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【獣医師が解説】猫の過剰な毛づくろいと、毛を噛む理由は?その心理と対策方法






猫の毛づくろい(グルーミング)は沢山の役割を持っており、飼っている愛猫が全身を熱心に舐めているシーンをよく見かけることでしょう。
どうなっているの?という体勢でしていたり、舌をしまい忘れているのを見ると、その可愛さに心動かされる飼い主も多いのではないでしょうか。

その毛づくろいも、しすぎて毛が薄くなり禿げてきてしまった時には注意が必要です。
実は病気や、満たされない欲求が隠されているケースがあるのです。

本記事では基本的な毛づくろいの働きや、過剰な毛づくろいが見られた時の原因と対策について解説します。

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【目次】【獣医師が解説】猫の過剰な毛づくろいと、毛を噛む理由は?その心理と対策方法

 

猫が毛づくろいをする理由

1. 清潔にするため

2. 気持ちを落ち着かせるため

3. コミュニケーションの役割

4. 体温調節の役割

過剰に舐めて、毛を噛む原因

皮膚病(ノミ、ダニ、真菌感染、肥満細胞腫、アレルギー性)

膀胱炎

関節炎

ストレス(環境の変化、満たされない狩猟本能)

神経の問題(神経過敏、てんかん様の部分発作)

猫の過剰な毛づくろいが見られた時の対策

病気ではないことを確認

環境エンリッチメント

カラー

ご飯

サプリメント

飼い主を舐めた後に噛んでくる猫の心理

まとめ

 

 


猫が毛づくろいをする理由

 

catgrooming

 

健康な猫が毛づくろいをするのは自然な行動です。

猫特有の体の柔らかさと、ザラザラの舌を駆使して、尻尾の先や後ろ足の先端、お腹や内股まで、隈なく熱心になめているのは、いったい何のためなのでしょうか。

 

1. 清潔にするため

 

猫 グルーミング 毛づくろい

 

もっとも分かりやすい理由がキレイにするための毛づくろいです。

猫は基本的にきれい好きで、匂いや汚れが自身に付着するのを嫌がります。

そのため、ご飯を食べた後や排泄した後など、匂いの付くことがあった後には舐めてキレイにします。

 

飼い主様の手に何か匂いがついていると(ハンドクリームや料理のあとなど)、撫でられた後にはせっせとそれらの匂いや付着物を舐めとる仕草が見られることがあるので、猫を触わる際は、手に匂いが無いときにしましょう。

 

また、季節の変わり目には毛が抜け代わるため、いらなくなった毛を取り除くためにも全身の毛づくろいをします。

その時期には猫が吐いたものの中に汚れたフェルトのような毛玉が出てきます。

 

2. 気持ちを落ち着かせるため

 

猫 グルーミング 毛づくろい

 

これと言って汚れも匂いも付いていないのに、猫は毛づくろいをしていることがあります。

何か不安に思う出来事があった時(大きな音が鳴ったり)や、焦っている時(飛び移りに失敗して滑り落ちた時など)、暇すぎる時にも毛を舐めて気持ちを落ち着かせています。

 

この場合はいつもの毛づくろいと違い、短時間で一部だけを舐めていることが多いです。

 

3. コミュニケーションの役割

 

猫 グルーミング 毛づくろい

 

仲間として認識している猫同士であれば、挨拶や親愛の表現として顔回りをペロペロと舐めていきます。

猫は雄であれば基本的には単独行動、雌であれば血縁(母、娘、妹、叔母)とのグループを作って生活する習性があります。

 

お互いに敵意が無いよ、好意があるよという意思表示として毛づくろいを行います。

逆に、複数飼育する場合に、猫同士が挨拶であるグルーミングをしないのであれば、関係性はイマイチと考えて良いでしょう。

 

4. 体温調節の役割

 

猫 グルーミング 毛づくろい

 

猫は人のように全身から汗をかく生き物ではありません。

人と同様の汗(サラサラのもの)は足の裏からのみ分泌されます。

そのため、気温が高くなってきたときには、全身を舐めることによって毛を濡らし、その気化熱によって体温を調節しているということです。

 

高温多湿の日本では、その体温調節があまり効果的とも思えないので、夏には必ずエアコンで室温を25度前後にしてあげましょう。

 

 

過剰に舐めて、毛を噛む原因

 

catfleas

 

猫にとって必要不可欠な毛づくろいも、過剰に一部を舐めたり、毛をむしる程に噛む場合は、正常の範囲を超えていると考えられます。

その根底に病気が隠されていることも多く、一部を舐め壊している場合は猫からの大切なサインだと知っておきましょう。

 

皮膚病(ノミ、ダニ、真菌感染、肥満細胞腫、アレルギー性)

 

皮膚自体に問題があり、痒みや痛みを出しているために、それを取り除きたくて舐めたり噛んだりしているケースは多くあります。

 

