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キムリックは尻尾のない猫、 「マンクス」 の長毛種です。
マンクスとキムリックの違いは毛の長さだけで、体重や性格など、基本的な特徴は全く同じです。
キムリックの元となったマンクスは、イギリスにある 「マン島」 発祥の猫です。
マンクスは尻尾がないか短く、頭も体が丸く、腰から尻に向かってなだらかに背中が下がるという特徴を持っています。
また後ろ足が長く、ウサギのように飛び跳ねて移動することもマンクスならではの特徴です。
一方、本記事の主役であるキムリックは、イギリスではなくカナダを発祥の地としています。
時に彼らは長毛のマンクス、別名 「ロングヘアード・マンクス」 と呼ばれることもあります。
マンクスはかつて猫とウサギから生まれた「キャビネット」(cat+rabbit)だと考えられていました。
猫とウサギが交雑するなんて、おとぎ話のような話だと思う方も多いことでしょう。
しかし、実際にウサギのような走り方をするキムリックの姿を見ると、昔の人がそう考えたのも無理はないと思うかもしれません。
なお、マンクスにもキムリックにも、普通の猫と同じくらい尻尾が長い個体が存在します。
尻尾の長さには4つのパターンがあり、全く尻尾がなくて尻尾の部分が陥没している 「ランピー」 、尻尾はないけれど尻尾の部分に出っ張りがある 「ランピーライザー」 、短くて動かない尻尾がある 「スタンピー」 、普通の猫と同じように動く尻尾がある 「ロンギー」 に分けられています。
キムリックとしてキャットショーに出られるのは、ランピーとランピーライザーのみです。
ただ、尻尾がなくなる遺伝子は、致死性の遺伝病を起こす遺伝子でもあることが知られています。
「マンクス症候群」 と呼ばれる脊椎や脊髄に関する遺伝病を防ぐため、マンクスやキムリックの繁殖には特に専門的な知識が必要とされています。
マンクスはもともとイギリスのマン島に生息する、ごく普通の尻尾を持つ猫でした。
しかし、ある日突然変異で尻尾がない個体が生まれ、その個体からマンクスの歴史が始まりました。
実はマンクスの歴史は古く、1906年のCFA(猫の認定団体)創設時にはすでに1つの猫種として確立していたそうです。
時にマンクス発祥の地・マン島では、まれに短毛の親猫から長毛の子猫が生まれることがありました。
ただ、当時マンクスは短毛が望ましいと考えられていたため、長い間長毛の子猫は歓迎されませんでした。
その後、1960年代になると、カナダでは長毛のマンクスを飼育し、繁殖させるブリーダーが現れました。
これきっかけに長毛のマンクスは知名度を上げ、やがて独立した猫種として認められるようになりました。
この長毛のマンクスはマンクス発症の地・マン島とイギリスのウェールズが地理的に近いことを由来として、ケルト語でウェールズを意味する単語“キムル”(Cymru)から「キムリック」と名付けられました。
キムリックは顔も体も丸く、全体的に丸で構成されているような見た目の猫です。
体重は3.5~5.5kgほどで、その体つきからはぬいぐるみのような印象を受けます。
キムリックの毛色は全ての色、パターンが許容されています。
カラーとしてはブラック、チョコレート、ライラック、フォーン、ホワイト、クリーム、レッド、ブルー、シナモンなどあらゆる毛色が認められています。
パターンについても全身同じ色(セルフ)、縞模様や大理石模様(タビー)、バイカラー(白を含む2色)、シェーテッド(毛の上部1/4に色がついている被毛)など全てのパターンが認められています。
キムリックは穏やかで甘えん坊、そしてひょうきんで前向きな性格をしています。
キムリックは愛情深くて飼い主に対する忠誠心が強く、強い絆を結びたがる傾向があります。
また、ユーモアがあり遊び心も持っていますが、飼い主を困らせるようなイタズラをすることは少ないようです。
キムリックの寿命は、8~15年ほどといわれています。
一般的な猫の寿命が10~15年ほどということを考えると、キムリックはやや短命な傾向にあるといえるかもしれません。
英名:Cymric
原産国:カナダ
公認団体:TICA、ACFA
大きさ:3.5~5.5kg
寿命:8~15年ほど
ここまではキムリックの歴史や特徴、性格について説明してきました。
次にキムリックをおすすめしたい人、キムリックとの暮らしに向いている人について解説していきます。
キムリックは穏やかな性格ですが遊び好きで、飼い主から遊びに誘われると非常に喜びます。
そんなキムリックは、猫と一緒にたっぷり遊びたい方に向く猫といえます。
マン島ではネズミを捕ることを仕事としていたため、狩りを模した遊びを好むようです。
キムリックは家族に対して深い愛情を見せ、家族の一員となってくれる猫です。
子どもや他の動物(特に犬)に対しても寛容で、一緒に遊ぶことを好むことが多いようです。
そんなキムリックは文字通り、猫を家族の一員として迎えたいと考えている方にぴったりの猫です。
キムリックはダブルコートなので抜け毛が多く、毎日ブラッシングをする必要があります。
