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【獣医師が解説】猫が布を食べる!?猫のウールサッキング(ウールチューイング)の原因と対処法






愛猫がいきなり布を食べ始めたら、びっくりしてしまいますよね。
布やビニールなどを齧ったり食べたりしてしまうウールサッキングですが、セーターや絨毯、キャットタワーが標的になることが多いです。

ウールサッキングは、家の中の物が壊れてしまうだけでなく、腸閉塞の原因にもなるため注意が必要です。

猫のウールサッキングとはどのようなもので、なぜそんなことをするのでしょうか。
本記事ではウールサッキングの概要と原因について解説します。

また、ウールサッキングを治すための対処方法についても取り上げます。

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【目次】【獣医師が解説】猫が布を食べる!?猫のウールサッキング(ウールチューイング)の原因と対処法

 

ウールサッキングとは

ウールサッキングをしやすい猫の特徴

オリエンタル種

仔猫に多い

性別

猫がウールサッキングをする原因

早期離乳

分離不安

環境変化

猫にウールサッキングをさせないための対処法

対象となるものを部屋から取り除く

遊ぶ時間を増やす

餌やりの方法を変える

キャットタワーの代わりに「見晴らし台」を作る

猫のウールサッキングを見かけたときの注意点

叱らない

おやつで釣らない

ウールサッキングを瞬間的にやめさせる方法

もし猫が布製品を食べてしまったら

さいごに

 

 

ウールサッキングとは

 

cat_on_the_bed

 

ウールサッキングとは、その名の通り布製の物を吸う行為、もしくは布製のものを噛んだり食べたりする行為を指します。

 

このは行為は常同障害と呼ばれるもので、不安を感じたり、欲求不満があったりする場合、葛藤が生じて状況に合わない行動を繰り返してしまうことを言います。

行動障害の一種として治療の対象となることも多いです。

 

ウールサッキングは、繰り返し何かに取り憑かれたように布製の物を吸ったり噛んだりするため、衣類や絨毯などが破れてしまい、飼い主が困ることがあります。

 

キャットタワーも居心地を良くするために、布が使われていることがほとんどなので、ウールサッキングの対象となってしまいます。

また、布製の物だけでなく、ビニール製の物や段ボールを好む猫もいます。

 

家の中の物が齧られてしまうのは困りますが、それだけではなく、異物を齧っているうちに飲み込んでしまう場合も多く、腸閉塞を起こすこともあります。

最悪の場合、命の危険に繋がるため、やめさせなければなりません。

 

 

ウールサッキングをしやすい猫の特徴

 

siamese_cat

 

どの猫もウールサッキングをする可能性はありますが、特に多く見られる品種や年齢など、ウールサッキングをしやすい猫の特徴についてお話します。

 

オリエンタル種

 

シャム バーミーズ など、オリエンタル種と呼ばれる猫に多く見られます。

 

仔猫に多い

 

母猫のおっぱいを吸う行為に似ているとも言われ、8ヶ月齢以前の仔猫に多く見られます。

 

性別

 

雄の方が多いと言われています。

 

 

猫がウールサッキングをする原因

 

cat_catch_yarn

 

ウールサッキングの始まりには何かきっかけがありますが、段々とそれが癖のようになり、布を吸うことそのものがやめられなくなります。

原因を特定するのは難しいですが、いくつか考えられる理由をご紹介します。

 

早期離乳

 

早期に母猫から離された仔猫に多い行動と言われています。

不安を解消するために行うことがあるようです。

 

分離不安

 

親猫の他、飼い主から離れることに不安を抱く猫もいます。

留守番の時間が延びたことがきっかけで始まることもあります。

 

環境変化

 

引っ越しや新しい猫を迎えた飼い主の都合で、餌をあげる時間や生活のパターンが変わったなど環境の変化によってストレスがかかり、ウールサッキングに繋がることがあります。

 

 

猫にウールサッキングをさせないための対処法

 

palying_cat

 

ウールサッキングの対処法をご紹介します。

 

糸や織物などは食べようという意図がなくても、猫のザラザラとした舌に引っかかり、それを取ろうと舌を動かしているうちに飲んでしまうケースもあります。

愛猫の命を守るために早めに対策をすることが大切です。

 

対象となるものを部屋から取り除く

 

布や糸など、猫が齧ったり吸ったりしそうな物は猫がいる部屋から取り除きます。

プラスチックなど他の素材を好む猫もいるので、なるべく小物は置かない状態にしておくのが理想です。

 

遊ぶ時間を増やす

 

ウールサッキングはストレスによって起こることが多いので、運動量を増やしてストレスを軽減することが大切です。

 

布製のおもちゃはおすすめ出来ませんが、代わりのもので遊んであげることは出来ます。

カサカサと音が出るアルミホイルや紙などを丸めて投げるだけで夢中になる猫は多いです。

 

また、レーザーポインターを動かして光を追わせるのも猫にとっては良い運動になります。

 

