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透き通った体に特徴のある動き。
観察のために学校の実験にも使われることから、ミジンコは様々なプランクトンの中でも有名な生き物です。
ミジンコの体を横から撮影した顕微鏡写真は、学生時代に誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。
今回はそんなミジンコを「生餌」の視点から解説していきます。
ミジンコには大きく3つの種類が存在します。
ミジンコにはオオミジンコと呼ばれるものもいますが、そちらとタマミジンコは姿かたちが似ていても別種です。
日本国内では琵琶湖などで生息しているのが確認されていますが、基本的な生息地は北米や中国であるため、人為的な持ち込みであるとされています。
今回はこの中で最も餌に適しているとされている「タマミジンコ」について解説します。
タマミジンコはプランクトンに分類されていますが、実は甲殻類の生き物です。
正面からその姿を見てみると、二枚貝のような殻があることが確認できます。
また、有名な横からの写真はひよこのようで可愛らしい姿をしていますが、実際はミジンコの目は一つしかありません。
正面からの写真では、一つ目おばけや宇宙人のような別の顔を見ることができます。
タマミジンコに限らず、ミジンコは 水田や沼の浅地に生息 しています。
流れが速い河川でも生息していますが、採取の時にはそうした流れが緩やかな場所を選ぶのがおすすめです。
耐久卵と呼ばれる乾きに強いミジンコの卵が風に飛ばされて、水を貯めておいた場所に飛んでくるのを待つという手もありますが、ミジンコが沸いたかを一々確認しなければいけないためあまりお勧めはできません。
しかし、庭に面積の大きなアクアテラリウムなどを作っていると、いつの間にかミジンコが沸いていたという報告例もあります。
タマミジンコが生息している場所には、ケンミジンコやカイミジンコも一緒に生息していることが多いので、ミジンコを採取したらまずはそれらをスポイトなどでより分けてください。
金魚 や メダカ がケンミジンコとカイミジンコを食べないというわけではないのですが、タマミジンコと比べると殻が堅く、稚魚の時はうまく食べることができません。
下手に水槽に餌以外を入れたくない、増やしても使い道がない、といった場合は取り除くことをお勧めします。
タマミジンコが丸い体でぴんぴんと水の中を跳ねまわるような動きで泳いでいるのに対して、ケンミジンコはすこしエビに似た形で滑らかに動きます。
カイミジンコは丸くて黒い体で、小刻みにちょこちょこと動いています。
動きや姿に差があるので、どれがミジンコなのかわからない・・・という方はその動き方を良く観察するとわかるでしょう。
それぞれの動き方が良くわかる動画を紹介しました。
より分けの際に参考にして頂ければと思います。
タマミジンコを採取することが出来たら、あとは増やすだけです。
単為生殖といって、ミジンコはオスとメスが生殖行為をしなくとも片方の性別だけで生殖することが可能。
ミジンコの場合はオスがいなくとも、メスのみででも増えるので、採取があまりできなかった場合でも増えてくれる可能性は高いです。
ただし、ミジンコが全滅するときはあっという間です。
夜が明けたら、沢山いたはずのミジンコが全ていなくなっていたということも少なくありません。
そのため、一つの場所で飼育するのではなく株分けをして、片方が全滅しても対処ができるようにしておくと便利です。
ミジンコを増やすための餌には下記がよく使われます。
ミジンコは植物性のプランクトン(ミカヅキモなど)を食べるので、小松菜の粉末ではなくても植物性の粉末なら大抵餌にしてくれます。
この際、 農薬を使用している植物は使わないようにしてください。
ミジンコは農薬にとても弱いです。
なので、水田で採取をする場合は農薬が撒かれる前にミジンコを採取するのがお勧めです。
もし、近くに水田や沼などがない場合は、ミジンコの耐久卵が販売されていますのでそちらを購入すると良いでしょう。
こちらはミジンコの卵しか入っていないので、カイミジンコなどをより分ける必要はありません。
ミジンコ用の餌もついているので、安定した飼育がしたいという方は、ミジンコ専用のキットを使うと楽に増やすことができます。
また、農薬だけではなく塩素にも弱いので、ミジンコを増やす際には必ず 1日から2日ほど放置した水を使ってください。
どのような生き物の餌にミジンコを使用したいかによって、飼育容器の大きさを選びましょう。
ペットボトルなどでも増やすことはできますが、 容量が少ないのでコンスタントにミジンコを餌として供給できない ため、あまりおすすめはしません。
2日に1度は水を攪拌するという手間もかかりますし、酸欠という問題もあります。
勿論、稚魚の時のみミジンコを与えるのでしたらペットボトルでの飼育でも十分に賄えると思います。
