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猫 の「発情期」は子孫繁栄のために働くものであり、動物的本能に従ったものになるので受け入れていかなければいけません。
しかし、普段と違った行動をする猫に戸惑いを覚える人は少ないでしょう。
そこで、猫の発情期の時期やタイミングやその対策方法を覚えておくことで、愛猫が発情期に差し掛かった時でも適切な対応をすることができるはずです。
今回は、猫の発情期について丁寧に解説していきますので、愛猫と発情期を上手に乗り越えて頂けたら幸いです。
猫の発情期は、生活環境や年齢によって大きく異なる場合があります。
これは、野良猫と飼い猫、オスとメス、飼っている猫の数といった環境が違えば、発情期の時期にも違いが出てくるからです。
しかし、生活環境で発情期が異なることはありますが、「猫」である以上そのタイミングは一定の範囲内で収まる場合が多くなります。
猫は定期的に発情期を迎え、その期間は2〜3週間となります。
日照時間によって発情期が誘発され、日の出ている時間が長くなり始める1月から、短くなり始める8月までが発情期です。
繁殖のピークは2月~4月、それに6月~8月と年に2回あり、傾向として暖かい日が続く時期に多く見られます。
特徴としては、いつもとは違う大きな声で鳴く、排尿回数が増える、地面に体をこすりつける、シッポの付け根を触ると腰を落とすといった行動をするようになるので、日頃から愛猫を観察することで発情期のサインに気付くことができるでしょう。
それに猫は夜行性ですから、発情期の猫同士が互いを惹き付け合うために、夜中に鳴き叫ぶこともあります。
しかし、こうした発情期のサインを確認することで、飼い主が愛猫の発情期に対する心の準備もできるようになるのです。
野良猫の場合は10ヵ月前後で発情期を迎えるのに対して、飼い猫の場合は4~8ヵ月と早めに発情期を迎えます。
これは、室内と室外の明るさや、栄養状態に左右される部分があり、同じ猫でも野良猫と飼い猫では発情期に違いが出るからです。
たとえ猫を室外に出していなくても、外の猫の鳴き声や気配によって刺激されることもあるので、飼い猫の場合であれば他の猫との接触の有無によって発情期の時期が前後するでしょう。
発情期でもオスとメスでは発情の仕方が異なります。
したがって、性別によって発情期の対応や対策方法も変わってくるのです。
他の動物と同様に、オス猫には発情期はなく、発情したメス猫がいればいつでも交尾が可能な状態になります。
メス猫の発情期のフェロモンに誘発されて、縄張り意識がさらに強くなることはあるでしょう。
オスは発情期が無い代わりに、常にオスらしく振る舞うことで、いつでもメス猫に認めてもらえるように頑張っています。
オスらしく振る舞うことの代表例が、スプレー行動による臭い付けです。
色々な場所で尻尾を高く上げ、高い位置にオシッコを吹き付けます。
去勢されていないオス猫は、このスプレー行動が人との生活に合わないために問題行動となります。
同じく問題行動になりがちな「爪とぎ」もマーキングの一種です。
オス猫にとっては魅力的になるための努力が、人間にとっては問題行動になってしまうのですね。
メス猫の場合は尿マーキングをしないイメージを抱いている人がいますが、オス猫同様にメス猫も尿マーキングをします。
また、発情すると1日中大きな高い鳴き声を出し続けることもあります。
特に夜には鳴く声も激しくなり、飼い主さんの安眠を妨害することもしばしばあります。
トイレの回数も増え、体を飼い主や床、家具にこすりつけることもありますが、これは発情期のサインになるので、「なついている」と勘違いをして寝室で一緒に寝てしまうと布団の上でおしっこをすることもあるため注意してください。
こうしたメス猫の発情期を抑える対策方法として有効的なのは、「避妊手術」をすることになります。
発情期にもサイクルがあるので、始まりがきたら終わりも来ます。
ただ、手術をしない限り発情期を止めることができないので、そういった意味では終わりはないのかもしれません。
発情期は、「前期」→「発情期」→「後期」というサイクルが一回になり、このサイクルを年に2回迎えることになります。
前期には、甘えてくる、そわそわする、おしりを気にするといった特徴が見られるので、こうした行動を確認することで、これから発情期を迎えるのが分かるのです。
