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珊瑚は刺胞動物の中でも硬い骨格を作り上げる生物の名称です。
他の刺胞動物ですとクラゲやイソギンチャクなどが挙げられますので、実は珊瑚はイソギンチャクの仲間でもあるのです。
骨格の有無はありますが、海に咲く花のような姿はどちらも非常に美しい景色を私たちに見せてくれます。
美しい見た目から古来より宝石や飾り物、インテリアとしても扱われていた珊瑚。
少々大掛かりなものになりますが、家庭での飼育も難しくはありません。
今回はそんな珊瑚について、生態や特徴、飼育方法、並びに種類解説や飼い方の注意点などについても解説させて頂きます。
ポリプと呼ばれる特徴的な体を持つ珊瑚は、主に二つの種類に分かれます。
単体で生活する珊瑚を「単体珊瑚」、群れで生活する珊瑚は「群体珊瑚」と呼ばれています。
しかし、一般的な珊瑚は基本的に群体を作って生活する種類が殆どなため、珊瑚というと群体珊瑚を指す場合が多いです。
単体珊瑚は群体珊瑚の割合と比べて非常に少なく、販売や 水族館 の展示などでは「単体珊瑚」と表示されています。
また、珊瑚というとやはりサンゴ礁が有名ですが、そちらは「造礁性珊瑚」と呼ばれる珊瑚の地形になります(こちらもいわゆる「群体珊瑚」です)。
サンゴ礁を作るような珊瑚は、体の中に褐虫藻と呼ばれる藻類を飼っているため、光合成ができるような比較的浅めの海に作られることが多いです。
日本でいうと沖縄のような、暖かく透明度が高い海を好みます。
実際に沖縄は約200種類もの珊瑚が生息する、世界でもかなり珊瑚の密度が高い地域になっているのです。
ただ、現在では乱獲や水温の変化、天敵であるオニヒトデなどの食害によりサンゴ礁自体の数も少なくなっており、スキューバダイビングでの珊瑚ツアーでは珊瑚にストレスを与えないようにするのが望ましいと言えるでしょう。
非造礁性珊瑚と呼ばれる、藻類を体に持っていない珊瑚(単体珊瑚であることが多いです)も存在しており、そちらは光合成に依存をしていないため世界各地の海だけではなく深海でもその姿を確認することができます。
珊瑚は刺胞動物であり、クラゲやイソギンチャクのような刺胞を持っている生き物です。
クラゲやイソギンチャクと違うところは、光合成によってエネルギーを得る種類が殆どであるということでしょうか。
もっとも光合成をする手段を持たない非造礁性珊瑚は、イソギンチャクのように刺胞で捕食をし、そちらでエネルギーを賄っています。
したがって、非常に飼育難易度が高く、非造礁性珊瑚の個人飼育はかなり難しいため、熟練した玄人向けと言っても良いでしょう。
一般的によく飼育されているのは硬い外殻を持った造礁性珊瑚、もしくは軟質珊瑚と呼ばれるイソギンチャクにも似ている種類のものになります。
それぞれハードコーラルやソフトコーラルと呼ばれており、飼育の仕方や難易度も変わってきます。
飼育の難易度順に表すと、ソフトコーラル>ハードコーラル>>>非造礁性珊瑚です。
そのため、本記事では飼育がしやすいということに視点を当てて、ソフトコーラル、ハードコーラルそれぞれの中で、飼育しやすいとされている種類をメインに解説させて頂きます。
ソフトコーラルとは軟質珊瑚と呼ばれる、一見外殻を持っていないように見える珊瑚達を指します。
実際には細かい骨格が体の中に入っているので、その外見よりもしっかりとした体を持ち、かつ珊瑚の中でも育てやすいことで有名です。
ソフトコーラルの中でも一番飼育難易度が低いとされるかなり丈夫な珊瑚です。
カラーバリエーションも豊富ですし、美しい発色を持っている個体が多いので、珊瑚を初めて飼育するという人にもお勧めです。
マメスナギンチャクという名前の通り、小さなイソギンチャクが沢山密集しているような姿を持っています。
その様子は一見花畑のようで、 水槽 に彩りを加えてくれること間違いありません。
ただ、光が十分に足りていないと茶色く変色、かつポリプを上に伸ばしてしまい美しさが失われてしまいますので、光量には注意です。
