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【獣医師が解説】犬にとうもろこしを与えても大丈夫?与える際の注意点






とうもろこしには犬にとって有害な成分は含まれておらず、食べても大丈夫な食材です。
むしろビタミンやミネラル、食物繊維など身体に良い栄養素が入っていることから、ドッグフードにも多く使われています。

本記事では、愛犬にとうもろこしを食べさせたいと考えている方に向けて、与え方や与える際の注意点などを解説します。

また、そのままでも美味しいとうもろこしですが、より犬が食べやすくなるおすすめのレシピもご紹介します。

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【目次】【獣医師が解説】犬にとうもろこしを与えても大丈夫?与える際の注意点

 

犬はとうもろこしを食べても大丈夫?

犬に与える際のとうもろこしの量

犬に良いとうもろこしの栄養素

犬にとうもろこしを与える際の注意点

与えすぎない

芯は与えない

アレルギー体質の犬

持病のある犬

おすすめの犬用とうもろこうしレシピ

犬用ササミ缶ととうもろこしのお団子

とうもろこしとヤギミルクのスープ

味付けしないポップコーン

 

 

犬はとうもろこしを食べても大丈夫?

 

dog_corn1

 

とうもろこしには犬にとっての中毒物質は入っていないので、食べても大丈夫です。

 

とうもろこしは糖分が多く、タンパク質も含まれているため、犬が好んで食べる傾向にあります。

我が家の犬は、貰ったものは何でも食べる大型犬をはじめ、警戒心の強い雑種の中型犬もとうもろこしを食べます。

 

ただ、与える際は茹でたとうもろこしであることが前提です。

生のとうもろこしでも大きな問題になることはありませんが、消化不良になる可能性があるので、必ず火を通してから与えるようにしてください。

 

もちろん、全ての犬がとうもろこしを食べるかというと、個々の好みがあるため一概には言えません。

粒々のままでは食べない犬でも、少し潰して甘味のある状態にすれば食べることが多いでしょう。

 

大手メーカーの治療食の缶詰にもとうもろこしが使用されていたり、良質な繊維質としてドッグフードに使用されていることも多いので、犬にとって嗜好性(しこうせい)の高い食材と認識されているのだと分かります。

 

 

犬に与える際のとうもろこしの量

 

dog_corn2

 

犬が喜ぶからといって沢山のとうもろこしを与えてしまうと、消化不良や主食であるドッグフードを食べなくなる可能性があります。

そのため、適切なとうもろこしの量を知っておくことは大切です。

 

とうもろこしをおやつとして与える場合の適切量を計算してみましょう。

 

  • とうもろこしの含有カロリー:100gあたり92kcal
  • とうもろこし1本のカロリー:約160kcal
  • 体重4kgの避妊去勢済みの犬のおやつの適正カロリー:約30kcal
  • 体重4kgの避妊去勢済みの犬に与えるとうもろこしの適正量:約30g、約1/5本分

 

あくまでも目安ですが、約1/5本分のとうもろこしの粒は食べても大丈夫です。

 

中には非常に甘く品種改良されているとうもろこしもあり、糖分が豊富に含まれていることから、これよりも含有カロリーが多い可能性があります。

さらに、犬それぞれの運動量や代謝量は大きく異なるので、毎日のように30gを与えても大丈夫ということではありません。

 

与えていたら体重が増えてくることもあるため、くれぐれもあげ過ぎには注意してください。

犬のおやつとして与えるのであれば、市販の犬用クッキーや犬用ボーロなどの加工品を与えるよりは、保存料が少なくビタミン類も入っているとうもろこしの方が、安全で健康に良い食材と言えるでしょう。

 

 

犬に良いとうもろこしの栄養素

 

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とうもろこしはビタミン類やミネラル、そして食物繊維を多く含むため、健康食品として優秀な野菜です。

さらに苦味や辛味、えぐみなどもなく、甘味が強いことから美味しく食べられます。

 

そんなとうもろこしに入っている具体的な栄養を見てみましょう。

 

<ビタミン類>

  • ビタミンB1
  • ビタミンB2
  • ビタミンE

 

ビタミンB1は犬にとって神経の機能を正常に保ち、エネルギー生産に欠かせない物質です。

不足している場合は心臓肥大や四肢の麻痺などが起きることが分かっています。

 

