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イングリッシュ・セターの特徴は絹のような美しく長い被毛と、気品や優雅さが感じられる体つきと歩き方です。
耳は垂れ耳でマズルは四角く、オクシパット(後頭部)が出っ張っていて、ストップ(前頭部と口吻の境)がはっきりしています。
被毛はセミロングで耳や胸元や腹の下、尻尾にはウェーブがかかった艶やかで長い被毛が生えます。
もともと 猟犬 であることから、生まれつき鋭い感覚と強い狩猟欲を持っている点も特徴といえます。
イングリッシュ・セターは、イギリスで生まれた狩猟犬です。
その歴史は14世紀に遡り、彼らはセターの中でも最も古い歴史を持つ犬種だと言われています。
当時存在していた数種のセッティング・スパニエルを祖先とする彼らは、誕生してから400年以上経つ今も鳥猟犬として広く愛されています。
現在のイングリッシュ・セターの作出に大きく貢献したのは、イギリス人のブリーダー”エドワード・ラヴェラック”氏です。
彼は数多くのブリーディングの結果、均一の見た目と狩猟能力を持つ優れた個体を作り出しました。
約35年もの歳月をかけてイングリッシュ・セターのブリーディングを行った彼は、イングリッシュ・セターのカラーのみを表す 「ベルトン」 (※カラーの項目を参照)という単語を作り出したことでも知られています。
なおイングリッシュ・セターは、イングリッシュ・ポインターとともにイギリス生まれの2大ガンドッグ (※1) として知られています。
この2大ガンドッグは今も現役の猟犬としてイギリスはもちろん、日本国内でも活躍しています。
彼らは獲物(鳥)を見つけると、その前にしゃがみこんで 「セッティング」 というポーズを取ります。
セッティングで獲物の位置を示すことから、彼らには 「セター」 という名前が付けられました。
狩猟人口の減少とともに、猟犬として活躍するイングリッシュ・セターの頭数も減少しています。
しかし、その分ドッグショーで活躍するイングリッシュ・セターが増え、現在は狩猟向きの個体とショードッグ向きの個体を分けたブリーディングが行われています。
(※1)ガンドッグ
主に鳥の猟(カモやキジなど)で使われる猟犬のこと。
鳥を見つけてハンターに教える、隠れている鳥を羽ばたかせる、ハンターが撃った鳥を回収するといった役目を果たす。
イングリッシュ・セターの体高はオスで65cm~68cm、メスで61~65cmほどです。
体重はオスで29~36kg、メスで20~24kgほどとオスの方がやや大きめです。
イングリッシュ・セターのカラーは、ブラック&ホワイト(ブルー・ベルトン)、オレンジ&ホワイト(オレンジ・ベルトン)、レモン&ホワイト(レモン・ベルトン)、レバー&ホワイト(レバー・ベルトン)またはトライカラーのブルー・ベルトン&タン、レバー・ベルトン&タンが認められています。
いずれのカラーも模様が大きな斑(パッチ)ではなく、全体的にフレックト (※2) であることが良いとされています。
(※2)フレックト
ベルトンとも呼ばれる、白地にそばかす状の小さな斑点が入っている模様のこと。
イングリッシュ・セターのカラーを表す際にのみに使われる。
イングリッシュ・セターは物静かで穏やか、友好的で優しい性格をしています。
彼らは紳士と例えられるほど性格が良く、家族以外の人間や子どもに対しても穏やかに接します。
また、作業犬として人と共に暮らしてきたことから、人の役に立つことや共同作業を喜ぶ傾向があります。
しかし、猟犬であることから頑固で辛抱強く、激しい一面も持ち合わせています。
彼ら本来の性格の良さを引き出すためには、しっかりとしたしつけが必要です。
諸説ありますが、イングリッシュ・セターの寿命は12年ほどだといわれています。
彼らを自宅に迎える際は、10年先のことまで考えておく必要があります。
英名:English Setter
別名:イングリッシュ・セッター
原産国:イギリス
サイズ:大型犬
グループ:7G・ポインター・セター
大きさ:
体高・オスで65cm~68cm、メスで61~65cmほど
体重・オスで29~36kg、メスで20~24kgほど
寿命:12年ほど
次にイングリッシュ・セターをおすすめしたい人、イングリッシュ・セターとの暮らしに向いている人について説明していきます。
イングリッシュ・セターはもともと猟犬として、広大な猟場を走り回っていた犬種です。
そんな彼らの心と体の健康を維持するためには、膨大な運動量が必要です。
毎日散歩に行くのはもちろん、休日もたっぷりと運動させる必要があることを知っておいてください。
そんなイングリッシュ・セターは、犬と一緒に運動を楽しみたい方におすすめの犬種といえます。
イングリッシュ・セターは賢く物静かな性格ですが、猟犬であることから頑固な面も持っています。
また、本能的に獲物を見かけると追いかけたくなる性質があるため、しっかりとしつけをする必要があります。
そんなイングリッシュ・セターは、犬の飼育経験が豊富な方に向く犬種といえます。
イングリッシュ・セターの被毛はもつれやすく、植物の種などのゴミも付きやすい毛質です。
そんな彼らの被毛を健康的に保つためには、最低でも3日に1回、できれば毎日 ブラッシング をする必要があります。
そんなイングリッシュ・セターは、被毛の手入れが苦にならない方に向く犬種だといえます。
次の項目では、イングリッシュ・セターのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
