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アライグマはペットとして飼える?かつて起こった悲劇の歴史とは…
アライグマが日本で昔流行したペットだったことはご存知でしょうか。
動物園の人気者のアライグマの可愛らしさに、「飼ってみたい」と一度は思われた方も多いはず。
しかし、この「飼ってみたい」と思った先人たちによって、アライグマは悲劇の道を辿ることとなってしまいました…。
そんなアライグマの生態、もし飼育することになった時に知っておきたいことをまとめました。
アライグマはアライグマ科アライグマ属に分類される哺乳類。
前足を水中に入れて獲物を探る姿が手を洗っているように見えることが名称の由来。
雑食性で、野生化のアライグマは木の実や果物を採食し、魚や小動物を捕獲して食べます。
タヌキに見た目がそっくりですが、アライグマの尾には黒い輪が数本見られます。
また、タヌキはイヌ科で歩く時に指先で歩く指行性であるのに対し、アライグマはクマのようにかかとを着けて歩くという違いがあります。
原産国は北アメリカ。
カナダ南部から南アメリカ北部にかけて広く分布していて、多くの亜種が知られています。
日本やヨーロッパに人の手で連れ込まれ、野生に放された個体が外来種として自然の中で生息しています。
現在 野生化したアライグマが農作物を荒らすことへの被害や生態系への影響などが問題視されています。
アライグマは生息地や飼育状況によって体の大きさにも差があります。
その幅は、2~14kgほど。
これまで報告されたもので、大きいものでは、全長140cm、体重が28kgを超えるものも。
人間と同じく、体はオスの方がメスよりも大きい傾向にあります。
野生のアライグマは主に森林や草原地帯などに生息しています。
水辺の近くを好み、森林の河川地域などに多く見られます。
環境によく適応するため、湿地帯や沿岸部のほか、農地や郊外、都市部などに現れることも。
一般的には、岩の窪みや木の洞などに巣をつくりますが、都市部や農村部で野生化したアライグマが、人家の納屋や車庫、屋根裏などに住みつく例もあります。
冬に雪に覆われるような寒い地域下では、冬眠とまではいかなくとも穴ごもりをして過ごしますが、暖かい地域では一年中活動しています。
野生での平均寿命は3~5年ほど。
アライグマは本来 夜行性の生き物。
夕方から水辺で採食する姿を多く見かけます。
雑食性で、両生類や魚、果実や木の実、昆虫や小動物、鳥の卵など何でも食べます。
好物は、カエルやザリガニ、魚や貝など。
都市部では生ゴミを漁り、農村部では畑を荒らすなど人間への被害もいくつか報告されています。
アライグマの四肢の5本の指は、特に前肢の感覚が鋭く、前足を水中に入れて獲物を捕らえます。
前述したように、この様子が洗っているように見えるため命名されたアライグマですが、食物を「洗う」という行為をすることはありません。
地域にもよりますが、繁殖期は2~6月頃。
アライグマは一夫多妻で、オスが多くのメスと交尾する動物です。
妊娠期間1ヶ月ほど。
1回で産まれる子は4匹〜7匹です。
産まれたばかりの子どもの体重は60~75g、体長は10cm。
産まれたばかりは、毛は生えておらず、目は閉じた状態ですが、生後3週間前後で目が開き始めます。
10ヶ月から1年ほどで親から独立し、オスは遠くへ離れていきます。
単刀直入に言うと、現在日本でアライグマを個人で飼育することは法律で禁止されています。
ただし、学術研究、展示、教育などの目的で大臣の許可を取得できれば飼うことができます。
愛玩動物、すなわちペットとしては、保護や飼育管理することも、誰かから譲り受けることも、購入することもできません。
というのも、平成16年に公布された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の中で、アライグマが「特定外来生物」に指定されたため。
「特定外来生物」とは、生態系に悪影響を及ぼし、人に危害を加える可能性があり、農林水産業に大きな被害をもたらす生物として捕獲・駆除の対象となる生物。
このリストに入ってから、毎年たくさんのアライグマが駆除されています。
日本では昔、アライグマが1頭当たり5万円程度で販売されていました。
人気に火が付いたのは、80年代。
当時放映されていたアニメ「あらいぐまラスカル」に登場するアライグマの愛らしさに、ペットとして飼いたいという人が殺到。
ペットブームの中、アライグマは海外から輸入され、個人のペットとして飼われることになりました。
しかし、見た目の可愛さとは裏腹にアライグマの性格は凶暴で人になつきにくく、多くの飼い主が手を焼いたことは想像に難しくありません。
アライグマを飼いきれなくなった飼い主が最終的に野に放したり、アライグマ自身が逃げ出したりしたことで野生化で大量繁殖し、現在では多くの被害をもたらす害獣とされてしまっているのです。
前述したように、アライグマを現在の日本でペットとして飼育することは禁止されています。
ここでは豆知識として、もし外国で飼育することになったら、または大臣の許可を得て飼育することになったらという前提で、飼育方法をご紹介します。
飼育環境はなるべく広い場所で適度に運動できるスぺースを用意しましょう。
外で放し飼いにしていると高確率で逃げ出してしまい、近隣の生態系を脅かす存在となってしまいます。
人参などの野菜やリンゴ、バナナを主に、副食にドッグフードを与える場合が多いようです。
雑食性ではありますが、骨が多い肉や魚は与えない、もしくは骨を取り除いてから与えましょう。
犬と違い、アライグマはペットとしての品種改良をされていない生物です。
基本的に人に慣れるということはないものとして考えましょう。
元来の性質が荒いため、無理にスキンシップをはかるのは大変危険です。
アライグマは人に感染する病気を媒介する動物として知られています。
犬と同じく、狂犬病ウイルスを持っているので、必ず予防接種を受けましょう。
回虫などの寄生虫や、人獣共通感染症であるレプトスピラ症に感染している例も多く、かなり飼育には注意する必要があります。
また、アライグマを診てくれる病院はほとんどないため、事前に調べておく必要があります。
飼育下でのアライグマの寿命は10年〜20年ほどです。
アライグマは過去のペットブーム被害者の代表ともいえる動物です。
私たちもテレビやペットショップで見かけて「可愛いから」と安直に動物を購入しないようにしたいものですね。
特に野生動物をそのままペットとするのは飼育の観点から見てかなり難しいことです。
最期の時を見届けるまで共に過ごすパートナーとして、自分に合ったペットを選びましょう。
最終更新日 : 2020/11/11
公開日 : 2017/01/26