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吐く、吐きそう、これってしゃっくり?しゃっくりから考えられる病気とは
犬が しゃっくりをする原因 は 横隔膜の痙攣 だといわれています。
横隔膜は呼吸に関与するお腹の主要な筋肉です。
犬が息を吸うと、横隔膜が収縮して下方に移動し、胸腔内に肺が拡張するためのスペースが増えます。
そして、犬が息を吐くと横隔膜が弛緩して上方に移動するのです。
この働きにより、呼吸をすることができます。
通常、横隔膜の動きはスムーズで規則的ですが、けいれんすることにより声門が突然閉じます。
これにより、「ヒック」という音が発生するのです。
また、 しゃっくりは一般的に成犬よりも子犬によく見られます 。
子犬を飼育し始めた飼い主さんから、子犬がしゃっくりをしていて心配という声をよく聞きます。
子犬がしゃっくりを起こすことは、決して珍しいことではないのです。
通常、生後8ヶ月から1年でしゃっくりの頻度は減少するといわれています。
それではなぜ、成犬よりも子犬でしゃっくりが起こりやすいのでしょうか。
子犬は成犬と比べて、元気いっぱいの子が多いですよね。
そんな彼らのパワフルさが、しゃっくりの大きな原因のひとつになってると考えられています。
急激に激しい運動をして、 ハアハアと激しく呼吸することで空気を飲み込んでしまう 可能性が’高かったり、 呼吸様式が大きく乱れたりすること が原因でしゃっくりを起こすと考えられています。
子犬は食べ物を食べたり、水を飲んだりするときに空気を飲みやすい といわれています。
たくさんの空気を飲み込むことが、しゃっくりの原因と考えられています。
お腹の中にいる人間の胎児は、非常に頻繁にしゃっくりをしています。
お母さんのお腹の中にいるときからしゃっくりをすることによって呼吸筋を伸縮させ、呼吸器が適切に機能できるように調節しているという説があります。
他にも、両生類の呼吸の神経パターンがしゃっくりの神経パターンと非常によく似ていることから、進化の過程で起こった名残なのではないかという説もあります。
しゃっくりをすることで急激に声門を閉じるため、肺への液体の流入を防いでます。
子犬でしゃっくりが多いのは、母犬のお腹の中で呼吸の訓練をしていた名残なのかもしれません。
また、子犬の内臓は発達途中なので、それもしゃっくりの頻度が高い原因の一つではないかといわれています。
犬が刺激物を吸い込んだりすることも、しゃっくりの原因になるといわれています。
タバコを吸う方は、犬の近くで喫煙しないようにしましょう。
しゃっくりだけでなく、呼吸器疾患の大きな原因になる可能性もあります。
他にもニオイの強い芳香剤も犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、犬のいる空間では使用を避けるのが賢明です。
一般的に犬のしゃっくりは、 人間のしゃっくりと同様に様子を見守っても大丈夫とされています 。
しゃっくりが果たす機能に関してはまだ解明されていないそうですが、胃内の空気を安全に吐き出すことに役立っているのではないかと推測している科学者もいます。
しゃっくりは特に子犬に起こりやすいですが、もちろん成犬でもしゃっくりが起こらないわけではありません。
子犬と同様に 気質的に興奮しやすかったり、早食いで空気を飲みやすかったり、短頭種で呼吸しにくい成犬 では しゃっくりを起こす可能性 も考えられます。
また、頻度は高くありませんが、ストレスが原因でもしゃっくりを起こす可能性があるといわれています。
成犬で頻繁にしゃっくりを起こす場合は、何か異常がないか調べるためにも動物病院の受診を検討してください。
犬を飼うのが初めてだったり、飼育経験が少ない方は、犬の色々な仕草に不安を感じてしまうこともあるでしょう。
しゃっくり、嘔吐、咳やてんかんなどの仕草の違いについて説明します。
あまり大きな音は出ず、口が開いていないことが多いです。
犬の様子も苦しそうというよりは、普通の状態に見えつつヒクッヒクッと体を小刻みに震わせていることが多いです。