基本的に値段は数千円程度と安価ですが、アメリカ産や中国産の珍しい発色を持ったものはかなり高値で取引されています。
平たい丸机のような外見が特徴的なソフトコーラルです。
非常にカラーバリエーションが豊富で、赤や緑、紫など多種多様な色を持つ個体が多く存在します。
造礁性なため飼育には光を必要としますが、あまり強くない光でなくても飼育できることから、こちらも人気の高い珊瑚と言えるでしょう。
餌、水質、光、水流などの飼育条件が良ければどんどんその数を増やし、まるで水槽がサンゴ礁のように美しくなる光景をみることができます。
ディスクコーラルの仲間の一つであるバブルディスクと呼ばれる珊瑚も非常に人気が高いです。
触手が水泡のようにぷくぷくとしており、とても可愛らしい珊瑚です。
ディスクコーラルと比べるとバブルディスクは少々高価ですが、飼育しやすさは殆ど変わりませんので安心して飼育することができます。
星形のちいさなポリプが可愛らしいソフトコーラルです。
八放サンゴと呼ばれる八本の触手をもつ珊瑚に分類されるため、ポリプの一つ一つはよくみると決まって八本の触手を持っているのが特徴です。
小さな星形をしたポリプが触手とともに海水になびく様子は、可愛らしさと美しさを兼ねそろえており、まさに可憐といってもよい珊瑚でしょう。
一方で、触手がよく伸びて緑の発色が強いスターポリプは「ラーメンスタポ」と呼ばれることもあります。
実際に触手が伸びたスターポリプはラーメンに似ているのですが、中々現れない種類でもあるため、高価な値段で取引されていることが多いです。
水流にふわふわとたなびく美しい触手。
ウミキノコは水流をよく好み、その動きも美しいことから水槽の中でかなり目を引く珊瑚です。
岩に生えている姿がまるで山に生えているキノコのようにも見えることからその名前が付けられました。
調子が良いときやストレスを感じていないときはふわふわとした触手を出していますが、いったん刺激を感じてポリプをひっこめた姿は、まさに海のキノコと言っても過言ではない姿をしています。
淡いピンク~茶色をしている個体が多く、動きだけではなくその発色もかわいらしい珊瑚です。
水質があっていない、照明がたりないなどといった状態不良の様子がとても分かりやすいので、そうした意味でも初心者向けの種類になります。
ハードコーラルと呼ばれる珊瑚たちは、一見してソフトコーラルやイソギンチャクに似ている姿をしていますが、それらと違って根元にしっかりとした骨格を持っています。
骨格については、インテリアとしても売られている珊瑚の死骸を思い出していただければと思います。
ハードコーラルはあのように外殻が残るものが殆どです。
中々に硬く、丈夫な骨格をもっていますが、飼育難易度からするとソフトコーラルで珊瑚の基礎を学んでから手を伸ばして見るのがお勧めです。
小さくて可愛らしい花のような姿を持つ珊瑚です。
むちむちとした触手からなるポリプはどこかハルジオンの花の姿にも似ています。
このポリプが密集していると花束のような美しさを見せることから、飼育の簡単さもあり人気の種類です。
知らない方は岩の模様と勘違いしてしまうのではないかと思えてしまうぐらい、うねうねとした外殻をもつ珊瑚です。
自然界ではかなり大きなグループで生息していることが多いため、スキューバダイビングではよくその姿を見ることができます。
基本的に珊瑚を育てるということは、他の海洋生物や刺胞動物と一緒に飼育することが多いと思いますが、キクメイシはチョウチョウウオなどに食べられてしまう可能性が高い珊瑚なので、そうした魚との共生はやめるようにしましょう。
こちらはキクメイシよりももっと岩に似た珊瑚です。
時折バラのような外殻を作る個体もいて、そちらはウミバラと呼ばれています。
発色が緑やピンク、青などの美しい色をしており、何よりハードコーラルの中ではかなり扱いやすい種類なので、こちらもハードコーラルを始める際のおすすめ珊瑚となります。
珊瑚飼育に必ず欠かせないものは
の3つになります。
