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ナマコは棘皮動物門と呼ばれるグループに属する軟体動物で、日本の温暖な地域を中心に生息しています。
漢字では「海鼠」と表記され、海水域に生息する生物です。
海水浴に出かけて、中には誤ってナマコを踏んでしまったなんて経験もあるのではないでしょうか。
ナマコは浅瀬から海底にまで幅広く生息しています。
それでは早速、次項目より詳しくナマコについてご紹介させていただきます。
こちらの記事を参考にナマコのことを知っていただければ幸いです。
日本でのナマコの利用の歴史は古く、712年に編成された「古事記」にはすでにナマコが登場しています。
日本の神の一人である、アメノウズメが魚たちを集め、「神に仕えるか」問うたところ、ナマコだけが答えなかった。
怒ったアメノウズメは小刀でナマコの口を裂いた、という内容が記されています。
これほどはっきりと存在が語られていることは珍しく、この時すでに「海鼠」という表現も確立されていました。
当時の日本人にとって、ナマコのその異様な存在は、神話と結びつけるのに十分なインパクトを与えたのでしょう。
そんなナマコを食すようになったのは、江戸時代以降であり、食物図鑑にも食材として登場しています。
数々の文献にも、ナマコの食文化についての記述があり、夏目漱石の小説「吾輩は猫である」にも登場します。
書中には、初めてナマコを食べた人の胆力には敬服すべきだとの記述があります。
食べ物としてのナマコは、意外な印象を与える珍味として捉えられていたようです。
そんな意外性のあるナマコは、古くから日本人に親しまれており、和歌の季語にも利用されていました。
また、中国では漢方の一種として利用されており、食材としての一面が強かった生物です。
観賞用に飼育されるようになったのは、高度経済成長期以後のことで、 アクアリウム の普及とともに浸透していきました。
水族館 での熱帯コーナーでの飼育から始まり、一般家庭での飼育が開始されたのは90年代に入ってからです。
さらに、魚類の飼育に比べるとナマコの飼育はアクアリウムにおいても変わり種です。
現在でもナマコのみの飼育をしている方は珍しく、魚類以外の生物を飼育してみたい方向けの生物になります。
水槽内を掃除してくれるタンクメイトとして、飼育する方が多い生物です。
ナマコは世界に約1500種類ほど存在しており、日本には約200種類のナマコが確認されています。
その中でも30種類ほどのナマコが食用として流通しており、マナマコは食用ナマコの代表格です。
いずれの種類も、細長い身体つきと口が水平に向くといった共通の特徴を有しています。
ナマコはウニの仲間ですが、固い外皮に覆われておらず、比較的柔軟な壁に覆われているという特徴があります。
見た目は左右対称であり、背面と腹面の区別はできる身体つきをしています。
成長すると、軟体動物にしては大型に成長する傾向にあり、30センチ~4.5メートル前後に成長します。
最大級のナマコであるクレナイオオイカリナマコは、4.5メートルまで成長する種類のナマコです。
日本に多く成長するマナマコも60センチ前後に成長する個体もいます。
食性は雑食性であり、魚の死骸の残骸や動物性たんぱく質、藻類などを這って捕食して生活しています。
種類によっては口から触手のような器官をのばして、これらのデトリタスと呼ばれる有機物を集める個体もいます。
基本的には不活発な動物で海底をゆっくり這うように移動しており、稀に浮遊性して海面にあらわれる種類もいます。
熱帯性のナマコの多くは、キュビエ器官と呼ばれる白い糸状の組織を持っています。
外敵に襲われるとこの組織を肛門から排出して相手の行動を阻害し、そのすきに逃げます。
ナマコの再生力は強く、内臓を失っても1〜3か月ほどで再生されます。
寿命は約5年~10年前後です。
海洋生物を扱うペットショップやネット通販で販売されており、1000円前後~購入可能です。
種類によっては、5000円からと高級なナマコもおり、これらは大型に成長する傾向にあります。
ナマコの飼育には海水魚飼育と同じように 水槽 を立ち上げてもらえれば問題ありません。
多くの場合は、掃除屋さんとして、ナマコを海水魚と一緒に飼育される方が多いです。
ナマコと海水魚の混泳水槽を作成するときに、おすすめな環境をご紹介いたします。
海水魚の飼育のためには最低でも90センチ以上の水槽がおススメです。
水量が少ないと塩分濃度が安定せずに、水質が悪化しやすくなってしまいます。
また、複数の魚を混泳させたり、海藻類やライブロック等を設置するためには、余裕のある大きさの水槽が良いです。
狭い水槽はストレスや喧嘩の原因にもなりますので、大きめの水槽を用意してあげましょう。
ナマコは水中に漂よって砂底に蓄積された有機物を摂取するため、塊のエサは基本的には食べません。
混泳している魚が残したエサカスや、死骸などを砂に口をつけて這うようにして摂取します。
ナマコ自身への給餌は特に必要ありませんが、混泳している魚に ミジンコ をはじめとした複数のエサをあげると良いです。
