本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
ピータパンに登場するナナのモデルにもなった犬、ニューファンドランド。
原産国はその名の通り、カナダのニューファンドランド島。
ニューファンドランド島はカナダの東海岸に位置し、夏でも高原には雪が残り冬は厳寒となる厳しい環境です。
ニューファンドランド島は世界屈指の漁場であり、ニューファンドランド犬は網を引くなど漁師たちの手伝いをし、また海難救助犬としても活躍しました。
陸地でも力の強さを発揮し、木材を運ぶなど作業犬として活躍しました。
ニューファンドランドが今の姿になった由来は、はっきりせず主に3つの説があります。
1つ目は、ニューファンドランドはチベットのマスティフと絶滅したアメリカのブラックウルフが交配した子孫であるという説です。
2つ目は、紀元1000年ごろカナダに渡ってきたヴァイキングが連れてきた犬とカナダに生息していたオオカミが交配して生まれたという説。
3つ目は、15世紀~16世紀頃にピレニーズ、マスティフ、ポルトガルウォータードッグの交配種として生まれたという説です。
確かなことは18世紀後半にイギリスの植物学者サー・ジョセフ・バンクスがニューファンドランドを手に入れ、1775年にジョージ・カートライトが「ニューファンドランド」と名付けました。
そして1800年代後半に、スイスのアルベルト・ハイム教授がニューファンドランドを犬種として登録しました。
ヨーロッパで愛されたニューファンドランドですが、原産国のカナダでは一時期絶滅の危機に瀕します。
カナダで飼い犬1頭1頭に税金がかけられるようになったためです。
絶滅しかけたニューファンドランドの復活に一役買った人達がいます。
貢献した一人は、動物画家として有名なイギリスのエドウィン・ランドシーア(1802-1873)でした。
ランドシーアは特に白と黒の毛をもつニューファンドランドを好んで描き、最も有名な「救助終了」の絵にも白と黒のニューファンドランドが登場します。
この白と黒の毛色はのちに「ランドシーア」と呼ばれるようになり、ニューファンドランドの存在を人々に知らしめたのです。
さらにニューファンドランド島の知事になったハロルド・マクパーソン(1884-1963)がニューファンドランドを自分の犬として飼いはじめたことがきっかけで再びニューファンドランドが増え始め、絶滅の危機を脱することができました。
1860年にイギリスで初めてニューファンドランドが犬の品種として人々に紹介され、1879年にアメリカンケンネルクラブに登録されました。
ニューファンドランドは荒波を耐えることができる強靭な骨と筋肉を持つたくましい犬種です。
ニューファンドランドは氷の海でも寒さから体を守ることができる厚いダブルコートを持っているので、一見モフモフのクマさんのようにも見えるかもしれません。
トップコートは油分を含んでいるため水をはじくことができます。
耳は垂れ耳。
唇も垂れ下がっているので、よだれが出やすい傾向があります。
毛はまっすぐで長毛。
色は黒、茶色、灰色、白黒(ランドシーア)が登録されています。
ニューファンドランドはその優しい性格で知られています。
ディズニーアニメとしても有名な「ピーターパン」の中で、ウエンディ達姉弟の乳母として登場する犬のナナ。
その乳母犬ナナはニューファンドランドです。
架空のお話しではありますが、原作者のバリーがニューファンドランドのナナを乳母として描いたのには、それなりの根拠があるからでしょう。
ニューファンドランドは子供に対して深い愛情を示す犬なのです。
優しく、フレンドリーで子供たちを守ろうとすることもあるほど。
ニューファンドランドは生まれながらのベビーシッターだという人もいます。
ニューファンドランドは優しいクマさんのような外見をしていますが、性格もとても穏やかです。
賢く特に子供のことが大好きで、子供たちを楽しませることがニューファンドランドの喜びともなります。