外部寄生虫であるノミやダニは、吸血時に痒みを引き起こします。

真菌(皮膚糸状菌)はそれ自体が毛根を破壊するため、少しの舐める行為で脱毛部ができてしまいます。

 

肥満細胞腫という特殊な腫瘍(悪性)は、猫の顔や耳、頭部に発生することが多く、痒みを誘発します。

顔をよくグルーミングしているなと思ったら、一部が赤くなっていて中々治らないというのは危険なサインです。

 

これらは様子を見ていても良くなることは無く、基本的に悪化していきます。

一部だけを特によく舐めて噛んで、脱毛が見られる時には早い受診が必要です。

 

膀胱炎

 

乾燥地帯から派生してきた動物なので、猫は水分を温存するために濃い尿を排泄することが出来ます。

それが裏目となり、尿中に結石や結晶が出来てしまうことも多く、それによって膀胱炎が発症します。

 

また、人間の膀胱炎のほとんどが細菌感染が原因であるのに対して、猫の膀胱炎ではその90%以上が細菌によるものではありません。

尿が濃すぎるせいで粘膜に刺激があるのか、あるいは精神的なストレスによるものなのか、原因がわからない膀胱炎が発生しやすいのが猫です。

 

経験された方はわかるかと思いますが、膀胱炎はとても痛いです。

排尿時にも畜尿時にも痛みが生じます。

そのため、痛みのある膀胱付近(下腹部)の毛が薄くなっている時には、膀胱炎が無いかの尿検査をしてもらいましょう。

 

関節炎

 

背骨や肩、膝、足先などに舐め壊したあとがあれば、それは関節炎があるサインかもしれません。

12歳以上の高齢の猫の90%に老齢性の変化として関節炎が見られます。

 

人間と同様に、関節炎はじわじわと疼痛があり、その不快感から関節部を過剰に舐める動作が見られます。

レントゲン検査を行い、関節に異常が無いのか確認することが推奨されます。

 

通常の猫では10歳前後から、また酷い関節炎がでるスコティッシュフォールドやマンチカンなどの軟骨異形成の好発種であれば、3〜4歳から関節炎に対して予防的に抗炎症効果のあるサプリメントや鎮痛剤の使用を獣医師と相談するようにしましょう。

 

ストレス(環境の変化、満たされない狩猟本能)

 

完全室内飼育の猫は、基本的に暇です。

なぜなら、安全と引き換えに冒険や探索、探求行動が著しく低下した生活環境にあるためです。

 

本来であれば、食べ物を得るためにあちこちを歩き回り、獲物を見つけ、捕獲し、食べるということに活動時間のほとんどを費やしています。

それが、家の中では食料も寝床もあり、特にやることが無く興奮や楽しみも多くありません。

 

これを可哀想と感じて外に出してしまうと、交通事故やケンカによる咬傷、致死的な感染症を貰うことになってしまうので、それも良くありません。

 

猫は暇すぎて不安定な気持ちになった時には、それを落ち着かせるためにしきりと毛づくろいや毛毟りを行います。

全身的ではなく、ごく一部だけを酷く熱心に、長い時間にわたって毛を毟る動作がみられます。

 

神経の問題(神経過敏、てんかん様の部分発作)

 

声をかけても全く止むことなく、そして突然に皮膚をガシガシと舐めたり、自分の尻尾に対して怒ったように噛みついて毛を毟るような行動が見られた時には、通常の毛づくろいとは何か違うと飼い主様も気付くと思います。

 

また、変に髭をピクピク動かす動作が見られたり、手先や尻尾が忙しなく動き、その部分を噛んだり舐め壊している場合には、猫にも止められない神経に問題のある事態なのかもしれません。

 

簡単に診断が付くものではないので、あらゆる他の病気が否定された時には、神経の問題を疑うようになります。

 

 


猫の過剰な毛づくろいが見られた時の対策

 

cattoys

 

脱毛や舐め壊し、皮膚に炎症が見られると、他の症状よりも飼い主様の目に留まりやすく、人間の方がヤキモキしてしまうことが多いようです。

また舐めてると見かけるやいなや、「ダメよ!」と声をかけたくなる気持ちはよく分かります。

 

しかし、その行動が、猫によっては「毛づくろいすると飼い主がかまってくれる!」と学習、あるいは習慣付けされてしまうことがあるので、すぐに声をかけたり、チラチラ見るのは止めておきましょう。

 

それ以外にも、過剰な毛づくろいが見られた時に飼い主様ができることをご紹介します。

 

病気ではないことを確認

 

猫 ごろん

 

どんな時でも大切なのが、病気が隠れていないかの確認です。

悪いところを直さずに、無理に舐めない噛めないような対策をとることは逆効果であり、猫にとっては酷いストレスとなります。

 

