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「メンフクロウ」は、フクロウ目のメンフクロウ科に分類される フクロウ の一種です。
南北アメリカやヨーロッパ、アフリカや東南アジア、オーストラリアなどに多く分布しています。
学名は「Tyto alba」、英名は「Barn Owl」と名付けられました。
英名を直訳すると「納屋フクロウ」となり、これはメンフクロウの多くが納屋のような建物の中に巣をつくることからつけられました。
和名となる「メンフクロウ」は漢字で表記すると「面梟」となります。
これはメンフクロウがまるでお面をかぶっているかのように見えることから、このような漢字が当てられました。
まるでハート型にも見える白いお面のような顔からは、表情を読み取ることができません。
そのせいか逆に神秘的な雰囲気や、なにやらおごそかな雰囲気まで漂ってきそうです。
メンフクロウの体長は約40cm前後となり、フクロウのなかでは中型に分類されます。
体重は200~400gのものが一般的ですが、大きなものになると、なんと700g近くになるものも存在します。
メンフクロウといえば、やはりその名を象徴する白いハートに象られた顔です。
この顔の白い部分は、ただの見た目の違いのようなものではなく、「顔盤(がんばん)」と呼ばれ意味があるのです。
この「顔盤」はフクロウの仲間に多くあるもので、他の種で上げるとペンギンなどにも存在します。
「顔盤」とは、一種のパラボラアンテナの役割を果たすものです。
正確には、目の横の部分を指し、ここが発達しているため、獲物や敵が発するわずかな音にも反応することができます。
よく見るとお分かり頂ける通り、この白い部分も羽毛で覆われています。
「顔盤」は、フクロウの顔の皮膚の部分をさすのではなく、この羽毛部分のことを言います。
羽毛の部分が、集音の働きをすることには驚きです。
メンフクロウといえば、その聴覚の高さにも目を見張るものがあります。
それは当然「顔盤」のおかげでもあるのですが、それ以外にも聴覚が高い理由があるのです。
写真や映像ではどこにあるかわかりづらいのですが、メンフクロウの耳は左右の位置がわずかにずれています。
これはフクロウ全般にも言えることですので、耳が特徴的なフクロウを見る機会があればぜひ確認してみてください。
このように、メンフクロウなどのフクロウの種は、左右の耳の位置が微妙にずれていることで、音を立体的に聞き取ることができるのです。
ちなみに、耳の位置だけではなく、耳の中の穴の奥行きも左右で異なります。
このことにより、左右の耳からの音の違いで、対象物との距離感や方向を正確に把握することができるのです。
聴覚が抜群であり、視覚もよいのはフクロウ全般の特徴としてあげられます。
しかし、視覚が発達しているというのは、必ずしも視力が良いという意味ではありません。
フクロウの仲間たちの視力は、とにかく遠くを見ることに長けています。
その分、至近距離のものはハッキリとは見えないのです。
人間の視力と同じと考えるとよいでしょう。
またメンフクロウもフクロウの仲間であることから、夜行性となっています。
視覚が発達していても、やはり昼間の明るい陽射しには弱く、まぶしくてあまりよく見えていません。
これは瞳孔の大きさが影響しているせいだと言われています。
至近距離のものが見えにくい、昼間はまぶしくて見えにくい。
このように聞くと、あまり目の能力は大したことないのではと考えてしまいそうですが、決してそんなことはありません。
メンフクロウを含む、フクロウの仲間たちの驚くべき目の能力もぜひ知っておいてください。
フクロウの目の感度は、なんと人間のおよそ100倍はあると言われています。
まさかの3ケタもの差には、想像の域をはるかに超えるものがあります。
そして、目が正面に位置していることで、他の種類の鳥たちとは違い、対象物を立体的に捉えることが可能なのです。
聴力も立体的で、視覚も立体的となると、本格的に彼らの見る世界がどのようなものなのかを知りたくなりますね。