餌やりの方法を変える

 

feeding_from_hand

 

食べ物でない物を「噛む」という行為が、ストレスを発散する行動になっていることが考えられます。

その場合は、餌の回数を増やしたり、転がすとドライフードが出てくるようなおもちゃを与えることで、食べ終わるまでの時間を長くしてみると良いかもしれません。

 

また、部屋のあちこちに餌の食器を置き、探しながら食べることで、食べ物以外の物を齧ることに対する執着を減らすことが期待できます。

口を動かすことで満足する場合もあるため、 猫草 を置いてみるのも一つの方法です。

 

キャットタワーの代わりに「見晴らし台」を作る

 

ウールサッキングをする猫は、キャットタワーを齧ったり食べたりする場合が多いので、設置することはおすすめしません。

ただ、猫は高いところに登ると落ち着くという性質があるので、猫のいる部屋には「見晴らし台」を設置してあげましょう。

 

「見晴らし台」と言っても難しく考える必要はありません。

ちょっとしたラックなどを猫のいる部屋に置き、上に乗せていた物があればそれを退かすだけで完成です。

 

窓際に猫が乗れるくらいのスペースがあれば、何か特別に設置する必要もないかもしれません。

布製のキャットタワーがなくても、日当たりの良い高い場所があれば、寒い日も快適に過ごせます。

 

 

猫のウールサッキングを見かけたときの注意点

 

gnawing_cat

 

気を付けていても、家の中に布製の物は沢山あります。

中には箪笥を自分で開けて衣類を取り出してまで、ウールサッキングをする猫もいるようです。

 

気を付けていてもウールサッキングをされてしまったときはどうしたらよいのでしょうか。

猫がウールサッキングをしているところを見かけたときに飼い主がしてはいけないことや、やめさせる方法についてお話します。

 

叱らない

 

ウールサッキングをしてしまったときにやってはいけないこととして、猫を叱るということが挙げられます。

 

ウールサッキングはストレスが引き金になって起こることも多く、叱ることによって益々ひどくなることも考えられます。

また、叱ったことによって「飼い主がかまってくれる」と認識してしまい、かまって欲しくてウールサッキングを繰り返すということにも繋がります。

 

おやつで釣らない

 

おやつを与えればその瞬間はやめるかもしれませんが、「ウールサッキングをするとご褒美がもらえる」という勘違いを招くことがあります。

おやつ欲しさにウールサッキングをするという悪循環が起こってしまう可能性があります。

 

ウールサッキングを瞬間的にやめさせる方法

 

gnawing_cardboard

 

叱ってはいけない、おやつで釣ってはいけないとは言っても、決して放っておいても良いというわけではありません。

布製の物など異物を食べてしまうことは腸閉塞の原因となるため、見かけたらすぐにやめさせる必要があります。

 

その場合は声をかけず、大きな音を立てるなどして猫の気を逸らすのが良いでしょう。

空き缶に小石を入れたものをガラガラと鳴らしたり、笛を吹いたり、水鉄砲で少しだけ水をかけるなど色々な方法があります。

 

あまり怖がらせ過ぎるのは良くありませんが、一瞬びっくりするくらいの刺激を与えることで、食べてはいけない物と音などの刺激が結びつくようになり、齧る頻度を減らすことが出来ます。

 

また、「ウールサッキングをしそうになったけれど、直前でやめることが出来た」というときには、猫が満足するまで遊ぶなど一つ違う動作を挟み、ご褒美をあげるようにします。

「ウールサッキングをしないで他の動作をした」ということに対してご褒美を与えることで、ウールサッキングをしないと良いことが起こると認識させることが出来ます。

 

 

もし猫が布製品を食べてしまったら

 

veterinary_clinic

 

餌を通常通り食べていて、数日経っても何も変わったことがなければ、糞として出ているため問題ありません。

しかし、頻繁に吐く、食欲がない、ぐったりしているなど何か症状がある場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。

 

 

さいごに

 

sleepy_kitten

 

ウールサッキングは、一度行うようになってしまうと完全にやめさせるのは難しいですが、環境を整えることでコントロールすることは可能です。

「いくら大きな音を出しても一向にやめる気配がない」という酷い場合には、専門の病院で投薬などの治療を受ける必要があるかもしれません。

 

心配なときには、行動治療を行っている動物病院に相談してください。

家の中の環境を整えて、猫の安全を守ってあげましょう。

 

 

執筆・監修:獣医師 近藤 菜津紀(こんどう なつき)

 

原因不明の難病に20年以上苦しみながらも、酪農学園大学獣医学科を卒業後、獣医師免許を取得。

小動物臨床や、動物の心理学である動物行動学を用いたカウンセリング、畜場での肉の検査(公務員)など様々な経験を経て、現在は書籍の執筆や講演活動などを行なっている。

 

車椅子生活をしながら活動する、日本で唯一の「寝ながら獣医師」。


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