ニューファンドランドは家族と一緒にいることに幸せを感じるので、長時間の留守番が必要なお宅や人間との触れ合う時間が少なくなる庭や犬舎での飼育は向いていません。
室内飼育をしてあげましょう。
オスの体高は約71cm、体重は59~68㎏。
メスの体高は約68cm、体重は45~55㎏。
大人の女性くらいの体重はある大型犬です。
犬には幼いときからの社会化やしつけが大切ですが、大型犬であるニューファンドランドにとってはより重要です。
どんなに穏やかな性質の犬でも、社会との適切な交流やしつけなしには人間社会の中でうまく暮らしていけません。
幼年のときから様々な人々やほかの犬にふれあい、色々なものを見たり音を聞いたりする経験を積むことによって、優しく穏やかな犬に成長することができるでしょう。
ニューファンドランドは、性格的にしつけがしやすい犬種です。
人間を喜ばせることが大好きなので、できたら大いにほめてあげましょう。
・ 自宅に来客を招く …現代の日本では攻撃性は全く必要ないので、知らない人に対しても穏やかでいられるようにしましょう。
・ 人や犬がいる公園に行く …人間に対してはもちろんのこと、他の犬に対しても攻撃的な姿勢は今の社会では敬遠されてしまいますから、小さい頃からフレンドリーな犬になれるように公園などに連れだして交流を図れるようにしてください。
・ お店などの公共の場に連れて行く …車や電車の音、街に出ると聞こえる人々の声や様々な音楽などに驚いたり怖がったりしないように慣れさせるため、犬の同伴が許可されている公共の場所に行って楽しんでみるといいですね。
・ 犬のしつけ教室に参加する …ほかの犬にも会えますし、飼い主さんも一緒に参加することで犬との向き合い方や、その犬の個性を知ることもできます。
社会化としつけができているニューファンドランドは、子供や猫などの他の動物との生活も問題なく楽しく送ることができます。
ニューファンドランドは気を付けなければならない病気があります。
すべてのニューファンドランドにこれらの症状が現れるわけではありませんが、飼育する際は心に留めておくことをおすすめします。
大腿骨が股関節にぴったりと合わない症状で遺伝によるものが多いです。
歩き方がおかしい場合は、獣医で診断を。
痛みを伴う場合もありますが、多くは犬自身の苦痛を伴わないので獣医の指示に従って様子を見てください。
高齢になると関節炎を発症することもありますので、この症状が確認できたら定期的に獣医に状態を確認してもらいましょう。
膀胱に結石ができてしまう症状です。
痛みを伴いますし排尿を困難にしてしまうので、最悪の場合死を招きます。
ただし、薬の服用や療養食を食べることによって回復できますので、普段から尿の状態に注意して異常に気がついたらその日のうち獣医に診てもらってください。
1日、尿が出ないと命に関わります。
大型犬に多い症状ですが、胃がガスや空気で膨張した後にねじれてしまう症状です。
膨張し捻転した胃は心臓などの他の臓器を圧迫して最悪の場合死に至りることも。
これは主に早食いや、運動後に一度に大量に飲んだりした場合に起こりがちです。
吐きたいのに吐けない、大量によだれが出る、落ち着きがない、腹部が膨らんでいるなどの症状が見られたら胃捻転の可能性が高いので即刻病院へ行ってください。
10年~15年。
気を付けなければいけない病気などはありますが、大型犬の平均くらいの寿命です。
激しい運動は必要ありませんが、毎日合計で2時間程度の運動をさせてあげましょう。
飼い主と一緒に歩く程度の運動で構いません。
ニューファンドランドは素晴らしいスイマーですし、泳ぐことが大好きです。
たまには飼い主さんと一緒に泳げる場所に遊びに行くのも、ニューファンドランドにとってとても幸せなことでしょう。
ニューファンドランドの子犬は4〜7ヵ月の間に急速に成長するため、その時期は無理をさせると骨に異常をきたす場合があります。
そのため子犬のうちは、アスファルトの道路などの硬い地面で遊ばせないようにしてください。