気持ち悪くなるとオェーと嘔吐する人間とは異なり、犬の嘔吐の場合は、吐物を出す前にウッウッウッと規則的に大きな音を立てる仕草が一般的です。
多くの場合うつむき加減で、胸から腹にかけて激しく波打ち、とても苦しそうな様子に見えます。
その後、オエーッと吐物を勢いよく吐き出します。
人間で再現してみるなら自分の口を閉じた状態で、喉をウッウッウッと響かせるように鳴らすと近い音が出ると思います。
かなり大きな音で印象的な仕草なので、一度目にすればわかるようになるはずです。
犬も咳をします。
原因によって乾いたような咳や、湿った咳など様々な咳が出ることがあります。
口を開けてすることが多く、人間のようなコホコホという咳のときもあれば、ケッケッ・カッカッという音、最後にゲーッゲハッと人が痰をきるような音を出すこともあります。
イメージしやすい全身的な痙攣を起こす発作だけではなく、ぼーっとしている、空気をパクパク噛む、攻撃性が増すなども部分的な発作の症状である可能性があります。
その 症状は多岐に渡る ため、 飼い主さんには発作かどうかの判断が難しい場合もある のです。
しゃっくりかなと思っても頻繁に出るようであれば、動画を撮影して獣医師に見てもらうのもおすすめです。
特に成犬で突然しゃっくりと思われる症状が頻繁に出ているようなら、早めに診てもらうと安心です。
また、しゃっくりだけが症状として出ることは稀ですが、寄生虫・脳・呼吸器・胸部の疾患や、熱中症・胃拡張胃捻転症候群などでもしゃっくりのような症状が出ることはあります。
ただし、これらの疾患でしゃっくりだけが症状として出ることは多くないので、疲れやすい、呼吸が苦しい、元気がないなど、他に症状がないか注意して見てあげてください。
特に胃拡張胃捻転症候群はレトリーバー種など胸の深い犬種が起こしやすく、食後にぐったりして吐きそうなのに吐けない、ぐったりするお腹が膨れてくるなどの症状が現れます。
胃拡張胃捻転症候群や熱中症は命に関わる緊急疾患です 。
怪しい場合は様子を見ずに、 すぐ動物病院を受診してください。
犬は言葉を話すことができませんので、元気や食欲がいつもと違う場合は、犬からのSOSのサインの可能性があります。
他に異常がある場合はしゃっくりだから大丈夫と楽観視せず、動物病院の受診を検討しましょう。
「 うちの犬寝てるときにしゃっくりしている んだけど、どこかおかしいんじゃないか?」という不安な飼い主さんの声を聞くことがあります。
実は成犬でも子犬でも、 寝てる時や寝起きにしゃっくりが起こる可能性は十分にあります 。
また、 特に子犬では寝てるときのしゃっくりは一般的 だといわれています。
リラックスしてより多くの空気を飲み込むことや、就寝前にご飯を食べたり、水を飲んだりすることが原因だといわれています。
深い睡眠時は特にリラックスした状態になるため、犬が空気を飲み込みやすいのです。
同様の理由で、睡眠中に空気を飲み込んでいた寝起きの犬が、しゃっくりを起こすことも考えられます。
睡眠時の犬のしゃっくりは呼吸状態に問題がなかったり、苦しそうな様子がなければ見守っても大丈夫です。
ただし、あまりにも頻繁だったり、少しでも気になる様子があればすぐに動物病院を受診してください。
少し長めに続いてたり、止めるために何かしてあげたいという方に、成犬と子犬両方に行えるしゃっくりの止め方を解説します。
少量の砂糖水やガムシロップなどの甘い液体は、 犬の気をそらすことで、犬のしゃっくりを止めることが期待 できます。
大量に飲むと誤嚥の危険もあるので、様子を見ながら少量を与えてみましょう。
その際、甘味としてキシリトールを使用することは絶対にやめてください。
キシリトールは、犬に低血糖や肝壊死などの強い中毒症状を引き起こすことで知られています。
甘味にあまり関心を示さない場合は、冷ました鶏の茹で汁でも良いです。
激しい運動ではなく、気をそらすために軽くトコトコ歩きのお散歩に行ってみることも、子犬のしゃっくりを止める効果が期待できます。
まだ地面に足をつくお散歩ができない子犬の場合は、抱っこの散歩も良いでしょう。
おもちゃを与えるのも気をそらすことができるので、子犬のしゃっくりを止める効果が期待できます。
