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実は2種類存在する!?縁日で見かける水棲ガメ「ゼニガメ」の特徴や飼い方を解説






「ゼニガメ」という、水棲カメの1種をご存知でしょうか。
ペットショップや縁日のカメ釣りで名前を見たことがあるという方もいることでしょう。

意外に思われるかもしれませんが、実はゼニガメという種類の動物は存在しません。
私たちがゼニガメと呼んでいるのはニホンイシガメ、もしくはクサガメの幼体(子ども)なのです。

本記事ではゼニガメについて、その生態や特徴、飼い方などを解説していきます。

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【目次】実は2種類存在する!?縁日で見かける水棲ガメ「ゼニガメ」の特徴や飼い方を解説

 

ゼニガメの正体に迫る

ゼニガメの生態

分布

大きさ

鳴き声

食性

特徴

繁殖

寿命

ニホンイシガメの生態まとめ

クサガメの生態まとめ

ゼニガメはペットとして飼えるのか

ゼニガメのお迎え方法

ゼニガメの値段

ゼニガメの飼い方

ゼニガメの餌

水槽

カルキ抜き(水質調整剤)

ヒーター・サーモスタッド

水温計

紫外線ランプ

バスキングライト

陸地(足場)

ゼニガメを屋外で飼う時のポイント

ゼニガメを飼う時の注意点

ニホンイシガメの現状について

さいごに

 

 

ゼニガメの正体に迫る

 

水槽を泳ぐゼニガメ

 

ゼニガメは 「爬虫綱 カメ目 イシガメ科」 の動物です。

しかし、先ほども書いた通り、実はゼニガメという種類のカメは存在しません。

 

ゼニガメとは、日本に生息する 「ニホンイシガメ」 クサガメ の幼体(稚ガメ)の別名です。

幼体の甲羅が江戸時代の硬貨「銭」に似ていることから、ゼニガメと呼ばれるようになったと考えられています。

 

かつての日本では、ゼニガメといえばニホンイシガメを指していました。

しかし、ペット用として輸入された外来種のカメ(クサガメやミシシッピアカミミガメなど)が爆発的に増えてしまい、日本の在来種であるニホンイシガメはその数を減らしてしまいました。

そして、数が減ったニホンイシガメの代わりにクサガメがペットとして飼われることが増え、いつの間にかクサガメの幼体もゼニガメと呼ばれるようになったのです。

 

今やゼニガメ=ニホンイシガメではなく、ゼニガメ=クサガメという認識の方が一般的になってしまっています。

 

 

ゼニガメの生態

 

 

ゼニガメの正体を知ったところで、次はその生態について見ていきましょう。

ここからはニホンイシガメとクサガメの両方の生態について、ざっくりと説明していきます。

 

分布

 

上野動物園のクサガメ
「クサガメ」

 

ニホンイシガメは日本の固有種で、本州、四国、九州に生息しています。

一方、クサガメは韓国や中国、台湾や日本(北海道から沖縄にかけた全国)に生息しています。

 

かつては、クサガメも日本の在来種とされていました。

しかし、ニホンイシガメのように化石が見つからず、また歴史上の書籍などに登場しないことから、今では中国から持ち込まれた外来種であると考えられています。

 

大きさ

 

コンクリの上にいるクサガメ
「クサガメ」

 

ニホンイシガメの甲長(甲羅の長さ)は13~20cm、クサガメの甲長は15〜25cmほどです。

クサガメの方が一回り大きく、またともにオスよりもメスの方が大きくなります。

 

鳴き声

 

 

従来カメには声帯がないため、鳴き声がないと考えられてきました。

しかし、最新の研究の結果、オオヨコクビガメやアオウミガメには鳴き声があることが判明しています。

 

もしかしたらニホンイシガメもクサガメも、人間には聞き取れない声で鳴いているのかもしれません。

 

食性

 

サワガニ

 

ニホンイシガメもクサガメも、ともに雑食性の動物です。

野生では甲殻類(ザリガニやサワガニなど)や小魚、水生昆虫や貝、水草などを食べています。

 

特徴

 

 

ニホンイシガメとクサガメは一見すると似ているため、見分けがつきにくいかもしれません。

ただ、良く見るとそれぞれ特徴があるため、以下の特徴に注目してみてください。

 

ニホンイシガメの特徴

 

  • 甲羅の色がオレンジ色~黄土色で明るい
  • キール(甲羅の隆起)が1本
  • 甲羅の後ろ側(尾の方)がギザギザになっている

 

クサガメの特徴

 

