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ホシガメは 「爬虫綱 カメ目 リクガメ科」 の動物です。
いくつかの種類がありますが、日本国内で 「ホシガメ」 というと、ほとんどの場合は 「インドホシガメ」 のことを指します。
そのため、本記事では、特に注意書きをしない限り「インドホシガメ」について説明していきます。
先述の通り、ホシガメにはいくつかの種類が存在します。
この項目では国内の動物園やペットショップなどで見られるホシガメを3種類だけ紹介します。
当記事で取り上げるインドホシガメはインド、パキスタン、スリランカ周辺に生息しています。
野生では熱帯雨林から半砂漠まで、さまざまな環境に適応して暮らしています。
学名:Geochelone elegans
生息地:インド,パキスタン,スリランカ周辺
体長:オス・15~20cm、メス・25~30cm
ビルマホシガメは、ミャンマー(旧名ビルマ)に生息しているホシガメの1種です。
インドホシガメと似ていますが、別の種類であり、現地では食用とされていたこともあるようです。
学名:Geochelone platynota
生息地:ミャンマー
体長:約30cm
マダガスカルホシガメは、別名 「ホウシャガメ」 とも呼ばれるマダガスカル島に生息するカメです。
以前は他のホシガメと近い種類と考えられていましたが、現在では違う種類だと考えられています。
そのため、学名もGeochelone radiataから、Astrochelys radiataに変更されました。
学名:Astrochelys radiata
生息地:ミャンマー
体長:約30cm
インドホシガメの体長はオスで15~20cm、メスで25~30cmほどです。
体重は2.2~7kgほどで、オスよりもメスの方が大きくなる傾向にあります。
インドホシガメには声帯がないため、鳴き声はありません。
威嚇する時に 「シャー」「ヒュー」 といった空気が抜けるような音を出すことがあります。
インドホシガメは植物食(草食)の動物です。
野生では葉や果実を食べていますが、時には動物の死骸を食べることもあります。
インドホシガメの特徴の1つが、その名前の由来にもなっている美しい甲羅の模様です。
放射状の模様が星のように見えることから、「ホシガメ」という名前が付けられました。
もう1つの特徴は、甲羅がドーム状に盛り上がっていることです。
盛り上がり方は個体差がありますが、野生下より飼育下のインドホシガメの方がより盛り上がる傾向にあるようです。
インドホシガメのオスは生後6~8年、メスは生後8~12年で性成熟し、繁殖できるようになります。
飼育下ではもっと早く性成熟する個体も多いです。
メスは交尾から60~90日ほどで産卵し、1回に1~10個の卵を2~4回に分けて産みます。
子ガメは卵の中で外が良い環境になるまで待ち、47~180日後にふ化します。
インドホシガメの寿命は、飼育下で40年ほどとされています。
野生下での寿命ははっきりとわかっていませんが、35~80年くらいなのではないかと考えられています。
分類:爬虫綱 カメ目 リクガメ科
学名:Geochelone elegans
英名:Indian Star Tortoise
別名:ホシガメ
分布:インド,パキスタン,スリランカ
大きさ:
体長・オス・15~20cm、メス・25~30cm
体重・2.2~7kgほど
鳴き声:鳴かない
食性:植物食(草食)
繁殖:
性成熟:オス・生後6~8年、メス・生後8~12年
産卵数:1回に1~10個(2~4回産む)
寿命:飼育下で40年ほど
インドホシガメはペットとして飼育できます。
ただし、2019年11月26日にワシントン条約の付属書Ⅰ(絶滅の恐れのある種で取引による影響を受けている、または受ける恐れのあるもの)に掲載されたことから、入手難易度は上がっています。
この項目ではインドホシガメの購入方法と、その値段について解説します。
ワシントン条約締約国会議 インドホシガメの附属書Ⅰ掲載がコンセンサスで採択されました。国際取引は禁止されます。また国内での販売・陳列・広告も種の保存法で禁止されます。販売等を行う場合には登録が必要です。参照環境省のサイト https://t.co/jQuds1iSeY pic.twitter.com/xwubPMfaRM
— JWCS (@JWCSJWCS) August 26, 2019
インドホシガメはペットショップやブリーダーから購入できます。
