりつけたりすることによって、自分の居場所であると主張し、かつ自分の匂いがすることによって安心します。
猫には「臭腺(しゅうせん)」と呼ばれるにおいを出す器官が肉球、お尻、口の周辺、おでこの周辺にあり、人間には感じることができないその子独自の匂いを発しています。
そのため、体の臭腺がある部分を、よく飼い主さんや家具などに擦り付ける行動が見られますね。
特におでことお尻の臭腺からの匂いが強いとされており、猫がお尻をかぎあったり、頭をごっつんこしてあいさつするのはこのためです。
猫はあまり視力が良くないのですが、嗅覚は鋭く、匂いでその存在や気持ちまでも判断すると言われています。
飼い主さんにも頭をごっつんこしてくる子やお尻を向けてくる子は多いですが、これは飼い主さんが自分のものだと主張するとともに、飼い主さんにも自分のことを認識してほしいからなのです。
飼い主さんが外出から帰ってきたときやお風呂上りにしつこくすりすりしてくるのは、帰ってきてうれしいという気持ちもあるでしょうが、飼い主さんがいつもの匂いと違うので、「早く自分の知っている飼い主さんの匂いになってほしい」という気持ちの表れからだと思われます。
帰宅時やお風呂上りに愛猫がすりすりしてきたら、それは信頼の証とともに、飼い主さんがいつもと違う匂いがしていることに不安を感じているので、させるに任せておくのがいいですね。
忙しいときに足元にまとわりつかれると困ることもあるかもしれませんが、そんなに長い時間ではないので、飼い主さんを待ってくれていた猫へのねぎらいも込めて、好きなだけすりすりしてもらい元の飼い主さんの匂いになることがベストな対応でしょう。
お腹がすいたときやおやつが欲しいときにすりすりしてくる子もいます。
猫は自分がされて嫌だったことは一発で覚えて忘れませんが、それと同じようにしてもらって嬉しかったことも1回で覚えて何度も要求してきたりします。
すりすりされてうれしかった飼い主さんがおやつをあげたりすると、「すりすりするとおやつをくれる」と覚えて、何回も繰り返す猫もいます。
筆者宅では大勢の 保護猫 がいますので、すりすりされるたびに おやつ をあげたりできません。
猫たちは「すりすり=おやつがもらえる」とは思っていないので、食べ物の催促のためにすりすりしてくる子はほとんどいません。
ときどきおやつを与えることは悪いことではありませんが、鳴く、すりすりするなどの要求行動の後におやつやご飯を与えてしまうと、いつも要求するようになってしまうことがあります。
要求されるたびに何かあげていたのでは、飼い主さんも大変ですし、猫の健康を害さないとも限りません。
すりすりされたらご飯(おやつ)をあげるということが習慣化しないようにした方がいいでしょう。
おやつやご飯は要求されるからあげるのではなく、あくまでも飼い主さん主体であげるようにするといいですね。
猫はかまってほしいときとそうでないときの温度差がある子が多いので、突然かまってモードになってすりすりしてくることがあります。
何も要求していないと考えられるときにすりすりしてくるのは純粋に飼い主さんに甘えたいからです。
筆者宅ではすりすりは要求行動として通用しないので、猫がすりすりしてくるときは帰宅時か甘えたいときです。
飼い主さんが忙しいときにすりすりしてくるのも甘えたいからで、他のことに気を取られている飼い主さんの姿に「自分のことを忘れてほしくない」、「こっちを注目してほしい」という気持ちが込められています。
忙しいときにすりすりされると困ることもあるのですが、猫は相手にしないからといって簡単にはあきらめず、飼い主さんに振り向いてもらえるまで頑張る子が多く、そんな時は少しの間でいいので本気で猫ちゃんの相手をしてあげてください。
仕事をしながら、スマートフォンを見ながらの「ながらあいて」では猫は満足しないと思いますので、「本当にあなたがかわいい・好き」という気持ちを込めてなでたり抱っこしたりしてあげましょう。
きちんと向き合って相手をしてあげると、短時間で満足してくれます。
しつこく何度もすりすりするのではなく、飼い主さんのそばを通るときにスルーっと体をこすりつけて通ることがありますが、これは甘えたい気持ちというより、ちょっとした声掛けの意味合いが強いでしょう。
人間的に言えば「調子はどう?」とか「元気?」、「ここにいるよ」などの感じです。
猫があいさつしてきたら、飼い主さんも無視せずに声をかけてあげましょう。
猫の名前を愛情を込めて呼んでもいいですし、「かわいいね」でもいいです。
猫に挨拶を返すために自分の額を差し出す人もいるようですが、筆者の経験では猫はあまり喜ばないことが多いようです。
筆者は声をかけるかお尻を2~3回ほどポンポンしてあげます。
すりすりされるときに同時に頭突きという場合も少なくありません。
猫の頭突きは愛情表現です。
猫の頭には臭腺がありますので、親しい相手により親しみを込めて、匂いを付けているのです。
ごっつんこからの頭をぐりぐり押し付けてくる行動も見られますね。
それは「大好き」という猫の意思表示です。
人間だけでなく、仲の良い同居猫や同居犬にも頭をごっつんこするところは見受けられます。
ごっつんこしてもらったので、お返しに飼い主さんが頭を差し出すと実は嫌がる子も少なくないようです。
猫同士ではお互いの頭をごっつんこするのに飼い主さんとしたがらないのは、やはり飼い主さんの頭が巨大なことも理由としてあるかもしれません。
猫にとって人間は巨人と同じように感じているはずです。
飼い主さんとのごっつんこに慣れている子は、飼い主さんが差し出した頭に頭突きしてくれる子もいるようですよ。
猫のすりすりは基本的に愛情からくるものです。
甘えたいという気持ち以外にも、飼い主さんに自分の匂いを付けたいという気持ちも、何かを要求するすりすりも飼い主さんへの信頼と愛情がなければしない行為です。
すごくすりすりしてくる子とほとんどしない子がいますが、飼い主さんとの信頼関係が築けているのであれば、それはその子の性格や個性による違いでしょう。
猫といっても性格も好きなこともそれぞれ違いますから、その個性を大事にしてあげることが猫と楽しく暮らすコツですね。
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最終更新日 : 2021/05/28
公開日 : 2018/05/22