ビタミンB2はエネルギー代謝をはじめ、皮膚や角膜の維持に必須のビタミンであるため、不足している場合は皮膚炎や白内障、体重減少が起きてしまいます。

ビタミンB1もB2も水溶性のビタミンなので、摂り過ぎても病気になることはなく、体内での備蓄量も多くないために日常的に摂取するのが望ましいです。

 

ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、摂り過ぎると体に良くないこともありますが、とうもろこしを少量食べる分には過剰摂取にはなりません。

 

ビタミンEは犬の身体の中でも抗酸化作用を発揮して、活性酸素から細胞を守ってくれます。

不足している場合は筋肉がどんどん弱くなっていく退行性骨格筋疾患(たいこうせいこっかくきんしっかん)になることが知られており、その他にも正常な精子の形成ができなくなることがあります。

 

<食物繊維>

 

とうもろこし100gあたりに食物繊維は3.1gほど含まれており、これが犬の腸内環境や血糖値の急上昇を抑えることが分かっています。

犬にとっての食物繊維は人と同様に重要な働きがあり、良い便の形成に役立ちます。

 

近年のドッグフードは不溶性繊維と可溶性繊維のバランスを整えて配合されており、とうもろこしも良質な繊維質として使われていることが多いです。

繊細なお腹の犬にも適量のとうもろこしを与えることは、腸内環境へ良い影響が期待できるでしょう。

 

※参考:Maria R C de Godoy 1, Katherine R Kerr, George C Fahey Jr. Alternative dietary fiber sources in companion animal nutrition. Published online. 2013.


 

犬にとうもろこしを与える際の注意点

 

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美味しくて身体に良いとうもろこしですが、与える時に知っておいてほしいことがいくつかあります。

何も知らずに与えて、とうもろこしが原因で愛犬に健康被害が出ることがないように注意してください。

 

与えすぎない

 

とうもろこしは糖分が高いものが多いため、あげ過ぎてしまうとカロリー過多になってしまうことがあります。

多すぎるカロリーは肥満のもとなので、特に減量が必要な犬はあげ過ぎに気を付けてください。

 

また、とうもろこしは食物繊維が多い食物なので、与えすぎると下痢になってしまうことがあります。

 

犬はもともと噛むことはしても、食べ物を細かく咀嚼(そしゃく)していません。

つまり、犬にとうもろこしを与えても、粒のまま飲んでしまうことが多いため、消化しにくい形で胃腸に入ってしまうのです。

 

できればとうもろこしの栄養分や美味しさをしっかりと味わってもらうために、犬に与える際はすり潰しておくと安心です。

 

芯は与えない

 

犬がとうもろこしの芯を食べてしまうと、消化管に詰まってしまって、お腹を開ける大がかりな手術になることがあります。

これは多く見られる事故なので、飼い主様はとうもろこしの芯が愛犬にとって非常に怖いものだと知っておく必要があります。

 

とうもろこしを芯ごと与えるケースよりも、以下のように食べ終わったとうもろこしの芯を犬が盗食するケースが多いです。

 

「机の上に置いてあった食後のとうもろこしの芯を犬が盗み食いしていた」

「ゴミ箱に捨てて置いたとうもろこしの芯を犬が食べていた」

 

とうもろこしの芯は甘い匂いや栄養部の残りがあるために、犬にとっては魅力的なものに映ることがあるようです。

食べられるところにとうもろこしの芯があると、犬が食べてしまう危険性があるので注意してください。

 

犬はとうもろこしの芯を消化できないので、胃内に残り続けたり、小腸に詰まってしまうリスクがあります。

 

<病院での対処法>

  1. 吐かせる処置をする
  2. 内視鏡で取り出す
  3. 開腹手術で、胃切開や腸切開を行う

 

吐かせる処置が妥当かどうかは、診察した獣医師が判断します。

簡単に吐かせると言っても、犬の状態や既往歴によっては吐かせることも危険なケースがあるためです。

 

内視鏡は全身麻酔が必要な処置なので、ある程度は犬に負担がかかってしまいます。

そして、とうもろこしが胃から先の腸に入ってしまっている時には、内視鏡では取り出せないことが多いでしょう。

また、とうもろこしの芯が大きすぎて内視鏡で持ち上げられないケースもあります。

 

一番犬に負担が大きく、リスクも高いのが開腹手術です。

お腹を切って開き、胃や腸を切り開いて芯を取り出します。

芯が腸に詰まっている時間が長い時は腸の一部が壊死していることがあるため、腸を一部切り取ってつなげるという大がかりな手術になることもあります。

 

アレルギー体質の犬

 

