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猫がチョコレートを食べ過ぎたら死に至ることも…致死量はどれくらい?
チョコレートにはテオブロミンという物質が含まれていますが、これが 猫 にとって大変危険です。
テオブロミンは、カカオに含まれる苦味成分です。
カフェインと似た成分で、人間にとっては一種の覚醒効果が得られますが、猫はテオブロミンを素早く分解することができないため、摂取すると中毒症状を起こしてしまいます。
カカオの量とテオブロミンの量は比例するので、カカオを多く含むビターチョコレートにはその分多くのテオブロミンが入っています。
逆に、チョコレートとは言っても、カカオが含まれていないチョコレートフレーバーの食べ物では中毒は起こりません。
ホワイトチョコやミルクチョコレートはカカオの量が少ないのでテオブロミンの量も少ないですが、大量に食べてしまうことで、やはり中毒症状を起こす危険性があります。
また、チョコレートにはカフェインも含まれており、これも猫に悪影響があります。
いずれにせよ、チョコレートを食べると肥満も引き起こしやすいので、食べさせないようにしてください。
チョコレート同様、カカオが原料であるココアにもテオブロミンは含まれています。
また、チョコレートそのものでなくても、ケーキをはじめチョコレートを使用した食べ物にも注意が必要です。
チョコレート以外では、コーラやお茶にもテオブロミンが含まれているため注意してください。
猫がチョコレートを食べることよって現れる典型的な中毒症状は、嘔吐、下痢、多尿、発熱、興奮、けいれん、運動失調、発作などです。
また、腹痛や血尿、脱水を引き起こす場合もあるので、食欲や排便に異常がないかをチェックしましょう。
食べて約2時間後から4時間以内に発症し、最長で3日間は中毒症状が続きます。
体重1kgあたりの致死量は、テオブロミン100〜200mgです。
例えば、体重3キロの猫の場合、スイートチョコレート30gが致死量になります。
一般的な板チョコレートの重さは50g程度なので、スイートチョコレートを一枚食べてしまったら致死量を超えてしまいます。
※個体差があるため、大量に食べても症状が出なかったり、少量食べただけで重篤になることもあります。
市販の解毒剤はないため、急いで動物病院に連れていくのがベストです。
その場で出来る応急処置としては口に残っているチョコレートを吐かせることですが、家庭で行うのは危険を伴います。
基本的に獣医療の知識が必要となるので、胃内に入ってしまったものを家庭で吐かせるのはおすすめしません。
誤嚥性肺炎(肺に吐物が入ってしまう)になると、それが致死的な要因にもなります。
また、ネット上には「猫にオキシドールを飲ませる」という記載も散見されますが、胃潰瘍や吐血の原因となるので決して実施しないください。
家庭では、とにかく早く動物病院に連絡を取ること、そして口の中にチョコレートが残っているのであれば拭き取ることがメインです。
噛まれる可能性がある場合は、口に手を入れるのも止めておきましょう。
動物病院では、どんなチョコレートをどれくらい食べたのかをを出来るだけ正確に伝えてください。
チョコレートの包装も食べてしまったのかどうかも合わせて確認しましょう。
治療費に関しては、誤飲全般の場合はおおよそ45,000円前後かかります。
※動物病院の診療料金は、基準料金を作ることを国が独占禁止法で禁止しています。 個々の病院によって自由に決めることが出来るため、動物病院によって料金にかなり違いがあります。
猫は肉食なので、人間がチョコレートやビスケットを与える癖をつけなければ、本来は興味を示しません。
猫は甘味を認識できないので、甘いものが好きなわけではありません。
一度与えてしまうことによって、食べ物と認識して食べるようになってしまいます。
そのため、まずは絶対に与えないことが大切です。
チョコレート好きの猫がキャラクターの大人気アニメもあるので、子供がマネして猫にチョコレートを与えないように、「猫にチョコレートはダメ」と教えてあげてください。
食べる習慣がついてしまった猫がいる場合、テーブルの上やお皿の残りなど、細心の注意を払ってください。
ごみ箱の中やかばんの中も、猫は興味を持ってのぞき込むことがあるため注意が必要です。
今回は猫がチョコレートを食べてはいけない理由と、その対処法をご紹介しました。
可愛い愛猫と仲良く楽しく過ごすためにも、猫の習性や体質に関する正しい理解は非常に大切です。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/06/03
公開日 : 2016/05/12