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プチ・ブラバンソン、ブリュッセル・グリフォン、ベルジアン・グリフォンの違い
プチ・ブラバンソンの特徴は、困ったようにも怒ったようにも見える独特な表情です。
そのどこか猿に似た顔(モンキー・フェイス)は、「アーフェンピンシャー」という犬種譲りだと考えられています。
また、 パグ の血を引いていることから、鼻が短くて耳が折れているのも彼らの特徴の1つです。
体型は体高と体長がほぼ同じスクエア型(正方形)で、コンパクトですががっしりしています。
骨も体も丈夫ですが身のこなしは軽やかで、素早い動きを見せてくれます。
この3犬種は兄弟犬といわれていますが、その分類には少々ややこしい部分があります。
このタイプの犬種でラフコートの被毛を持つ個体は 「ブリュッセル・グリフォン」 、ラフコートの被毛でカラーがブラック(黒色)の犬は 「ベルジアン・グリフォン」 、そして被毛がスムースコートの個体は 「プチ・ブラバンソン」 と分類されているのです。
3種の違いは基本的には被毛の長さとカラーのみであり、犬の登録団体によっても扱いが異なります。
FCI(世界畜犬連盟)やJKC(ジャパンケネルクラブ)では、3犬種とも独立種として扱っています。
しかし、UKC(ユナイテッドケンネルクラブ)やAKC(アメリカンケンネルクラブ)では、3犬種を同一の犬種(ブリュッセル・グリフォン)として扱っています。
プチ・ブラバンソンは、ベルギー生まれの犬種「 ブリュッセル・グリフォン 」の変種です。
そのため、プチ・ブラバンソンの歴史を説明するためには、まずブリュッセル・グリフォンについて知らなければなりません。
ブリュッセル・グリフォンは特徴的なあごヒゲを持つ、独特な見た目の犬種です。
ラフコート(ワイヤーコート)の被毛を持つ彼らは、かつてネズミや泥棒から馬小屋や馬車を守る護衛犬として利用されていました。
そんな彼らの祖先は、何世紀も前からベルギーでにいた小型犬「Smousje」だといわれています。
彼らは19世紀頃になってパグやキング・チャールズ・スパニエルなど多くの犬種とブリーディングされ、現在の形質へと改良されていきました。
本記事の主人公であるプチ・ブラバンソンは、その改良の過程の中で生まれた変種だといわれています。
ラフコートではなくスムースコートである彼らは望ましい存在といえず、主に一般市民に飼われていたようです。
ブリュッセル・グリフォンたちはその後、1870年頃からベルギーの貴族たちの間で大流行しました。
そうというのも、ベルギー王室のマリー・アンリエット王妃がこの犬種を愛好し、その存在を支援したのです。
その結果、ブリュッセル・グリフォンたちの知名度は一気に高まり、世界各国へ輸出されるようになりました。
彼らはその流行の中で体をより小さく、顔をさらに人間に近いものにするよう改良されました。
しかし、その度重なる改良の結果、残念なことに繁殖に難を抱えてしまったのです。
その後、彼らは2つの世界大戦を経て大きく数を減らし、絶滅寸前まで追い込まれてしまいました。
イギリスとアメリカの愛好家たちがいなければ、今その姿を見ることはできなかったかもしれません。
映画「恋愛小説家」や「ゴスフォード・パーク」などにも登場したブリュッセル・グリフォンたち。
映画にも出演するほどの愛らしい見た目や性格を持っているにも関わらず、世界各地でその姿をあまり見かけない大きな理由は、その繁殖のしづらさにあるのかもしれません。
プチ・ブラバンソンの大きさは性別を問わず体高は23~25cm、体重は3.5~6kgほどです。
外見は非常にコンパクトですが、体つきはがっしりとしています。
プチ・ブラバンソンのカラーはレッド(赤色)とブラック、ブラック・アンド・タンが認められています。
いずれのカラーでも顔が黒い、ダーク・マスクであるのが特徴です。
プチ・ブラバンソンは明るくて活発、好奇心旺盛でイタズラ好きな性格をしています。
彼らは勇敢で飼い主に忠実、そして飼い主や家族に対して愛情深いことでも知られています。
ただし番犬として働いてきたためか、やや神経質な部分も持ち合わせています。
諸説ありますが、プチ・ブラバンソンの寿命は12~15年ほどだといわれています。
一般的に犬の平均的な寿命は10~14歳程度です。
そこから考えると、プチ・ブラバンソンはおおよそ平均的な寿命を持っていると考えられます。
英名:Petit brabancon
別名:プティ・ブラバンソン
原産国:ベルギー
サイズ:小型犬
グループ:9G・愛玩犬
大きさ:
体高・23~28cmほど
体重・3.5~6kgほど
寿命:12~15年
次にプチ・ブラバンソンをおすすめしたい人、プチ・ブラバンソンとの暮らしに向いている人について説明していきます。
プチ・ブラバンソンは社交的で、飼い主と遊ぶことや甘やかされることが大好きな犬種です。
そんな彼らは、犬と一緒に過ごす時間が長い方におすすめの犬種といえます。
なお、1匹で過ごす時間が長いとそのストレスから、「分離不安症候群」を発症することもあります。
プチ・ブラバンソンは家庭犬として、長く愛されてきた歴史を持つ犬種です。
性格は愛情深くて攻撃的でなく、またそのスムースコートのケアにはそれほど手間がかかりません。
そんなプチ・ブラバンソンは、初めて犬を飼う方にもぴったりの犬種といえます。
プチ・ブラバンソンはマズル(鼻の長さ)が短い 「短頭種」 です。
鼻が短い犬種(パグやフレンチ・ブルドッグなど)は総じて、呼吸器に関する問題を抱えやすいことで知られています。
プチ・ブラバンソンも呼吸やいびきの音が大きいため、神経質な方はその音が気になるかもしれません。