最後にあげるのは、正確な距離を把握できる力を持っている点です。
人間でもある程度しか対象物と自分との距離は分からないものですが、フクロウの仲間たちはそこを正確に読み取るのです。
メンフクロウは顔の白さが引き立っていますが、全体的に白い羽毛となっています。
特に体の前側の部分と足が白くなっています。
頭の部分から背中にかけてと、羽の部分は茶色くなっていて、そこには蛇のような模様が入っています。
これは狩りの時の擬態のような役割を果たします。
メンフクロウは基本的なフクロウの生態とほぼ変わりません。
肉食で夜行性、目と耳の能力に長けています。
全世界で生息していると言われているメンフクロウですが、残念ながら日本での野生のメンフクロウは確認されていません。
しかし過去に1度だけ、日本でも発見されたメンフクロウの仲間がいます。
保護されたのは「ミナミメンフクロウ」というメンフクロウの亜種でした。
場所は沖縄県にある西表島(いりおもてじま)で、後にも先にも確認できたのはその1度きりです。
南アメリカや北アメリカ、アフリカやヨーロッパ、東南アジアやオーストラリア多くに生息しています。
野生で生息するメンフクロウの一般的な寿命は、15~20年程度と言われています。
もちろん、野生の環境下の場合は、外敵やケガ・病気などのリスクが多いため、実際はもう少し短くなっているでしょう。
人間の保護・飼育下であれば、10~20年は普通に生きると言われていますので、ペットとして迎え入れると長いお付き合いができそうです。
メンフクロウを含む、フクロウ類は年に1回、繁殖期を迎えます。
繁殖時期は、他の動物たち同様に春先からスタートします。
繁殖期を迎えたメスのフクロウは、独特な鳴き声を上げることでも有名です。
まるで女の人が悲鳴を上げているようだと揶揄されることもあるほどです。
メンフクロウもそうですが、フクロウというのはどう猛そうに見えますが、本来はとても穏やかな鳥です。
しかし、やはり繁殖期・子育て中となるとそうはいきません。
巣に近づくだけでも敵とみなされて、頭上から目や耳を的確に狙って攻撃してきます。
この時期のフクロウや巣には、迂闊に近寄らないようにしましょう。
3~4月ごろに繁殖期を迎え、一度に2~4個程度の卵を産みます。
卵は約1か月程度で孵化し、可愛らしいヒナが誕生します。
ヒナは大きくなるまでは基本、巣の中で過ごします。
その際、メスが巣の中でヒナを守り、オスがエサをとるために外へ出かけます。
生後2週間もすると、羽毛が生えそろい体温調節ができるようになります。
このころになると、メスの親フクロウもエサを求めて巣を留守にすることが増えてきます。
孵化してから約1か月程度でヒナは巣立ちを行います。
それまでは親のフクロウと共に巣を出て、狩りの方法を学んだりし、自立する術を身に着けていきます。
メンフクロウは猛禽類ですので肉食で、主食は哺乳類となります。
主な食料はマウスや小鳥などです。
副食として、昆虫などを食べることもあるようです。
ちなみに、メンフクロウなどの猛禽類は、ヒナの時から生餌を食べています。
そして猛禽類であるため、完全に夜行性となっています。
昼間は静かに眠っていることが多いようですが、飼育下に入ると昼間もそれなりに起きていることもあるようです。
夜行性であることは、自然の中で生きるための大切な習慣です。
日中に活動を行うと、ワシやタカのような他の大型の猛禽類とバッティングしてしまう可能性が高く、危険だからです。
競合を避けるだけでなく、捕食されてしまう危険も回避することができるため、メンフクロウなどのフクロウの仲間は、完全夜行性となりました。
フクロウといえば大変デリケートな生き物です。
その中でもメンフクロウはとくにデリケートで、ストレスが溜まりやすいと言われています。
メンフクロウは、野性味が大変強いため、些細な音や物の動きに敏感に反応します。
温度や、環境にも過敏に反応するため、ストレスで具合が悪くなってしまうこともよくあります。
ただ、古来から人間のすぐ近くで生息してきただけあり、人間との信頼関係を築くことも可能です。
