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アフガン・ハウンドが知られるようになったのは18世紀に入ってから
非常に長い間人類と共に生きてきた犬種であるアフガン・ハウンド。
ここからはそのルーツを探っていきます。
アフガン・ハウンドは、現存するどの 犬種 よりも古い歴史を持つと言われています。
その起源は古代エジプトにまで遡るため、はっきりとしたルーツはわかっていません。
あの「ノアの方舟」に乗った犬種だという言い伝えさえ残っているほどです。
紀元前4000年~5000年にはすでに存在していたと推測されるような史料が残っており、ピラミッドやパピルス(古代エジプトで使われていた紙のこと)、土石などに「アフガン・ハウンド」らしき犬の記述が確認されています。
また、アフガニスタンにある古い洞穴にも、アフガン・ハウンドによく似た犬の姿が刻まれています。
人の出入りが少なく、交雑も起こりにくい土地のため、太古の時代から純粋な犬種として育ってきたアフガン・ハウンド。
アフガニスタンではガゼルやヒョウを狩るための猟犬として使われてきました。
バルキー(もしくはバルーキ)という別名があり、これはアフガン・ハウンドを独占していたバルグジーという貴族の名前に由来しています。
とても古い歴史を持つアフガン・ハウンドですが、その存在が広く知られるようになったのは、18世紀にイギリスへ渡ってからとなります。
美しさと優雅さに溢れたアフガン・ハウンドは、イギリスの貴族たちの間で人気を得ました。
イギリスに渡ってからはその容姿に注目されたことで、狩猟犬としての能力よりも、見栄えを優先して改良されてきました。
そのため、より洗練された美しさを備えることとなります。
イギリスで人気となったことをきっかけに、ヨーロッパ全土、そしてアメリカにも広まっていきました。
主にドッグショーで活躍しているアフガン・ハウンドですが、原産国のアフガニスタンでは現在でも猟犬として使われています。
アフガン・ハウンドには他の犬種には見られない点が沢山有ります。
特徴を知り、より理解を深めていきましょう。
アフガン・ハウンドはサイト・ハウンドに分類されます。
サイト・ハウンドというのは狩猟犬の分類のひとつで、「獲物を目で見つけ、持前の走力で捕獲する」タイプのことを言います。
ちなみに、もう一つある分類はセント・ハウンド(嗅覚により、獲物を匂いで追跡するタイプ)と言います。
一見細身なスタイルをしていますが、とても力が強いです。
目で獲物を見つけるための優れた視力と、獲物を追い詰めるための優れた走力を持っています。
スリムな体形と頑強な四肢、厚く大きい足の裏によって、獲物が急激に方向転換した場合でも反射的に身体を反転させることを可能にしています。
顔の横に目が付いているため、視野はなんと270度にも及びます。
見た目としての最大の特徴は、大型犬としては珍しい長い被毛です。
原産国であるアフガニスタンは朝晩の気温差が激しいので、通気性と保温性を保つために長い独特の被毛が発達しました。
頭部の被毛は左右に分かれて、さながら人間の髪の毛のようになっています。
引きずってしまうほどの長い被毛が全身を覆っています。
その他、マズル(鼻から口にかけた部分のこと)が細く長いのも特徴のひとつです。
アフガン・ハウンドの毛色は制限がないためとても多彩です。
また、どんな色になるかは子犬の時には分からず、3歳くらいで被毛がしっかり生え揃って初めて分かります。
もしアフガン・ハウンドの子犬を飼う時に毛色にこだわりがあるのなら、親犬の毛色から予想するしかありません。
アフガン・ハウンドはあらゆる毛色が許容されているため、ここでは代表的な毛色を4色ご紹介します。
お気に入りの毛色を探してみてください。
よく見られる毛色のひとつ、ゴールドです。
黒いマスク(鼻先や顔が黒い毛で覆われていること)があるのも特徴です。
ゴールドに似ていますが、こちらは白に近い毛色をしています。
ブラックをメインとし、首や胸に白いマーキングがある毛色です。
全身が綺麗な白一色の被毛に覆われています。
アフガン・ハウンドは独立心の強い犬種です。
これはサイト・ハウンドの特徴でもあります。
獲物を追いかけるとき、飼い主から離れて自己判断で行動しなければならないので、サイト・ハウンドは独立心の強い性格を持っています。