2歳頃に骨や関節が完全に形成されますのでそれまでは、できるだけ芝生などの上での運動をおすすめします。
ニューファンドランドは元々涼しい気候の場所で生活していましたし、暑さには弱いです。
日本の湿度と気温の高い夏は屋外での飼育は難しいので室内飼育をし、夏はクーラーなどで室内温度を管理してください。
熱中症になると命を落とすこともあります。
真夏の昼間の散歩は危険ですので避けましょう。
気温の涼しい朝夕を選んで散歩をしてください。
ニューファンドランドは体重が60㎏以上にもなる大型犬です。
飼育するのには広いスペースが必要です。
運動できる程度の広さがある庭があるとよりいいですね。
胃捻転を防ぐためにも食事は1日2回に分け、早食いが気になるようであれば早食い防止の皿などを活用してみてください。
犬は人間との暮らしで雑食性も持つようになりましたが、本来は肉食です。
穀物や添加物の含有量が多いフードは避けてください。
できればミール(良質のミールもありますが多くは肉以外の部分を粉にしたもの)が含まれていない、タンパク質を22〜24%、脂肪分を12〜15%を含む良質のフードを選んでください。
肥満は関節に負担になるばかりでなく、病気の原因にもなりますから食べ過ぎには注意しましょう。
ニューファンドランドは豊富なダブルコートの毛を持っていますので、週に2~3回のブラッシングが必要ですし、長い毛にはゴミや落ち葉などが付着しやすく汚れやすいので被毛をきれいに保つためには1カ月~2カ月ごとにシャンプーすることをおすすめします。
春と秋は換毛期で大量の毛が抜けるので、よくブラッシングして取り除いてあげましょう。
ニューファンドランドはかなり大型の犬種ですのでご自宅でのシャンプーはかなり大変です。
プロのトリミングを利用すると飼い主さんも楽ですし犬をきれいに保てます。
爪も伸びてきますから1ヶ月に1回程度は切ってあげてください。
爪が床に当たってカツカツと音がするようであれば爪が伸びすぎています。
ニューファンドランドの爪は大きいですし、犬の爪には血管が通っているので爪切りが難しいと感じたら獣医やトリマーに頼みましょう。
歯周病になると歯が抜けてしまったり、痛さで食事が困難になったり、菌が他の器官に感染したりします。
犬の健康と長生きのためには毎日歯みがきをしてあげてください。
毎日が難しくても週に少なくとも2,3回はみがいて、歯石や細菌が蓄積しないようにしましょう。
液体歯みがきなどを併用すると効果的です。
ニューファンドランドは垂れ耳なので、耳の中が蒸れて汚れやすい傾向があります。
週に1回は耳のチェックをし、耳用のクリーナーで優しく拭いてあげてください。
ただし、拭くのは外耳部分だけで内耳部分は触らないようにしましょう。
内耳は皮膚がとても薄く繊細なので傷つきやすいです。
赤くなったり悪臭がしたりしないかをチェックし、異常があったら獣医に相談してください。
ニューファンドランドは、子どもに対して非常に寛容的です。
子供たちにとっても、柔らかい毛並みとテディベアのような外見の大きな犬はとても魅力的で人気があります。
しかし、その大きさゆえに子供たちを転ばせてしまったり、または犬には危害を加える気はなくても子供を怖がらせてしまったりする場合もあると認識しておきましょう。
ニューファンドランドに限らず犬と子供が一緒に暮らす場合は、犬とのコミューケーションの仕方を子供に教え、犬と子供が遊ぶ場合は大人が見守るようにしてください。
子供はまだ道理が分からず犬がいやがることをしてしまう場合もあります。
耳や尻尾を引っ張ってはいけない、犬が食事をしているときに子供が手出しをしたり邪魔をしたりしてはいけないことも教えましょう。
また、犬が寝ているときに邪魔をすることも良くない行為です。
犬が不快になる行動を放置すると子供に対して犬はいい感情を持てなくなります。
どんなにフレンドリーな犬でも、大人の監視なく子供と犬だけで放置することは絶対にやめましょう。