しかし、現状商業目的での輸出入ができない状況になっていることから、扱っているショップやブリーダーは限られています。
インドホシガメは1匹10万円前後で販売されているようです。
2019年11月から商業目的での輸入ができなくなったため、今後価格は高騰し続けるものと考えられます。
飼いやすいサイズまで成長している場合、さらに値段が上がると考えた方が良いでしょう。
インドホシガメは乾燥や低温に弱く、飼育難易度が高いリクガメです。
正直なところ、初めてリクガメを飼育するという方にはおすすめできる種類ではありません。
この項目ではインドホシガメを飼育する際に必要なものと、その理由を説明していきます。
インドホシガメの主食は野菜や果物です。
新鮮な野菜や果物を用意し、1日に1回与えます。
不足しがちな栄養素を補うため、副食としてリクガメ専用フードを与えると良いでしょう。
量については、インドホシガメがちょうど食べきる量が目安だとされています。
あまりにもすぐ食べきってしまう場合は増やし、大量に残す場合は減らして調整します。
野菜はそのままでは食べづらいため、なるべく細かく刻んでから与えると良いでしょう。
なお、餌について「主食は野菜である」ことを忘れないようにしてください。
果物やリクガメ専用フードだけでは栄養が偏り、成長不良や体調不良を引き起こす可能性があります。
与えて良い野菜:コマツナ、チンゲンサイ、キャベツ、サラダナ、トマト、ニンジン、カブ葉など
与えて良い果物:バナナ、リンゴ、イチゴ、マンゴーなど
与えて良い野草:オオバコ、クローバー、ハコベ、タンポポなど
インドホシガメをはじめとするリクガメの仲間は、意外と運動量が多いことで知られています。
ケージは大きければ大きいほど良く、横幅が150cm以上のものが用意できれば理想的だと考えられます。
ただし、横幅が150cm以上のケージを用意し、安定した場所に設置するのは簡単なことではありません。
そこまでスペースが取れない場合は、横幅60cm×奥行45cm以上のケージを用意し、運動量は部屋の中を散歩させて補うと良いでしょう。
インドホシガメが健康に成長するためには、紫外線ライトが欠かせません。
ケージには爬虫類用の紫外線ライトを設置し、点灯・消灯の時間を決めて毎日紫外線を浴びられる環境を作ってあげましょう。
紫外線ライトには多くの種類があり、それぞれ紫外線の照射量やワット数が異なります。
どれを選んで良いかわからない場合は、ショップで相談することをおすすめします。
インドホシガメは低温に弱いため、ケージには必ず保温器具を設置してください。
その際は、必ず保温器具と温度管理用のサーモスタット(爬虫類用)をセットで設置します。
保温器具は消耗品のため、予備をストックしておくことをおすすめします。
インドホシガメのケージには、姿を隠して休める場所としてシェルターを設置しましょう。
石や木材などさまざまな材質のものがありますが、どれを選んでも構いません。
インドホシガメの体がすっぽり収まる、やや大きめのサイズを選んであげてください。
インドホシガメは乾燥に弱いため、ケージには大きめの水入れを設置してください。
水入れの水はインドホシガメが飲むのはもちろん、ケージ内の湿度を上げる役割もあります。
なお、水が汚れると水を飲まなくなるため、こまめに取り換えてきれいな状態を保ってあげてください。
インドホシガメは、その美しさからペットとしての人気が高いカメです。
数多くの野生個体が、ペット用として日本国内に輸入されてきました。
野生のインドホシガメは簡単に捕まるうえ、欲しがる人が多くあっという間に売れるそうです。
しかし、彼らは飼育難易度が高いため、寿命を全うさせられる飼育者はほとんどいません。
ペット向けの乱獲に加えて生息地が破壊されたインドホシガメは、大幅に数を減らしてしまいました。
そんな彼らを保護しようと、1975年にインドホシガメはワシントン条約の付属書Ⅱに登録されました。
そのおかげもあり、1980年頃には原産地からの輸出はほぼ停止していましたが、残念ながらペットとしての需要が高い彼らの密猟は絶えることがありませんでした。
今も違反と知りながらインドホシガメの輸出入を行う人も、その個体を買う人も後を絶ちません。
筆者が勤めていた動物園にいた個体も、ワシントン条約違反で国内に持ち込まれた個体でした。
同じように密輸され、元の生息地に戻ることもできず、国内の動物園に保護されている個体が多いのが現状です。
インドホシガメは確かにとても美しく、魅力的なカメです。
しかし、野生で暮らす彼らの生活を脅かしてまで、ペットとして飼育する必要はあるでしょうか?
