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二ホンイシガメは冒頭でもご紹介した通り、日本の固有種の カメ です。
日本の本州から九州、琉球半島の方まで幅広く生息しており、かつてはとても身近な存在でした。
しかし、高度成長期などの都市開発による住処の減少や水質汚染、ペット用の乱獲などが原因で今は貴重な存在です。
現在ペットショップで販売されているイシガメは、ブリードされた種類であり、純粋な日本製の二ホンイシガメとは少し異なります。
また、八重島諸島に生息しているヤエヤマイシガメ、中国原産のミナミイシガメも同じ性質のカメです。
ニホンイシガメは、日本の湖や沼地、田んぼの用水路などに住み着いていた固有種です。
ペットとしての歴史は古く、江戸時代以降から飼育されてきました。
また、日本の気候に馴染みやすく、特に難しい管理が必要なかったことから、野外の池で飼育されていました。
幼体をゼニガメと呼び販売していた時期がありますが、現在ゼニガメの多くは クサガメ の幼体に用いられている言葉であり、イシガメとは区別する必要があります。
昭和頃まではただ単に「イシガメ」という呼称で呼ばれていましたが、ミナミイシガメや亜種であるヤエヤマイシガメと区別するために、ニホンイシガメという呼称がつきました。
どの種のイシガメも、森林伐採や水質汚染が原因でその数が減少傾向にあり、絶滅が心配されています。
特にニホンイシガメの個体数の減少は問題視されており、2013年にワシントン条約により準絶滅危惧種に指定されました。
さらに人為的なミシシッピアカミミガメ等の外来種の不当な遺棄により、生態系を破壊することが問題になっています。
これらの外来種やクサガメによる交雑などにより、純粋なイシガメの種を脅かす状況を危険視する声も大きいです。
こうした現状を少しでも改善しようと、各自治体によりイシガメ保護の動きが強まっています。
ペットショップで販売されているイシガメはブリードされたものか、中国から輸入されたミナミイシガメや八重山諸島で捕獲されたヤエヤマイシガメが多く流通しており、ニホンイシガメの流通は稀と言えます。
成長すると全長14~22cm前後に成長し、雄よりも雌の方が大型になりやすい傾向にあります。
甲羅や皮膚の体色は黄褐色や赤褐色、灰褐色が主ですが、個体により差異があります。
ミシシッピアカミミガメと比較すると小柄で、頭部も小さいものが多いです。
甲羅部分は椎甲板に断続的に盛り上がりがあるのが特徴で、老個体はこの盛り上がりが不明瞭になる場合があります。
河川や沼地などの淡水域に生息しており、やや流れのある流水域を好んで住み着きます。
冬期には冬眠しますが、野生個体は耐寒に強く、水温が5度以下になっても活動していた個体も確認されています。
食性は雑食性。
魚類や カエル 、甲殻類や水生生物などを捕食して生活しています。
また、飼育下では人工飼料にも餌付きやすく、飼育はそれほど難しくはありません。
しかし、ペットとして飼育された個体は水質の変化に弱い面があり、水質が安定しないと体調を崩してしまいます。
細菌性の皮膚炎にかかることが多く、甲羅の変形や皮膚の外皮がはがれるなどの症状には注意が必要です。
さらには、飼育された個体が冬眠してしまうとそのまま死んでしまうことがあります。
ヒーター等を使い、室温を一定にすることで、冬期でも活動できるようにすることが推奨されます。
ペットショップで購入できる主なイシガメの種類についてご紹介します。
お好みのイシガメを迎えていただくために参考にしてただければ幸いです。
主に中国の南部や台湾に生息する種類のイシガメで、成長すると20.5cm前後に成長します。
二ホンイシガメよりも小型で、甲羅部分も滑らかで凹凸が少ないのが特徴です。
体色は黒色よりの茶褐色であることが多く、中国では食用としても流通しています。
温暖な気候を好み、低地から丘陸にかけて流れの緩やかな河川に好んで生息しています。
水生植物の生い茂っている水深がやや深い場所を好み、幼体は水棲傾向が強く、ほぼ水中で過ごします。
