logo

Top > 中型哺乳類 > 霊長類/類人猿/サル

【元動物園の飼育員が解説】体長わずか30cmほどの小さなサル!「コモンマーモセット」の特徴や飼い方を紹介






「コモンマーモセット」という小さなサルをご存知でしょうか。

コモンマーモセットはブラジルに生息する、体長30cm前後のサルの仲間です。
彼らは体が小さく愛らしい見た目をしていること、またサルの中では飼いやすいことから、動物園ではもちろんペットとしても人気があります。

本記事ではコモンマーモセットについて、その生態や特徴、寿命、ペットとして飼う方法などを解説していきます。

本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。


【目次】【元動物園の飼育員が解説】体長わずか30cmほどの小さなサル!「コモンマーモセット」の特徴や飼い方を紹介

 

コモンマーモセットの生態

分布

大きさ

鳴き声

食性

特徴

繁殖

寿命

コモンマーモセットの生態まとめ

コモンマーモセットはペットとして飼えるのか

コモンマーモセットのお迎え方法

コモンマーモセットの値段

コモンマーモセットの飼い方

餌(食事)

ケージ

エサ入れ・水入れ

止まり木

ハンモック・巣箱

おもちゃ

ヒーター・温度計

コモンマーモセットを飼育する際の注意点

1. 臭いに配慮する

2. 多少のケガは覚悟しておく

3. 事前に動物病院を探しておく

コモンマーモセットがいる動物園・施設

1.【東京都】上野動物園

2. 【長崎県】長崎バイオパーク

さいごに

 

 

コモンマーモセットの生態

 

木から上半身を見せるコモンマーモセット

 

コモンマーモセットは 「哺乳綱 霊長目 オマキザル科」 の動物です。

 

サルの仲間はアフリカやアジアに生息する 旧世界ザル と、中南米に生息する 新世界ザル に分けられます。

 

ブラジルに生息するコモンマーモセットは新世界ザルに分類され、私たちヒトに近い霊長目の動物であること、小型であること、比較的繁殖が容易であること、そしてゲノム配列が全て解読されていることから、近年実験動物としても注目を集めています。

 

この項目では、主に野生のコモンマーモセットに関する生態を解説していきます。

 

分布

 

細い木にしがみつくマーモセット

 

コモンマーモセットはブラジルの北東部にある、熱帯雨林に生息しています。

昼に活発に動く昼行性で、どちらかといえば乾燥した気候を好みます。

 

大きさ

 

群がる4匹のマーモセット

 

コモンマーモセットの体長は25~35cmほど、体重は200~500gほどです。

体長と同じくらいの長さの尻尾が生えているため、実際にはもう少し大きく見えるかもしれません。

 

なお、コモンマーモセットと同じオマキザル科には、 ピグミーマーモセット という動物がいます。

こちらはコモンマーモセットよりもさらに小さく、体長はわずか11~15cm程度です。

 

鳴き声

 

 

コモンマーモセットは 「ピーピー」 といった小鳥のような声で鳴きます。

姿を見ずに声だけ聞くと、サルだと思えないかもしれません。

 

食性

 

スイカを食べるコモンマーモセット

 

コモンマーモセットは昆虫食傾向の強い、雑食性の動物です。

野生では甘い果実や昆虫を主食に、植物の樹液や樹脂も好んで食べます。

 

特徴

 

コモンマーモセット

 

コモンマーモセットの特徴は、顔の両脇(耳の周り)に白い毛が扇状に広がって付いていることです。

耳あてのようにも見えるその飾り毛は、コモンマーモセットの見た目をより愛らしく見せています。

 

また、尻尾が非常に長いことも特徴の1つといえます。

尻尾は体長と同じくらいかそれよりも長く、木の上でバランスをとる時に役立っています。

 

繁殖

 

 

コモンマーモセットは生後1.5年ほどで性成熟し、繁殖できるようになります。

妊娠期間は145~148日で、1回に1~4頭(通常2頭)の子どもを産みます。

 

コモンマーモセットは一夫一妻制で、夫婦とその子供たちで群れを作って暮らしています。

 