多くの人が彼ら本来の暮らしを思い描き、尊重してあげることができたら素敵だなと思います。
インドホシガメの産卵の瞬間です。
Posted by イズー(体感型動物園 iZoo) on Wednesday, January 2, 2019
インドホシガメはとても美しい甲羅を持っていることから、ペットとして人気が高いカメです。
ただ、ここまで説明してきた通り、飼育難易度がやや高く、飼いやすいとはいえないカメでもあります。
インドホシガメの飼育に挑戦してみたい方は、まずは動物園に行ってみてはいかがでしょうか。
実際のインドホシガメやその飼育環境を観察すると、たくさんの学びがあるはずです。
獣医室だよりを更新しました。「インドホシガメの爪切り」です。 https://t.co/bYvy2SlBVf
— 京都市動物園(公式) (@kyotoshidoubut1) December 16, 2019
京都市動物園でも、複数のインドホシガメが飼育されています。
大小さまざまなサイズのインドホシガメがいるので、1匹1匹のサイズや模様を見比べてみてください。
インドホシガメが飼育されている熱帯動物館では、他にも多くの爬虫類や両生類が暮らしています。
住所:〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内
マップ: Googleマップ
電話番号:075-771-0210
入館料:
一般 620円
中学生以下 無料
営業時間:
3月~11月 9:00~17:00(最終入園は16:30)
12月~2月 9:00~16:30(最終入園は16:00)
休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月28日~1月1日)
公式ホームページ: 京都市動物園
進撃のインドホシガメ!?🐢 #とべ動物園 #スネークハウス #インドホシガメ pic.twitter.com/ra7pq7XsbP
— 愛媛県立とべ動物園【公式】 (@tobezooofficial) October 18, 2018
愛媛県にある愛媛県立とべ動物園では、複数のインドホシガメが飼育されています。
今まで何回か繁殖に成功しており、園内で産まれた個体も何匹がいるようです。
タイミングが良ければ、仔ガメが見られることもあるかもしれません。
住所:〒791-2191 愛媛県伊予郡砥部町上原町240
マップ: Googleマップ
電話番号:089-962-6000
入館料:
大人 500円
高齢者・高校生 200円
小中学生 100円
営業時間:9:00~17:00(最終入園は16:30)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
公式ホームページ: 愛媛県立とべ動物園
インドホシガメはとても魅力的ですが、誰にでも飼えるカメではありません。
他のリクガメを飼育したことがある人が、万全の体制で迎えることが望ましいカメだと考えます。
飼育難易度が高いだけではなく、2019年にワシントン条約の付属書Ⅰに移行した彼ら。
今後繁殖方法が確立し、国内繁殖の個体が出回るまで入手難易度が上がっていくものと思われます。
もし縁があってインドホシガメを飼育できることになった際は、ぜひ最後まで大切に、責任をもって飼ってください。
※合わせて読みたい: リクガメの種類と飼い方
公開日 : 2020/03/16