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カラスの寿命は諸説があるものの、恐らく10~20年だと考えられています。
なぜあいまいな表現になっているのかといえば、カラスが野生で生きる鳥だからです。
野生動物の正確な寿命を知るためには、その個体を産まれた時から死ぬ時まで追い続ければなりません。
しかし、野鳥は広い範囲を自由に飛び回って生活しているため、常に追い続けるのは非常に難しいのです。
また、大人のカラスには猛禽類(タカやオオワシ)以外の天敵がいません。
しかし、卵やヒナのうちはヘビやネコなどに襲われて、死んでしまうことも多いものです。
そのため、個体ごとの寿命を追いかけ、記録していくのは地味ながらとても大変な作業となります。
こういった事情からカラスの寿命を調べることは難しく、寿命は10~20年ほどであると考えられている訳です。
なお、カラスの1種「ミヤマガラス」では19.9年生きたという記録が、大型のカラス(種類は不明)では40年以上生きたという記録があります。
さきほど大人のカラスにはほとんど天敵がいない、ということを説明しました。
カラスが長生きする理由はそれだけでなく、他にもさまざまな理由があると考えられています。
この項目では、カラスが長生きする理由を見ていきましょう。
カラスは野生動物ですが、人通りが多い街中でも平然と暮らしています。
実は彼らは街中で生活することによって、天敵から身を守っていると考えられています。
カラスの天敵である猛禽類は体が大きいため、街中に降りてくることはほとんどありません。
つまり、カラスは街中にいれば、天敵に襲われることがほぼなくなるのです。
カラスは雑食性の鳥で、ありとあらゆる物を食べています。
特に街中で暮らすカラスは、私たち人間が出した生ゴミを好んで食べています。
なぜなら、生ゴミには自然下では貴重な生肉や生魚など、栄養価が高い物が含まれているからです。
カラスにとって街は、天敵から身を守りつつ栄養価が高い物を食べられる場所ということがわかります。
カラスは非常に賢く、少なくとも1年前のことを覚えているといわれています。
そのため、1度危ない目に合うと、そのことを覚えていて2度と同じ物に近づきません。
カラスはこの高い危機回避能力により、命を脅かす危険(車など)から身を守っています。
カラスの社会には親から子へと情報を伝える縦の情報伝達の他、仲間同士で情報を伝え合う横の情報伝達があることがわかっています。
ところでカラスの死骸を見たことがある、という方はいるでしょうか。
生きているカラスは見かけるけれど、カラスの死骸は見たことがないという方が多いと思います。
なぜ街中でカラスの死骸を見つけることが少ないのか、当項目ではその理由について説明していきます。
カラスは昼間街中でエサを漁っていますが、夜になると森にある巣やねぐらで休みます。
そのため、巣やねぐら、その周辺に行くとカラスの死骸を見かけやすいです。
しかし、彼らの巣やねぐら自体が人目につきにくい場所にあるため、街中でカラスの死骸を見かける機会はほとんどないと考えられています。
筆者は比較的野生動物が多い地域に住んでいますが、カラスの死骸は田んぼのあぜ道で一度見たことがあるのみです。
一般的に鳥類は死んだ同類を食べる、共食いはしないといわれています。
しかし、雑食であり肉類も好んで食べるカラスは、共食いをすることで知られています。
そうとはいえ、食べるためにあえて仲間を殺すことはないようです。
ただ、これもカラスの死骸をなかなか見かけない理由の1つだといわれています。
ここまではカラスの寿命と、その死骸をなかなか見ない理由について説明してきました。
次に野生のカラスの種類や、その食べ物について説明していきます。
日本国内では、今のところ5種のカラスが観察されています。
1年中姿が見られるのは、 「 ハシブトガラス 」 と 「ハシボソガラス」 の2種類です。
ハシブトガラスは体長約56cm、体重は600~800gでくちばしが太く体が大きくて丸いのが特徴です。
日本全国で見られますが、東京などの都会で見かけるカラスはほとんどがハシブトガラスです。
一方のハシボソガラスは体長約50cm、体重450~600gと小柄でくちばしが細く頭の形がシャープです。
こちらも日本全国で見られますが、どちらかというと田んぼや畑がある郊外の方を好むようです。
他にはミヤマガラス、コクマルガラス、ワタリガラスというカラスが見られます。
しかし、この3種は生息地が限られていたり、渡り鳥だったりと常に姿を見かけるカラスではありません。
カラスは雑食で動物から植物に至るまで、さまざまな物を食べて暮らしています。
自然の中では野鳥の卵やヒナ、昆虫、カエル、動物の死体、果実や種子などを食べているようです。
ただ、果物や米などの農作物や家畜の卵やエサを荒らすことも多く、農家の方にとっては非常にやっかいな存在となっています。
また、ゴミ置き場に群がり、生ゴミを荒らすことも少なくありません。
ハシブトガラスもハシボソガラスも肉を食べますが、どちらかというとハシブトガラスの方が肉類を好む傾向にあるようです。
ところで、何かと厄介者扱いされるカラスは、ペットとして飼うことはできるのでしょうか?