とうもろこしはタンパク質を含んでいるため、アレルゲンになることがあります。

 

とうもろこしアレルギーは多いものではありませんが、もともとアレルギー体質の犬であれば注意が必要です。

始めてあげる時には2〜3粒からあげるようにして、顔の腫れや痒み、吐き気や下痢などが起きないか数時間は確認してください。

 

研究では、とうもろこしアレルギーがあってもコーンスターチ(とうもろこしを原料とするでんぷん)であれば大丈夫という報告があるため、低アレルゲンのドッグフードにはコーンスターチが使われているものも多くあります。

 

※参考:Thierry Olivry 1 2, Jennifer Bexley 3. Cornstarch is less allergenic than corn flour in dogs and cats previously sensitized to corn. BMC Veterinary Research. 2018.

 

持病のある犬

 

基本的に、とうもろこしを食べて悪化するような病気はありません。

それでも、持病があって毎日お薬を飲んでいる犬や、特別な治療食を食べている犬は、念のため担当医にとうもろこしをあげても良いか聞いておきましょう。

 

あくまでも例ですが、以下のような状況であればとうもろこしは推奨できないことが多いです。

 

  • アレルギー体質で、低アレルゲンの特別療法食を食べている
  • 糖尿病で、血糖値のコントロールのためにインスリン投与や食餌量が決められている
  • 尿路結石が出来やすく、厳密に食餌コントロールが指示されている

 

高齢犬に多い慢性心臓病や慢性腎不全などでは、とうもろこしを食べても大丈夫なことが多いです。

 

 

おすすめの犬用とうもろこうしレシピ

 

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味付けをせずに茹でてとうもろこしを与えるのが一般的ですが、何か愛犬のために良いおやつを手作りしたいという方は多いようです。

そのままでも美味しいとうもろこしですが、さらに美味しく食べやすいものにする工夫をご紹介します。

 

犬用ササミ缶ととうもろこしのお団子

 

犬用の缶詰フードで、ササミがゴロゴロ入っているものを使用します。

とうもろこしは茹でてミキサーにかけたものを用意するか、犬用の野菜フレークを使用すると楽に作れます。

 

  1. 缶詰からササミを取り出し、スープは取っておく
  2. スープと潰したとうもろこし(またはフレーク)を混ぜてなじませておく
  3. ササミをつぶして練って、とうもろこしペーストと混ぜる
  4. 水分を調節して、丸めてお団子にして出来上がり

 

我が家の食欲旺盛な大型犬は味わうことなく丸呑みでしたが、警戒心の強い雑種の中型犬はおそるおそる口の中で転がして食べていました。

 

とうもろこしとヤギミルクのスープ

 

犬用のヤギミルクととうもろこしペーストで、コーンスープを作ってみましょう。

歯周病が痛くて噛めない老犬などの栄養補給にもおすすめです。

 

ヤギミルクが初めての犬には、ごく少量から与えてみてください。

 

  • とうもろこしを茹でて、フードプロセッサーでペースト状にする。
  • ヤギミルクととうもろこしペーストをまぜて10分ほど煮込む
  • こし器でこして出来上がり

 

目安はとうもろこし一本分にヤギミルク大さじ一杯です。

飲みやすい状態になるように水分で調節しましょう。

 

味付けしないポップコーン

 

ポップコーンはとうもろこしの繊維がほどよく壊れ、栄養素もそのまま含まれることから愛犬にとって良いおやつになります。

 

人用のお菓子のポップコーンは塩味が強すぎるので与えてはいけませんが、自宅で加熱して作ったポップコーンであればおすすめできます。

塩分やバターなどが入っていないポップコーンのもとを購入してきて、ポップコーンを作って愛犬にあげてみましょう。

 

だいたいの犬はポップコーンが好きな傾向にあります。

加熱により膨らんで、食べ応えもあることから噛む楽しみもできるようで、我が家の犬も楽しそうに食べてくれました。

 

 

ドッグフードの原材料としても使用されるほど、とうもろこしは犬の健康にとって良い効果があります。

 

ただ、カロリーと食物繊維がやや多いので、くれぐれも与え過ぎには注意してください。

特にとうもろこしの芯は消化吸収できずに消化管に詰まることがあるので厳禁です。

 

愛犬用に味付けしていないポップコーンを家で手作りして、人用には味を足して、同じものを一緒に食べる楽しみ方もおすすめですよ。

 

 

執筆・監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。

最終更新日 : 2024/06/17

公開日 : 2023/04/27



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