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犬に目やにが出る原因とは一体なんでしょうか。
犬の目やには生理的なものから、病気のサインを示すものまで様々な種類があります。
目やには、 目に入ったホコリなどの異物、細菌、炎症細胞、新陳代謝ではがれた上皮細胞などの老廃物、眼の細胞から分泌された粘液、涙 などが混じって形成されています。
目やにの発生原因によって含まれる成分は異なり、目やにの性状も変わってくるのです。
正常であれば、目やにの原因となる物質(異物、老廃物など)のほとんどは、瞬きすることで涙とともに鼻涙管という管を通り、鼻の奥に排出されます。
そのため、 正常な状態では少量の目やにしか確認できません 。
しかし、何らかの原因で涙の量が減少すると、この排出機能がうまく働きません。
また、感染・炎症などが起こり排出物が異常に増加してしまった場合は、正常な排出能力を越えてしまうことがあります。
その結果、大量の目やにが確認されるようになるのです。
犬に目やにが出ている場合、動物病院を受診すべきか、自宅で様子を見てもいいのか迷われる方も多いと思います。
どのような目やにを心配すべきなのか、判断基準をご紹介します。
正常な目やにの特徴は以下の通りです。
老廃物などを含んだ生理的な目やにの可能性が高いと考えられます。
ホコリや、砂などの異物や老廃物を含み乾燥した少し古い目やにの可能性が高いと考えられます。
眼の周りが黒っぽく、メラニン色素の多い犬に比較的よく見られる目やにの可能性が考えられます。
このような目やには、少量であればあまり心配する必要がないので、自宅で拭き取るなどのケアをしてあげましょう。
ただし、多量に出ている場合は病気の初期症状の可能性もあるため、動物病院の受診を検討してください。
以下のような症状が認められる場合は、動物病院の受診がおすすめです。
1〜2時間前に拭き取ったのにまた出ているというような大量の目やには少し心配です。
目に炎症が起こっているなど、病気のサインの可能性があります。
緑色、黄色などの膿のような目やには注意が必要です。
細菌に感染した影響で、目やにが出ている可能性が考えられます。
ねばーっとするような粘稠度の高い目やにも、眼に異常を起こしている可能性が考えられるので気を付けましょう。
眼球や眼の周りにこびりつくようにベッタリとでる目やには、ドライアイの症状の可能性もあります。
また、眼をしょぼしょぼさせていたり、眼頭の毛が赤茶色になっていたら、眼に異常を起こしている可能性があります。
このような場合は様子を見ていると、違和感のために犬自身がこすってしまうこともあるのです。
その結果、眼に傷を作ってしまうなど症状がひどくなる場合もあるため、眼に異常が出ている場合は早めに動物病院で受診してください。
犬に目やにが出ていたら考えられる病気をご紹介します。
結膜とは上下のまぶたの裏側と、眼球の表面(白目の部分)を覆う薄くて透明な膜です。
この結膜に炎症が起こった状態を、結膜炎といいます。
炎症の原因としては、アレルギー性・感染性(細菌、ウイルス、寄生虫など)・乾燥(ドライアイ)・毛による刺激・外傷などがあげられます。
充血・目やに・涙を流す・痛みやかゆみで眼をこするなどの症状が一般的です。
原因によって、様々な色の目やにが確認されます。
涙の量が少ない、不安定な状態になる・涙の質が悪くなるなどが原因で発症します。
眼が乾き、角膜(黒目の部分)や結膜に炎症が起こるのです。
涙は油分・水分・粘液から構成されていますが、それぞれ分泌している場所が異なります。
それらの場所が何らかの原因で機能障害を起こすことにより、成分のバランスが崩れ、涙の質が低下してしまいます。
この病気では涙の水分量が減り、粘液の量が増えるため、灰白色半透明のベタベタした目やにが多く認められます。
原因としては、免疫、涙腺、神経の異常・先天性などがあげられます。
短頭種で眼球が大きく、しっかり瞬きができない子は、眼の表面に油分が行き渡らず常に乾燥してしまうこともあります。
症状は、大量の目やにの他に、角膜や結膜に浮腫や充血が認められます。
重症化すると角膜に大きな障害を引き起こし、最終的に失明する危険もあります。
角膜とは、犬の黒目の部分を覆っている透明な膜です。
この角膜に炎症が起きた状態のことを、角膜炎といいます。
原因としては、アレルギー・まつげの生え方の異常・異物・感染症・ドライアイなどが考えられます。