赤ちゃんが生まれると、オス(父親)や群れの子ども(兄弟)が協力して育児を手伝います。

オスや子どもたちは赤ちゃんを抱き、おっぱいの時間になると母親のところに連れて行きます。

 

寿命

 

草むらにいるコモンマーモセット

 

コモンマーモセットの寿命は、10~16年ほどだと考えられています。

 

飼育下では20年以上生きたという記録もあります。

ただし神経質な面が強く、ペットとして飼育した時に寿命を全うさせるのは難しいといわれています。

 

コモンマーモセットの生態まとめ

 

分類:哺乳綱 霊長目 オマキザル科

学名:Callithrix jacchus

英名:Common Marmoset

分布:ブラジル北東部の熱帯雨林

大きさ:

体長・25~35cm ほど
体重・200~500gほど

鳴き声:「ピーピー」など

食性:雑食性

繁殖:

性成熟:生後1.5年ほど
妊娠期間:145~148日
産子数:1回に1~4個(通常2頭)

寿命:10年~16年ほど

 

 

コモンマーモセットはペットとして飼えるのか

 

傘の中にいるコモンマーモセット

 

コモンマーモセットは、ペットとして飼育できます。 

この項目ではコモンマーモセットのお迎え方法および、その値段について解説します。

 

コモンマーモセットのお迎え方法

 

 

コモンマーモセットは、ペットショップやブリーダーから購入できます。

ただし、いつでも扱いがあるとは限らないため、予約することも視野に入れておいた方が良いでしょう。

 

コモンマーモセットの値段

 

 

コモンマーモセットは1頭あたり、40~60万円ほどで販売されています。

ただし、年齢(ベビーかアダルトか)や性別により価格が大きく上下します。

 

 

コモンマーモセットの飼い方

 

背景にカゴがあるコモンマーモセット

 

コモンマーモセットは体が小さく、サル類の中でもリスザルと並んで飼いやすいことで知られています。

飼いやすいとはいえ、サルの仲間を自宅で飼育するのは簡単なことではありません。

 

この項目ではコモンマーモセットを飼育する際に必要なものと、その理由を説明していきます。

 

餌(食事)

 

 

餌はマーモセット用のペレットを主食に、野菜や果物、ゆで卵や昆虫類をバランスよく与えましょう。

ペレットは固形のままでなく、水やペット用ミルクなどでふやかすと食べやすいようです。

 

マーモセット用のペレットは、ペレットと水だけで必要な栄養素を摂取できる設計になっています。

ペレットを食べない場合は、別途餌にビタミン剤とカルシウム剤を添加する必要があります。

 

与えられる野菜

 

  • ニンジン ※
  • サツマイモ ※
  • トマト
  • キュウリ など

(※生でも加熱して与えても良い)

 

与えられる果物

 

  • リンゴ
  • バナナ
  • オレンジ(ミカン) など

 

与えられるたんぱく源

 

  • ミルワーム
  • コオロギ
  • ゆで卵(鶏卵、ウズラの卵) など

 

ケージ

 

 

コモンマーモセットのケージには大きめの犬や猫、小鳥用のものを使うと良いでしょう。

大きさについては、最低でも高さと幅が1m程度あるものを選びます。

 

また、手先が器用なので脱走しないよう、扉に鍵をかけられる形のケージを選んでください。

底がメッシュ状の物を選ぶと、食べかすやフンが下に落ちるため掃除の手間を減らせます。

 

なお、コモンマーモセットの体は人間と同じく、紫外線を浴びてビタミンDを作る仕組みになっています。

くる病(ビタミンD欠乏や代謝異常により生じる骨の石灰化障害)を避けるために、ケージは日当たりが良くて風通しが良い場所に置き、適度に日光浴ができるようにしてください。

 

エサ入れ・水入れ

 

 

餌入れについては、ステンレス製の丈夫な物を選びましょう。

陶器やプラスチック製の物は割れたり噛まれてボロボロになったりと、あっという間に使えなくなる可能性があります。

 

水入れについては、一般的な小動物用のボトル式の物を使いましょう。

皿で水を与えると水がこぼれるうえ、食べ残しやオシッコ、ウンチが入って水が不衛生になりがちです。

 

