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ナポリタン・マスティフの特徴は頭が大きく、全身の皮膚がたるんでしわになっていることです。
このしわは噛まれたり引っかかれたりした時に伸びて、防具の代わりになります。
また、上唇が大きく垂れさがっていて、独特の表情に見える点も特徴といえます。
彼らの堂々とした大きな体は筋肉質ですさまじいパワーを秘めており、抜群の存在感を誇ります。
ナポリタン・マスティフは強面で、一見狂暴そうにも見える顔つきをしていますが、彼らは物静かで温和な性格で、自分から好んで何かに襲い掛かることはほとんどありません。
むしろ日頃はどっかりと座り、大人しく周りの状況を観察しています。
しかし防衛本能が強く、守るべき物に危険が迫るとその巨体からは想像もできない素早さで反応します。
本気で戦う姿勢に入ったナポリタン・マスティフは非常に勇猛で自分の身も顧みず、手加減せずに敵と戦います。
1日遅れましたが、昨日(5/13)は #愛犬の日 🐶
— ポッターマニア (@pottermaniajp) May 14, 2020
#ハリーポッター で愛犬と言えば、ハグリッドのペットのファング🐕
映画『賢者の石』では、4匹のナポレオンマスチフがファング役として出演🐾
『炎のゴブレット』では、元捨て犬の2匹が演じています♪🎬 #トリビア ⇒ https://t.co/9IQxegEaWT pic.twitter.com/DhK0odbiy9
ナポリタン・マスティフは映画 「ハリーポッター」 に登場する心優しい半巨人、“ルビウス・ハグリッド”の飼い犬“ファング”役を務めたことでも知られています。
作中のファングは恐ろしい見た目ながら臆病で、人懐こい性格として描かれていました。
なお、原作のファングはナポリタン・マスティフではなく、ボアハウンド( グレート・デーン )です。
しかし、映画では見た目や大きさがイメージに近い、ナポリタン・マスティフが使われたようです。
ナポリタン・マスティフの祖先は、古代ローマの闘犬だといわれています。
彼らはその力強さを生かし、ローマ軍の軍用犬として活躍していました。
この古代ローマ犬の存在には、かのアレキサンダー大王が関わっているのではないかといわれています。
その後南イタリアでは、彼らは羊の群れや農場を守る番犬として重宝されていました。
しかし、世界的に見るとその数は大きく減少し、1940年代には知る人ぞ知る存在になってしまいました。
さらにその後ナポリタン・マスティフたちは「古代の豹」というキャッチフレーズのもと、いわゆる危ない犬の愛好家に向けて積極的に販売されたことがありました。
その時にしわしわで醜い顔の個体が珍重され、遺伝病などを一切考慮されずに繁殖されてしまったという悲しい歴史があります。
その結果不健康なナポリタン・マスティフが大量に出回った時期もありましたが、現在のブリーダーたちは遺伝病を考慮しつつ、ナポリタン・マスティフ本来の姿と気質を大切に繁殖させています。
熱烈な愛好家の手によって復活を遂げたナポリタン・マスティフたちは、今や世界中で愛されています。
ナポリタン・マスティフの体高はオスで65~75cmほど、メスで60~68cmほどです。
体重はオスで60~70kg、メスで50~60kgほどで、オスの方がやや大きくなります。
ナポリタン・マスティフのカラーは、グレー、ブルーグレー、ブラック、ブラウン、フォーン、ディープ・フォーン(レッド・ディアー)が認められています。
全身同じカラーであることが多いものの、胸や指にホワイトの斑点が入ることもあります。
また、ブリンドル(虎のような模様)やヘーゼルやドープ・グレー、イザベラのシェード(毛の根元から中ほど、先端までの色に濃淡があること)も認められています。
ナポリタン・マスティフは物静かで温和、家族に対しては従順で愛情深い性格をしています。
ただしその大きな体には、想像を超えるパワーと破壊力が秘められています。
きちんとしつけができていないと制御できなくなるため、子犬の頃からきちんとしつけをすることが大切です。
諸説ありますが、ナポリタン・マスティフの寿命は8~10年ほどだといわれています。
一般的に犬の平均的な寿命は10~14歳程度です。
それを踏まえると、ナポリタン・マスティフはやや短命な傾向にあるといえます。
英名:Neapolitan Mastiff
原産国:イタリア
サイズ:大型犬
グループ:2G(使役犬)
大きさ:
体高・オスで65~75cmほど、メスで60~68cmほど
体重・オスで60~70kg、メスで50~60kgほど
寿命:8~10年ほど
次にナポリタン・マスティフをおすすめしたい人、ナポリタン・マスティフとの暮らしに向いている人について説明していきます。
ナポリタン・マスティフは体が大きく、闘犬や軍用犬として利用されてきた非常に力が強い犬種です。
本来は非常に温和で愛情深い犬種ですが、正しくしつけができないと本来の良い部分が引き出せず、有り余るパワーを持て余す危険な犬になってしまう可能性があります。
そんなナポリタン・マスティフは犬の飼育経験があり、きちんとしつけができる人に向く犬種といえます。
ナポリタン・マスティフは運動が嫌いではないものの、好きという訳でもない犬種です。
小型犬のようにやたらと走り回ることはありませんが、体が大きいため広い飼育スペースが必要です。
ナポリタン・マスティフは屋内・屋外とも、広い飼育スペースを確保できる方に向く犬種だといえます。
何度も説明していますが、ナポリタン・マスティフは非常に力が強い犬です。
きちんとしつけをしても、地震や雷、交通事故などの不測の事態に陥った時は、その巨体を押さえて落ち着かせなければならないこともあるかもしれません。
そんなナポリタン・マスティフは、十分な体力や筋力がある方に向く犬種だともいえます。
次の項目では、ナポリタン・マスティフのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
