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ゼニガメは 「爬虫綱 カメ目 イシガメ科」 の動物です。
しかし、先ほども書いた通り、実はゼニガメという種類のカメは存在しません。
ゼニガメとは、日本に生息する 「ニホンイシガメ」 と 「 クサガメ 」 の幼体(稚ガメ)の別名です。
幼体の甲羅が江戸時代の硬貨「銭」に似ていることから、ゼニガメと呼ばれるようになったと考えられています。
かつての日本では、ゼニガメといえばニホンイシガメを指していました。
しかし、ペット用として輸入された外来種のカメ(クサガメやミシシッピアカミミガメなど)が爆発的に増えてしまい、日本の在来種であるニホンイシガメはその数を減らしてしまいました。
そして、数が減ったニホンイシガメの代わりにクサガメがペットとして飼われることが増え、いつの間にかクサガメの幼体もゼニガメと呼ばれるようになったのです。
今やゼニガメ=ニホンイシガメではなく、ゼニガメ=クサガメという認識の方が一般的になってしまっています。
<荒川ビジターセンター 生きもの情報>
— 足立区荒川ビジターセンター (@arakawa_vc) June 24, 2019
学びピア21の駐輪場で発見された、体長5cmほどのニホンイシガメ。ペットショップなどではよく「ゼニガメ」の名で販売されていることがありますが、実は野生のニホンイシガメの数は減少しており、今では貴重な生きものとなっています。 pic.twitter.com/F6ha5sl8Z7
ゼニガメの正体を知ったところで、次はその生態について見ていきましょう。
ここからはニホンイシガメとクサガメの両方の生態について、ざっくりと説明していきます。
ニホンイシガメは日本の固有種で、本州、四国、九州に生息しています。
一方、クサガメは韓国や中国、台湾や日本(北海道から沖縄にかけた全国)に生息しています。
かつては、クサガメも日本の在来種とされていました。
しかし、ニホンイシガメのように化石が見つからず、また歴史上の書籍などに登場しないことから、今では中国から持ち込まれた外来種であると考えられています。
ニホンイシガメの甲長(甲羅の長さ)は13~20cm、クサガメの甲長は15〜25cmほどです。
クサガメの方が一回り大きく、またともにオスよりもメスの方が大きくなります。
従来カメには声帯がないため、鳴き声がないと考えられてきました。
しかし、最新の研究の結果、オオヨコクビガメやアオウミガメには鳴き声があることが判明しています。
もしかしたらニホンイシガメもクサガメも、人間には聞き取れない声で鳴いているのかもしれません。
ニホンイシガメもクサガメも、ともに雑食性の動物です。
野生では甲殻類(ザリガニやサワガニなど)や小魚、水生昆虫や貝、水草などを食べています。
おはようございます!
— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) June 22, 2018
上野動物園、開園しました! #ニホンイシガメ pic.twitter.com/XQuWbIkbjJ
ニホンイシガメとクサガメは一見すると似ているため、見分けがつきにくいかもしれません。
ただ、良く見るとそれぞれ特徴があるため、以下の特徴に注目してみてください。
7月に産卵したニホンイシガメの卵が孵化しました!
— 千葉市動物公園【公式】 (@ChibaZoo) September 16, 2017
よく小さな卵に収まっていたなと、感心してしまいます。
しばらくは健康管理のためバックヤードで飼育しますが、落ち着いたら子ガメたちを公開します。
(CES) #chibazoo pic.twitter.com/2F33aqm4zc
カメは体が一定の大きさになると性成熟に至り、繁殖できるようになります。
そのため、成熟にかかるまでの年数は個体による差が大きく、また野生下より飼育下の方が早く成熟する傾向にあります。
ニホンイシガメのメスは甲長15~17cm(生後10年ほど)で成熟します。
そして、6~7月に年1~2回(多くて3回)産卵し、1度に1~12個ほどの卵を産みます。
クサガメのメスは甲長15~16cm(生後9~12年ほど)で成熟します。
日本では5~7月年に1~3回産卵し、1度に4~9個ほどの卵を産みます。
花粉の飛散がピークと言われ早数日。いっそのこともう一気に全部飛ばしてくれ!!と願う投稿者です。
— 智光山公園こども動物園【公式】 (@ChikozanZoo) March 13, 2019
春の訪れは花粉以外にもそこかしこに。
動物園では、クサガメが冬眠から明け始めました。もうしばらくうとうとした状態が続きますが、目覚めまでもう少しですね。 #クサガメ #冬眠明け #chikozanzoo pic.twitter.com/vAPoyF3RW4
ニホンイシガメもクサガメも長寿で、その寿命は20~40年ほどといわれています。
どちらも幼体の頃の死亡率は高いものの、成体になると非常に長生きします。
分類:爬虫綱 カメ目 イシガメ科
学名:Mauremys japonica
