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プレーリードッグは、 ネズミ 目リス科プレーリードッグ属の総称。
北米の草原地帯に穴を掘って巣穴をつくり、群れで生息している 小動物 です。
草原地帯(プレーリー)に生息し、危険が近づいたときに 犬 のような鳴き声で仲間にその危険を知らせるため、プレーリードッグと呼ばれるようになりました。
野生動物のイメージが強いプレーリードッグですが、実はペットとして飼育する人も多いのです。
彼らは果たして人に慣れるのでしょうか。
どのように飼育すれば良いのでしょうか。
この記事では、そんなプレーリードッグの飼い方から値段や平均寿命など、プレーリードッグを飼育したい方に知っていてほしい情報をまとめました。
ユニークで可愛らしいプレーリードッグはさまざまな身体的・性質的な特徴があります。
例えば、アーモンドのような大きな目や小さく器用な手、鋭い歯と強い顎は、プレーリードッグの大きな特徴です。
それだけではなく、緊張したりびっくりしたりすると、肛門から3本の管が飛び出て臭いを発するという変わった特徴もあります。
ここでプレーリードッグの生態について詳しく見ていきましょう。
プレーリードッグの体長は28~33cm、尾の長さは10cmほど。
全長50cmに満たない小動物です。
ずんぐりむっくりの体型に、短い耳で丸い頭が特徴的。
立ち上がって両手を伸ばしている姿や、座っている姿のシルエットがこじんまりしていて可愛らしいと人気です。
被毛カラーは、前述した種類によって異なることがありますが、一般的には茶色ベースで、黒やグレーの差し毛が入っています。
野生のプレーリードッグは、草原地帯にトンネルを掘り、巣穴で生活しています。
巣は地下深さ約5m、長さ約30mにあり、トンネルは縦横無尽に繋がり合って非常に大きくなっています。
野生下のプレーリードッグは一夫多妻制であり、オス1匹に対して複数のメの家族が複数集まったコテリーと呼ばれる集団で暮らしています。
巨大な巣穴で複数家族が集団生活を行うプレーリードッグは、仲間同士でのコミュニケーションを取ることが多い社会性の高い動物です。
挨拶をし合ったり、エサを分け合ったり、毛づくろいをし合ったりと、可愛らしい様子が観察されています。
そのため、仲間思いの優しい性格をしている個体が多く、飼育下でも人間によく慣れるようになります。
飼い始めは臆病で警戒心が強いですが、次第に飼い主に慣れてスキンシップが取れるようにもなることもあります。
また、群れで生活しているからか、寂しがり屋な面があり、孤独な時間が多いとストレスを溜めてしまうため注意が必要です。
プレーリードッグは草食動物。
植物の根や樹皮や少量の種子などを食べ、水分も食べ物から摂取します。
草についた土や虫も一緒に食べており、植物で補えない他の必要な栄養分を摂ります。
活動時間は主に昼。
日中は地上に出て、これらの食料を探します。
飼育下のプレーリードッグの寿命は7〜8年。
ただし、飼育環境によるところが大きく、環境が良ければ10年ほど生きるプレーリードッグも報告されています。
野生下では、生まれてから1年間生存できるプレーリードッグは約半数。
天敵が多い野生下では、平均寿命は2〜4年です。
特に、生まれて間もないプレーリードッグは天敵に狙われるやすいため、生まれたうちの半数しか生存できないとされています。
プレーリードッグの種類は主に「オグロ」「オジロ」「メキシコ」「ガニソン」「ユタ」の5種類。
上のようなオグロプレーリードッグは最も一般的で、生息範囲が広く個体数も多い種類です。
日本で「プレーリードッグ」という場合はこの種を指す場合がほとんど。
名前の通り尾が黒く、この種の特徴となっています。
なお、尻尾の白いプレーリードッグは「オジロプレーリードッグ」です。
オジロプレーリードッグは尾が白く、オグロプレーリードッグよりも標高の高いところに生息。
メキシコプレーリードッグはメキシコに生息する種。
絶滅が危惧されている種で、国際自然保護連合のレッドリストに指定され、個体数・生息環境保護が叫ばれています。
ガニソンプレーリードッグは、コロラド州やアリゾナ州に生息する種。
オジロプレーリードッグに似ていますが、体毛に一部黒毛が混じります。
個体数はオグロプレーリードッグに比べてあまり多くありません。
ユタプレーリードッグは、ユタ州にのみ生息する種。
体長は上の画像のようにやや小ぶり。