この項目では、カラスはペットとして飼えるのかどうか考えていきます。
日本国内では、カラスをはじめとした野生動物は 「鳥獣保護管理法」 という法律で守られています。
野生動物を勝手に捕獲、飼育することは禁止されていて、違反すると罰金や懲役刑が課せられます。
この法律はケガや病気で動けなくなった動物にも適用されるため、野生動物を保護する際は管轄の鳥獣保護窓口に報告をする必要があります。
ただし、カラス(ハシブト、ハシボソ、ミヤマの3種)は狩猟対象になっています。
そのため、狩猟免許を持っている人が、狩猟期間に捕獲することは違法ではありません。
また、捕獲した個体の扱いは狩猟した人に委ねられているため、食べても飼育しても構わないようです。
海外のカラスでは、アフリカに生息する「ムナジロガラス」が販売されていることがあるようです。
ムナジロガラスはワシントン条約の対象ではないため、輸入・飼育することは不可能ではありません。
ただ、カラスの仲間は過去にペット向けとして密猟、密輸されて摘発された事例があります。
ムナジロガラスのような珍しい動物を購入する時は、必ず信頼のおける業者から購入しましょう。
次にカラスを入手できたと仮定して、実際にカラスを飼う方法を考えていきましょう。
鳥類は一般的にケージで飼育しますが、カラスはケージ飼いが難しい可能性が高いと考えられます。
なぜなら、カラスはとてもくちばしの力が強く、またとても執念深い性質を持っているからです。
ケージの扉や鍵を簡単に破壊してしまうため、1部屋をカラス用の部屋にした方が良いでしょう。
また、興味を引くものを拾い集め、破壊したがる傾向があります。
そのため、壊されたくない物や壊されて困る物は、絶対にカラスの近くに置いてはいけません。
エサにはドッグフードやキャットフード、各種鳥用のエサが使えます。
もともと雑食性なのでフードに加えて野菜や果物、肉類などさまざまなものを与えると良いでしょう。
なお、カラスのように空を飛ぶ鳥は、少しでも体を軽くするため常にフンをします。
カラスと一緒に生活する間は、常にフンを掃除するものという覚悟をしておきましょう。
カラスは非常に頭が良いことで知られているため、飼ってみたいと考える方もいることでしょう。
しかし、その体に秘められた力や生態のことを考えると、人間が飼うべき鳥ではないように思います。
筆者は以前、とある動物園の飼育員として働いていました。
園内には飼育動物たちに与えるエサを狙う、野生のカラスが多く生息していました。
自然が豊かで一部が森のようになっていたため、カラスにとっては良い環境だったのかもしれません。
最初は多少動物のエサを食べられるくらいだったので、姿を見かけても特に気にしていませんでした。
しかし、カラスの行動は日々エスカレートしていき、手洗い用のせっけんを幾度となく盗まれるという金銭的な被害が出たうえ、飼育していたニワトリを1羽殺されてしまいました。
実害が出た後はその場を離れる時はせっけんをしまい、1つずつボトル式のハンドソープに変えました。
そして、動物たちの居住スペースに杭を打ち付け、防鳥ネットを張り、さまざまな整備を行いました。
そんなことが続きカラスには相当困らされたので、当時はカラスのことを憎たらしく思ったものでした。
ただ、カラスは良く見てみると、なかなかかわいい顔をしています。
しかしその姿を見かけると、当時の苦い記憶が蘇ってて複雑な気持ちになってしまうのでした。
身近な野鳥「カラス」の寿命について説明してきました。
カラスのおおよその寿命やその生態、飼い方などが伝わっていたら嬉しいです。
カラスはゴミを漁る姿や真っ黒い見た目が不吉とされて、何かと嫌われがちな存在です。
国内のカラスによる農作物の被害は年間20億前後に及び、金銭的な被害も少なくありません。
しかし、カラスはネズミや虫、動物の死骸を食べて街を掃除してくれる掃除屋的な存在でもあります。
カラスがいなければネズミが大量発生し、それに伴ってダニやノミなどがまん延するかもしれません。
さまざまな面で人に害を及ぼすカラスですが、全くいなくなってしまっては困る存在でもあるのです。
今後人間とカラスがお互いを害さず、よりよく共存できる方法が見つかることを願いたいものです。
最終更新日 : 2020/10/30
公開日 : 2020/06/09