角膜には知覚神経が無数に分布しているので、障害を受けることで激しく痛みます。
そのため、角膜炎になると眼をショボショボしたり、眼を開けられないなど激しい痛みを示す子が多いです。
まぶたにできる腫瘍のことです。
良性のものから、悪性のものまで様々な種類の腫瘍が知られていますが、犬では良性腫瘍が多く発生します。
良性の腫瘍であっても、まぶたの内側にまで腫瘍が及んでいる場合もあります。
そのようなケースでは、まばたきの際に角膜に腫瘍がこすれて、傷がついてしまうこともあるのです。
その傷から細菌感染を起こしたり、角膜炎を起こすこともあるので、切除手術の必要があります。
まぶたが外側にそりかえってしまう病気です。
一般的に下まぶたに起こりやすく、外見上ではひどいタレ目のように見えます。
まぶたがしっかりと閉じられないため、まぶたの機能である眼球表面の清掃・防御などが正常に行われません。
眼が乾燥してしまい、痛みや痒みが生じ、悪化すると角膜炎や結膜炎を起こすこともあります。
セント・バーナード や グレート・デーン などは、形態的にこのまぶたの形が理想とされているため、問題視されないこともあります。
ただし、症状が重度なものに関しては外科手術が必要となることもあります。
まぶたが内側にねじれこんでいる病気です。
まつげや体毛、まぶたの皮膚が角膜にあたり刺激を起こすことで、痛みや流涙、目やになどの症状を起こします。
結膜炎や、角膜炎などの原因にもなります。
特にワクチン終了前の子犬で心配な病気です。
症状として結膜炎を起こす事もあるので、ひどい目やにが認められたら要注意。
他にも発熱・鼻水・くしゃみ・咳など風邪のような症状、消化器症状(下痢など)や、麻痺・痙攣などの神経症状を起こすこともあります。
ワクチンの予防効果が知られていますが、回復しても後遺症が残ってしまったり、致死率も高い恐ろしい感染症です。
疑わしい症状がある場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬の目やにのケアや予防方法についてお伝えします。
鉄則は、 優しく・眼にふれないように・嫌がったら無理しない ということです。
愛犬を怖がらせないようにチャレンジしてみましょう。
乾いたティッシュを折りたたんで、そっと目やにの端につけると取ることができます。
真正面から近づけると怖がってしまうことが多いので、怖がらせないよう顔の横からそっと拭ってあげましょう。
もし目やにが乾燥してこびりついている場合は簡単に取れません。
コットンを水道水などで濡らして、しばらく目やにの上に置き、ふやかしてください。
そうすると、柔らかくなり簡単に取ることができます。
ネバネバした目やにが毛に絡みついてしまうと、ティッシュやコットンではなかなか取れません。
その場合は、ふやかした後にそっと目の細かいコームでとかすようにして取り除きましょう。
固くこびりついて取れない場合は、無理すると皮膚を傷つけたり痛みで嫌がってしまう可能性があります。
痛い経験をしてしまうと、目の近くを触らせてくれなくなることもあるため、無理はしないようにしましょう。
眼の周りはとても敏感ですし、恐怖心を抱きやすい場所でもあります。
自宅で行うのが難しい場合は、動物病院で取り除いてもらうのが良いです。
愛犬の健康を守るためにも、以下の方法を参考に目やにの予防をしてあげてください。
顔周りの毛が長い子は、眼の中に毛が入る刺激によって目やにが出てしまうこともあります。
眼の健康を守るためにも、定期的に短く切ってあげるのがおすすめです。
本来生えるべき場所ではない所にまつげが生えていたり、毛の生える方向的に眼の中にまつげが入ってしまう子がいます。
そのような子は刺激が原因で流涙や目やにが認められます。
炎症を起こす原因にもなるので、定期的に通院してまつげを抜いてもらう必要があります。
目やにの状態・涙の有無・眼の状態などを日頃から注意深く観察しておきましょう。
いつもの状態を知っておくことで、異常が起きたときに素早く気付くことができます。
目やには飼い主さんが異常に気づきやすい症状の一つです。
愛犬とのコミュニケーションの際に、日頃から眼も気を付けて見てあげるようにしてください。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
公開日 : 2020/09/04