メキシコプレーリードッグと同様に個体数が少なく、国際自然保護連合のレッドリストに絶滅危惧種として指定され、保護が行われています。
プレーリードッグはアメリカという国ができる前から北アメリカに生息していました。
そこで原住民やその他の動物たちと平和に生活してきたプレーリードッグですが、ヨーロッパからアメリカ開拓により、その住環境は劇的に変化していきます。
アメリカ大陸にやって来た移住開拓者たちは牧場経営を始め、牧草を食べてしまったり巣穴に家畜が足を取られてしまったりするために、プレーリードッグを「草原のネズミ」と呼び、害獣として駆除を開始。
駆除の方法は非常に残酷なもので、穴にプレーリードッグが逃げ込んだところで水や洗剤を流し込み、出てきたところを捕まえるというもの。
また、専用の大きいバキュームホースを持つ牧場経営者は、穴にホースを入れてそのままプレーリードッグたちを吸い込んで捕まえていました。
この開拓者たちの駆除の結果、20世紀初めには50億頭居たとされるプレーリドッグの98%が消え、7種類いたプレーリードッグのうち2種類は絶滅してしまいます。
メキシコプレーリドッグ、ユタプレーリードッグは現在も絶滅の危機にある動物種です。
そんなプレーリードッグが日本にやって来たのは近年。
アメリカで捕獲されたものを輸入し、ペットとして販売する業者が2000年前後に激増しました。
しかし、これらは無茶苦茶な捕獲方法の中で生き延びた子どもを輸入しているため、病気を持っていたり捕獲の際に頭を撃つなどして障害があったりと、動物福祉に則る取引ではありませんでした。
家庭で飼い始めても突然死してしまうなどの問題も起きています。
2003年には、ペストなどの感染症を媒介する危険性があることから輸入禁止に。
現在の日本で出回っているプレーリードッグは全て、国内繁殖で生まれた個体です。
一方、駆除や乱獲を繰り返していたアメリカでも、現在では動物愛護と種の保存を目的に、自然公園などで保護されています。
プレーリードッグは2003年から感染症を防ぐために輸入が禁止された動物。
前項でも述べたように、現在売買されている個体は、2003年までに国内に入ってきた個体から繁殖されたものです。
したがって、国内の個体数が少ない割には人気が高く、価格相場は高め。
1匹20〜30万円でペアだと50万円近くになることも。
ただし、日本で一般的な種であるオグロプレーリードッグの繁殖期の1〜4月は個体数が増え、その分値段にも幅が出ます。
プレーリードッグは見た目が非常に愛らしく、人にもよく慣れるため、一緒に暮らしたいという人も多いことでしょう。
しかし、飼う前にプレーリードッグを終生飼育できるかどうかよく検討してください。
知識が不十分であったために「こんなはずではなかった」と飼育放棄してしまう無責任な飼い主も、残念ながらまだまだいるのです。
プレーリードッグを飼うときのデメリットも知った上で、家にお迎えしたいですね。
プレーリードッグは、生態の値段はもちろん、ケージなどの飼育道具や家の備品や柱などを壊してしまうためその経費も必要。
ケージやエサ入れなどは壊すこと前提となるため、1つですむとは限りません。
さらに、プレーリードッグは 犬 や 猫 と異なり、取り扱う動物病院も少ない上、病気の治療費も高くなります。
プレーリードッグを飼って、最も困るのは家を破壊されることでしょう。
プレーリードッグは前歯が発達しており、その歯でケージや給水ボトルなどの飼育道具から電気コード、家の柱まで齧って壊してしまいます。
猫や犬のイタズラの比ではなく、柱などは折ってしまうほど。
「家の柱を一本折られた」という話も珍しくはありません。
しつけでなおるわけではない習性ですので、覚悟の上で飼育する必要があります。
プレーリードッグを飼うのにふさわしいのは、そのような事態にも笑ってすませられる方、もしくは絶対予防できる方に限るでしょう。
プレーリードッグは群れで行動しており、かなり社会性の高い動物。
人間にも慣れてしまえば積極的にスキンシップを取りたがり、甘えるようになります。
触られるのが大好きな個体も多いので、スキンシップの時間をきちんと確保できる人向け。
愛情いっぱいに可愛がってあげられる方におすすめです。
プレーリードッグは肛門付近に臭腺があり、その臭いは人によってはかなり苦手とする人も。
結構臭いため、部屋自体が臭うようになります。
飼っているうちに慣れて気にならなくなりますが、「そんな臭いが家につくのはちょっと…」という方には向きません。