もちろんそれはたやすいことではありませんが、うまく信頼関係を築くことができると、とても懐いてくれるのです。
小さいころから手塩にかけて世話をして育てることが、信頼関係を築くポイントです。
懐いてくれれば、手乗り、肩乗りをしてくれることも夢ではありません。
野性味が強いといっても、基本はおっとりとした穏やかな性格をしています。
ストレスにさえ気を付けてあげれば、良きパートナーとして長く暮らせるでしょう。
メンフクロウはペットとして飼育することが可能です。
飼育方法については、フクロウ全般の飼育方法をおこなえば問題ありません。
しかし、本来フクロウを飼育するということはかなり難易度が高いということを、最初に頭に入れておいてください。
メンフクロウだけでなく、フクロウは普通のペットショップでも取り扱いがあるところもあります。
ですが、できればフクロウの専門店や、猛禽類を多く取り扱っているショップを探して、足を運ぶほうが良いでしょう。
先にお話しした通り、猛禽類の飼育は難易度が高く、困ることが出て来ることも多いでしょう。
その際、専門店であればアドバイスを受けることも可能です。
もちろん、購入の際も専門知識があれば、飼い主さんも安心して相談しながら購入することができるでしょう。
メンフクロウの一般的な価格は、成鳥で約10~20万程度となります。
取扱いショップや、メンフクロウの状態によっては、40万近くになる場合もあります。
性格や特徴などを理解し、把握できていれば成鳥からの飼育でも全く問題はありません。
もし可能であればヒナから育ててみるのも良いでしょう。
ただし、メンフクロウなどのヒナを入手するのはかなり手間がかかります。
メンフクロウのヒナは、店頭や専門店でその姿をみることも少ないでしょう。
むしろみれたらラッキーです。
メンフクロウのヒナを購入したい場合は、繁殖の時期の関係など、さまざまな問題がありますので、大半が予約販売となります。
専門店にも取り扱いが無い場合が多いので、繁殖を専門としているブリーダーを探して、そこでお願いするのが近道です。
フクロウの仲間は大変デリケートなため、個体によっても扱いが難しい場合があります。
もしヒナから飼育を行いたい場合は、かなりの知識量が求められます。
譲ってもらえるブリーダーさんからも、正しい情報を詳しく教えてもらえる環境が「必ず」必要になります。
ですので、少しでも不安があるのであれば、ヒナからではなくある程度成長し、人に慣れた成鳥を選ぶほうが賢明です。
メンフクロウの性格の項目でもお話しした通り、大変デリケートな生き物です。
すこしのことに過敏に反応し、あっというまにストレスを抱えてしまいます。
そこで注意したいのが、適切な環境作りです。
中型サイズとなるメンフクロウの場合、少し大きめの ケージ が必要となります。
時にはケージから出して、自由に飛んだり羽を伸ばしたりできる環境もあるとよいでしょう。
止まり木もできれば自然の木でできたものを用意するのがベストです。
ケージのサイズの目安は、中でメンフクロウが歩き回れる、羽を伸ばすことができることを意識してください。
止まり木も、太さがメンフクロウの足のサイズに合うものをこだわって探してあげましょう。
真っ直ぐすぎるものではなく、すこし歪みがあるものの方が適しています。
ケージ内には、身を隠すことのできる囲いを設置してあげてください。
そうすることで、ストレスが溜まってもそこに隠れて落ち着きを取り戻すことができます。
飼育環境にこだわりをもってあげることで、メンフクロウのストレスはかなり抑えることができるでしょう。
フクロウなどを飼育する際、最大のネックとなるのがエサに関することです。
猛禽類ですので、当然与えるのは生肉となります。
先にお話しした通り、エサはマウスなどの 小動物 がメインとなります。
野生のメンフクロウは、小鳥やコウモリ、 カエル なども好んで食べるようです。
昆虫も好みますが、それでは栄養が足りなくなってしまいますので、やはり小動物を与えることとなります。
販売されている生餌ようの冷凍マウスやヒヨコなどを与えるために、飼い主さん自らの手で食べやすくさばく必要性も出てきます。
