Top > 魚類/甲殻類/水生生物 > 藻類/海草/水草
本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
マリモ(毬藻)とは、その名の通り毬のような形をした淡水性の緑藻のことを言います。
「糸状体」と呼ばれる細い繊維が絡み合い、丸い形になったものです。
特に有名な北海道の阿寒湖のマリモは、その球状の形が美しいことから国の特別天然記念物に指定されています。
また、秋田県の獅子ヶ鼻湿原(にかほ市象潟)の鳥海マリモが知られているほか、滋賀県の琵琶湖や青森県・富山県・山梨県の湖にも生息しています。
国外でもマリモを見ることはできますが、日本のものほど美しい球形ではないため、あまり注目されていないのが現状です。
マリモは、細い繊維の集合体です。
外側と同じ状態のものが内側まで詰まっていますが、ほかの植物と同様で光合成をします。
しかし、光が中央部まで届かず、枯れてしまったり溶けてしまったりして、内側が空洞になってしまうことがあります。
実際のところ、切ってみないことには中身が枯れているかどうかは判別できません。
北海道のお土産で、マリモを見たことがある方は多いでしょう。
阿寒湖で取れたものを販売していると思うかもしれませんが、前述した通り、阿寒湖のマリモは天然記念物であるため採取することはできません。
以前は、お土産のマリモは阿寒湖のそばにある「シラルトロ湖」で採取していたのですが、近頃はシラルトロ湖から取るのも厳しくなったため、現在お土産で売られているマリモはロシアで育ったものが多いようです。
ちなみにお土産のマリモは、生きているものもありますが、作りものの場合もあります。
光合成や呼吸をする立派な植物ですから、たとえば密閉してしまうキーホルダーに生きているマリモが入っていてはかわいそうですよね。
もしもお土産のマリモを買う際には、あえて観賞用の作りものにするか、育てたいと考えている人のために生きているものにするか、きちんと考えてから選びましょう。
植物であるマリモは、もちろん育てることが可能です。
糸状の藻が光合成をするたびに増えていくのですが、見て分かるほど大きく育つわけではありません。
マリモの成長速度は非常に遅く、糸状体が1年で伸びる長さは数mm位です。
なお、マリモは大きくなってくると、きれいな丸い形を維持できなくなり、やがては崩れて複数の小さなマリモに分かれます。
目立った成長の仕方はないものの、定期的にお手入れをすることで、美しい球形を保つことができます。
マリモを育成したい場合は、北海道の空港や 水族館 のお土産コーナーで入手できることもありますが、通信販売で購入するのが最も確実な方法です。
2〜3cm位のものであれば、1個1,000円前後で販売されています。
また、6個で2,500円、20個で4,000円位で提供しているショップもあるので、予算や必要な数を検討して買いましょう。
ハート型のマリモを取り扱っている店もありますよ。
ここからは、マリモを育てていくために必要なことや、知っておきたいポイントについてお話ししていきます。
マリモは光合成をする生き物ですから、餌は必要ありません。
肥料も不要です。
以下に詳しく説明しますが、適切な温度と光、きれいな水がマリモの栄養になります。
光合成をするとはいえ、実はマリモは日光に当てすぎてはいけません。
日に当てることによって、不必要なコケが発生してしまいます。
マリモにとって光合成をするための光は、室内の照明で充分です。
なお、可能であれば、窓際でレースカーテン越しの日光をほんのりと当ててあげましょう。
ただし、直射日光はNGです。
水温が高くなり、マリモが弱ってしまいます。
マリモは本来、北海道などの冷たい湖の底に生息する生物です。
低温には強い一方で、高温にはあまり強くありません。
適温は15〜20℃です。
できれば夏場は冷房が効いている部屋で育てることが理想です。
もし冷房設備がない場合、マリモを育てている場所が30℃以上になってしまうようでしたら、冷蔵庫で保管しましょう。
暑くなりすぎてしまうようであれば、無理に光に当てる必要はないので、日陰に移動しても大丈夫です。
マリモを育てる水槽は、マリモの数にもよりますが、基本的には15~30cm程度のサイズのものでOKです。
亀用の浅い水槽でも良いですが、水を多く入れられる観賞魚用の水槽のほうが、急激に水温が上昇しないのでオススメです。
底に敷く砂は、珊瑚・石といった淡水魚用のものが適しています。
栄養分が含まれている砂は、マリモとは違う種類の藻を発生させてしまうので、なるべく使用を避けましょう。
