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イソギンチャクは世界中の海に生息している無脊椎動物です。
海の中にいる時は岩の上にへばりつき、触手をひらひらと泳がせていることから海中に咲く花のようにも見えますが、干潮の時の潮だまりにいるイソギンチャクは口をきゅっと閉じていることが多いため、その見た目から「磯巾着」という名前が付けられました。
その美しい姿を持つ一方、毒を持っているため、 カクレクマノミ 以外の生き物とは共存ができないと言われています。
カニ のハサミの上や ヤドカリ の殻の上にぺたりとくっつくことで共存関係を持つイソギンチャクもいますが、少数派と言っても言いでしょう。
今回は日本の海辺で見られるイソギンチャクだけではなく、比較的飼育がしやすい「サンゴイソギンチャク」「センジュイソギンチャク」にも焦点を当てて、生態、特徴、飼い方を解説します。
イソギンチャクは基本的に岩の上にいます。
丸い円形の体を持ち、その真ん中に口が、そして口の周りには触手がある種が多いです。
触手には刺胞があり、そこには獲物をしびれさせる毒を持っています。
カクレクマノミはイソギンチャクの毒に強い耐性があるため、隠れ家や住処としてイソギンチャクを使用していますが、ほかの魚がイソギンチャクに近づくと捕食されてしまうことが多いです。
チョウチョウウオはイソギンチャクの毒に比較的強いと言われていますが、それでも クマノミ ほど強いというわけではありません。
水槽にイソギンチャクを加える場合は、魚との相性を確かめてから導入することが必要です。
自然界ではどちらかと言えば魚やカニなどを捕食して食べるというよりも、光合成をしたり海中のプランクトンを食べていることのほうが多いですが、自然のような広さがない アクアリウム の中では魚を捕食する可能性が高くなってしまいます。
また、日本の浅瀬(潮だまりなど)でよく見かけられるイソギンチャクとしては、ウメボシイソギンチャクやヒメイソギンチャクなどが挙げられます。
触手に刺胞を持つイソギンチャクは、刺胞動物というジャンルに分類されています。
有名なのはクラゲやサンゴ、その他にもウミエラやウミトサカと呼ばれている生き物が刺胞動物です。
多くの刺胞動物が無性生殖(単独で次の世代を生み出す)かつ、群れで行動する場合が多いのですが、イソギンチャクは単独行動を行い、群れを作りません。
無性生殖も行いますが、基本的には雌雄異体で、体外受精でその数を増やしていきます。
また、その他の大きな特徴として、イソギンチャクは歩くことができます。
岩に張り付く時に使っている足盤と呼ばれる、吸盤と足の両方の性質を備えた部分を使って、時速数cmではありますが移動することができるのです。
水槽にイソギンチャクを導入したときに、自分で好みの場所を探して動き回ることもあるぐらいです。
実はイソギンチャクは案外デリケートな生き物です。
傷がついたり良い場所に定着できなかったり、そんな些細な事故で死んでしまうことも少なくありません。
イソギンチャクを飼育するに当たって気を付けるべきことは以下の4つです。
海で暮らしているイソギンチャクは、潮の引きや波で常に水流に当たっている状態になっています。
かといってイソギンチャクに常に水流を当てさせていると弱ってしまうことがほとんどです。
小型のイソギンチャクであればあまり問題はないですが、大型のものは水流が安定するような大型の水槽での飼育がベストと言えるでしょう。
足盤によって移動ができるイソギンチャクは、しばしばヒーターの上や近くに寄って行ってしまうことがあります。
水槽全体を温めてくれるヒーターは、直接触れると随分と熱いです。
火傷をしてしまいそのまま弱って死んでしまうので、ヒーターはイソギンチャクが上に乗れないように工夫をすることが大切です。
サンゴが死んだあとの骨格であるライブロックなどを使うと上手くヒーターを隠すことができます。
小さなイソギンチャクのサイズによっては中に吸い込まれてしまいます。
また、大きなイソギンチャクであっても、吸い込み口に体の一部が吸い込まれて傷を負ってしまい、その部分から死に至るケースも。
こちらもライブロックで覆ってしまい、直接的な怪我の原因となるのを避けるべき場所です。
イソギンチャクは水槽の中に入れても自分で定着する良い場所を探して動き回る場合があります。