ボトル式が上手に使えない場合を除いては、皿で水を与えることはおすすめしません。

 

止まり木

 

 

野生のコモンマーモセットは、1日のほとんどを木の上で過ごしています。

ケージには止まり木を設置し、少しでも野生に近い環境を作ってあげてください。

 

木の種類は問いませんが、コモンマーモセットが乗っても壊れない丈夫な物を選びましょう。

止まり木は何かと汚れがちなので、取り外しが簡単で清掃が簡単な物であればなお良いです。

 

ハンモック・巣箱

 

 

野生のコモンマーモセットは昼間活動し、夜は木の洞などで休む習性があります。

また、猛禽類(タカやワシなど)、ヘビなどに捕食される力の弱い動物でもあります。

 

そのため、彼らには臆病なところがあり、身を隠す場所がないとストレスがたまってしまいます。

ケージの中にはハンモックや巣箱などを設置し、自由に身を隠せる場所を作ってあげてください。

 

おもちゃ

 

 

コモンマーモセットは非常に賢いため、暇な時間が長いと強いストレスを感じるといわれています。

ストレスがたまると精神的な疾患を患ったり、自傷行為に走ったりとさまざまな影響が出てしまいます。

 

コモンマーモセットを健康に育てるためには、なるべく暇な時間を作らないことが大切です。

暇な時間を減らすためにはコモンマーモセットと過ごす時間を長くするのはもちろん、ケージの中に複数のおもちゃを設置して自分で暇つぶしができるように工夫してあげてください。

 

ヒーター・温度計

 

 

南米出身のコモンマーモセットに適する温度(適温)は、26~27℃といわれています。

 

ケージの周辺に温度計を設置し、朝晩の温度をチェックする習慣をつけてください。

コモンマーモセットは寒さに弱いため、ケージの周辺は最低でも15℃以上を保つようにしましょう。

 

気温が下がる冬場は小動物用のヒーターを設置し、体を暖める場所を作ってあげてください。

場合によってはエアコンをつけ、部屋ごと暖めた方が良いかもしれません。

 

 

コモンマーモセットを飼育する際の注意点

 

 

コモンマーモセットの飼い方を説明した後は、飼育する際の注意点を紹介します。

一般的とはいえない動物をペットとして飼う時は、事前にその動物について良く調べることを強くお勧めします。

 

1.  臭いに配慮する

 

 

コモンマーモセットは犬や猫と違い、トイレを覚えません。

また、排泄物(オシッコやウンチ)には、通称 「マーモ臭」 と呼ばれる強烈な臭いがあります。

“わきがのような臭い”ともいわれるマーモ臭対策には、協力な消臭剤や空気清浄機が欠かせません。

 

なお、幼いころから慣らすと、オムツができるようになる個体もいるようです。

SNSには生理用品を使ったオムツを手作りし、履かせているという方も見受けられます。

 

2.  多少のケガは覚悟しておく

 

 

コモンマーモセットは本来犬や猫のようなペットではなく、野生動物です。

いくら人に慣れていても、突然激しく攻撃してくることがあります。

 

コモンマーモセットの牙は想像以上に鋭く、甘噛みでも噛まれるとかなり出血します。

彼らと一緒に暮らす時は“怪我は勲章だ”、と思えるくらいの覚悟が必要となるでしょう。

 

人に慣れた個体は外を散歩させることもできますが、その際は脱走と事故防止のために必ず首輪かハーネスを付けましょう。

 

3.  事前に動物病院を探しておく

 

 

日本全国を探しても、コモンマーモセットのようなサル類の診察ができる動物病院は多くありません。

お迎えをする前に、必ずエキゾチックアニマルの診察に強い動物病院を探しておいてください。

 

コモンマーモセットのように野性味が強い動物は、身を守るために体調不良や怪我を隠そうとします。

いつもと違う、おかしいな?と思った時にすぐに対処しないと、手遅れになる可能性が高いことを覚えておきましょう。

 

 

コモンマーモセットがいる動物園・施設

 

 

コモンマーモセットを飼いたい方は、まず動物園で飼われている個体に会ってみてください。

そしてコモンマーモセットと暮らす間、その臭いに耐えられるかテストしてみましょう。

 