複数のエサをバランスよく与えることにより、砂底にも栄養価の高い有機物が残ります。
それをナマコに摂取させることにより、健康的にナマコの飼育を継続することが可能です。
肉食魚との混泳はナマコが捕食されてしまう場合があるので、避けましょう。
また、縄張り意識の強い魚や気の荒い魚との混泳は、攻撃対象になってしまいナマコが死んでしまう場合があります。
性格の穏やかな30センチ前後の魚か、小さな群れる魚との混泳が望ましいです。
また、 エビ などの甲殻類との混泳は同じ底生の生物であり、攻撃される場合があります。
基本的にナマコはあまり動かない生物ですので、底生の生物はナマコのみにしておく方が良いでしょう。
砂底にたまった有機物を摂取するナマコにとって砂底の設置は必須になります。
主に底生の海洋生物であるナマコの身体の保護のためにも砂底の使用が推奨されます。
さらにはナマコが有機物を摂取しやすいように、砂底は細かい粒子の砂状のものを使用するようにしましょう。
水質が安定していれば、砂底は必要以上にいじらずにナマコの掃除能力に任せておいた方が水質は安定します。
急な砂底の入れ替えは、ナマコにとって栄養不足に陥る危険がありますので、少量づつ入れ替えるようにしましょう。
ナマコは基本的には、海水魚ほど慎重に水合わせを行わなくても、水温さえ安定していれば導入しやすいです。
しかし、ナマコの身体の大半は水分になり、水分が失われるとナマコが死んでしまうことがあります。
水合わせの際にはナマコが干からびないように、たっぷりの水分と風通しの良い場所で行うようにしましょう。
①水槽・アクセサリー類を荒い天日干しして完全に乾かします。
②水道水にカルキ抜きを入れて、透明になったら人工海水の元を入れて海水を作ります。
③砂底を敷いて水が泡立たないように静かに入れます。海藻類を設置する場合には、三分の一まで水を入れてから設置し、残りの水をそそぎます。
④ヒーター・ろ過装置を起動させて4週間~2か月程置きます。
⑤水槽内を酸素が循環することにより、バクテリアが発生して水質が安定すれば立ち上げが完了です。
⑥入手してきたナマコを袋ごと水槽に30分浮かべて水温に慣らします。
⑦その後ナマコをバケツ袋の水ごとに入れて、水槽の水を少量足します。
⑧30分程置いてからバケツの水を少量捨てて、水槽の水を同量足します。
⑨⑧を2回ほど繰り返して水質を同じにしたらナマコのみを水槽に移動させて水合わせが完了です。
導入当日はナマコが環境に慣れるまで様子を観察しましょう。
水温を25℃前後、PH7.5前後に設定すると馴染みやすくなります。
ナマコが病気になっても魚類のように治療薬がなく、死亡してしまうケースがほとんどです。
そのため、日々の健康チェックが重要になります。
こちらの項目では、ナマコにでやすい症状についてご紹介いたします。
身体が柔らかいナマコは、なんらかの衝撃や混泳相手にかじられて身体の一部を欠損・損失することがあります。
多くの場合は再生能力が強いので数か月で元の状態に戻るため、自然治癒に任せて問題ありません。
しかし、他の生物に攻撃された場合には隔離して様子を見る必要があります。
続けて攻撃され、損失部分が多くなると再生しきれずに死んでしまうこともあり、注意が必要です。
水槽内の塩分濃度が高くなったり、水温が上がってしまった場合などにみられる症状です。
放置しておくとそのまま身体から水分が抜け落ちて死んでしまいます。
水質や水温が適切かどうかを確認して、必要に応じて水替えをするようにしましょう。
また、避難場所として同質の水槽をもう一つ用意しておくことも有効です。
特にナマコは高温に弱い面がありますので、夏場の温度管理には注意が必要です。
原産国 : 日本全土・中国、朝鮮半島等
値段 : 1000円~5000円
色 : 黒色、赤褐色等
寿命 : 10年前後
全長 : 30センチ~4.5メートル
特徴 : ウニなどの仲間ですが、外皮は柔軟であり、身体のほとんどは水分で構成されています。再生能力が高く、内臓を欠損しても数か月で元に戻ります。
性格 : ほとんど動くことがなく、砂底にたまった有機物を摂取して活動するため、攻撃性はありません。
かかりやすい症状 : 内臓の欠損・損失、変色等
注意点 : 攻撃性の高い魚との混泳は、捕食されてしまう可能性がありますので避けましょう。ナマコが有機物を摂取できるように必ず砂底は設置します。
海の変わり者、ナマコの飼育についてご紹介させていただきました。
タンクメイトとしても優秀なナマコは他の生物を脅かすことなく飼育できる魅力ある生物です。
見た目は地味であまり目立たない存在のナマコですが、水槽で飼育することにより違った一面を発見できるかもしれません。
カラフルな海水魚と飼育することにより、引き立て役になってくれる存在です。
大きさもある程度成長しますので、成長過程を楽しむのも飼育の醍醐味ではないでしょうか。
海水魚飼育の参考になれば幸いです。
最終更新日 : 2020/12/03
公開日 : 2018/01/23