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ウンチが全く出ないという症状だけが便秘なのではありません。
ここでは、犬の便秘が疑われる症状をご紹介します。
人間が便秘であると判断される日数は人それぞれですが、犬も便秘と判断する日数もそれぞれ異なります。
ただし、目安はあります。
犬は雑食性もありますが、肉食動物なので、腸は人間ほど長くありません。
そのため、通常は1日に数回ウンチをします。
愛犬がしっかりと食べていても、2日以上ウンチが出ない状態であれば便秘と判断して良いでしょう。
犬のウンチもバナナのような硬さが理想とされています。
コロコロで小さく、押しても簡単にはつぶれないような硬さのウンチであれば、水分が足りない便であると言えるでしょう。
まるで絞り出したように細長いウンチである場合も、便が出しにくい疑いがあります。
あるいは、下痢の時にも細長くなることはあります。
人間も便秘でウンチが出ないと下腹部が膨れてしまいますが、犬も同じようにウンチが溜まるとお腹が膨れてきます。
下腹部を触ったときにゴツゴツと硬く、また触られることを嫌がったり、怒ったりするというような行動が見られる場合も、便秘であることが疑われます。
ウンチをしようと排便スタイルになるものの、一向にウンチが出てこない、ほんの少しのウンチしか出てこない状態を「しぶり」といいます。
便秘のときにはしぶりの様子が見られ、痛みから鳴き声を上げながらウンチをすることもあります。
ウンチがお腹に溜まってしまい、胃や小腸などの消化器官を圧迫し、食欲がなくなってしまうことがあります。
食欲減退を伴う便秘はかなり症状が進んだ状態ですので、すぐに獣医に診てもらう必要があるでしょう。
ウンチが溜まってしまうことにより、正常な消化活動を妨げてしまい、嘔吐することがあります。
便秘が原因の嘔吐は、吐いた物がウンチの匂いがすることがあります。
ウンチを出したいのに出せないという場合、犬は何度もトイレに行ってウンチをしようとします。
犬は1日に何度かウンチをするのが普通ですが、あまりにも頻繁にトイレに行くのは普通の状態ではありません。
何度もトイレに行く様子が見られた場合、犬がかなり苦しい状況であると言えるでしょう。
奇異性下痢とは、腸内の水分や粘液が出てくる症状をいいます。
下痢と名前は付いていますが、便秘によって発症する症状です。
ウンチがカチカチに固まってしまい、その硬くなったウンチの隙間を通って粘液などが排出されます。
ウンチが出てこずに、このような粘液が出てきた場合や、トイレシートに500円玉位の薄茶色の粘液が落ちているのが見られた場合は、便秘からくる奇異性下痢である可能性が高いです。
便秘のあとに下痢になってしまうことがあり、さらにそれを繰り返すという症状が見られることがあります。
便秘になって固いウンチが腸に詰まってしまった後に、消化機能が落ちて下痢便になってしまうと、便秘のウンチでふたをされた状態になってしまいます。
便秘で硬くなったウンチが排出された後に、下痢のウンチが出てきてしまうのはそのためです。
腸内環境が良くない、ストレスなどで免疫機能が落ちているときによく見られる症状です。
腸の状態が良くないことを示しているので、治療が必要です。
ウンチが出ないという症状ばかりが便秘ではありません。
犬の良いウンチの状態を知っておきましょう。
犬の1日のウンチの回数は、通常は食事の回数+1回程度とされています。
1日の食事が2回の犬であれば、2~3回程度ということになりますね。
子犬は食事の回数が多いので、その分排便の回数も多いことになります。
状態の良いウンチの硬さはバナナくらいとされています。
硬すぎず、持ち上げても崩れない程度の硬さであれば、良いウンチと言えるでしょう。
犬のウンチの匂いは食事の内容によって変わってきます。
腸内環境が整っている犬のウンチは、それほど強烈な臭いはしません。
一方、下痢を発症すると強烈な匂いがすることが多いです。
便秘のときには下痢のときのような強烈なくささは無いものの、酸っぱいような匂いがすることがあります。
量が多ければ良いウンチというわけではありません。
量が多すぎると、腸内環境が良くない、ドッグフードが犬の体質に合っていない、品質の悪いドッグフードであるということが考えられます。
肉が主食である犬が、穀類などが大量に入っているドッグフードを食べると、ウンチの量も多くなってしまいます。
それが原因で便秘を発症することもありますので、愛犬には品質の良いフードを選んであげたいですね。
※合わせて読みたい: 安心・安全なおすすめドッグフード24選!犬の餌やりの方法や注意点も解説!