プレーリードッグには、発情期があり、発情期になると気性が荒くなることも。
発情期には飼い主の手は血だらけ…ということも、プレーリードッグ飼いにとっては珍しくないことのよう。
発情期の気が高ぶっているプレーリードッグは非常に扱いにくいですが、それでも愛情を持って接することができるという自信がある人でなければ、プレーリードッグを飼えないでしょう。
プレーリードッグは現在では国内繁殖のものを売っている店ばかりとなり、一昔前のように捕獲時の怪我や輸入時のストレスなどで弱っている個体をお店で見ることは少なくなりました。
しかし、中には悪徳業者がいないとも限りませんので、選ぶときにしっかり健康状態を確認しておく必要があります。
主なチェックポイントは以下の通り。
ただでさえ高いプレーリードッグですから、健康で長く一緒にいられる子と過ごしたいものですよね。
中には「かわいそうだから」と健康状態の悪い個体を購入する人もいるでしょう。
しかし、プレーリードッグの場合、動物病院が少なく治療費が高いことから、一度は差し伸べた慈悲の手を引っ込めて飼育放棄に繋がる飼い主もいます。
怪我や先天的あるいは後天的欠陥がある個体を迎えるのであれば、それ相応の覚悟が必要。
また、健康状態の悪い個体を購入してしまうと、市場に「健康状態が悪くても売れる」という悪い需要情報が回ってしまいます。
飼い主のためにも、これからのペット業界の動物福祉のためにも、より健康な個体を選んでください。
購入時はペットショップ店員をも疑う勢いで、自分の目で健康かどうかを確認しましょう。
北米で暮らしてきた野生動物のプレーリードッグ。
前述してきた通り、実は人によく慣れる動物であり、ペットとしての人気も広まりつつあります。
そんなプレーリードッグはどのように飼育するのでしょうか。
プレーリードッグは、自然界では穴掘りや散策を忙しく行います。
したがって、飼育する際にも一定の運動量を確保する必要があります。
ただし、家の中で放し飼いにすると、家具や電気コードを齧ってしまうため危険。
必ずケージを用意しましょう。
ケージも齧ってしまうため、大きくて頑丈、鍵がついているものがおすすめ。
ケージには餌入れを用意し、逆さボトルの水入れをつけましょう。
また、巣穴に住んでいる動物なので、隠れることのできるスペースを作ってあげると良いでしょう。
前述してきた通り、プレーリードッグは体の大きさの割に運動量の多い動物です。
ケージをある程度大きいものにするのはもちろん、部屋で自由に遊ばせてあげる時間もつくりましょう。
さまざまなものをこわしてしまうため、このときは目を離さないようにしてください。
プレーリードッグは草食動物。
飼育下では草食動物用のペレットや干し草などをあげましょう。
プレーリードッグ専用のエサも市販されています。
リス科の動物ではありますが、 リス 用のエサやひまわりの種は与えないようにしましょう。
プレーリードッグは、野生下でボディランケージなどでコミュニケーションを取って生活する動物。
その表情も非常に豊かであり、面白そうなものを見つけたとき、怯えているとき、驚いたとき、興奮したときなど、それぞれの表現があります。
飼い主として長く観察していれば、彼らがどんな気持ちなのか猫や うさぎ などよりも分かりやすいそうです。
プレーリードッグの飼育で気をつけたい病気は、ストレスによる病気。
環境が悪かったり、飼い主とのコミュニケーションが取れなかったりすることのストレスで、自咬症というを病気を発症することがあります。
これは、自分の手や傷がついた体の部位を咬んでしまう症状で、ストレスを紛らわせるために行う行為。
咬みついた場所が化膿して出血したり、細菌が入り込んだり、皮膚病や内科の病気を併発してしまうことも。
飼育環境や運動の量、飼い主とのスキンシップの時間をしっかり整え、ストレスをためさせないようにするのが最も重要な予防です。
プレーリードッグの飼育方法について記述してきました。
その中でも、プレーリードッグならではの飼育上の注意があります。
飼育前に押さえておきましょう。
前述してきた通り、プレーリードッグは運動量が多く活発な動物。
したがって、自由に動き回れる広さのケージと部屋の中を散歩させる時間が必要です。
しかし、そのときにカーテンや高いところに登って落下してしまうという事故も起きがち。
落下事故には十分気をつけ、部屋に放つ際は目を離さないようにしてください。
高さがありすぎるケージでの飼育にも注意。