湖に近い環境にするため、また水を衛生的に保つためには、濾過装置を使うことが望ましいです。
ただし、濾過口にマリモの毛が吸い込まれやすいので注意しましょう。
水槽ではなくビンで飼育することも可能ですが、蓋付きのものを使う場合には1〜2日に一度は蓋を外し、空気を入れ替えてあげましょう。
参考価格:2,071円(税込)
メーカー名:寿工芸
サイズ (幅X奥行X高さ) :30×30×30cm
重量:5.5㎏
生産国:中国
水槽に入れる水は、水道水でOKです。
熱帯魚や 金魚 の飼育経験がある方は水道水の塩素が気になるかもしれませんが、マリモの場合はカルキ抜きした水は不向きです。
特に心配せず、水道水をそのまま使いましょう。
マリモの水槽の水は、温まったり濁ったりしたら交換が必要です。
夏は3日〜2週間に一度、冬場は1ヶ月に一度を目処に入れ替えましょう。
毎日のように交換すると、かえってマリモが新しい水に馴染めないので注意してください。
マリモは、汚れた水の中にいると弱ってしまいます。
また、夏場になるとボウフラ・ミズミミズといった微生物が発生する可能性さえあります。
微生物はマリモに害は与えませんが、あまり見た目が良くないですよね。
万一、微生物が発生してしまっても、きれいな水に交換すれば自然といなくなるのでご安心ください。
なお、水を交換する際には、「誤ってマリモを排水溝へ流してしまった」という失敗例が多いので、くれぐれもお気を付けください。
ほかの容器や茶漉し・ザルなどにマリモを一度移してから、水槽のメンテナンスを行いましょう。
水を入れ替えるときには、一緒にマリモのお手入れをしましょう。
そっと水洗いし、手のひらの上で転がせると、美しい球体に戻ります。
潰してしまわないよう、力を入れずに扱いましょう。
サイズが大きなマリモの場合は、洗う際に内部へ水が行き渡らないことがあるので、スポンジを軽く絞るような感覚で中の汚れを出してあげましょう。
水を強く当ててしまうと、バラバラになってしまうのでご注意を。
水の交換時期ではなくても、マリモの表面の色が白や茶色になっていたら、早急に洗ってあげてください。
マリモが白っぽくなっている場合は、別のタイプの藻が付着しているケース、もしくは日光に当たりすぎて日焼けしているパターンが考えられます。
マリモとは明らかに違う感触の藻がついていたら、マリモが弱っていってしまうので、すぐに除去しましょう。
藻は何度も発生してしまうため、水の交換やマリモの水洗いで丁寧に対処してください。
ところで、他の動物や魚と一緒にマリモを育てる方が時々いらっしゃいますが、マリモを守るためには絶対に同じ水槽に入れてはいけません。
特に草を主食としている魚にとってはマリモは大のごちそうであるため、すぐに食べられてしまいます。
また、草食タイプの魚ではなく、エビや水草であっても、水が汚れたりマリモ以外の藻が発生したりする原因になるので、共生させることはできません。
ビー玉のような装飾品を入れる分には問題ありませんが、やはり汚れが溜まってしまうため、水槽と一緒にこまめな掃除は必要です。
マリモは、多くの藻の集合体ですから、「寿命」という概念はないかもしれません。
ただ、一つの球体を5〜15年育成させたという方は多いので、その位は持つと考えておくと良いでしょう。
ちなみに、マリモが枯れてしまうと浮いてくるという話を耳にしたことがある方も多いと思いますが、マリモが浮く場合、考えられる理由は以下の2パターンがあります。
1つ目は、光合成をした結果、マリモの体の周囲に酸素(気泡)がたくさん発生し、浮いてくる場合。
2つ目は、マリモの内側の部分が腐敗してしまったことにより中が空洞になり、軽くなって浮いてしまった場合です。
前者の場合は一時的に浮くだけですが、内部が腐ってしまった後者の場合はずっと浮き続けます。
なお、ずっと動かないマリモはいつ寿命を迎えたか分かりにくいものですが、色が緑であればまだ生きていると判断しても良いでしょう。
表面が茶色くなっている場合は、枯れてしまっている可能性が高いです。
まずはピンセットを使って茶色い箇所を取り、きれいな部分は手の上で転がし、丸くしてあげてください。
マリモが割れて中が黒く溶けてしまっていた場合は、同様に黒ずんだ箇所を取り除き、きれいな所だけを丸めて引き続き育てましょう。
もしもマリモが枯れてしまったら、一般ゴミとして処分できますが、自然に帰してあげたい場合は、庭や公園の土に埋めてあげても良いですね。
自然界の神秘的な存在とも言えるマリモ(毬藻)。
本記事を参考に、きれいに育ててあげてください。
公開日 : 2017/12/21