この項目では、コモンマーモセットを飼育している動物園を紹介していきます。

 

1.【東京都】上野動物園

 

 

上野動物園にある 「小獣館」 では、コモンマーモセットが飼育されています。

タイミングが良ければ、赤ちゃんの姿が見られるかもしれません。

 

上野動物園の基本情報

 

住所:東京都台東区上野公園9-83

マップ: Googleマップ

電話番号:03-3828-5171

入園料:

一般   600円
65歳以上 300円
中学生  200円
都内在住・在学の中学生、小学生までは無料

開園時間:9:30~17:00

休園日:毎週月曜日(祝日の場合は翌営業日)、年末年始

公式ホームページ: 上野動物園

 

※合わせて読みたい:  パンダだけじゃない!上野動物園の見どころまとめ

 

 

2.  【長崎県】長崎バイオパーク

 

 

長崎県にある動植物園、長崎バイオパークでもコモンマーモセットが飼育されています。

園内の 「ペットのふれあい広場PAW」 で放し飼いにされているため、運が良ければ肩に乗ってくれるかもしれません。

 

長崎バイオパーク の基本情報

 

住所:〒851-3302 長崎県西海市西彼町中山郷2291-1

マップ: Googleマップ

電話番号:0959-27-1090

入館料:

【バイオパーク入園料のみ】
大人     1,700 円
中高生    1,100 円
3歳~小学生 800 円

【バイオパーク+PAWセット入園料】
大人     2,000 円
中高生    1,400 円
3歳~小学生 1,000 円

営業時間:10:00~17:00(最終入園は16:00)

休園日:年中無休

公式ホームページ:  長崎バイオパーク

 

 

さいごに

 

草むらの中で枯草の上にいるコモンマーモセット

 

小さなサルの仲間、コモンマーモセットについて解説してきました。

 

コモンマーモセットはサルの中でも特に体が小さく、飼いやすいといわれています。

しかし、サルは長く人間と生活を共にしてきた犬や猫と違い、人間の指示に従う習性はありません。

そのため、一般的なペットと同じように考えると思い通りにならず、「こんなはずじゃなかった」「飼いきれない」という悲しい事態が起こりやすいのが実情です。

 

コモンマーモセットをお迎えする時は、ぜひその生態について良く調べてください。

正しい知識と十分な準備を持って迎えれば、賢く愛嬌たっぷりなコモンマーモセットは素敵な家族の一員になってくれることでしょう。


フォローして最新のペット・動物関連記事をチェック!



検索

カテゴリ一覧

大型哺乳類(24)
   カピバラ(2)
   ブタ(3)
中型哺乳類(604)
   猫/ネコ(247)
   犬/イヌ(312)
   霊長類/類人猿/サル(12)
   モモンガ(3)
   フェネック(1)
小型哺乳類/小動物(103)
   うさぎ(44)
   ハムスター(23)
   ハリネズミ(7)
   モルモット(8)
   チンチラ(3)
鳥類(125)
   インコ(23)
   梟/フクロウ(10)
   文鳥(3)
魚類/甲殻類/水生生物(76)
   海水魚/熱帯魚(32)
   淡水魚(23)
爬虫類(44)
   蛇/ヘビ(9)
   トカゲ(10)
   カメ(11)
両生類(13)
   カエル(7)
   ウーパールーパー(2)
虫/昆虫(17)
   カブトムシ/クワガタ(10)
   タランチュラ(1)
ペット/動物全般/コラム(66)
   ペットや動物と触れ合えるスポット(24)
   寄付/募金/殺処分(6)

タグ一覧

飼い方/飼育方法(913)
種類/品種(730)
繁殖/育成(598)
毛色/毛質(303)
性格/生態/特徴(675)
食事/餌/栄養(690)
病気/病院/治療(714)
しつけ(477)
トイレ(155)
選び方(511)
値段/価格(589)
ランキング/おすすめ(142)
口コミ/レビュー(164)
旅行/ホテル/レストラン(24)
寄付/募金/保護活動(14)
おもしろペット/珍ペット(99)
飼育知識/豆知識(1037)
画像/動画(127)
まとめ(871)

人気記事ランキング