英名:Japanese Pond Turtle
別名:ゼニガメ(幼体)、イシガメ
分布:日本(本州、四国、九州)
大きさ:13~20cmほど
鳴き声:鳴かない
食性:雑食性
繁殖:
性成熟:生後10年ほど
産卵数:1回に1~12個
寿命:20~40年ほど
分類:爬虫綱 カメ目 イシガメ科
学名:Chinemys reevesii
英名:Chinese pond turtle、Reeves' turtle
別名:ゼニガメ(幼体)、キンセンガメ(中国産)、リーブスクサガメ
分布:韓国、中国、台湾、日本
大きさ:15~25cmほど
鳴き声:不明
食性:雑食性
繁殖:
性成熟:生後9~12年ほど
産卵数:1回に4~9個
寿命:20~40年ほど
ゼニガメはペットとして飼育できます。
この項目ではゼニガメをペットとして飼う際のお迎え方法や値段について説明していきます。
ゼニガメbabyが入荷しています🎵
— アクアステージ21さいたま店 (@aqua21_saitama) June 30, 2020
可愛いべびたん‼️ #アクアステージ21埼玉店 #クサガメ #ゼニガメ #亀 #かめ pic.twitter.com/Qj1z2vD9fl
ゼニガメはペットショップで販売されています。
ただし、通常ペットショップで販売されているゼニガメは、クサガメの可能性が高いと考えられます。
現地点ではニホンイシガメも生体の売買が可能ですが、今後絶滅の可能性が高まると売買できなくなる可能性があるかもしれません。
近所のペットショップでゼニガメが1280円で販売されてた pic.twitter.com/1ZqqOKfJZ9
— 🥺あきぴっぴえん🥺 (@Love_Vaporeon) November 3, 2016
ニホンイシガメは1匹5,000~10,000円、クサガメは1匹1,000~2,000円程度で販売されています。
ニホンイシガメの方がイシガメよりも希少性が高いため、価格も倍以上するようです。
ゼニガメは比較的飼育難易度が低く、飼いやすいカメです。
この項目ではゼニガメを飼育するために、必要なものを説明していきます。
なお、ニホンイシガメとクサガメで飼育方法に違いがある場合は、その違いについても解説します。
ニホンイシガメもクサガメも、与えるべき餌は変わりません。
カメ用の配合飼料を主食にして、副食として生き餌(小魚や昆虫など)を与えましょう。
水槽は最低でも60cm水槽、できれば90cm水槽を用意しましょう。
水深はゼニガメが水槽の底に足をついた状態で、息つぎができる程度を目安にすると良いです。
水の量が少ないと人に慣れやすい、またカメの異変に気付きやすいというメリットがあります。
しかし、あえて水深を深くし、ゼニガメを自由に泳がせるという方も少なくありません。
水の量が多いとゼニガメ本来の動きが見られる、水が汚れるスピードが遅くなるというメリットがあります。
どちらにするかは飼い主の希望とカメの状態を見つつ、決めていくと良いでしょう。
水槽の水替えをする際や水を継ぎ足す際は、カルキ抜きを使用しましょう。
特に幼体の頃や病気やケガをしている個体の場合は、カルキ抜きを使った方が良いといわれています。
そうとはいえ、カメは水をよく汚し、また水槽に必要な水の量も多い生き物です。
水道水を日光に当ててカルキ抜きをする方や、あるいは水道水をそのまま使う方も少なくありません。
ニホンイシガメもクサガメも、気温(水温)が下がると冬眠してしまう性質があります。
野生のカメは普通冬眠をしますが、飼育下では冬眠した後に目覚めさせるのに少しコツが必要です。
そのため、初心者や冬眠させる自信がない場合は水槽にヒーターをつけ、冬眠させないようにしましょう。
なお、ヒーターはサーモスタッド内蔵の物が使いやすくおすすめです。
ゼニガメを健康的に飼育するためには、水温計(温度計)が欠かせません。
水槽には水温計を設置し、朝晩水温の確認をする習慣を付けましょう。
特にヒーターを入れている冬場、水温が上がりがちな夏場はチェックを欠かさないようにしてください。
ニホンイシガメもクサガメも、甲羅や骨を作るために紫外線を必要とします。
室内で飼育する場合は、爬虫類用の紫外線ランプを設置してください。
ニホンイシガメはクサガメと比較すると、やや強い紫外線が必要だといわれています。
バスキングライトは、変温動物であるゼニガメの飼育に欠かせないアイテムです。
ゼニガメが自分で暖を取れるように、水槽内にバスキングライトをセットしましょう。
バスキングライトは陸地に向かって照射し、ライトの下が30℃程度になるように調整してください。
ニホンイシガメもクサガメも、野生では基本的に水の近くや水の中で暮らしています。
しかし、常に水の中にいる訳ではなく、甲羅干しや休憩の時は陸地に上がることも多いです。
水槽内には陸地を設置し、常に乾燥している状態に保ってあげてください。
昨年生まれたニホンイシガメの子ガメが、今日で1歳になりました!ずいぶん大きくなったので、今日から屋外飼育です。
— 千葉市動物公園【公式】 (@ChibaZoo) September 16, 2018
そして!今年も子ガメが生まれました!