Loki is a gorgeous Neapolitan Mastiff puppy. He came in for his first puppy health check and microchip at Hartley Wintney was very brave. Loki is 8 weeks old and already weighs 4.9 kgs in this picture, we can’t wait to see him at his adult weight! https://t.co/GiJuPHjjud pic.twitter.com/7iaBgjzoxa
— St Kitts Veterinary Group (@StKittsVets) January 20, 2020
ナポリタン・マスティフはブリーダーから購入できます。
しかし、繁殖や飼育に多大な費用がかかること、そもそもナポリタン・マスティフ自体が希少な存在であることからブリーダーの数は多くありません。
ナポリタン・マスティフを迎えたい場合はあらかじめブリーダー(犬舎)を探し、子犬が産まれたら連絡してもらうと良いでしょう。
なお、ナポリタン・マスティフの特徴を把握せずに迎え、飼いきれずに飼育放棄する方もいるようです。
里親募集サイトを見てみると、そういった個体が見つかるかもしれません。
#Crufts Bella 20 week old Neapolitan Mastiff puppy pic.twitter.com/YlJ6aagbAw
— stephen moyes (@stephenmoyes1) March 5, 2020
ナポリタン・マスティフは、30~50万程度で販売されているようです。
これはあくまで概算であり、血統やカラー、年齢や性別によっても価格が大幅に上下する可能性があります。
次の項目では、ナポリタン・マスティフの飼い方とそのポイントについて説明していきます。
ナポリタン・マスティフは成犬になると、人間と同じくらいの体重になります。
そのどっしりとした体型を維持するために、良質な総合栄養食のフードを与えます。
彼らは特別大食漢な犬種という訳ではありませんが、相当な食費がかかることを覚悟しておきましょう。
なお、与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談すると良いでしょう。
海外では胃捻転を防ぐという観点から、ドライフードではなくローフード(生肉や生魚)を与えるブリーダーもいるようです。
ナポリタン・マスティフの被毛はシングルコートの短毛なので、手入れは簡単です。
週に1回程度ブラッシングをすれば、十分に清潔さを保つことができます。
ただし、非常によだれが多いので、こまめにタオルで拭いてあげましょう。
特に暑い時期や食後はよだれの量が増すので、常に手元にタオルを置いておいた方が良いです。
また、しわの部分に汚れがたまりやすいので、こちらもこまめに硬く絞った濡れタオルで拭ってあげてください。
ナポリタン・マスティフの被毛は滑らかで短いため、そこまで汚れることがありません。
しかし、抜け毛を取り除き、皮膚病を避けるためにも1.5~2か月に1回はシャンプーをしましょう。
シャンプーをする際は柔らかいタオルを使って、顔のしわの間も清潔にしてあげてください。
ナポリタン・マスティフには最低1回1時間程度、1日2回の散歩が必要だといわれています。
彼らは基本的には寝そべっていることが多く、好んで運動するタイプではありません。
しかし、その重い体重を支えるために、しっかりと運動させて筋肉を維持する必要があります。
ただ、体重が重く関節に負担がかかりやすいため、特に成長期の間は激しすぎる運動は避けた方が良いです。
ナポリタン・マスティフは飼い主に従順ですが、自立心が強く頑固な一面も持っています。
体が大きく力強いため、しつけというよりもしっかりとした訓練ができる方でないと飼育できません。
彼らと暮らす際は訓練を行うと同時に、できるだけ小さいうちから社会化トレーニングを行いましょう。
なるべく多くの人や生き物に会わせ、あちこちに連れて行って多くの刺激を受けさせることが大切です。
どうしても自力での訓練が難しい場合は、プロの訓練士の力を借りると良いでしょう。
ナポリタン・マスティフには、多くの遺伝病があることで知られています。
代表的なものは 「チェリーアイ」(第三眼瞼腺逸脱)、「股関節形成不全」 です。
これらの病気を避けるためには、専門的な知識のあるブリーダーから子犬を迎えることが大切です。
また、遺伝病以外にも 「皮膚病」、「胃捻転」 などを起こしやすいといわれています。
日頃から顔のしわや皮膚を清潔に保ち、食事は1日2回に分けるなどの細かい配慮をすることが大切です。
ナポリタン・マスティフは暑さに弱く、熱中症を起こしやすいといわれています。
夏場は適切にエアコンを使用し、体温が上がりすぎないように配慮してあげてください。
イタリア生まれの大型犬、 「ナポリタン・マスティフ」 について説明してきました。
ナポリタン・マスティフはその魅力から、一度飼うと他の犬が飼えなくなるといわれている犬種です。
しかし、その性質と大きさ、力強さからどんな人でも飼える犬ではありません。
日本ではその存在は珍しいものの、一部熱烈なファンがいるようで純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数では2019年(1月~12月)に11頭の新規登録がされています。
ナポリタン・マスティフを自宅に迎える時は、ぜひ入念な準備を行ってください。
自宅には広いスペースを用意し、マスティフの特徴や訓練方法について改めて学んでおきましょう。
そして、もしナポリタン・マスティフを自宅に迎えたら、しっかりと訓練を行ってください。
飼い主と強い信頼関係で結ばれたナポリタン・マスティフは、その大きな体で家族を暖かく、優しく見守ってくれることでしょう。
公開日 : 2020/07/27