プレーリードッグは習性として、なんでもかじってしまいます。
これは、伸び続ける歯をかじることで磨耗させるためです。
飼育下でもかじる癖が出る場合が多いものですが、コード類をかじってしまうと大変危険。
感電してしまったり、舌や口内を火傷してエサを食べられなくなったりという危険があります。
コード類はカバーをするなど、特に気をつけてください。
また、金属製のケージをかじりすぎて、歯が折れる、歯茎の病気を引き起こすということもあります。
ケージの中にネットを張る、緩衝材を挟むなど工夫しましょう。
プレーリードッグは、室温が15度以下になると仮死状態になることがあります。
仮死状態は冬眠とは異なり、危険。
室温は約20~28℃に保つようにして下さい。
冬場は特に防寒対策を欠かさないように、温度管理は徹底しましょう。
その他、プレーリードッグは1日に1度は紫外線を浴びる必要があります。
日に数10分程度、日光浴をさせてあげましょう。
紫外線があたるところにケージを置く、部屋に出して紫外線を浴びれるようにするなどして対応しましょう。
これらが難しい場合、紫外線ライトを使用してあげてください。
プレーリードッグは野生化で低カロリーのエサでも十分動けるように進化した動物。
運動量が少なく一定のエサを摂れる飼育下では肥満になりやすい傾向にあります。
肥満は不健康の元。
高繊維のペレットや牧草を主食として与え、低カロリーな食事を心がけましょう。
生野菜やおやつはあげなくても良いものですから、ごく少量にしてください。
前述した通り、社会性のある動物であるプレーリードッグは、飼い主とのスキンシップ不足など寂しい思いをさせるとストレスをためてしまいます。
ストレスは自咬症などの病気の原因となります。
毎日プレーリードッグと一緒の時間を確保し、スキンシップも十分に取りましょう。
プレーリードッグの姿が可愛いとTwitterで話題になったことはご存知でしょうか。
発端は、愛知県・岡崎市東公園動物園で飼育されているプレーリードッグの動画。
来園した投稿者がプレーリードッグの展示前で大きなくしゃみをしてしまい、それにビックリする動画が非常に可愛らしいのです。
木の上で気持ち良さそうに日光浴をしていた1匹のプレーリードッグが、リラックスしてのんびりとあくびをする姿を見せる中、撮影者のが「クシュン!」と大きめのくしゃみをしてしまいます。
すると、プレーリードッグは「ヒーッ!」と悲鳴をあげて飛び上がり、しりもち。
そしてバランスを崩して地面に落下。
この自身の落下にも驚いてしまったプレーリードッグは、また「ヒーッ!」とのけ反ってしまいます。
その可哀想ながらも可愛らしい様子にTwitterでは「可愛い!」「こんなに驚くんだ!」と大反響。
しかもこのプレーリードッグは一連の行動の後、トボトボとバックヤードに戻って行くという面白さ。
この事故は非常に可愛いプレーリードッグの様子を世間に知らしめることになりましたが、動物園では大きな音をなるべく出さないようにしましょうね。
あった!これ!これ!www昨夜TVでやってて、めっちゃワロタ可愛いwww
— YURIKO1966@ここタイまーだまだ余韻 (@04yuriko04) December 8, 2017
ハクション! → ヒエッ!(のけぞる) プレーリードッグが人間のくしゃみにビックリする動画が話題 - ねとらぼ https://t.co/Tgs5nt0vwI @itm_nlab さんから
原産国:アメリカ合衆国など北米
値段:20〜30万円
毛色:茶色に黒・グレーの差し色など(種によって尾の色が異なる場合あり)
寿命:7歳〜8歳程度
体重:全長50cm
性格:人懐っこく、優しく仲間想い
かかりやすい病気:ストレスによる自咬症
ユーモラスで愛くるしい姿を持つプレーリードッグ。
人懐こい仲間想いな彼らは、家や飼い主に慣れてしまえば、最高のパートナーとしてあなたのそばにいてくれることでしょう。
ただし、彼らを飼うには金銭的な余裕や何を破壊されても笑い飛ばせる余裕が必要です。
可愛らしい姿には似合わない、悲しく過酷な開拓時代の歴史を持つプレーリードッグですから、ペットとしては不幸な目に合わせたくないですよね。
まだまだ認知度の低いペットですが、その愛らしさは飼っている人にしかなかなか分からないもの。
ペットのお迎えを検討中であれば、ぜひプレーリードッグも検討リストの中に入れてみてくださいね。
最終更新日 : 2020/11/29
公開日 : 2017/12/27