このような食事の処理が難しいようであれば、猛禽類の飼育はまず難しいと考えてください。
もちろん、人間の食べるような鶏肉を買ってきて与えることも可能です。
しかし、それでは圧倒的に栄養が不足しまいます。
販売されている食用の鶏肉では、部分的にしか与えることができません。
メンフクロウにとって必要な栄養素は、生餌を食べてこそ満足に得ることが可能なのです。
メンフクロウをペットとして迎えたいのであれば、食事の世話だけは完ぺきにクリアできなければならないのです。
食べることは生きること、それは人間も同じなのでご理解いただけることでしょう。
メンフクロウはとても鋭い爪を持っています。
うかつにその爪に触れてしまうと、引っかかれて飼い主さんが大ケガをしてしまう可能性があります。
メンフクロウに限らず、猛禽類は鋭い爪を必ず持っていますので、革の手袋は必須アイテムとなります。
それですら破れてしまう可能性がありますので、飼育する前にいくつか用意しておくほうが良いでしょう。
見てのとおり、爪同様にくちばしもとがっています。
これらは、野生の中で生活していると、自然と摩耗されていくのですが、ペットとして飼うのであればそうはいきません。
伸びすぎると、飼い主さんだけでなく、メンフクロウ自体が自分で体を傷つけてしまいかねません。
ですので、半年に1度程度、爪とくちばしのケアをしてあげましょう。
犬猫用に販売されている爪きり、切った後の爪を整えるヤスリ、ケアする際にメンフクロウを固定するための布、この3つを用意しましょう。
メンフクロウを用意した布で優しく包み、暴れないようにしっかりと押さえつけます。
ただし、力を入れすぎて羽などに傷がつかないように注意してください。
布にハサミなどで切り込みを入れ、くちばしと爪を露出させます。
慣れて来れば、包む前に先に布に切り込みを入れておくこともできるようになります。
そうなると作業は少し楽になります。
適切な長さというのは個体によってさまざまです。
爪などは切りすぎると出血してしまう可能性がありますので、少しずつカットしていきましょう。
あとでヤスリで整えますので、慣れないうちは長めでカットを止めても問題はありません。
ヤスリも角の部分の面取り程度で、やりすぎには要注意です。
メンフクロウだけでなく、フクロウ全般がかかりやすい病気についてお話ししておきましょう。
一番はストレスからくる不調です。
その次に多いのが食事による栄養失調・栄養不足です。
これらは、飼い主さんが愛情を持って接してあげ、適切にお世話をしていればある程度は防ぐことができるでしょう。
病気となると、ダニやカビ、ウィルスなどから感染してしまう可能性があります。
予防する方法はあまりないので、見た目の変化や、突然の体重の減少などには速やかに対策をとる必要があります。
猛禽類をみてくれる獣医さんは少ないので、いざという時のために駆け込める獣医さんを探しておくことも大切です。
ブリーダーさんやショップにも、普段から万が一の時のための情報収集をしておいてください。
様子がおかしいと思ったら、時間との闘いとなります。
大事なパートナーとなるメンフクロウのために、素早い決断と行動をしてあげてください。
メンフクロウの生態や特徴、性格や飼育についてのポイントなどをお話ししてみました。
フクロウのような猛禽類をペットにするというのは、実は結構難易度が高いのです。
ブームに乗って覚悟なしに手に入れてしまうと、メンフクロウにも飼い主さんにも悲しい結果が待っています。
そうならないために、十分な知識をいれ、覚悟を決めてから受け入れてあげてください。
メンフクロウは、穏やかで温厚な性格ではありますが、しつけがしにくいなどフクロウの中でも飼育レベルはかなり高くなります。
それでも、飼い主さんが愛情をかけてお世話してあげて、少しずつでも信頼関係を築き上げていけば大丈夫です。
人間の飼育下に入ると30年近く長生きすることもあるので、ぜひ信頼関係を構築し、末永いよきパートナーになってもらいましょう!
公開日 : 2017/09/16