犬のウンチの色は黄土色~茶色、こげ茶色くらいが一般的です。
便秘のウンチは、腸内に長くとどまっているので色が濃く、濃いこげ茶色や黒っぽい色になることが多いです。
犬のウンチの色や匂いなどは、それぞれの犬によって異なります。
ウンチの状態を把握しておくことは、犬の健康状態を理解することに役立ちます。
普段から愛犬のウンチの状態を確認しておくことが、愛犬の健康を守ることに繋がります。
犬が便秘になってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
犬の便秘の原因のひとつとして水分不足が挙げられます。
現在ペットとして飼われている犬は、ドライのドッグフードが主食であることが多いでしょう。
ドッグフードは栄養的には大変優れていますが、水分の含有量が少ないことが欠点です。
犬がかつて野生動物として暮らしていたときには、獲物を狩って生肉を食べていました。
生肉からは水分を摂取することができます。
それに比べるとドライフードの水分量はかなり少ないですね。
水分が少ないとウンチも硬くなってしまい、便秘を発症する原因となってしまいます。
骨などの硬いものを食べ過ぎると便秘になってしまうことがあります。
また、異物を食べてしまったときにも、消化器官にその異物が詰まってしまい、便秘を発症することがあります。
厳密に言えば、便秘ではなく腸閉塞という状況です。
異物を食べてしまった可能性があるときには、すぐに獣医に診てもらいましょう。
愛犬に食べさせているドッグフードが、犬の体質に合っていないことも便秘の原因になります。
特に穀類や人口添加物が多く含まれているドックフードは、便秘や下痢等の消化器官の不調の原因となることがあります。
運動不足で体力や筋力が低下すると便秘の原因となります。
排便するには力が必要ですが、体力や筋力が低下すると力を入れることが難しくなるのです。
ストレスによって便秘を発症することがあります。
散歩に行くことができない、お留守番の時間が長く飼い主さんとのコミュニケーションが取れない、犬の住環境が整っていないなどのストレスは消化器官の働きを悪くし、便秘の原因となります。
老犬になり体力や筋力が衰えることで、ウンチを上手く排出することが難しくなり、便秘を発症することがあります。
病気により便秘を発症する場合もあります。
病気が原因であると考えられる場合は自然治癒はまずしませんし、放置することにより病状はますます悪化するため、早急に病院で治療してもらうことが必要です。
蠕動運動とは、腸が収縮、弛緩を繰り返して便を移動させてウンチとして排出させる動きのことを言います。
蠕動運動の低下は食事に繊維質が少ないことや、老化による筋力の低下によっても発症します。
その他に低カリウム結晶、低カルシウム結晶、甲状腺機能低下症などの病気の際にも蠕動運動が低下することがあります。
消化器官に何らかの障害物ができ、便がうまく通らなくなる消化器官の部分的な閉塞によって便秘を発症します。
消化器官の部分閉塞を起こす病気としては、腫瘍、ポリープ、会陰ヘルニア、前立腺肥大などが考えられます。
ウンチを出すときに痛みがあり、排便が困難になり便秘を発症することがあります。
肛門付近の傷や、腫瘍、骨盤や足の骨折、肛門嚢炎などが痛みの原因として考えられます。
犬の便秘の解消法、予防法などをご紹介します。
愛犬が2日以上ウンチをしないときには病院に連れて行くことをおすすめします。
2日以上の便秘は、自力の排泄が困難な場合が多いです。
病院で薬を処方してもらう、浣腸や輸液をしてもらうなどの処置が必要ですし、便秘を早期に解決をする近道になります。
もし食欲がない時には、便秘ではなく便が無い可能性も考えられます。
安易に便秘と判断して、下剤や浣腸などを使用しないようにしましょう。
便秘のほかに食欲不振や嘔吐、元気がない、ぐったりしているなどの症状がある場合は、早急に動物病院に連れて行きましょう。
かなり便秘が進んで犬が苦しい状態であるということのほかに、重篤な病気である可能性もあります。
犬の便秘を解消、予防するためには品質の良いドッグフードを与えるようにしましょう。
ドッグフードはかなり色々な種類が売られています。
中には犬にはあまり必要がない穀類や、人口添加物、全く必要がない合成着色料などがたくさん入っているドッグフードもあります。
それらの品質の悪いフードを食べさせることによって犬の消化器官の活動が悪影響を受けることがありますし、犬の体全体への健康の面から考えても良いことはありません。
ドッグフードを購入する際には原材料をよく確認し、犬の体質に合った品質の良いものを選んであげましょう。
便秘を解消、予防するためには水分を取らせることも大切です。
犬は比較的自分で水を飲んでくれる動物ですが、水分不足を補うためにドライフードのほかにウェットフードも与える、犬用ミルクも与えるなど、犬が水分を摂れるようにすることは便秘の解消や予防に繋がります。
