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コーイケルホンディエの特徴は、白地にオレンジレッドの斑が入った特徴的なカラーリングです。
その被毛はやや長めのダブルコートで、胸にはラフと呼ばれる襟巻状の長い毛が生えています。
耳は長い絹のような毛で覆われていて、先端に向かって色が黒くなります。
尻尾はやや長めで飾り毛が豊富に生え、ふさふさとしたゴージャスな見た目です。
なお被毛はやや長めですが、 トリミング (カット)する必要はありません。
むしろドッグショーへの出場を目指す場合は、絶対にトリミングをしてはいけないと定められています。
コーイケルホンディエは、16世紀には既に存在していたといわれている古い犬種です。
17世紀に描かれたオランダの巨匠の絵画(ヤン・ステーンの「大人が歌えば子供が笛吹く」など)にも登場する彼らは、「コーイケル」(コーイ、コーヘンとも)という罠にカモなどの水鳥を追い込み生け捕りにする猟で使われていたスポーティング・ドッグです。
この伝統的な猟は何百年も続けられていましたが、銃の発達とともに少しずつ衰退していきました。
それと同時にコーイケルホンディエも数を減らし、1940年代にはほぼ絶滅状態になってしまいました。
当時わずか25頭を残すのみとなってしまった彼らでしたが、オランダの貴族“ハルデンブロック・ファン・アルメストル男爵夫人”によって保護と繁殖が行われ、なんとか復活を遂げたのです。
そんな歴史を持つコーイケルホンディエは、今でも原産国をはじめ世界中で数が少ない希少な犬種です。
日々世界中のブリーダー達が努力を続け、数を増やし遺伝子の多様性を広げる試みを行っています。
しかしたった25頭から再スタートを切った彼らは遺伝的な多様性が低く、ブリーディングをする際には十分な知識や配慮が求められているのが現状です。
現在コーイケルホンディエたちは猟犬ではなく家庭犬、愛玩犬として飼われる機会が増えています。
しかし、自然保護区においては希少な水鳥をおびき寄せて生け捕りにして、タグをつけて離すという猟犬時代に近い仕事をしているコーイケルホンディエもいるそうです。
また、頭が良く注意深い性格から、訓練を受けて探索救助犬としても活躍している個体もいます。
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コーイケルホンディエは愛情深く、飼い主に対して忠実な犬種です。
中でも「クンツェ」という名前のコーイケルホンディエは、オランダ総督(オラニエ公)ウィレム2世の命を救ったことで知られています。
オランダとスペインの戦争中、ウィレム2世の暗殺を目論む者たちがいました。
ある夜暗殺計画が実行されましたが、侵入者に気づいたクンツェは激しく吠えて主人を起こしたのです。
ウィレム2世は見事に番犬の役目を果たし、主人の暗殺を阻止したクンツェに深く感謝したそうです。
この一件以降ウィレム2世はクンツェを側に置き、とても大切にしたと伝えられています。
コーイケルホンディエの体高はオスで38~43cmほど、メスで35~40cmほどです。
体重は性別を問わず9~13kgほどで、体重によっては小型犬とも中型犬ともいえる大きさです。
コーイケルホンディエのカラーは、白地にオレンジレッドの斑(レッド&ホワイト)の1色のみが認められています。
顔にはブレーズ(ブレイズ)と呼ばれる、両目の間から鼻先まで通る白い線が入ります。
コーイケルホンディエは陽気で活発、遊び好きな性格をしています。
自信に溢れていて気立てが良く、用心深いものの無駄吠えすることは少ないです。
コーイケルホンディエは家族に対する愛情が深く、家族と触れ合うことに喜びを見出します。
ただし繊細で用心深い部分があるため、見知らぬ人には懐かないことが多いようです。
諸説ありますが、コーイケルホンディエの寿命は12~15年ほどだといわれています。
一般的に犬の平均的な寿命は10~14歳程度です。
それを踏まえると、コーイケルホンディエはやや長生きする傾向があるといえます。
英名:Kooikerhondje
別名:コイケル、コイケルホント、コイケルホンディエ、コイケルドッグ
原産国:オランダ
サイズ:小型~中型犬
グループ:8G・7グループ以外の鳥猟犬
大きさ:
体高・オスで38~43cmほど、メスで35~40cmほど
体重・9~13kgほど
寿命:12~15年
次にコーイケルホンディエをおすすめしたい人、コーイケルホンディエとの暮らしに向いている人について説明していきます。
コーイケルホンディエは元猟犬であり、必要とする運動量が多い犬種です。
日頃の運動は散歩だけでも構いませんが、休日には一緒に外出して運動させると良いでしょう。
山や川に連れていき、一緒にハイキングやキャンプを楽しむという方も多いようです。
また、非常に賢いため、 アジリティ などのドッグスポーツでの活躍も期待できます。
そんなコーイケルホンディエは、犬と一緒に運動を楽しみたい方に向く犬種といえます。
コーイケルホンディエは飼い主に従順で、飼い主を深く慕う犬種です。
コミュニケーション不足になると精神的に不安定になってしまう傾向があるため、毎日しっかりとしたコミュニケーションを取る必要があります。
そんなコーイケルホンディエは、犬とたっぷりとコミュニケーションを取りたい方におすすめの犬種といえます。
コーイケルホンディエは明るく活発な反面、繊細な部分を持っています。
