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世界最小の 猫種 として知られるシンガプーラは、 シンガポール を原産国に持つ猫。
元々はシンガポールに土着していた猫で、シンガプーラという猫種として正式に認められたのも1979年と、猫種の中でもまだまだ歴史の浅い猫と言えるでしょう。
というのも、シンガプーラはシンガポール国内に普通に住み着いていた、言わば野良猫のような存在だったのです。
日本では徐々に数が減って来た野良猫ですが、シンガポール国内でも野良猫は存在し、シンガプーラも野良猫のような存在であったため、それまでは特に意識されることもなかった猫だったのです。
野良猫としてシンガポールに生息していたシンガプーラ。
純血種として認められるまでは、下水溝にいる猫と言う意味の「ドレインキャット」と言う名前で呼ばれている事もありました。
シンガプーラは、その小さな体格を活かして下水溝にいるねずみを捕まえたり、雨風をしのぐために下水溝で生活しているような猫だったのです。
そのため、ドレインキャットという名で呼ばれている事もあったのでした。
下水溝に住み着き、野良猫として生活していたシンガプーラは、なぜ純血種として認められるまでに至ったのでしょうか。
その運命を変えたのが、1970年代に石油関連の仕事でシンガポールに赴任していた、メドゥ夫妻でした。
メドゥ夫妻は現地の動物保護団体から、「大きな瞳」と「象牙色の毛」を特徴とした、どこか アビシニアン にも似たドレインキャット数匹の猫を引き取り生活をしていました。
1975年には赴任期間を終え、メドゥ夫妻はアメリカへと帰国する事となりましたが、トミー夫人は5匹の猫を本国アメリカへと連れ帰ることにしました。
トミー夫人は連れ帰った猫達をシンガプーラと名付け、繁殖をスタートさせました。
トミー夫人が繁殖し育てた猫は、独特の容姿の美しさや体の小ささ、そして何よりも人懐こい性格が話題を呼び、アメリカ中に一気にその名が知られることとなったのです。
1979年、シンガプーラは猫の血統登録機関のひとつ、「TICA(The International Cat Association)」に、異例の速さで登録されることとなりました。
こうして、シンガプーラという猫が純血種として世界的に認められることとなったのです。
続いて1988年には「CFA(The Cat Fanciers' Association)」にも公認されることとなりましたが、メドゥ夫妻の家にはバーミーズとアビシニアンが先住猫として居たことから、シンガプーラは純血種ではなく、交雑種なのではという議論も一部では繰り広げられているようです。
シンガプーラは英語で「Singapura」と表記されますが、シンガポールの共用後でもあるマレー語では、シンガプーラはシンガポールという意味。
ちなみに、シンガポールという国名の由来には、サンスクリット語で「ライオンの町」という意味があるのだとか。
トミー夫人は、シンガポールから連れ帰った猫なので、シンガプーラと名付けたんですね。
シンガプーラは「小さな妖精」と呼ばれるだけあり、世界最小の猫種として知られており、シンガプーラという猫の最大の特徴でもあります。
そのサイズも、オスの成猫でも2kg程度という小ささ。
近年では3kgを超える大きめのシンガプーラも多く見られるようになりましたが、それでも他の猫種と比較するとシンガプーラは小さい猫です。
成猫になっても体が小さいので、日本でもシンガプーラは人気の猫種になりましたが、狭い日本の住宅で飼育するのにも飼いやすいというのが人気の理由にもありそうですね。
シンガプーラは他の猫種と比べて、性格がおとなしいという特徴もあります。
鳴き声も小さく、ほとんど鳴くことが無い事から、鳴かない猫と呼ばれる事もあるほど。
ペット可のマンションなどで飼育する際にも、あまり鳴き声を発さないので、飼いやすい猫種でもあります。
シンガプーラは、性格はおとなしい猫ですが、元々は下水溝に住み着いてねずみなどを追いかけていただけあって、好奇心旺盛で活発な一面を見せる事もあります。