昨年生まれの子と比べると、こんなに小さかったっけ?と驚かされます。
飼育センターにいますので、ぜひ見に来てください。
(CES) #chibazoo pic.twitter.com/AIGYiXoZqe
ニホンイシガメもクサガメも日本で生息・繁殖していることから、屋外でも問題なく飼育できます。
屋外飼育する際は大きめの水槽やプラ舟(トロ舟)、人工池、古いバスタブなどを使いましょう。
そしてカメが逃げ出さないように、水槽の周りに柵やネットを張ってください。
屋外でゼニガメを飼育する際は、特にヒーターやバスキングライトは必要ありません。
夏は日陰を作る、冬場は冬眠させるために水槽を覆うなど季節に合わせた世話をしてあげてください。
「世界カメの日」第三弾、クサガメ!
— 千葉市動物公園【公式】 (@ChibaZoo) May 23, 2017
池や川に普通にいる、身近な水辺のカメです。
が。
近年、クサガメは外来種であることがわかりました。本来は朝鮮半島や中国に生息しています。ペットで飼われている方は、逃がさず大切にしてあげてくださいね。
(CES) #chibazoo pic.twitter.com/xPZenXdfzg
ゼニガメ、特にクサガメは、一度飼い始めたら絶対に外に逃がさない(捨てない)でください。
ニホンイシガメとクサガメは、同じイシガメ科に属するカメです。
比較的近い仲間であることから、2種は簡単に交雑(※)してしまいます。(※異なる種類の動物の間で子どもが生まれること)
ニホンイシガメとクサガメの交雑種はウンキュウと呼ばれ、一部ではペットとして珍重されています。
ただ、もともと外来種であるクサガメとウンキュウは、日本の野外に存在すべき動物ではありません。
日本の野生動物たちを守るため、ゼニガメは絶対に逃がしたり捨てたりしないでください。
水生物館のニホンイシガメです。昔から身近な存在でしたが、今では日本中で絶滅が危惧されている生物なんです。外来種のカメの影響や生息環境の破壊により数を減らしています。井の頭にもまだ残っているので、また数が増えて姿を見せて欲しいですね。 pic.twitter.com/NGlBo3IGMO
— 井の頭自然文化園[公式] (@InokashiraZoo) May 1, 2018
ニホンイシガメは、かつてごく当たり前に見られるカメでした。
しかし、ある時からクサガメや ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ) などの体が大きく、繁殖力が強い外来種のカメがペット用として大量に輸入され、捨てられたカメたちが爆発的に増えてしまったのです。
その結果、ニホンイシガメたちは外来種のカメたちにエサや住みかを奪われてしまいました。
そして開発によって生息地が破壊され、外来種の哺乳類・ アライグマ に食べられ、またクサガメとの交雑が起こって純粋なニホンイシガメはどんどんその数を減らしています。
以前は当たり前の存在だったニホンイシガメは、今や多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。
今回は 「ゼニガメ」(ニホンイシガメ・クサガメ) について解説してきました。
ゼニガメはごく一般的で、ペットショップでも良く販売されている身近なカメの一種です。
しかし、カメは非常に寿命が長いため、飼育し始めると数十年の時を一緒に過ごさなければなりません。
カメのそういった性質を知らずに飼った人が捨てたカメが繁殖し、日本の動物たちを脅かしている…という悲しい現状をどうか忘れないでください。
ゼニガメ(ニホンイシガメやクサガメとも)は比較的人に慣れやすく、愛嬌があることで知られているカメたちです。
長い時間を生き物とのんびりと過ごしたいという方にはぴったりのペットと言えるでしょう。
公開日 : 2020/07/09