また、換毛期になると特に抜け毛が増えるため、定期的にシャンプーもしなければなりません。
キムリックはこういった日頃の手入れを苦に感じない方や、手入れを楽しめる方に向く猫ともいえます。
ここまではキムリックとの生活に向いている人の特徴について説明してきました。
次の項目では、キムリックのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
残念ながら、日本国内でキムリックを繁殖・販売しているブリーダーは見当たりません。
キムリックを購入したい場合、恐らく海外のブリーダーから輸入することになるでしょう。
現在は国内外問わず、ホームページやSNSを利用しているブリーダーは少なくありません。
そのため、ある程度の英語力と知識があれば、海外のブリーダーと直接連絡を取って子猫を購入することも可能です。
しかし、動物を輸入するための手続きは非常に面倒な物が多く、また多額の費用がかかるものです。
自分の手には負えないと感じた場合は、動物の輸出入代行を行っているペットショップや動物商を利用しても良いでしょう。
キムリックの具体的な価格は不明です。
海外から動物を輸入する場合、動物の値段に加えて輸入に関する各種費用が発生します。
キムリック自体の平均的な価格は8~13万円程度のようですが、輸入する国の場所や使う業者によっては輸入にかかる費用が大きく上下します。
概算ですが、輸入にかかる費用を20万円程度と考え、30~50万は用意しておいた方が良いかもしれません。
ここまではキムリックのお迎え方法について説明してきました。
キムリックは非常に珍しい猫ですが、もしお迎え出来たらどんな点に気を付けて飼えば良いのでしょうか。
この項目では、キムリックの飼い方とそのポイントについて紹介していきます。
キムリックはとても筋肉質な猫です。
体型を維持できるように、たんぱく質がしっかりと含まれた品質の良いキャットフードを与えましょう。
ただし食欲が旺盛なので、フードやおやつを与えすぎないように注意してください。
キムリックはダブルコートで抜け毛が多いため、毎日ブラッシングをする必要があります。
特に換毛期は大量に毛が抜けるので、より丁寧にブラッシングをしてください。
抜け毛を放置するとグルーミングした時に毛を飲み込んでしまい、毛球症の原因となります。
キムリックの美しい被毛を維持し、抜け毛を取り除くために月に2回程度シャンプーをしてください。
換毛期で抜け毛が多いときは、シャンプーをすると効率的に抜け毛を取り除くことができます。
どうしてもシャンプーができない時は、硬く絞った濡れタオルで体全体を拭くと良いでしょう。
キムリックはとても筋肉質で、アスリートのような体型をしています。
しっかりと運動させるために、室内には登り棒やキャットタワーを設置してください。
高さがある家具を並べ、上下運動ができるようにしても良いでしょう。
個体によってはハーネスとリードをつけて、散歩ができることもあります。
また、ボールやおもちゃを投げてとってくる、「とってこい」を覚える個体も少なくありません。
なお、猫は通常尻尾を使って体のバランスを取り、不安定な場所や高い場所でも活動しています。
そう考えると、尻尾のないキムリックには高い場所は危険なのでは?と考える方もいることでしょう。
しかし、キムリックは持ち前の筋肉を生かし、尻尾がないと思えない素晴らしい運動神経を見せてくれます。
キムリックは非常に賢く、穏やかな性格をしていることからしつけがしやすいといわれています。
日頃から愛情を注いでいれば、しっかりと飼い主の要望に応えてくれることでしょう。
キムリックは体が丈夫で、キムリック特有の病気は少ないといわれています。
ただし食欲が旺盛なので、肥満になりやすい点に注意しましょう。
肥満は関節や心臓に過度な負担をかけるため、あらゆる病気の元になります。
また、他の猫と同じく換毛期には毛球症を起こしやすくなります。
そして、年齢を重ねるとともに慢性腎不全(腎不全)、下部尿路疾患(尿路結石、膀胱炎など)を発症する可能性も上がっていきます。
キムリックと1日でも長く一緒に過ごせるように、日頃から食事の管理を徹底し、十分な運動量を確保するようにしてください。
キムリックは愛情深く、遊び心のある猫です。
猫は犬と違い、べたべたした関係を好まないと思う方も多いことでしょう。
しかし、キムリックは飼い主と絆を結ぶことを喜び、一緒に過ごす時間を楽しむ犬のような性質を持った猫であることを覚えておいてください。
キムリックを家族として迎えたら、なるべく多くの時間を一緒に過ごしてあげてください。
愛情深くて穏やか、尻尾がない不思議な猫「キムリック」について説明してきました。
キムリックは日本国内ではその姿はおろか、名前すらほぼ見かけない猫種です。
ただ、その性格や見た目を考えると、何かきっかけがあれば日本国内でも爆発的に人気が高まるかもしれません。
もし幸運にもキムリックと一緒に暮らせることになったら、なるべく一緒に過ごしてあげてください。
キムリックはあなたが注いだ愛情の分、もしくはそれ以上の愛情を返してくれるはずです。
公開日 : 2020/06/12