飼育できる多くの珊瑚は基本的に造礁性珊瑚、つまり光合成をしてそこからエネルギーを得る珊瑚であることが殆どです。
現在ではLEDライトも幅広く普及してきていますので、以前と比べると珊瑚の光環境の整えは楽に済んでしまいます。
珊瑚の飼育で一番重要なのは「 どの光のスペクトルを出す電球が飼育する珊瑚に合っているか 」です。
この要素を飼育する珊瑚に満たさないと、珊瑚は光合成ができなくて飢えてしまい、最悪餓死してしまうということになりかねません。
その点で一番様々な珊瑚を飼育できるのは蛍光灯ですが、光があまり強くないことを考えると、多少値段が張ってもサンゴ用のLEDライトを購入するのが無難でしょうか。
LEDライトを選ぶ際に、スペクトル数がしっかり明記されていないものを選ぶと珊瑚の飼育に失敗してしまう可能性が非常に高いため、どのような珊瑚を飼育するかによって必要なスペクトル数は確認しておいたほうが良いです。
水質にうるさい珊瑚であればあるほど飼育難易度は高まっていきます。
上で紹介した珊瑚たちは、ソフトもハードも両方そこまで水質を気にしない種類の珊瑚です。
もっとも、水質が悪化しても大丈夫というわけではなく、珊瑚の飼育には定期的な水質のチェックは欠かせないと言っても良いです。
ちなみに水質だけではなく、水温ならびに栄養塩の調整も珊瑚を飼育する上では欠かせません。
水温は22~28℃程度を保つと良いと言われていますが、こちらは珊瑚以外の海洋生物を飼育している場合はクリアしている条件だと思います。
問題は栄養塩と呼ばれる海藻や植物プランクトンの餌となる塩です。
栄養塩は循環の中でたまっていくものなのですが、自然と違って植物プランクトンがそこまで発生しない人工の環境ではすぐに栄養塩が溜まりがちになってしまいます。
実は珊瑚や魚にとって栄養塩は有害なものであるため、水の入れ替えや薬品を使っての除去、もしくは水槽を珊瑚のみにして栄養塩の蓄積を減らすという手もありますが、魚と珊瑚を一緒に飼育したいのであれば専用のろ過装置をお勧めします。
実は珊瑚にとって水流はとても大事なものです。
弱い水流で十分な種類もいれば、上から下からランダムにくる水の流れが好きな種類もいます。
先述した珊瑚たちはそこまで水流にこだわる種類はいませんが、珊瑚を飼育するのであれば水流作りは必須です。
水流には、珊瑚の外殻にたまった汚れを掃除してくれる力があります。
珊瑚は案外汚れに弱いため、水流の力は中々侮れません。
ろ過装置などの水流だけでは珊瑚にとって物足りないものとなるため、別途、水流専用ポンプを設置するのがお勧めです。
基本的に造礁性である珊瑚に餌は必要ありません。
ミネラル分を含んだ海水と光合成ができる光があれば栄養は事足ります。
一方で、非造礁性の珊瑚には必ず餌が必要で、これが非造礁性の珊瑚の飼育が難しいと言われている原因にもなっています。
珊瑚の餌は水を汚しやすいというデメリットもあるため、造礁性の珊瑚なら必ず与えなくてはいけないというわけではないのです。
勿論餌を与えることで成長速度があがる種類の珊瑚もいるのですが、特に成長を求めていない場合は光合成のみで問題ないと言われています。
珊瑚の飼育を始めたばかりという方でしたら、水質悪化のラインを見るのが中々難しいと思われるので餌は与えないほうが良いと思います。
珊瑚は案外デリケートな生き物です。
かと言って飼育が難しいというわけではなく、上記した条件かつ海洋魚が暮らしていける環境であれば アクアリウム 初心者の方でも問題なく飼育することができるのです。
ではそのような環境をつくるのにはどのような飼育グッズが必要か、それをこちらで紹介していきます。
少々高価ではありますが、珊瑚専用に波長を合わせたLEDライトが販売されています。
下手にスペクトルが合わないものを買ってしまうと悲しいことになりますので、専用のライトがお勧めです。
こちらは珊瑚の状態悪化の原因にもなる、栄養塩を取り除いてくれるろ過装置です。
このろ過装置であれば、どのような珊瑚でも栄養塩の問題を考えなくて済むと言われているほどの高性能を持っています。