音のなるものなど、本人がお気に入りのものを与えてあげましょう。
仰向けにしてお腹をマッサージするのも、犬のしゃっくりを止めるのに効果があるといわれています。
優しく、胸からお腹のあたりをさすってあげましょう。
ただし、仰向けが嫌いな子では無理強いは禁物です。
何もしないこともしゃっくりを止めるために有効な方法 です。
犬のしゃっくりを止めようと飼い主さんが必死に何かをすることが、犬にいつもと違う不安感を与え、ストレスになってしまうこともあります。
しゃっくりを止めるためには、犬の気をそらし呼吸を正常な状態に整えることが重要です。
数時間続くような場合、止めようとしても止まらない場合は重大な疾患のサインの可能性もあります。
状態によって動物病院の受診を検討してください。
犬のしゃっくりの止め方でおすすめしない方法がいくつかあるので、犬に行わないように気を付けてください。
信頼してる飼い主さんが急に変な行動をして、大きな音をたてたりしてきたら犬は凄まじい恐怖を感じてしまうかもしれません。
敏感な子ではトラウマになってしまう可能性もあります。
しゃっくりをしている最中の犬に固形の食べ物を与えることは、誤嚥や窒息をさせてしまう可能性もありおすすめしません。
誤嚥や窒息を起こした場合は命の危険性もあります。
しゃっくり自体に大きな問題が無くても、興奮や早食いなどしゃっくりの原因になる行動は、心と体の健康のためにも改善してあげたいものです。
ごはんをゆっくり食べさせることは、しゃっくりの予防だけでなく消化にも優しいので、愛犬のためにぜひ工夫してあげてほしいことのひとつです。
知育トイの中にごはんやおやつをいれて与えられるおもちゃを、フードボウルの代わりに使用することがおすすめです。
パズルのようになっていて、ニオイでごはんを探すパズルフィーダーというおもちゃも良いでしょう。
ゆっくり食べることやニオイを嗅ぎ探索したり、ごはんを食べるためにたくさん噛んだりほじってみたりすることで、犬本来の行動をすることができます。
ストレス解消も期待できるので、体の健康だけでなく心の健康にも良い効果を得られることが大いに期待できます。
皿の底がでこぼこしていて、早食いしにくいフードボウルも市販されているので、そのようなものを使用することもいいと思います。
トレーニングのご褒美としてごはんを使用することもできます。
必然的にごはんをひと粒ずつ食べることになり早食いの防止ができますし、犬と飼い主さんの絆形成にも役立つことが期待できます。
時間のある方であれば、朝ごはんは全てトレーニングで使用してもいいですし、半分はまとめて与えて、残りはトレーニングで使うのも良いでしょう。
長時間行うと犬も疲れてしまいますので、朝の時間にこだわらず次のごはんまでに食べ切れるくらいの頻度で、時間が空いたときにちょこちょこと行うようにしてください。
特に興奮した子犬は甘噛みがひどくでてしまったり、吠えが激しくなったりすることもあります。
どうしても興奮しやすい場合は、遊ぶ時間を短くし5分遊んだら一旦休憩してクールダウンさせるなどの対応をしましょう。
落ち着きにくい場合は、おすわりなどの出来る芸をさせてご褒美を与えると落ち着きやすいのでおすすめです。
犬のしゃっくりと嘔吐や咳、てんかん発作などとの違いや、子犬のしゃっくりの原因、子犬のしゃっくりの止め方、予防法など、ぜひ参考にして少しでも不安を軽減していただけたら幸いです。
しゃっくりは、様子を見て大丈夫な場合がほとんどですが、ごく稀に重大な病気のサインの可能性もあります。
特に子犬でない成犬の子が突然しゃっくりを頻繁にするようになったら少し心配です。
また、通常数分ほどでしゃっくりは収まることが一般的です。
数時間以上続くしゃっくりも、受診を検討して良いと思います。
気になる場合は、他にもいつもと変わった仕草や異常がないか観察し、しゃっくりの動画を撮影して動物病院を受診するのがおすすめです。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
最終更新日 : 2020/12/11
公開日 : 2020/12/11