しかし、アビシニアンや ソマリ と言った活発な猫とは違い、どちらかといえば甘えん坊な性格でもあるので、一緒に遊ぶことや運動することが好きという性格です。
基本的には静かな環境を好むようですが、甘えん坊な性格でもあるので、飼い主さんと一緒に居ることで安心感をおぼえる子が多いようです。
こういった性格も、シンガプーラが人気の理由でもありますが、初心者の方でも比較的飼いやすい猫種でもありますし、初めて猫を飼うけどどんな猫が良いのかわからないという方にオススメしたい猫種です。
動物の中でも猫はツンデレと言われる生き物ですが、シンガプーラは飼い主さんの事が大好きになる猫種でもあります。
その反面、飼い主さんが留守がちだったり、飼い主さん以外の人がたくさん出入りするような環境は、シンガプーラに向かない環境と言えるでしょう。
基本的にはおとなしく、静かな環境を好むシンガプーラですので、飼い主さんと一緒の環境でも落ち着ける環境が理想的と言えるでしょう。
また、シンガプーラは多頭飼育に向かないとも言われています。
これも、落ち着ける環境でなくなるという理由になりますが、甘えん坊な性格なゆえ、しっかりとシンガプーラと向き合って飼うことができる環境作りを心がけるようにしましょう。
シンガプーラは体も小さく性格もおとなしいので、飼いやすいタイプの猫ではありますが、ナイーブな一面も持ち合わせているため、「ただ飼っている」といった飼い方ではシンガプーラが満足できる飼い方とは言えません。
独立心が強く好奇心旺盛な猫種もいますが、シンガプーラはこういった猫種の性格とは違い、甘えん坊でナイーブかつおとなしい性格ということを忘れないようにしましょう。
あくまでも、シンガプーラが「飼いやすい猫」というのも、体が小さく、おとなしい性格という意味で、ほうっておいても良いという意味ではありません。
騒がしい環境や、しっかりと向き合う時間が取れないようであれば、シンガプーラは不向きといえます。
シンガプーラの毛質は非常に美しく、1本の毛に帯状の色が付いたティッキングと呼ばれる毛色をしているので、光のあたり方や見る角度によって、光って見えたりセピア色に見えたりと言ったように美しい毛並みを持った猫です。
被毛のお手入れに関しては、短毛種のため管理しやすく、定期的にブラッシングを行うだけでも問題はありません。
しかし、年に2回ほどやってくる「換毛期」は別です。
換毛期とは、毛が生え変わる時期の事で、古い毛が抜けていき、新しい毛が生え変わってくるタイミングです。
日頃からの抜け毛対策はそこまで必要ありませんが、換毛期には毎日ブラッシングをかけることで、抜け毛もそこまで気にならないレベルかもしれません。
逆に換毛期のブラッシングを放っておくと、抜け毛の塊があちこちに散らばることになるでしょう。
換毛期はこまめにブラッシングをかけ、清潔な毛並みを保つようにしてあげましょう。
シンガプーラは乾燥した環境や寒さに弱いといった弱点があります。
シンガプーラは暑い国で生まれた猫であるため、暑さに対しては多少なりとも耐性はありますが、寒さには弱い猫種です。
特に冬の時期や、寒暖差の激しいような環境には注意が必要です。
暖房設備や水分補給、温度を一定に暖かく保つなど、しっかりと寒さ対策を行ない住み心地の良い環境を作るようにしましょう。
また、シンガプーラはベッドなどの狭い場所を好む子が多いようです。
これも下水溝で生きてきた、先祖の血ですかね。
暖かく包まれるようなベッドを用意してあげると、気持ち的にも温度的にも落ち着ける環境になるかもしれません。
シンガプーラは小型の猫種。
寿命も他の小型の猫種と同じく、おおよそ15年前後となります。
もちろん個体差はありますが、シンガプーラの場合はなるべくストレスのかからないような生活を送らせるようにし、病気にならないような健康管理を目指すことで、しっかりと寿命を全うしてくれることでしょう。
シンガプーラを含め猫にも色々な種類が存在しますが、どの猫種であっても起こりやすい病気と言うものは存在します。
