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【獣医師監修】スナネズミ(カラージャービル)の特徴や飼い方を解説






「スナネズミ」というネズミの仲間をご存知でしょうか。
もしかしたら別名の「ジャービル」や「カラージャービル」という名前であれば知っているという方もいるかもしれません。

元々スナネズミは、実験動物として100年ほど前から飼育されるようになった動物です。
しかし、性格が穏やかで体が丈夫、寿命も長めという飼いやすさから、近年ペットとして飼育されることも増えてきました。

本記事では、そんなスナネズミの生態や飼い方、飼育する際のポイントなどを解説していきます。

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【目次】【獣医師監修】スナネズミ(カラージャービル)の特徴や飼い方を解説

 

スナネズミの生態

分布

大きさ

鳴き声

食性

特徴

繁殖

寿命

小話・デグーとスナネズミの違い

スナネズミの生態まとめ

スナネズミはペットとして飼えるのか

スナネズミのお迎え方法

スナネズミの値段

スナネズミの飼い方

スナネズミの餌

ケージ

保温器具

床材(敷材)

砂浴び用の容器・砂

巣箱

餌入れ

水入れ

スナネズミの飼う時のポイント

1. できれば多頭飼いする

2. 静かな環境で飼う

3. 尻尾の先はつかまない

スナネズミがいる動物園・施設

【大阪府】天王寺動物園

さいごに

 

 

スナネズミの生態

 

 

スナネズミは、  「哺乳綱 ネズミ目(齧歯目) ネズミ科」  の動物です。

 

もともと実験動物として使われることが多く、ペットとしてはマイナーな存在でした。

しかし、その存在はドラマ化もした獣医学部が舞台の漫画  「動物のお医者さん」  に登場したことで一躍有名になりました。

 

まずはそんなスナネズミの生息地や大きさ、特徴などについて説明していきます。

 

分布

 

中国の砂漠のイメージ

 

野生のスナネズミは中国北部やモンゴル、ロシア周辺に分布しています。

砂漠から半砂漠のような乾燥した地域を主な生息地として、砂を掘って作った巣穴で生活しています。

 

基本的には夜行性ですが、彼らの生息地は冬には-40℃、夏には50℃を超えることもある厳しい環境です。

そのため、昼の暑い時間帯や夜の冷え込みが厳しい時間帯になると、巣穴に戻って暑さや寒さをやり過ごしているようです。

 

大きさ

 

手のひらにのるスナネズミ

 

スナネズミの体長は13cmほど、尻尾の長さは10cmほどです。

体重は60〜90g前後ですが、オスの方がやや大きめになる傾向があります。

 

鳴き声

 

 

スナネズミは  「ピーピ―」「キューキュー」  といった、か細く小さな声で鳴きます。

姿を見ずに鳴き声だけ聞くと、小鳥の鳴き声のように思えるかもしれません。

 

食性

 

 

スナネズミは草食傾向の強い、雑食性の動物です。

野生では主に植物(ヨモギやオカヒジキの仲間など)や、その種子を食べて暮らしているようです。

 

特徴

 

白いスナネズミ

 

スナネズミは野生のネズミの一種で、まさにネズミそのものといった見た目をしています。

その特徴は尻尾が長く毛が生えていること、そして穏やかな性格と多彩なカラーです。

 

本来野生のスナネズミの色は全身が灰褐色で、お腹が白色です。

しかし、ペット向けのスナネズミには、多くの毛色(ブラック、ナツメグ、ライラックなど)があります。

 

ペットショップでは、野生の個体を改良したカラフルなスナネズミを  「カラージャービル」  と呼んでいるようです。

 

そんなスナネズミは、もともとペット用ではなく実験動物用として飼育されてきました。

中でも脳梗塞やてんかん、寄生虫や細菌感染などの研究に使われ、多くの結果を残しています。

 

日本ではまだペットとしての馴染みはやや薄いものの海外では人気が高く、定期的に品評会が行われているそうです。

 

繁殖

 

スナネズミの赤ちゃん

 

スナネズミは生後65~80日程度で性成熟し、繁殖できるようになります。

 

妊娠期間は24〜26日ほどで、1回に4~7匹ほどの赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんはほとんど毛がなく非常に未熟な状態(2.5gほど)で生まれますが、あっという間に成長し1ヶ月ほどで離乳します。

 

なお、育児中には親ネズミが赤ちゃんを殺してしまう、子殺しや共食いが起こることがあります。

栄養不足やストレスが原因だといわれていますが、詳しいことはよくわかっていません。

 

寿命

 

 

スナネズミの寿命は野生下で3~4ヶ月、飼育下で2~5年ほどと言われています。

体の大きさから考えると、非常に長生きする動物だと言えるでしょう。

 

小話・デグーとスナネズミの違い

 

左:デグー 右:ジャービル
左:デグー  右:ジャービル

 

ところで  デグー   というネズミの仲間をご存知でしょうか。

別名  “アンデスの歌うネズミ”  とも呼ばれるデグーは知能が高く、人懐こいため近年人気が高まっています。

 