しかし、ほとんどの場合は気付かずに発情期を迎えるのですが、独特な声で鳴き始めたら発情期が始まったことになります。
この「鳴く」という行為は平均して1週間ほどで治まりますが、猫によっては1日で終わることも2週間鳴き続けることもあるので、個体差があると言えます。
ただ、この行為が確認できたら発情期も終盤に差し掛かっていると判断できるので、辛抱強く我慢してください。
そうとはいえ排卵、妊娠していないメス猫は、早ければ5日、長ければ14日ほどの休止期を経て、また発情期がやってきます。
我慢と感じるのであれば避妊手術を検討しましょう。
愛猫が発情期を迎えたら、1日中鳴き続けたり、家のあちこちで尿スプレーをしたりと頭を悩ませる飼い主も多くいます。
その有効的な対策としては、オス猫であれば「去勢手術」であり、メス猫であれば「避妊手術」になります。
しかし、手術することの抵抗や痛みに対する同情によって、「手術」という選択肢を選ばない場合であれば、その行動は猫にとって悪い結果をもたらすこともあるのです。
なぜなら、猫は本能的に発情期を迎えるのであり、子孫繁栄を目的とした交尾を求めているにもかかわらず、その行為ができないことは猫にとって重度のストレスとなるからです。
この「重度のストレス」が膀胱炎や突発性尿路結石を引き起こす可能性があり、ストレスが愛猫の寿命を縮めることもあるのです。
したがって、手術を選択せずに発情期を過ごし続けることが、猫にとって悪い結果をもたらすことに繋がるのです。
手術することでリスクや費用といったデメリットも伴いますが、その愛猫を思う気持ちがかえって愛猫を苦しめているのかもしれません。
また、未避妊や未去勢の猫さんたちは、人間の生活に収まりきらない本能が多く残った状態です。
特にオス猫の未去勢時のオシッコの臭さといったら酷く強いもので、飼い主さんが外で「すごい異臭をまとっているな…」と思われていることが多くあります。
家の外での社会生活にまで影響が出ることがあるため注意が必要です。
スプレー行動や、攻撃性、爪研ぎなどの問題行動によって、飼いづらい猫だと判断されることも多いので、そうならないためにも避妊去勢手術を選択することは意味があるでしょう。
一概に手術することが正しいとは言えませんが、手術にはこうしたメリットも持ち合わせていることをご理解ください。
猫の乳腺癌は、ほぼ悪性で命を落とす結果になります。
高齢での子宮蓄膿症は腎不全や肝不全、糖尿病のリスクを高くします。
それらの予防のためにも、避妊手術は大切です。
愛猫のためには「どの選択肢を選ぶことが最善になるのか?」を、獣医さんとも相談しながら考えてみてください。
猫にとって発情期は本能的なものであり、子孫繁栄のためにも必要となります。
しかし、いつもの愛猫とは違った行動や鳴き声をするので、戸惑いを隠せない飼い主も多いです。
発情期に対しての理解が深ければ、根気よく対応することができるかもしれませんが、そうでない場合であれば、愛猫に対してストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
そして、室内で猫を飼っているのであれば、交尾相手を求めるあまり本能的に外に出ようとします。
ドアや窓を開けた一瞬の隙に外に出てしまうことは多々ありますが、発情期では攻撃的になるので外の猫と喧嘩をしたり、感染症を患っている猫と交尾をすることで病気が感染してしまうことも考えられます。
交通事故の危険性やメス猫であれば妊娠する可能性もあるため、発情期の猫がいる家庭は外に出ないように注意が必要となります。
また、発情期になると猫は普段と違う性格になるので飼い主でも噛みつかれたり、引っかかれたりするケースがあります。
このような普段とは違う行動に飼い主もストレスを感じることになりますが、猫の「発情期」に対する認識を深めることで、愛猫に対して辛抱強く我慢や対応ができるようになるのです。
愛猫といつまでも仲良く健康的に過ごすためにも、猫の発情期についてぜひ理解を深めてくださいね。
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・ 子猫の飼い方マニュアル。子猫の食事やケアの仕方、飼育にかかる費用、注意点
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/04/18
公開日 : 2017/08/17