前項で挙げたような、舐め壊しに通じる病気が無いことをしっかりと確認することが大切です。

病気でないのであれば、やはり欲求の解消不足やストレスが原因である可能性が高くなります。

 

環境エンリッチメント

 

病気は無さそうではあるものの、やはり舐め壊しているとなった時には、飼育環境を見直しましょう。

近年ではよく聞く環境エンリッチメントとは、動物が野生化ではなく飼育下でも幸福を感じて生活できるように、沢山の工夫や試行錯誤をしようという取り組みです。

 

猫の飼育ガイドラインでは、細かく指示されているものが沢山あります。

給餌に関してだけでも5項目も存在します。(出典:犬と猫の問題行動の予防と対応)

 

  1. 猫の食事は1日に必要な量を5回に分けて給餌し、夜間にも食べられるようにフードやオヤツを詰められるおもちゃを置いておくようにする。あるいは自動給餌器をセットして24時間食べられるようにする。
  2. 5回のうち数回は、おもちゃで遊びながら食べられる工夫をする。複数飼育する場合は、このようなおもちゃを頭数分用意し、それぞれ別の場所で遊べるようにする。
  3. 毎回の食事は、家のあちこちに少しずつ置き、時々場所も変えること。出かける際にあちこちの食餌を一気に食べてしまう心配がある猫には、自動給餌器を複数個、場所を変えてセットして、時間をずらして給餌する。
  4. 新鮮な水を食餌から離れた場所で、複数個所に置く。噴水式など、流れる水を好んで飲む猫もいる。
  5. 猫の体重や行動をチェックし、肥満や痩せすぎ、問題行動があれば動物病院を受診する。

 

給餌だけでこれだけの工夫が必要だと、皆さんはご存知でしたでしょうか。

これによって、猫の捕食本能と摂食本能を満たすことができます。

 

ここまでは無理でも、猫が欲しがったらすぐにご飯をあげるのではなく、5分ほど遊んでからご飯をあげるという行動パターンにすることでも、ある程度の欲求不満の解消とエネルギーの発散にはなるためおすすめです。

 

カラー

 

猫 エリザベスカラー

 

舐め壊しが酷く、出血や細菌感染が起きている時には、エリザベスカラーを付けることもあります。

ただ、これは猫のストレスを大きくしてしまうため、必ずしも効果的という訳ではありませんが、皮膚の損傷からやむを得ない時には使用します。

 

病院から処方されるカラーだけでなく、市販品で柔らかいものも手に入るので、傷を舐めない機能がしっかりしていれば、猫のストレスの少ないものを選んであげましょう。

 

※合わせて読みたい: 犬用・猫用のエリザベスカラーを紹介!使用する際の注意点も

 

ご飯

 

不安傾向にある猫に、気持ちを落ち着く効果が期待されるフードが販売されています。

基礎疾患(持病)が無いときには、それを給餌することも可能です。

 

動物病院で処方されるので、隠れた病気が無かった時にはおすすめです。

 

サプリメント

 

お薬ほどに効果は期待できないものの、サプリメントの中には不安を和らげるものがあります。

服用してから2週間から1ヶ月ほどで効果が出てくるので、投薬を嫌がらない猫であれば焦らず試してみてください。

 

 

飼い主を舐めた後に噛んでくる猫の心理

 

catowner

 

仲間と認識してくれている猫であれば、飼い主さまを舐めてくれることがあります。

また、すり寄ってきたので撫でていたら、その後に手を舐めて、何故か最後には噛むという猫がいます。

 

猫の心理としては、最初は撫でて欲しくて近寄ってくるものの、挨拶程度のグルーミングが終わったのに、「まだ撫でるの?しつこいなあ…もう嫌なんだよ!」という心の動きがあるようです。

 

人の大きな手のひらでまんべんなく撫でられると、猫はイライラして結果的に噛むことがあります。

噛む前に一段階何かこちらに伝える術はないの?と思わなくもないですが、猫は尻尾をパシパシ叩きつけたり、手を舐めたりして、実はこちらにカーミングシグナル(無言のサイン)を送っています。

 

分かりづらいと思われるかもしれませんが、猫の気持ちを考えつつ撫でるようにしてください。

 

 


まとめ

 

catsum

 

猫として正しい行為である毛づくろいも、過剰にすることで病気のサインになったり、あるいはストレスの捌け口になっていることはお分かり頂けたでしょうか。

 

ただ、基本的に毛づくろいは健康な動作の1つです。

病気から快復してきた猫の飼い主様が、「やっと毛づくろいするようになって、ほっとしました。」と涙ながらに教えてくださることがあります。

 

毛づくろいは猫のいつも通りの行動なのです。

し過ぎては飼い主様を心配させ、しなくなれば飼い主様をオロオロさせ、またするようになれば涙を流させる、猫の毛づくろいは単純ではない大きな力をもった行動であると言えます。

 

 

執筆・監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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