イングリッシュ・セターは、ブリーダーから購入できます。
イングリッシュ・セターは国内ではやや希少で、ペットショップではあまり見かけない犬種です。
お迎えを検討している方は事前に ブリーダー を探し、譲渡・販売できる子犬がいるか、今後ブリーディングの予定があるか問い合わせておくと良いでしょう。
また、イングリッシュ・セターのような猟犬の場合、里親を募集している個体がいる可能性があります。
なぜなら悲しいことに年を取った、怪我をしたなどの理由から猟犬を山に遺棄するという事例が後を絶たないからです。
セターやポインターなどの猟犬専門の保護団体もあるため、里親になることを考えている方は里親募集サイトと併せて保護団体のホームページやSNSをチェックすると良いでしょう。
イングリッシュ・セターの価格は、 1 頭あたり25万円前後のようです。
これはあくまで概算であり、カラーや性別、年齢や血統によって価格が大幅に上下する可能性があります。
次の項目ではイングリッシュ・セターの飼い方と、そのポイントについて説明していきます。
イングリッシュ・セターの主食には、品質の良い総合栄養食のドッグフードを与えましょう。
やや太りやすい傾向にあるので、フードは毎回しっかりと量ってから与えてください。
与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談すると良いでしょう。
イングリッシュ・セターのブラッシングは、最低でも3日に1回は行いましょう。
彼らの被毛は長毛のシングルコートで、抜け毛の量は普通です。
しかし、その絹のような被毛はもつれやすく、毛がもつれると犬が不快に感じるばかりでなく皮膚病の原因にもなります。
毛をもつれさせないためにも、こまめにブラッシングを行いましょう。
また、彼らの被毛は生涯伸び続けるため、1~2か月に1回はトリミングをする必要があります。
イングリッシュ・セター のシャンプーは、月に1回は行いましょう。
トリミングサロンに通う場合は、トリミングの際にシャンプーをしてもらうと良いでしょう。
イングリッシュ・セター の散歩は 1 回1時間以上、1日2回行く必要があります。
ただし普通に歩くだけの散歩では運動量が足りないため、駆け足や自由運動などを取り入れましょう。
もともと猟犬として広大な土地を走り回っていた彼らは、膨大な運動量が必要とします。
運動量が足りないとストレスがたまり、問題行動を起こす可能性があることを把握しておいてください。
毎日散歩に行くのはもちろん、休日にはドッグランやプールで思いきり運動させてあげましょう。
また、ハイキングやジョギングに連れていく、アジリティやオビディエンスなどのドッグスポーツに挑戦するなど、運動の機会を増やしてあげると喜びます。
イングリッシュ・セターは非常に賢く、人間好きであることからしつけがしやすいといわれています。
ただし、小さい頃からしっかりと服従訓練を行い、衝動をコントロールできるようにしつけておく必要があります。
なぜなら猟犬である彼らは感覚が鋭く、本能的に獲物を追いかけたいという強い衝動を持っています。
リードを付けていない時に強く興味を引く物に出会ってしまい、飼い主の指示を無視して追いかけ行方不明になってしまった…という事例も少なくないということを覚えておいてください。
どうしてもしつけが上手くいかない時は、プロの訓練士の力を借りることをおすすめします。
イングリッシュ・セターは一般的に、丈夫で健康的な犬種だとされています。
遺伝病としては「 聴覚障害」(難聴)、「股関節形成不全」 などが知られていますが、多くのブリーダーは遺伝病が起こらないように細心の注意を払ったブリーディングを行っています。
これらの病気を避けるためには、信頼のおけるブリーダーから子犬を迎えることが大切です。
また、大型犬である彼らは 「胃拡張・胃捻転症候群」 を起こしやすいことを知っておいてください。
これは胃が拡張してねじれ、胃などの内臓の血流が阻害されて起こる非常に致死率が高い急性疾患です。
食後に不安そうな様子や苦しそうな様子を見せる、嘔吐もしくは吐き気、腹が異様に張るといった症状が見られたら、直ちに動物病院に連れて行ってください。
イングリッシュ・セターは垂れ耳であることから、耳に汚れや耳垢がたまりやすい傾向があります。
外耳炎などの病気を防ぐために、こまめに耳のチェックと耳掃除を行いましょう。
イギリス生まれの犬種 「イングリッシュ・セター」 について説明してきました。
イングリッシュ・セターは家庭犬に向く性質を持っているものの、必要とする運動量が多く誰にでも飼える犬種ではないことが伝わったでしょうか。
イングリッシュ・セターは世界的に有名な犬種であるもの、国内での飼育数はあまり多くありません。
純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの2019年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数では、イングリッシュ・セターは10頭(142犬種中108位)の新規登録が行われています。
(※ただし登録は行わず、狩猟にのみ使われている猟犬は多いといわれています。)
もしイングリッシュ・セターと一緒に暮らすことになったら、毎日たっぷりと運動させてください。
十分に運動し正しいしつけを受けたイングリッシュ・セターは、本来の優しい性格を生かして、素晴らしい家族の一員となってくれることでしょう。
最終更新日 : 2021/03/31
公開日 : 2020/09/14