また、 小動物 を見かけると追いかけてしまうという狩猟本能が残っています。
アフガン・ハウンドはあまり感情を表に出さないので、「猫のような性格」と言われることがあります。
「犬の中で一番頭が悪い」と言われることもありますが、これはアフガン・ハウンドがあまりにも独立心が強く判断力も高いので、飼い主の言うことを聞かないことがあるために言われたことです。
しつけが難しいためにそういう言われ方をしたのであって、実際には自分で状況を判断できる知能の高さを持っているということを知っておいてください。
アフガン・ハウンドを飼育するにあたり抑えておくべきポイントをまとめました。
ペットとして迎え入れたいと考えている方は、是非チェックしてくださいね。
アフガン・ハウンドはアフガニスタンの乾燥した土地で生まれ育った犬種のため、日本のような湿度の高い環境は少し苦手です。
そのため、温度や湿度の調整が出来る室内飼いが適しています。
アフガン・ハウンドを飼うときは、被毛のお手入れが重要になってきます。
長く分厚い被毛なので、毎日ブラッシングをしてあげないとすぐにもつれてしまうためです。
毎日はお手入れ出来ないという場合は、適度な長さにカットしてしまうのも良いでしょう。
アフガン・ハウンドは狩猟犬でもあるため、運動能力がとても高いです。
そのため長時間の散歩や運動が必要になってきます。
ボールやフリスビーを使うなどして、思い切り走らせるなどの運動をさせてあげてください。
アフガン・ハウンドは独立心が強いので、他の犬種よりも根気強くしつけをしなければいけません。
そのため、犬を飼い慣れていない人にはおすすめできない犬種です。
きちんとしつけが出来るかどうか不安な方は、トレーナーに任せてしまうのも良いでしょう。
アフガン・ハウンドの子犬の値段は30万円から60万円と幅があります。
日本ではアフガン・ハウンドを飼育しているブリーダーが少ないため、基本的には40万円以上と高額です。
アフガン・ハウンドはペットショップで販売されていることがほぼないので、基本的にはブリーダーから購入することになります。
購入する場合は近隣でブリーダーが居ないか調べ、実際に犬舎に訪れるようにしてください。
アフガン・ハウンドの寿命は、他の大型犬とほぼ同様の12歳から14歳となっています。
長生きさせるためには、ストレスを溜めないようしっかり運動させることと、以下で紹介する病気に注意することです。
アフガン・ハウンドがなりやすい病気にはどういったものがあるのでしょうか。
症状と予防法を知り、愛犬が健康に過ごせるように日々気にかけましょう。
他の大型犬と同様、胸が深いアフガン・ハウンドも胃拡張胃捻転が起こりやすい犬種です。
食後に運動することなどで胃が捻じれ、胃内に胃ガスがたまることでさらに周りの臓器を圧迫し、臓器の血流障害がおきて死に至ってしまう緊急性の高い病気です。
治療法は手術をすることのみですが、緊急を要する病気のため、アフガン・ハウンドを飼い始めるのと同時に、お医者様も見つけておくのが良いでしょう。
水晶体の一部または全体が白く濁り、視力が低下していく病気です。
多くは6歳以上の年齢を重ねた犬に起こりやすい病気ですが、アフガン・ハウンドは比較的若いうちから発症する可能性があります。
治療法は、白内障の進行を遅らせる投薬治療と、白くなったレンズを入れる外科治療があります。
眼科専門の動物病院で行われることが多く、両目で100万円かかることもあります。
白内障はこれといった予防法がないので、いかに早く病気に気づけるかが重要となってきます。
また、病気ではありませんが、アフガンハウンドは麻酔にとても敏感な犬種です。
原産国 :アフガニスタン
値段 :30万円から60万円
毛色 :あらゆる毛色が認められている(代表的なのはゴールド、クリーム、ブラック&シルバー、ホワイトなど)
寿命 :12歳から14歳
体重 :23kgから27kg
体高 :64cmから74cm
特徴 :とても長い被毛、優れた走力と視力
性格 :あまり感情を表さない、独立心が強い
かかりやすい病気 :胃拡張胃捻転、白内障
注意点 :被毛のケアを怠らないこと、運動不足に注意
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/12/14
公開日 : 2017/04/21