そんなデグーと本記事で紹介しているスナネズミは、非常によく似ています。

どちらも穏やかな性格で飼いやすいネズミですが、ぱっと見た時に見分けがつかない…という方も多いことでしょう。

 

両者の違いとしては、まず体の大きさが挙げられます。

大人になった時の体重はデグーで200~250gほど、スナネズミで60gほどと大幅に異なります。

 

また、デグーは完全な草食動物ですが、スナネズミは草食傾向が強い雑食動物です。

そして、デグーは歌うような多彩な声で鳴きますが、スナネズミはか細い声で鳴きます。

 

健康なデグーの歯は鮮やかなオレンジ色なので、歯で見分けるのも良い方法と言えるかもしれません。

 

スナネズミの生態まとめ

 

分類:哺乳綱 ネズミ目(齧歯目) ネズミ科

学名:Meriones unguiculatus

英名:Mongolian Jird(Mongolian gerbil)

別名:カラージャービル、モンゴリアンジャービル

分布:中国北部やモンゴル、ロシア周辺

大きさ:

体長・13cmほど(尻尾の長さ・10cm前後)
体重・60〜90gほど

鳴き声:「ピーピー」「キューキュー」など

食性:雑食

繁殖:

性成熟・生後65〜85日
妊娠期間・約25日
産子数・4~7匹

寿命:2~5年ほど

 

 

スナネズミはペットとして飼えるのか

 

 

スナネズミはペットとして飼育できます。

ただし、ペットショップではスナネズミではなく、  「モンゴリアンジャービル」  や  「カラージャービル」  という名前で販売されていることが多いです。

 

この項目ではスナネズミの購入方法と、その値段について解説します。

 

スナネズミのお迎え方法

 

たっぷりの敷材の上にいるスナネズミ

 

スナネズミはペットショップで購入できます。

 

大きめのペットショップであれば、店頭の小動物コーナーに並んでいることもあります。

店頭にいない場合は、取り寄せができるか問い合わせてみると良いでしょう。

 

スナネズミの値段

 

 

スナネズミは、1匹1,000円~3,000円程度で販売されています。

繁殖が容易であることから、値段はある程度落ち着いているものと考えられます。

 

 

スナネズミの飼い方

 

ケージの中にいる2匹のスナネズミ

 

スナネズミは体が丈夫で、比較的飼いやすいとされている 小動物 です。

基本的にハムスターと同じ飼い方をすれば良いと言われていますが、実際に飼育する時はどんな物が必要となるのでしょうか。

 

この項目ではスナネズミを飼育するために必要な物と、その選び方を説明していきます。

 

スナネズミの餌

 

 

スナネズミは雑食性の動物ですが、野生では主に植物を食べて暮らしています。

 

ペットとして飼育する時は、ハムスター用のペレットを主食にすると良いでしょう。

副食には野菜や穀類を与え、動物性の食べ物(昆虫や乳製品など)は控えめにします。

 

なお、スナネズミには ハムスター のような頬袋はありませんが、巣の中に餌をため込む習性があります。

ため込んだ餌は腐ったりカビが生えたりする原因となるため、毎日取り除いてください。

 

ケージ

 

 

スナネズミのケージには、小動物用ケージや水槽などを使うと良いでしょう。

床材を散らかす傾向があるため、金網ではなくプラスチックやガラス製のものをおすすめします。

 

また、垂直に30cmほど飛び跳ねるほどのジャンプ力があるため、高さがあるものを選びましょう。

ケージは定期的に水洗いし、日光に当てて消毒してください。

 

金網ケージのメリットとデメリット

 

  • 通気性が良い
  • キズが付きにくい
  • 保温性が悪い
  • 床材やホコリが舞う
  • 尻尾や足をはさんでしまうことがある

 

プラスチック製ケージのメリットとデメリット

 

  • 通気性が悪い
  • キズが付きやすい
  • 保温性が良い
  • ホコリが舞わない
  • 軽いので扱いやすい

 

ガラス製ケージのメリットとデメリット

 

  • 通気性が悪い
  • キズが付きにくい
  • 保温性が良い
  • ホコリが舞わない
  • 重いので持ち運びが大変

 

保温器具

 

 

スナネズミを健康的に飼育するためには、保温器具が欠かせません。

 

野生のスナネズミは、時に-40℃にもなる半砂漠地帯に生息しています。

しかし、そういった気温の時は巣穴の中に避難して冬眠状態になり、仲間と身を寄せ合ってなんとか耐えているに過ぎません。

 

飼育下では体力を消耗させないように、気温が下がったら小動物用のヒーターをつけてあげてください。

 

床材(敷材)

 

 

スナネズミは砂漠に穴を掘って暮らす習性があるため、本能的に穴を掘ることを好みます。

ケージの中には床材を厚め(寝る場所では深さ7cmほど)に敷き、好きなように穴を掘れる環境を作ってあげると良いでしょう。

 

砂浴び用の容器・砂

 

 