そんなプチ・ブラバンソンは、呼吸やいびきの音が気にならない方におすすめの犬種といえます。
次の項目では、プチ・ブラバンソンのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
プチ・ブラバンソンは、ブリーダーから購入できます。
プチ・ブラバンソンは希少な犬種であり、ペットショップではほとんどその姿を見かけません。
お迎えを検討している方は事前にブリーダーを探し、子犬がいるか、また今後ブリーディングの予定があるか問い合わせておくと良いでしょう。
状況によってはお迎えまで数か月、1年近く待つこともあるかもしれません。
なかなか理想の子犬に巡り合えない場合は、海外ブリーダーからの輸入を考えるのも1つの手です。
動物の輸入には時間と費用がかかりますが、より理想に近い子犬が見つかる可能性が高まります。
自力での輸入が難しい場合は、動物の輸出入に強い動物商やブリーダーの力を借りると良いでしょう。
また、何か事情があり(飼い主の怪我や飼育放棄など)、里親を探している個体がいるかもしれません。
プチ・ブラバンソンのお迎えを検討している方は、里親募集サイトをチェックしてみても良いでしょう。
プチ・ブラバンソンは1頭あたり、20~40万円程度で販売されています。
ただし希少な犬種であることから、カラーや性別、年齢や血統によって価格が大幅に上下する可能性があります。
次の項目ではプチ・ブラバンソンの飼い方と、そのポイントについて説明していきます。
プチ・ブラバンソンの主食には、品質の良い総合栄養食のドッグフードを与えましょう。
ドッグフードの品質は、大切な愛犬の健康状態に直結するものです。
値段だけで判断するのではなく、必ず含まれている栄養素や使用原料を確認するようにしてください。
与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談すると良いでしょう。
プチ・ブラバンソンのブラッシングは、週に2~3回程度行いましょう。
彼らは短毛のスムースコートなので、手入れにそこまで手間はかかりません。
多少の抜け毛はありますが、シングルコートなのでひどく気になるほどではないです。
プチ・ブラバンソン のシャンプーは、月に1回は行いましょう。
抜け毛が多くなる換毛期は、もう少しシャンプーの頻度を上げても構いません。
また、目の周りや顔のしわに汚れがたまりやすいので、濡れタオルなどを使ってこまめに拭ってあげると良いでしょう。
プチ・ブラバンソン の散歩は 1 回30分程度、1日2回行けば十分です。
室内遊び(ボール遊びや宝探し遊びなど)も加えると、なお喜んでくれることでしょう。
プチ・ブラバンソンは賢く、訓練されることを好むためしつけがしやすいといわれています。
ただし、明るいもののやや神経質な彼らには、厳しすぎる訓練は逆効果です。
しつけや訓練をする時は決して大きな声で叱ったり、体罰を与えたりしてはいけません。
また、神経質な性質を強くしないように、早いうちから社会化トレーニングを行うと良いでしょう。
ぜひ子犬のうちからさまざまな環境に連れ出して、多くの人や犬に会わせてください。
プチ・ブラバンソンは一般的に、丈夫で健康的な犬種だといわれています。
彼らに起こりやすい遺伝病としては、 股関節形成不全、膝蓋骨脱臼 などが知られています。
遺伝病以外には短頭種気道症候群などの 呼吸器疾患 、外耳炎などの 耳の病気 にかかりやすい傾向にあります。
愛犬と1日でも長く一緒に過ごすために、定期的な健康診断とこまめな耳掃除を欠かさず行いましょう。
短頭種であるプチ・ブラバンソンは体に熱がたまりやすく、暑さに弱いことで知られています。
夏場はエアコンを適切に使用する、暑い時間の散歩を避けるといった工夫をして、熱中症にならないように気を付けてください。
また、プチ・ブラバンソンは繁殖に難があるため、安易な気持ちで妊娠させないことも大切です。
なぜならメスは妊娠しにくいうえ、母犬のサイズの割に子犬が大きいため難産になりやすいのです。
自然分娩が難しく、帝王切開が必要になることが多い彼らの妊娠・出産は、母子ともに非常にリスクが大きいことを知っておいてください。
うっかり妊娠したという事態を避けるためにも、早いうちに避妊手術をすることをおすすめします。
避妊手術をすると二度と子どもを産めなくなってしまうというデメリットはありますが、子宮蓄膿症などのリスクが高い病気を避けられるという大きなメリットもあります。
ベルギー生まれの犬種、 「プチ・ブラバンソン」 について説明してきました。
どこか人間のような表情と雰囲気を持った彼らは、元気いっぱいで犬の飼育初心者の方にもおすすめできる犬種であることが伝わったでしょうか。
プチ・ブラバンソンとその兄弟犬は国内では珍しいものの、根強いファンがいる犬種でもあります。
純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの2019年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数では、プチ・ブラバンソンは53頭(142犬種中74位)、ベルジアン・グリフォンは42頭(142犬種中79位)、ブリュッセル・グリフォンは118頭(142犬種中59位)の新規登録が行われています。
もしプチ・ブラバンソンを自宅に迎えたら、毎日たくさんの愛情を注いであげてください。
明るくて元気いっぱいなプチ・ブラバンソンは、家族の一員として毎日たくさんの笑顔を生み出してくれることでしょう。
最終更新日 : 2021/03/31
公開日 : 2020/08/17