遊び好きなので子どもの良い遊び相手になってくれますが、小さな子どもと暮らすには彼らは少々繊細すぎるようです。
そんなコーイケルホンディエは、自宅に小さな子どもがいない方におすすめの犬種といえます。
次の項目では、コーイケルホンディエのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
コーイケルホンディエは、ブリーダーから購入できます。
数は多くないものの、国内にコーイケルホンディエを扱うブリーダーが数か所存在しています。
コーイケルホンディエを飼いたい場合は、まずブリーダーに問い合わせを行いましょう。
ただし、コーイケルホンディエは希少な存在であることから、常に子犬がいるとは限りません。
ブリーダーには子犬がいるかどうか、またブリーディングの予定があるかどうか確認すると良いでしょう。
コーイケルホンディエは 、1頭あたり30万前後で販売されています。
ただし、国内外ともに貴重な犬であることから、この価格はあくまで概算となります。
性別や年齢、血統によって価格が大幅に異なる可能性があります。
次の項目では、コーイケルホンディエの飼い方とそのポイントについて説明していきます。
コーイケルホンディエには年齢や状態に合わせた、品質の良い総合栄養食のドッグフードを与えましょう。
おやつはしつけに役立ちますが、太る原因になるので与えすぎないように注意してください。
与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談することをおすすめします。
コーイケルホンディエのブラッシングは、基本的に毎日行いましょう。
彼らの被毛は全体的にやや長いダブルコートですが、ブラッシングにはさほど手間がかかりません。
毛の長い部分はコームを、短い部分はブラシを使うと良いでしょう。
ブラッシングをする際には、爪や歯などの状態を一緒に確認すると良いです。
なるべく小さいうちから、爪切りや歯ブラシの習慣をつけておくことをおすすめします。
コーイケルホンディエ の被毛や皮膚を衛生的に保つため、月に1回はシャンプーをしましょう。
なお犬は人間と異なり、シャンプーの頻度が高すぎると必要な皮脂まで落ちてしまいます。
皮膚病にかかってしまったなどの事情がない限り、シャンプーをしすぎてはいけません。
コーイケルホンディエ はもともと猟犬であるため、必要とする運動量が多めです。
可能であれば、毎日少し長めに散歩させてあげると良いでしょう。
また、休日はドッグランや海や川、山などに連れて行ってたっぷりと運動をさせてください。
散歩の時間があまり取れない場合は、1日2回、30分程度の散歩でも構いません。
その際はただ歩くだけでなく、駆け足も入れるなどの工夫をしましょう。
家にフェンスに囲まれた広い敷地があればそこに放し、自由に運動させられるとベストです。
コーイケルホンディエは賢く飼い主に従順なため、しつけがしやすいといわれています。
ただし、彼らは訓練されることを好むものの、猟犬時代の性質が色濃く残っている部分もあります。
特に小動物を見つけると衝動的に追いかけてしまう可能性が高いため、どんな時も落ち着いて指示を聞くようにしっかりとしつけておきましょう。
どうしてもしつけが上手くいかない時は、プロの訓練士の力を借りると良いでしょう。
歴史の項目でも説明しましたが、コーイケルホンディエには一度絶滅しかけた過去があります。
そのため遺伝子の多様性が低く、 フォンビルブランド病、遺伝性壊死性骨髄症(ENM)、多発性筋炎、腎臓疾患、てんかん といったさまざまな遺伝病が起こりやすいことで知られています。
ほとんどのブリーダーは近親交配が進まないよう、細心の注意を払ってブリーディングをしています。
なぜなら近親交配が進むと遺伝病が発生する可能性が高まり、不健康な個体が生まれやすくなるためです。
ただし、コーイケルホンディエは国内外ともに珍しく希少な犬種です。
金銭目的でただ繁殖させれば良いと考えるブリーダーがいる可能性もあることでしょう。
コーイケルホンディエを迎える際は知識をしっかりと持った、信頼できるブリーダーを選んでください。
極端に親犬の数が少ない場合は、少し警戒した方が良いかもしれません。
コーイケルホンディエは飼い主を心の支えにして、飼い主とともに生きたいという思いが強い犬種です。
そんな彼らは飼い主から十分な愛情を受けられないと、強い不安を感じてしまいます。
留守番をさせた後は、いつもよりたくさんスキンシップを取ってあげてください。
オランダ生まれの犬種、 「コーイケルホンディエ」 について説明してきました。
日本ではなかなか見かけないコーイケルホンディエですが、陽気でエネルギッシュ、家族に対する愛情が深い家庭犬向きの犬種であることが伝わったでしょうか。
彼らはその美しい見た目と家庭犬向きの性格から、ヨーロッパやアメリカで人気が高まっています。
日本国内でも少しずつ知名度が上がっているようで、純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数では2019年(1月~12月)に82頭の新規登録が行われています。(142犬種中69位)
もしコーイケルホンディエを自宅に迎えたらたくさんの愛情を注ぎ、たっぷりと運動させてください。
飼い主の愛情を一身に受けたコーイケルホンディエは美しくて愛情深い、素晴らしい家族の一員となってくれることでしょう。
最終更新日 : 2021/04/01
公開日 : 2020/08/03