スナネズミは穴掘りだけでなく、砂浴びも大好きです。

砂浴びをして被毛についた油や汚れを落とすため、床材とは別に砂浴び用の砂を用意してください。

 

砂浴び用の容器としては小動物用として販売されているもののほか、瓶や陶器を使う方も多いです。

 

巣箱

 

 

スナネズミはとても臆病で繊細な性格で、ストレスを感じやすい動物です。

ケージの中には巣箱やトンネルなどの身を隠し、安心して休める場所を作ってあげてください。

 

餌入れ

 

 

スナネズミに衛生的に餌を与えるため、餌入れを用意しましょう。

彼らは思いのほか力が強く、餌入れをひっくり返すことがあるので陶器製などの重量があるものがおすすめです。

 

餌入れは毎回洗い、しっかりと乾燥させてから使ってください。

 

水入れ

 

 

半砂漠地帯に生息するスナネズミの体には、水分を上手に使う仕組み(水分を無駄にしないように濃いオシッコや乾燥したウンチをする)が備わっています。

飼育下でも水を大量に飲むことはなく、特に水分が多い野菜を与えている場合は水を飲まないことも多いです。

 

そうとはいえ、いつでも水が飲める状態を作っておくことが大切です。

ボトルタイプの水入れが使える場合はボトルに、ボトルが苦手な場合は皿に水を入れて与えましょう。

 

水は痛みやすいため、キレイに見えても1日に1回は取り換えてください。

 

 

スナネズミの飼う時のポイント

 

スナネズミ団子

 

スナネズミを飼うために必要な物を説明した後は、スナネズミを飼う時のポイントを解説していきます。

 

なお、スナネズミはとても臆病なので、観賞用のペットと考えることをおすすめします。

触れ合いを楽しみたい場合は、ハムスターやデグーを飼育した方が良いでしょう。

 

しかし、スナネズミも根気強く慣らすと触れ合いを楽しんだり、手に乗ったりする個体もいるようです。

 

1.  できれば多頭飼いする

 

折り重なるスナネズミ

 

スナネズミはもともと群れで暮らしているため、小さいころから同居している個体であれば、多頭飼いしてもケンカすることがほぼありません。

むしろ多頭飼いするとスナネズミの間でコミュニケーションが取れるため、安心して生活できるようです。

 

しかし成体になってから初めて同居させる場合にはケンカになることもあり、メス同士では噛み傷が重症になることも。

またオスとメスを一緒に飼うと、あっという間に繁殖してしまうので注意が必要です。

 

2.  静かな環境で飼う

 

回し車とスナネズミ

 

スナネズミは非常に臆病で、強い刺激(大きな音や光など)を受けると気絶してしまうことがあります。

心身ともに負担をかけないように、ケージはできるだけ静かな環境に置いてあげてください。

 

3.  尻尾の先はつかまない

 

 

スナネズミの尻尾は根元から先端まで、びっしりと毛で覆われています。

そんな彼らの尻尾は先を持ったり、何かに挟んだりすると皮がむけてそこから切れてしまいます。

 

一度切れた尻尾は再生せず、切れた部分から細菌などに感染する可能性もあります。

尻尾が切れてしまったら、一度病院に連れて行った方が良いでしょう。

 

捕獲する時はエサでおびき寄せるか尻尾の根元を優しくつかみ、お腹を支えるように持ってください。

 

 

スナネズミがいる動物園・施設

 

 

スナネズミに興味を持った方は、ぜひ動物園に行ってみてください。

 

そして、本物のスナネズミの大きさや臭い、そしてどんな設備で飼育しているのか観察してみてください。

近くに飼育員の方がいれば、どんな点に気を付けて飼育しているか聞いてみるのも良いでしょう。

 

ここでは、スナネズミを飼育展示している動物園をご紹介します。

 

【大阪府】天王寺動物園

 

 

大阪府にある天王寺動物園の夜行性動物館では、スナネズミが飼育されています。

タイミングが良ければ、スナネズミたちが固まって眠る “スナネズミ団子” が見られるかもしれません。 

 

天王寺動物園の基本情報

 

住所:〒543-0063 大阪市天王寺区茶臼山町1-108

マップ: Googleマップ

電話番号:06-6771-8401

入園料:一般500円、小中学生200円、未就学児 無料

開園時間:9:30~17:00(最終入園は16:00まで)

休園日:毎週月曜日(祝日の場合は翌営業日が休園)、年末年始

公式ホームページ: 天王寺動物園

 

 

さいごに

 

 

本記事では穏やかな性格で飼いやすい  「スナネズミ」  について解説してきました。

 

スナネズミは元をたどれば、実験動物として日本にやってきた小動物です。

しかし、今はその愛らしさと飼いやすさから、ペットとしての人気も徐々に高まってきています。

 

そんなスナネズミは臆病なところがあり、すぐに人にべた慣れする動物ではありません。

もしスナネズミを自宅に迎えたら、じっくりと向き合って少しずつ信頼関係を築いていってください。

 

 

監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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