価格は30万円~40万円。
ブリーダーから購入することが望ましいです。
その際は、ぜひブリーダーを訪問してみてください。
飼育などの相談に購入後も対応してくれるブリーダーであればベストですね。
残念ながら現在の日本では悪質ブリーダーが横行している状況です。
愛情をもって飼育しているブリーダーから購入するようにしましょう。
犬舎は清潔か、親犬は健康かなど自分の目で確かめてください。
犬の数が多くてもきちんと管理されている犬舎は決して悪臭はしません。
毛並みは豊かで艶があるか、爪は伸びすぎていないか、糞尿などで汚れたままにされていないかなどチェックしましょう。
また、動物愛護法により生後8週齢以下の販売・譲渡は禁止されています。
生まれてすぐに親兄弟から離されてしまうと成長や社会化に支障が出る場合があるためです。
ちゃんと親子で過ごせているか、法令を遵守しているかも大事なチェックポイントです。
犬がきちんと飼育されていない兆候があったり、法令に違反していたりする場合は保健所などの通報してください。
ニューファンドランドはかなりの大型犬のため購入時、そして飼育に当たってもかなりの金額が必要です。
・首輪・リード 5,000円
・食器 2,000円
・ケージ 20,000円~40,000円
・トイレ 10,000円
・床のすべり止め 10,000円~30,000円
ニューファンドランドなどの大型犬は関節を痛めやすい傾向があります。
床が滑らないように対処してあげなくてはなりません。
特に幼少期は骨の発育に悪影響を及ぼすので床の対策は必要です。
・エサ代(1ヶ月につき) 10,000円~20,000円
・トイレ用品(1ヶ月につき) 5,000円~10,000円
・狂犬病ワクチン(年1回) 3,000円
・任意ワクチン(年1回) 5,000円~8,000円
・フィラリア予防薬(5月~11月) 10,000円~20,000円
・トリミング代(1回) 10,000円~20,000円
犬は生きていますから病気やけがをして獣医にかかる場合もあるでしょう。
医療費は高額になることが多いですので、その点も考慮に入れておく必要があります。
手術や数日間の入院、薬代等で最低30万円ほどはかかりますので、いざというときのためにペット用の保険への加入を検討されてもいいかもしれません。
ニューファンドランドの平均寿命は10~15歳。
12歳まで生きたとすると毎年の経費の合計は750万円以上になります。
その他に獣医にかかればもっと必要になりますので、経済的にニューファンドランドを飼育できるかどうかよく考えてから判断しましょう。
原産国:カナダ ニューファンドランド島
歴史:3つの説がある。
1.マスティフと絶滅したアメリカのブラックウルフが交配した子孫である。
2.カナダに渡ってきたヴァイキングが連れてきた犬とオオカミが交配して生まれた。
3.ピレニーズ、マスティフ、ポルトガルウォータードッグの交配種として生まれた。
寿命:10年~15年
大きさ:オスの体重 59~68㎏ メスの体重 45~55㎏
性格:賢く穏やかで子供に対してフレンドリー。
運動能力:木材をひく作業をしていたほど力が強く、海難救助犬として活躍するほど泳ぎが得意。
毛色:黒、茶色、灰色、白黒(ランドシーア)
毛の長さ:長毛
大きくてモフモフな外見と、温和で子供たちが大好きという素晴らしい性質を持ったニューファンドランド。
一度は一緒に生活してみたいと憧れる犬のひとつです。
しかしいくら魅力的でもただ欲しいから、かわいいからという理由でその後の経費のことなどを考えないで飼ってしまうと犬も人間も不幸になってしまいます。
大型犬の成犬は愛護団体でも保護が難しいうえに、適切に飼育してくれる里親さんを探すことも難しいです。
一度飼うと決めた以上は最後まで責任と愛情をもって飼育してください。
そうすれば、ニューファンドランドとの生活は楽しく幸せなものになるはずです。
最終更新日 : 2020/12/18
公開日 : 2017/04/08