  • 甲羅の色が黒~茶色で暗め
  • キールが3本
  • 顔から首にかけて模様が入っている(成熟したオスは模様が消える)
  • 身の危険を感じると臭いを出す

 

繁殖

 

 

カメは体が一定の大きさになると性成熟に至り、繁殖できるようになります。

そのため、成熟にかかるまでの年数は個体による差が大きく、また野生下より飼育下の方が早く成熟する傾向にあります。

 

ニホンイシガメのメスは甲長15~17cm(生後10年ほど)で成熟します。

そして、6~7月に年1~2回(多くて3回)産卵し、1度に1~12個ほどの卵を産みます。

 

クサガメのメスは甲長15~16cm(生後9~12年ほど)で成熟します。

日本では5~7月年に1~3回産卵し、1度に4~9個ほどの卵を産みます。

 

寿命

 

 

ニホンイシガメもクサガメも長寿で、その寿命は20~40年ほどといわれています。

どちらも幼体の頃の死亡率は高いものの、成体になると非常に長生きします。

 

ニホンイシガメの生態まとめ

 

分類:爬虫綱 カメ目 イシガメ科

学名:Mauremys japonica

英名:Japanese Pond Turtle

別名:ゼニガメ(幼体)、イシガメ

分布:日本(本州、四国、九州)

大きさ:13~20cmほど

鳴き声:鳴かない

食性:雑食性

繁殖:

性成熟:生後10年ほど
産卵数:1回に1~12個

寿命:20~40年ほど

 

クサガメの生態まとめ

 

分類:爬虫綱 カメ目 イシガメ科

学名:Chinemys reevesii

英名:Chinese pond turtle、Reeves' turtle

別名:ゼニガメ(幼体)、キンセンガメ(中国産)、リーブスクサガメ

分布:韓国、中国、台湾、日本

大きさ:15~25cmほど

鳴き声:不明

食性:雑食性

繁殖:

性成熟:生後9~12年ほど
産卵数:1回に4~9個

寿命:20~40年ほど

 

 

ゼニガメはペットとして飼えるのか

 

ゼニガメ3匹

 

ゼニガメはペットとして飼育できます。

この項目ではゼニガメをペットとして飼う際のお迎え方法や値段について説明していきます。

 

ゼニガメのお迎え方法

 

 

ゼニガメはペットショップで販売されています。

 

ただし、通常ペットショップで販売されているゼニガメは、クサガメの可能性が高いと考えられます。

現地点ではニホンイシガメも生体の売買が可能ですが、今後絶滅の可能性が高まると売買できなくなる可能性があるかもしれません。

 

ゼニガメの値段

 

 

ニホンイシガメは1匹5,000~10,000円、クサガメは1匹1,000~2,000円程度で販売されています。

ニホンイシガメの方がイシガメよりも希少性が高いため、価格も倍以上するようです。

 

 

ゼニガメの飼い方

 

2段になっているイシガメ

 

ゼニガメは比較的飼育難易度が低く、飼いやすいカメです。

この項目ではゼニガメを飼育するために、必要なものを説明していきます。

 

なお、ニホンイシガメとクサガメで飼育方法に違いがある場合は、その違いについても解説します。

 

ゼニガメの餌

 

 

ニホンイシガメもクサガメも、与えるべき餌は変わりません。

カメ用の配合飼料を主食にして、副食として生き餌(小魚や昆虫など)を与えましょう。

 

水槽

 

 

水槽は最低でも60cm水槽、できれば90cm水槽を用意しましょう。

 

水深はゼニガメが水槽の底に足をついた状態で、息つぎができる程度を目安にすると良いです。

水の量が少ないと人に慣れやすい、またカメの異変に気付きやすいというメリットがあります。

 

しかし、あえて水深を深くし、ゼニガメを自由に泳がせるという方も少なくありません。

水の量が多いとゼニガメ本来の動きが見られる、水が汚れるスピードが遅くなるというメリットがあります。

 

どちらにするかは飼い主の希望とカメの状態を見つつ、決めていくと良いでしょう。

 

カルキ抜き(水質調整剤)

 

 

水槽の水替えをする際や水を継ぎ足す際は、カルキ抜きを使用しましょう。

特に幼体の頃や病気やケガをしている個体の場合は、カルキ抜きを使った方が良いといわれています。

 

そうとはいえ、カメは水をよく汚し、また水槽に必要な水の量も多い生き物です。

水道水を日光に当ててカルキ抜きをする方や、あるいは水道水をそのまま使う方も少なくありません。

 

ヒーター・サーモスタッド

 

 