夜行性で、日中は岩の陰や泥や落ち葉の間で身体を休め、夜間にミミズ等を捕食します。
雑食性で、魚類や甲殻類のみでなく、藻類や木の実なども採食します。
性格は穏やかでミシシッピアカミミガメやクサガメに比べると温和な個体が多いです。
人なれもしやすく、人の手からエサを食べるようにもなるので、身近に感じられます。
イシガメのなかでは流通数が多く、ペットショップでも比較的手に入りやすい種類のイシガメです。
10cm前後の個体が3,000円前後で販売されています。
寿命は15年前後です。
ミナミイシガメとは台湾経由で日本に移入され、八重山諸島に住み着いた個体。
台湾産の個体と類似している部分が多く、遺棄・逃亡したものが独自に繁殖して定着されたと考えられています。
1983年に京都市では天然記念物に指定され、採取・飼育が厳しく制限されている種類です。
ペットとして日本で流通することもありますが、制限されるようになってからはほとんどの個体が飼育下でブリードされたものです。
性格は協調性が悪く、特に雄同士は喧嘩をしやすいので、単独での飼育を基本としましょう。
特に雄は繁殖期には多種問わずに強引に交尾を迫るため、複数飼育は避けた方が無難です。
人には慣れやすく、食欲旺盛なので給、餌の際には指をかまれないように注意してください。
2,000~5,000円前後で販売されていることが多く、寿命は10年前後です。
古くからペットとして飼育されており、最も日本に馴染み深いイシガメです。
しかし、国内での個体数の激減からペットとして流通することはほとんどなく、販売されていたとしても交雑種であることが多いです。
価格は5,000円前後から購入可能であり、寿命は15年前後です。
成長すると22cm前後に成長し、イシガメの中では大きめに成長します。
体色はミナミイシガメに比べると、やや赤褐色や茶褐色の個体が多く、甲羅の隆起もはっきりしています。
日本の気候に適しているので飼育しやすく、人慣れもしやすいのが魅力的です。
性格は穏やかですが、やや神経質な面があり、特に冬季には活動が鈍ることがあります。
野生の個体の減少から希少価値が高く、捕獲して飼育することは厳しく禁じられている場合があります。
自治体により保護の動きが強まっています。
無責任な遺棄や捕獲は絶対にやめましょう。
一般的にカメを飼育する際の用品を揃えれば問題ありません。
しかし、夜間に活発に活動し、逃走の恐れもあるので逃走防止の工夫が必要です。
イシガメが小さいうちは、45cmの 水槽 での飼育が可能です。
初めてカメの飼育に挑戦する方は、ろ過装置などがセットになっているものがおすすめです。
イシガメのサイズが大きくなってきた際には、逃走防止に重さのあるフタをして水槽をふさぎましょう。
ただ、完全に密閉してしまうと湿気が水槽内にたまりやすく、水質の悪化に繋がります。
目が届く日中などはフタをずらすなどして、水槽内に湿気がこもらないように換気してください。
カメの飼育の場合、上陸部分を用意する必要があり、水量が少ないため水が汚れやすくなります。
また、サイズの大きいイシガメは食欲旺盛で排泄物の量も多くなるので、こまめな水替えが必要になります。
ろ過装置は少ない水量でも使用できるように、底面フィルターの使用がおすすめです。
その他、砂利により上陸部分を作ってあげると、砂利に汚れがたまるので水替えの頻度を軽減する効果もあります。
参考価格:2,980円(税込)
メーカー名:水作
サイズ(幅X奥行X高さ):39.5×25.5×18.8cm
重量:3.5㎏
イシガメは人懐っこく、食欲も旺盛なため最初から人工飼料に餌付きやすい種類のカメです。
サイズが小さいうちは、1日2回3~4粒程度を目安に給餌します。
飼育下のイシガメは日中でも活発に活動する個体が多いので、給餌の時間にこだわる必要はありません。
しかし、個体によっては食べが悪いこともあるので、夜間に与えてると良いでしょう。
さらには、人工飼料のみでは栄養バランスが偏り、甲羅の変形や抵抗力の弱い個体になりやすいです。
葉野菜や赤虫、冷凍クリルなどをおやつ代わりにバランスよく給餌しましょう。
