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水族館 などで様々な種類を見かけることができるウミウシですが、種類が豊富で、体色も非常にカラフルなものが多いです。
見た目の派手さから、 水槽 に入れても美しい存在であり、私たちの目を楽しませてくれます。
多くのウミウシは海水域に生息しており、飼育には海水水槽の立ち上げが必要です。
金魚 等の飼育に比べると海水魚飼育は、 アクアリウム 経験者の方が推奨される飼育ですが、コツをつかめば水質管理などは難しくありません。
海水魚飼育に興味がある方はもちろん、海水魚以外の生物に挑戦しようとしている方にも参考になれば幸いです。
早速、ウミウシの特徴・生態、飼育について紹介させていただきます。
ウミウシはこうさい類に分類される軟体動物で、貝殻が縮小、体内に埋没、消失した種類の総称です。
ウミウシのはっきりした定義は決まってらず、その世界、地域によって様々です。
貝類の一部をウミウシと呼ぶ地域もありますが、主に日本では貝殻が退化したこうさい類についてこの呼称を使用しています。
とても派手で鮮やかな種が多いため、観賞用として人気があります。
一部のウミウシが、角のような一対の触角をもつことから「ウミウシ」という名称がつきました。
ウミウシを漢字表記で「海牛」とする場合は、この軟体動物のウミウシを指す言葉ではなく、ジュゴンやマナティーの海牛目を指しています。
主に浅い海の底に生息しており、世界中に分布しています。
成長すると数センチ~30センチ前後に成長して、体色は青、赤など豊富に原色系の色合いを持つものが存在しています。
反対に黒褐色や赤褐色などの地味な保護色になっている個体もおり、生息環境に適応するために変化したと考えられています。
食性は草食性のウミウシから肉食性のウミウシまで様々。
主にコケムシやホヤといった群体性の動物を餌にすることがほとんどですが、他のウミウシを捕食したり小型の エビ などを食べる種類も存在します。
一方、私たちに馴染み深いアメフラシなどは藻類や、海藻を食べる草食性です。
有毒な付着生物を食べる種類は、体内に毒を蓄積していることも多く、派手な色合いのものほど、その可能性が高いです。
これらのウミウシは警戒色の意味もあり、派手な色合いであると考えられています。
ウミウシの多くは雄雌同体でありますが、受精は異個体感で交尾が行われます。
卵塊はうずまき状で孵化した幼体は巻貝のような殻をもってうまれてきます。
幼体はしばらく海中を浮遊して、プランクトンなどを摂取して大きくなりますが、成長すると殻を捨てて成体に成長します。
ウミウシの種類によっては、危険が及ぶと触角部分などを自切りする個体もいます。
そのようなウミウシには再生能力があり、自切りした部分は再生します。
ウミウシの飼育は海水魚飼育と異なり、解明されていない部分も多く、手探りで試行錯誤しながらの飼育になることがほとんどです。
また、採取した場所や購入した種類によって適正な飼育環境は異なるので、一番確実な方法は購入店舗で事前に飼育環境を確認しましょう。
アメフラシ類の飼育は藻類などの草食性のエサの給餌が中心となりますので、比較的飼育向きのウミウシと言えるでしょう。
ウミウシは種類によっては30センチ前後に成長するので、少なくとも60センチ以上での水槽飼育がおすすめです。
海水魚を飼育する場合は水量が少ないとすぐに水質が悪化してしまうため、混泳にする場合には90センチ以上の水槽が必要です。
海水水槽の場合、常に水が循環するようにして、塩分濃度を一定に保つことが必要になります。
また、ウミウシは非常にきれいな体色のものが多いので、LEDライトなどを使用して水槽内に明かりを入れるようにしてあげましょう。
ウミウシ飼育の最大の難関ともいえるのが給餌です。
ウミウシは種類によって食べるものが決まっていますが、その生態が解明されていないものも多く、好物を選出することが重要です。
飼育を始めても、エサを食べずに餓死してしまうケースもあるので、まずは迎えたいウミウシの食性を知ることです。
上記で紹介した通り、アメフラシ類は好みの海藻が種類ごとに決まっており、容易に採取できる環境ならば、長期にわたって飼育することも可能です。
ウミウシのエサは基本的にはペットショップなどでも入手は不可能で、自然界で採取して与える必要があります。
ウミウシ飼育においてこの給餌の問題は最大の課題と言えますが、逆にこの課題をクリアすることができればウミウシの飼育は可能です。
ウミウシは浅瀬の岩礁に生息していることが多く、身体のあまり大きくない小魚との混泳でしたら可能な種類もいます。
しかし、魚類によってはウミウシを捕食してしまう場合もありますので、混泳相手は検討する必要があります。
鯛や クマノミ などの肉食性の強い魚、縄張り意識の強い魚との混泳は避けましょう。