栄養塩が作られる原因となる魚の餌や糞尿についてですが、その点はこちらのろ過装置を使いつつ、あまり珊瑚水槽に魚を入れないという方法を取るのが良いかもしれません。
水質にうるさくない珊瑚でしたら、一般的に売られている人工海水の素で全く問題はありません。
上級者用の珊瑚ですと、珊瑚専用の人工海水の素がお勧めですが普通の珊瑚でしたらこちらで十分ですし、海水魚を飼っているところに導入される場合も特に変更は必要ないです。
サンゴは様々な強さの水流を好む種類が多いので、こうしたポンプを使うと状態が良くなります。
暑い夏にはどのように水槽の温度を下げるかというのが問題になってきます。
淡水でしたらクーラーをつける、ファンを回すといった対処法が取れるのですが、海水の場合はその方法を取ると水分が蒸発してしまい、塩分濃度が変わってしまうというデメリットがあるのです。
そのため、少々値段は張りますがこちらの水槽用クーラーがお勧めです。
水槽用ヒーターの場合は水槽のサイズに適応しているものであればどのようなものでも問題ありません。
水流があれば暖たまった水が水槽内を循環しますので、ヒーターに関しては水槽のサイズに合ったものを選ぶのがお勧めです。
ろ過バクテリアが多く含まれるライブロック、ライブサンドは水槽の水質安定にとても適している素材です。
特にライブロックは珊瑚の置き場所にもなるため、導入して損はありません。
ライブロックが入っているならライブサンドは入れなくても問題はありませんが、安定性の面を考えると入れたほうが良いです。
ただ、あまり厚く敷いてしまうと雑菌の巣窟になってしまうため入れても1~2cm程度がお勧めです。
刺胞動物なので実は軽い毒も持っています。
イソギンチャクのように魚を捕えて食べてしまうということは無いといっても良いのですが、一緒に飼育している魚の種類と珊瑚の種類によっては珊瑚が食べられてしまう時もあります。
問題なく共生できる種類同士かを確かめての飼育がお勧めです。
ポリプから餌を直接とらないと生きていくことができない非造礁性の珊瑚とは違い、光合成のみでも成長できるのが特徴です。
非造礁性の珊瑚は造礁性珊瑚とまた違った美しい外見をしたものが多いですが、飼育が難しいため初心者の方にはお勧めできない珊瑚となります。
水質や温度をクリアしていても、こちらが合っていなければ珊瑚は成長することができません。
白化してしまったり、最悪死んでしまうこともあります。
珊瑚にとって必要なスペクトルは種類によって違いますので、必ず飼育している珊瑚に合ったものを選びましょう。
逆に水を汚してしまうことにもなるので、飼育に慣れてきたら時折与えるぐらいで十分であると言われています。
特に珊瑚初心者の方は無理に餌をあげる必要はありません。
慣れてきたら少し与えて様子をみつつ、珊瑚の状態を見守る方向をお勧めします。
初期投資には結構なお金がかかりますが、一度珊瑚に適した環境を作ってしまえば飼育するのは難しくない生き物です。
マリンアクアリウムは淡水系のアクアリウムと比べると、美しい発色を持った生き物を多く飼育することができるとても魅力的なアクアリウムです。
色とりどりの魚とともに、水槽の中を揺蕩う珊瑚の姿は美しいです。
もともとマリンアクアリウムをやっていた方であれば初期投資もそこまでお金がかかりませんので、是非珊瑚飼育にチャレンジしてみてください。
イソギンチャクなどもそうなのですが、一見「飼育が難しい」生き物はどちらかというと初期費用がよくかかることから難しいというイメージがつきものです。
確かにお金に余裕がなくては無理だなと思う飼育グッズが盛りだくさんですが、逆に言うと一度飼育できる環境をそろえてしまえばその飼育は決して難しいものではないのです。
現在ではマリンアクアリウム関連の飼育用品も多くなってきました。
家の中に作られた小さな海は、非常に幻想的で美しいものです。
本記事がこれから珊瑚を飼い始めるという方や、珊瑚の知識を深めたいと考えている方の参考になれば幸いです。
最終更新日 : 2022/01/03
公開日 : 2018/01/29