とても神経質な一面もあるシンガプーラですが、シンガプーラがかかりやすい病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
シンガプーラは、遺伝性疾患である「ピルビン酸キナーゼ欠損症」によって、貧血を引き起こす場合が多いと言われています。
食欲の低下や水を多く飲む、おしっこが多い、ふらつく等の症状が見れる場合は、すぐに病院に行って検査してみたほうが良いかもしれません。
乾燥した環境に弱いシンガプーラですが、被毛や皮膚も乾燥には弱く皮膚疾患を引き起こしやすいと言われています。
何かしらの要因でカビ等が皮膚に付着してしまうことで、カビを原因とした皮膚疾患も引き起こされてしまうので、不潔な環境やクーラーなどの掃除、ブラッシングする際の道具などは常に綺麗にしておくよう心がけておきましょう。
シンガプーラは、ペットショップでも販売されている事が多いです。
かなりメジャーかと言えば、そこまでメジャーではありませんが、希少種というわけではありませんので、根気強くペットショップを巡ることでシンガプーラに出会うことは出来るでしょう。
価格に関しては、地域によっても差はありますが、おおよそ15万円から30万の間といったところです。多くは20万円台となるでしょう。
アメリカに渡りその名を知られることとなったシンガプーラですが、シンガポールでは1991年から正式に「Living National Monument(生きる国碑)」として、シンガプーラがマスコットとして採用されることになりました。
シンガポールを代表する猫として、いまでは観光グッズ等にもキャラクターとして登場していたり、お土産等にもシンガプーラのキャラクターが採用されています。
さすがにその量は、シンガポールを代表する「マーライオン」に比べると少ないですが、猫の博物館が建てられているなどシンガポールは猫との繋がりが強い国でもあります。
シンガポールは猫を飼っている人も多く、また、野良猫も多い国でもありますが、野良猫は去勢手術がきちんと行われているなど、実は猫と人がしっかりと共存している国でもあります。
道には餌や水が置かれ、野良猫といっても地域に住み着いている猫がほとんどで、去勢が済んだ猫は、片耳の上部かカットされており見た目ですぐに分かるようになっています。
しかし、何故シンガポールには野良猫が多いのでしょうか。その理由には、シンガポールのこれまでの歴史が関係しているためかもしれません。
シンガポールには、元々マレーキャットと言う猫が土着していましたが、イギリス植民地時代や日本占領下時代など、シンガポールは困難な時代を乗り越えてきた国でもあります。
こういった時代に持ち込まれた猫や、移民などが連れてきた猫など、シンガポールには様々な猫種が運び込まれて土着していったのです。
そのため、現在でも色々な品種の猫や交雑種の猫が生息しているのです。
シンガプーラも、こうした土着猫から派生した猫種なのかもしれませんね。
シンガポール国内でも愛されているシンガプーラですが、シンガポールに流れるシンガポール川に渡されている「カベナ橋」には、かつてシンガプーラの親子の像が設置されていました。
シンガポール観光局がシンガプーラをマスコットとして認定した記念として、15体のシンガプーラ像が設置されていましたが、盗難などによって上記の写真にもある3体のシンガプーラ像を最後に全て無くなってしまったとのこと。
この15体のシンガプーラ像ではありませんが、現在はプラナカン博物館に、かつて博物館に住み着いていた猫の銅像が設置されていますので、 シンガポール を訪れた際にはぜひとも見に行きたい観光スポットですね。
シンガプーラは、猫を飼ったことがない初心者の方でも安心して飼うことの出来る、比較的飼いやすい猫でもあります。
妖精とも呼ばれるだけあって体も小柄で可愛いです。
シンガプーラはまだまだこれからの猫種で、正式に認定されたのもまだまだ最近の話です。
日本でもシンガプーラは人気の猫種ですが、これから更に人気の上がる猫種でもあるでしょう。
小柄で甘えん坊のシンガプーラ、あなたもぜひ癒やされてみてはいかがでしょうか。
最終更新日 : 2020/12/24
公開日 : 2017/07/19