また、同種同士の混泳は食性のはっきりしているものに限り可能です。
種類によっては他のウミウシを捕食する種類もいますので注意しましょう。
ウミウシの飼育には海水が必要不可欠です。
一番理想的なのは、自然界で採取した海水を使用することですが、不純物が多く、菌が繁殖していることがあります。
そのような場合には、人工的に海水を作り出す必要があり、こちらの人工海水の元を使用して水槽を立ち上げましょう。
海水の塩分濃度を保つために必要不可欠なのは比重計です。
こちらで定期的に塩分濃度を測定して、ウミウシに適した水質にあわせて水替えする必要があります。
海水は時間がたつと蒸発していき塩分濃度が濃くなっていくので、塩分濃度が高くなる前に水替えをしてください。
カルキ抜きした淡水を用意して、足し水しましょう。
ウミウシの多くは温帯域に生息しているため、低温には弱いです。
冬場などにはヒーターを利用して水温が下がらないように注意が必要です。
ウミウシの適温は25℃~28℃前後でPHは7.5ぐらいに設定すると馴染みやすいでしょう。
30℃以上の高温にも耐えられませんので、夏場は冷却ファンなどを利用する必要があります。
また、岩礁域に生息している種類が多いので、水槽内にはサンゴ岩やライブロックなどウミウシが休憩できるスペースを用意しましょう。
海水水槽の立ち上げについてご紹介させていただきます。
淡水の水槽よりも海水が完成するまで時間がかかりますが、一度立ち上げれば足し水のみで水替えは淡水水槽より簡単です。
①水槽を洗って天日干しして完全に乾かします。カルキ抜きした水に人工海水の元を入れて海水を作ります。
②砂利やアクセサリー類を洗い、水槽内にセットして海水が泡立たないように注ぎます。
③ろ過装置、ヒーター等を起動させて水槽内の水を循環させて酸素を含ませます。
④この状態で4週間~2か月程置きます。
⑤フィルターにバクテリアが付着すれば海水の完成です。
⑥入手してきたウミウシを袋ごと水槽に浮かべて1時間水温をあわせます。
⑦袋の水を少量捨てて、水槽の水をいれ、40分置きます。
⑧⑦を2~3回繰り返してからウミウシのみを水槽内にはなします。
⑨以上で水合わせが完了です。
導入した当日はエサを与えずに環境に慣れさせましょう。
海水水槽の場合、もう一つ同サイズ、同環境の水槽を予備で立ち上げておくと、相性の悪い魚の隔離やトリートメントタンクとして使用できます。
最初の手間がかかりますが、水槽が一つだけですと水質が悪化した際に全滅しかねないので、避難場所にもう一つ用意しておくのがおすすめです。
ウミウシの場合、病気になっていても症状がわかりづらく、そのまま死亡してしまう可能性が高いです。
日々の水質を悪化させないようにメンテナンスをして、ウミウシの健康を損ねないようにしましょう。
もし、少しでも体調不良などの症状がみられた場合には、専門家に相談するようにしてくださいね。
ウミウシが一番陥りやすい状態は拒食です。
好みがはっきりしていないとエサを受け付けずにそのまま縮小して死亡してしまうことがあります。
一番確実なのは、食性のはっきりしたウミウシをペットショップで購入して、給餌に慣れている個体を手に入れることです。
購入前に店舗でウミウシの給餌について確認すると良いでしょう。
種類にもより異なりますが、アメフラシ種などは5000円前後で購入が可能です。
水質が適正でないとウミウシが変形したり、形が損なわれる場合があります。
そのまま衰弱死してしまうことがあっりますので、水温・水質が適切かどうか確認しましょう。
水温が低くなると縮小して動きがにぶり、弱ってしまうことがあります。
また、他の種類に攻撃されて自切りをした可能性もありますので、その場合は隔離して様子をみましょう。
原産国 : 世界各国
値段 : 5000円~数万円
毛色 : 赤、青、ピンク、黄色等
寿命 : 2年~5年前後
体長 : 数センチ~30センチ前後
特徴 : 貝が退化している軟体動物であり、主に浅瀬の岩礁域に生息しています。
性格 : 穏やかですが、食性によっては毒をもつ種類もいるので注意が必要です。
かかりやすい病気 : 拒食、変形等
注意点 : 食性がはっきりしていない個体は餓死しやすいので、給餌の際に苦労しないように好みのはっきりした個体を購入するようにしましょう。
海の不思議な生き物、ウミウシについて紹介させていただきました。
海水魚の飼育には初期投資がかかりますが、慣れてくれば鮮やかな海の中を再現することができ、その可能性は無限大です。
ウミウシもあなたの海水水槽の一員として加えてみてはいかがでしょうか?
アメフラシ種はペットショップでもよく見かける個体ですので挑戦しやすいですよね。
こちらの記事を参考にウミウシに興味を持っていただければ幸いです。
公開日 : 2017/11/17