半生のエサは嗜好性が高く、よく食いつきますがあげすぎには注意が必要です。
参考価格:572円(税込)
メーカー名:Tetra
内容量:110g
生産国:ドイツ
カメの飼育においてヒーターは必需品ですが、カメの飼育専用のものを選ぶようにしましょう。
イシガメの飼育は水量が少なく、専用のヒーターを使用しないと漏電や故障の原因になります。
また、イシガメが火傷しないようにヒーターにはカバーを付けて使用するようにしましょう。
イシガメがヒーターに噛みついて破損させる恐れもありますので、イシガメが直接触れないように工夫しましょう。
参考価格:2,000円(税込)
メーカー名:Tetra
サイズ(幅X奥行X高さ):4.0×4.0×13.0cm
重量:215g
生産国:中国
基本的には単独飼育が推奨されます。
成長すると個体のサイズがある程度大きくなることと、水を汚しやすい面からも単一での飼育がベストでしょう。
飼育数が増えるほど、水替えの頻度も高くなります。
複数の飼育を希望している場合には、余裕のある水槽とこまめな水替えができれば、同サイズであれば混泳は可能です。
しかし、上記で紹介した通りヤエシマイシガメは単独飼育を徹底しましょう。
また、他の種類のイシガメも繁殖期には性格が荒くなりやすいので、様子を見ながら隔離しましょう。
イシガメを導入する場合には、魚のように水合わせすることができませんので、室温に慣らせましょう。
イシガメを購入してから飼育スペースに移動するまでの手順を紹介いたします。
イシガメがかかりやすい病気についてご紹介します。
飼育しているイシガメの健康チェックの参考にしていただき、異常があった場合は専門家に相談しましょう。
イシガメは特に皮膚病にかかりやすい種類のカメです。
全体的に皮膚が弱い個体が多く、常に予防をする必要があります。
主な症状は、水カビのように皮膚全体が白くなったり、手足の皮がめくれる等です。
さらに、食欲が減退する個体が多く、初期段階では気づきにくい側面がります。
症状が悪化すると皮膚が爛れたように出血し、衰弱死してしまいます。
これらの症状の主な原因は水質の汚染で、こまめな水替えを行うことで予防することができます。
また、イシガメを日光浴させてあげることも有効です。
症状の進行具合を見て、薬浴などを行い、アクセサリー類は全て洗い熱湯消毒しましょう。
主にカルシウム不足が原因で甲羅が柔らかくなったり、変形してしまう症状です。
初期症状としては食欲減退、元気喪失、目の下が腫れぼったくなるなどの症状があらわれます。
予防法としてはカルシウム不足に陥らないように栄養バランスよく給餌します。
イシガメは日光浴することにより、甲羅を殺菌・消毒してカルシウムを補いますので十分な日光浴が有効です。
イシガメがリラックスして甲羅干しできるように日当たりの良い環境で飼育するようにしましょう。
原産国 : 日本、中国、台湾島
値段 : 3,000円~5,000円前後
色 : 黒色、茶褐色等
寿命 : 10年~15年前後
体長 : 17~22cm前後
特徴 : 外来種のカメに比べて穏やかな性格をしており、ペット向きですが乱獲や環境破壊により近年では、減少傾向にあります。
性格 : 人懐っこく、穏やかな性格ですが繁殖期には気が荒くなる個体が多いです。
かかりやすい病気 : 皮膚病、甲羅の奇形等
注意点 :
近年は個体数の減少により、ワシントン条約で準絶滅危惧種に指定されている貴重な存在。
野生個体の飼育やペットとしての飼育に規制がある場合がありますので、自治体に確認してから飼育を開始しましょう。
ミシシッピアカミミガメよりも大きくならず、性格も穏やかなことからイシガメはペットにおすすめです。
しかし、野生の個体は減少傾向にあり、保護の動きが強まっています。
そのため、ペットショップでも出回る数が少なく、お迎えするまでに時間がかかる場合があります。
ネットショップや専門店などをうまく利用して健康な個体をお迎えしたいものです。
本記事を参考に、イシガメやカメ全体の飼育に興味を持っていただければ幸いです。
公開日 : 2018/01/14