イソギンチャクが好むような場所は、ざらついた岩の上だったり、岩と砂の間だったりと様々です。
固体によって好みが違いますが、良い場所を見つけられずに長い間動き回っていることもイソギンチャクの死亡の原因となります。
この時、定着する場所を探してポンプの傍に近寄ったり、ヒーターの傍に来てしまう事故が起こることがあるのです。
水槽に導入した際にはイソギンチャクがどのような行動を取るか暫く小まめに観察して、定着を見守ってあげてください。
光合成や人工海水を作る際に使用する、天然海水由来の添加物で十分餌は賄えます。
下手に餌を与えたり魚を食べてしまうと、未消化物やストレスの原因にもなることがあるので、痩せてきてしまった時以外はあまりイソギンチャクに餌を与えるのはやめておいた方が良いでしょう。
こちらの種は比較的飼育がしやすく、またクマノミなども喜んで入る傾向があります。
淡いピンクや黄緑色の短くて丸く、可愛らしい触手を持つことから、マリンアクアリウムの景観を更に美しくしてくれるイソギンチャクです。
刺胞毒も弱い方ですが、毒に弱いハギやワヌケヤッコと飼育するのはおすすめできません。
弱いと言っても毒があることには変わりがありませんので、皮膚が弱い方は手袋をして触った方が良いです。
ペットショップへの流通量も多く、海では磯だまりで見つけることもできるなど、入手しやすい種類のイソギンチャクです。
触手は蕾状に膨らむことがあり、満開の花のようにも見えて非常に美しいです。
適温は25度。最初は小さくても、水槽の環境が良いと大きく成長するため、水槽は大きなものを準備したほうが良いでしょう。
よく動くタイプのイソギンチャクなので、水槽内にライブロックなどの設置物が多すぎるとどこへ行ってしまったかわからなくなることがあります。
設置物は適度な数にして、サンゴイソギンチャクが移動しても観察ができるようにしましょう。
また、蛍光灯程度の光量でも飼育が可能ではありますが、たくさん光を浴びたほうがサンゴイソギンチャクにとっては良いです。
蛍光灯やLEDより光量の多い、メタルハライドランプを照明して使用したほうが良いでしょう。
細長い触手をたくさん持つことから、千手観音に例えられセンジュイソギンチャクと呼ばれています。
奄美諸島以南、インド洋、大西洋西部に生息しているので、ペットショップで流通している個体も国産、外国産どちらも存在します。
外国産は輸送中のストレスや衰弱が考えられるので、国産のものを入手するようにしましょう。
毒性も強くなく、丈夫で初心者にもおすすめの種類です。
LED照明でも飼育することが出来るのも魅力の一つでしょう。
触手環は50~80cmほどにまで成長し、大きなものだと1mほどになる個体も存在するほど。
とてもよく動き回るので、ヒーターやポンプ口などはしっかり覆って、センジュイソギンチャクが触れてしまわないような環境づくりに努めてください。
マリンアクアリウムに導入すると非常に美しいのですが、他の魚を食べてしまったり死なせてしまったりする場合があります。
導入の際にはアクアリウムの魚と共生できるのかをしっかりと調べることをおすすめします。
また、肌が弱い方は直接触れることは避けてください。
動き回ることができ、足盤を持っていることでガラスなどに張り付くこともできてしまいます。
ヒーターや人工海水を循環させるポンプなどは、イソギンチャクが近くに寄らないようにサイブロックで覆った方が良いです。
光合成ができる環境を整えてあげさえすれば、基本的にイソギンチャクに餌を与える必要はありません。
天然海水由来の添加物も加えると、更に飼育状況が良くなります。
痩せてきてしまった場合は、生餌を1週間にひとつ程度与えてあげてください。
餌を食べた後は未消化物を吐き出したりしますので、水質の汚れに注意を払うことが必要です。
人気映画「ファインディング・ニモ」の影響で、映画の登場人物となったカクレクマノミやイソギンチャク、ナンヨウハギなどを取り扱い始めたペットショップが増えてきました。
特にカクレクマノミはイソギンチャクとセットで置いてあることも少なくありません。
クマノミがイソギンチャクに出たり入ったりする様子は可愛らしいのですが、イソギンチャクは非常にデリケートな生き物。
安定した水槽作りができるまでは、安易に飼育することは避けるようにしてください。
本記事がイソギンチャクをマリンアクアリウムに導入したいと考えている方の助けになれば幸いです。
公開日 : 2017/11/09