筆者はかかりつけの獣医から愛犬が水分不足気味であると指摘されてから、食事面でも水分を摂れるように工夫しています。
朝は鶏肉をぶつ切りにしたスープを作り、ドライフードにかけてあげて、ドライフードを少しふやかしてからあげています。
ドライフードがすっかりふやけてしまうとあまり犬が好みませんので、ドライフードの表面がスープを吸ってきたなという感じで与えると喜んで食べてくれます。
夜の食事は、ドライフードとウェットフードを半々になるようにして与えています。
こうすることにより、水分不足は解消できました。
便秘を解消・予防するためには運動はとても大切です。
ウンチを出すためには筋力が必要ですね。
運動不足になって筋力が衰えると排便をする力もなくなってしまいます。
毎日散歩に連れ出す、ときどきボール遊びをしてあげる、 ドッグラン に連れて行くなどして愛犬が十分に運動できるようにしましょう。
運動することは犬のストレス解消にも繋がります。
充分運動ができている犬は、飼い主さんの留守ときにもストレスをためることがなく、おとなしくおうちで待っていることができます。
ストレスは便秘の原因にもなるので、運動することで良い排便を促すことができるでしょう。
便秘をしやすい犬のための療養食も発売されています。
犬の体質によっては、療養食を与えることが必要になってくることもあります。
獣医に相談しながら、犬に合ったものを選んであげましょう。
便秘解消のサプリメントもたくさん発売されています。
便秘解消、予防のためにそれらを利用しても良いですね。
サプリメントもたくさんの種類がありますから、原材料や含有量をよく確認しましょう。
心配な場合は獣医に相談すると良いです。
犬の体調は問題がないのにトイレが気に入らないために排便を我慢してしまい、便秘になってしまうこともあります。
犬は汚い所には排便したくありません。
犬のトイレは落ち着ける静かな場所に設置し、常に清潔にしておくよう心がけましょう。
ワンちゃんの中には散歩のときしか排泄をしないという子もいます。
飼い主さんがなかなか散歩に出かけられないときなどは、犬は排便を我慢することになり、それが原因で便秘になってしまうことも考えられます。
また、天候が悪い日に散歩に出かけるのは大変ですし、危険を伴います。
いつでも便意を感じたらウンチが出来るように、おうちのトイレでも排泄ができるようにすると便秘の解消にも繋がるでしょう。
犬の便秘に効果があると言われている食べ物をご紹介します。
ただし、大量に与えては逆効果ですし、犬の体質に合わない場合もありますので、少しずつ与えてみてください。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、腸内環境を整えて便秘の予防・解消に役立ちます。
ヨーグルトを便秘の解消・予防を目的として与える際には、毎日少量ずつ与えるようにすると良いでしょう。
ヨーグルトの効果は毎日摂ることによって発揮されます。
ただし、ヨーグルトを与え過ぎると下痢の原因になってしまうこともあるため注意が必要です。
また、犬に与える際には砂糖などが加えられていないプレーンヨーグルトを与えてください。
与える量は、体重5kgの犬に対して小さじ1杯~2杯程度です。
※合わせて読みたい: 【獣医師監修】ヨーグルトは犬の健康にも良い?犬におすすめのヨーグルトや効果的な与え方
オリーブオイルに含まれるオレイン酸が腸の動きを活性化させ、また潤滑油の働きをすることで便が出やすくなり、便秘の解消に役立つことが期待できます。
与えすぎはカロリー方になるために注意が必要です。
与える量は、体重5kgの犬に対して小さじ1杯程度です。
最初はその半分程度から始めると良いでしょう。
膵炎などの持病がある犬では病気が悪化することがあるので、まずはかかりつけの獣医師に確認してください。
キャベツやサツマイモなどの食物繊維の多い野菜は便秘の解消に役立つ可能性があります。
火を通し、愛犬のドッグフードのトッピングとして与えると食物繊維の補填となります。
与える量としては、体重が10kgの犬であれば人間が食べる量の5分の1以下が目安です。
※合わせて読みたい: 犬に「さつまいも」は与えていいの?犬に与える場合のメリットや注意点を紹介
ウンチが出ないという便秘の状態は、犬も苦しいです。
放っておくとご飯が食べられない、吐いてしまうなどの症状が出てしまうこともあります。
また、便秘の症状がひどくなってしまったときには治療費もかかりますし、治療にはリスクが伴うこともあります。
便秘がひどい場合は犬にも浣腸することがあるのですが、脱水してしまう危険性もあり、輸液をして水分を補給する必要があるなど治療にはリスクを伴います。
そのようなひどい便秘にならないように、日常の生活を気を付けることで便秘を予防しましょう。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/09/21
公開日 : 2020/04/07