ニホンイシガメもクサガメも、気温(水温)が下がると冬眠してしまう性質があります。

 

野生のカメは普通冬眠をしますが、飼育下では冬眠した後に目覚めさせるのに少しコツが必要です。

そのため、初心者や冬眠させる自信がない場合は水槽にヒーターをつけ、冬眠させないようにしましょう。

 

なお、ヒーターはサーモスタッド内蔵の物が使いやすくおすすめです。

 

水温計

 

 

ゼニガメを健康的に飼育するためには、水温計(温度計)が欠かせません。

 

水槽には水温計を設置し、朝晩水温の確認をする習慣を付けましょう。

特にヒーターを入れている冬場、水温が上がりがちな夏場はチェックを欠かさないようにしてください。

 

紫外線ランプ

 

 

ニホンイシガメもクサガメも、甲羅や骨を作るために紫外線を必要とします。

室内で飼育する場合は、爬虫類用の紫外線ランプを設置してください。

 

ニホンイシガメはクサガメと比較すると、やや強い紫外線が必要だといわれています。

 

バスキングライト

 

 

バスキングライトは、変温動物であるゼニガメの飼育に欠かせないアイテムです。

ゼニガメが自分で暖を取れるように、水槽内にバスキングライトをセットしましょう。

 

バスキングライトは陸地に向かって照射し、ライトの下が30℃程度になるように調整してください。

 

陸地(足場)

 

 

ニホンイシガメもクサガメも、野生では基本的に水の近くや水の中で暮らしています。

しかし、常に水の中にいる訳ではなく、甲羅干しや休憩の時は陸地に上がることも多いです。

 

水槽内には陸地を設置し、常に乾燥している状態に保ってあげてください。

 

 

ゼニガメを屋外で飼う時のポイント

 

 

ニホンイシガメもクサガメも日本で生息・繁殖していることから、屋外でも問題なく飼育できます。

 

屋外飼育する際は大きめの水槽やプラ舟(トロ舟)、人工池、古いバスタブなどを使いましょう。

そしてカメが逃げ出さないように、水槽の周りに柵やネットを張ってください。

 

屋外でゼニガメを飼育する際は、特にヒーターやバスキングライトは必要ありません。

夏は日陰を作る、冬場は冬眠させるために水槽を覆うなど季節に合わせた世話をしてあげてください。

 

 

ゼニガメを飼う時の注意点

 

 

ゼニガメ、特にクサガメは、一度飼い始めたら絶対に外に逃がさない(捨てない)でください。

 

ニホンイシガメとクサガメは、同じイシガメ科に属するカメです。

比較的近い仲間であることから、2種は簡単に交雑(※)してしまいます。(※異なる種類の動物の間で子どもが生まれること)

 

ニホンイシガメとクサガメの交雑種はウンキュウと呼ばれ、一部ではペットとして珍重されています。

ただ、もともと外来種であるクサガメとウンキュウは、日本の野外に存在すべき動物ではありません。

 

日本の野生動物たちを守るため、ゼニガメは絶対に逃がしたり捨てたりしないでください。

 

 

ニホンイシガメの現状について

 

 

ニホンイシガメは、かつてごく当たり前に見られるカメでした。

しかし、ある時からクサガメや ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ) などの体が大きく、繁殖力が強い外来種のカメがペット用として大量に輸入され、捨てられたカメたちが爆発的に増えてしまったのです。

 

その結果、ニホンイシガメたちは外来種のカメたちにエサや住みかを奪われてしまいました。

そして開発によって生息地が破壊され、外来種の哺乳類・ アライグマ に食べられ、またクサガメとの交雑が起こって純粋なニホンイシガメはどんどんその数を減らしています。

 

以前は当たり前の存在だったニホンイシガメは、今や多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。

 

 

さいごに

 

水槽に入っている3匹のゼニガメ

 

今回は 「ゼニガメ」(ニホンイシガメ・クサガメ) について解説してきました。

 

ゼニガメはごく一般的で、ペットショップでも良く販売されている身近なカメの一種です。

しかし、カメは非常に寿命が長いため、飼育し始めると数十年の時を一緒に過ごさなければなりません。

カメのそういった性質を知らずに飼った人が捨てたカメが繁殖し、日本の動物たちを脅かしている…という悲しい現状をどうか忘れないでください。

 

ゼニガメ(ニホンイシガメやクサガメとも)は比較的人に慣れやすく、愛嬌があることで知られているカメたちです。

長い時間を生き物とのんびりと過ごしたいという方にはぴったりのペットと言えるでしょう。


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