しかし、 ミジンコが最も増えやすい条件は日当たりが良く、かつ水温はそこまで上がらない場所 です。
ペットボトルは日光だとすぐに水が温かくなってしまうため、そういった点ではあまり良い飼育容器ではありません。
日光ではなく紫外線ライトを横から当てるなどして、植物プランクトンを増やしつつ飼育していくのが良いでしょう。
一方、常にミジンコを餌にしたい、と考えているときは大きな水槽を使うのがお勧めです。
ミジンコは環境が整っている場所では爆発的に増えていきます。
大きな水槽を使っていればすぐには過密状態にはならないというのも利点です。
ミジンコの死因や全滅には過密状態が関わっているとされています。
外でミジンコを増やすと、風に乗って飛ばされてきた別種のミジンコの耐久卵や、ワムシ、ヤゴなどの様々な生き物がそこに住み着くようになります。
グリーンウォーターに変化して、ミジンコがどれぐらい増えたかが見えなくなってしまう時もあるので、ミジンコを増やす際には室内で紫外線ライトを使うか、水質浄化のための水草をいれることをお勧めします。
また、ミジンコには酸素も必要です。
自然では風や水の流れによって常に酸素が供給されていますが、飼育下ではそうはいきません。
このため、ペットボトルでの飼育には2日に1回は攪拌させるという手間が必要なのです。
水槽でミジンコを飼育する場合は、エアーポンプを導入するといいでしょう。
ミジンコを刺激しないように、水流を作らないものを水槽の端に設置するのをお勧めします。
低酸素状態になるとタマミジンコは体の色が赤くなりますが、体液内のヘモグロビンを増加させているだけなので餌としての問題はありません。
ミジンコの生餌としての利点は、 与えて食べ残されたとしても水質が悪化しない ところです。
食べ残されたミジンコが水槽の中で増えれば、そのまま稚魚や成体の餌になってくれます。
特に口が小さな稚魚は、餌を食べたかどうかがわからないときがあります。
食べる量も少ないのであまり餌を与えると水質悪化の原因にもなってしまいます。
稚魚は水質の変化に敏感なので、すぐに水を換えるというわけにはいきません。
そんな時に、ミジンコを与えると便利です。
生きたミジンコは目の細かい網ですくって、そのまま水槽に入れてください。
網は百円ショップやペットショップで魚を掬う用に売られているもので大丈夫です。
魚は生きた餌が大好きなので、ミジンコだけでなくボウフラなどの生餌を与えると、さっと食いついてすぐに呑み込んでしまいます。
売られている乾燥ミジンコなども、そのまま与えれば魚は食べてくれます。
乾燥ミジンコの場合は、水を吸ったからといって生き返るわけではありませんので注意です。
耐久卵が混じっていた時はそのまま水槽の中で孵化して増えてくれるかもしれませんが、乾燥ミジンコを増やすということはあまり考えないほうがいいでしょう。
普通の餌よりも少々値段が張るものが多いので、長期的なコストの面を考えると、ミジンコを餌に組み込む場合は生きたものを増やして与えるほうをお勧めします。
ケンミジンコやカイミジンコは稚魚が食べられない可能性が高いので、稚魚に与える場合は体が柔らかいタマミジンコがお勧めです。
経験としてはメダカの成体でも、ケンミジンコは食べることができますがカイミジンコは吐き出してしまうことが多かったように思います。
金魚のように口が大きな魚でしたら問題はないと思いますが、メダカサイズの魚にとってカイミジンコはあまり食用に適さないと考えていいのではないでしょうか。
一方、プランクトンを餌にするヤゴなどの生き物は問題なくカイミジンコを食べてくれるようです。
水質の変化に敏感なので、必ずカルキ抜きはしてください。
カルキ抜きが甘い水を使うと、一夜で全滅してしまうこともあります。
水の攪拌が手間ではない場合は、勿論ペットボトルでも問題はありません。
ミジンコの全滅を防ぐことができます。
飼育場所のミジンコが増えてきたら過密を防ぐためにも、定期的に生体の水槽にミジンコを餌として入れることをお勧めします。
過密状態になると低酸素の影響で体が赤くなるミジンコが増えてくると思いますが、寄生虫などではなく、体液のヘモグロビンが増えたためにそのような色になるだけなので心配は不要です。
ミジンコを増やそうと思っても、最初はうまくいかずに全滅させてしまうことがあるかもしれません。
しかし、一度サイクルを作ってしまえばミジンコは生体のためになる良い餌になってくれます。
ボウフラやユスリカの幼虫(アカムシ)と比べると、ミジンコは非常に増やしやすい生き物です。
市販の餌だけではなく、生体が喜ぶ餌も上げたいと思う方は是非ミジンコの養殖を試してみてください。
金魚やメダカにより良い餌を与えたいと思う方に、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
最終更新日 : 2021/05/04
公開日 : 2017/10/12