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犬のおならの原因は人と同じで、腸内細菌が産生するガスと、口から飲んでしまった空気がメインです。
便秘気味で便が腸内に留まる時間が長くなると、腸内のガスも溜まり、おならが出やすくなります。
そのため、排便のタイミングが整っている方がおならが少ない傾向にあります。
犬のおならが臭いと感じる場合には、食べ物に変化がなかったかどうか、そして便の状態は悪くないか、便秘になっていないかが大切なポイントです。
タンパク質が多い食餌にすると、腸内細菌のバランスの変化によっておならの臭いも変わります。
また、おならが多く出て便が緩いのであれば、腸内細菌のバランスが崩れている可能性もあるでしょう。
便秘の場合には、腸内細菌が産生したガスが多く溜まっておならになるので、通常よりも臭いおならになることが多いです。
犬のおならが出る時はどのような時かと言えば、気を抜いている時と緊張している時の2つが多いです。
犬のおならは無音で出ることが多いことから、飼い主さんは気付かないことがほとんどだと思いますが、リビングで愛犬とくつろいでいたらふわーっとおならの臭いがしたり、寝ている愛犬からプスーっとおならが出るのを聞くこともあるでしょう。
緊張したり、我慢したりしてお腹に力が入るとおならが出る犬も多いです。
先述した通り、基本的に犬のおならは音が出ずにフスーっと出るのですが、稀にプーっと音が出ることもあり、出した犬自身がとても驚いたりします。
自分で出したおならなのに、なぜか人を非難するような視線を向けてくることもあります。
犬がおならをするのは正常なことなので、犬のおならに気付いても直ぐに病気と疑う必要はありません。
ただ、あまりにもおならの回数が多い場合や、下痢とおならが多い時には病気のサインになっていることがあります。
おならが増えているのと同時に、くしゃみや鼻水が増えている時には、普通よりも空気を飲んでいることが原因かもしれません。
鼻の通りが悪いと、呑気(どんき)という空気を飲む現象が頻発します。
このケースでおならが増えるのは一概に病気とは言えないのですが、鼻の通りが悪くなると犬も息苦しいことが多いので、鼻づまりの原因を治療してあげましょう。
その結果、お腹にガスが溜まるのも軽減できて良いでしょう。
鼻が詰まる原因には、慢性鼻炎や歯周病からの炎症の波及、怖いものでは腫瘍性の病変などもあります。
咳が頻繁に出ている犬では、実はおならも多くなっている傾向にあります。
咳こむ時に呑気(どんき)を起こしやすく、しかも咳をする時にお腹に力も入ることが多いので、おならがよく出るのでしょう。
咳によるおなら自体に大きな問題はないのですが、咳で体力が奪われることもあるので、咳を少なくする治療をすることが大切です。
咳の出る原因には様々なものがあり、心臓の働きが悪い、肺や気管に問題がある、アレルギー体質などがあります。
喉の奥の軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる場所が長いために、空気の通り道を塞ぎ、呼吸のしづらい犬がいます。
この特徴がある犬は、本来は肺へ行くはずの空気が食道の方へ入りやすくなってしまうため、おならが多い傾向にあります。
顔の短い犬種で多く見られ、パグやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種では、生まれつきの素因から軟口蓋過長になっていることが多いでしょう。
あまりにも軟口蓋が長すぎて呑気(どんき)が多く呼吸が苦しい犬は、軟口蓋を短くする手術を受けた方が良い場合もあります。
もし短頭種であまりにもおならが頻発して苦しそうな時は、担当の獣医師に相談するようにしましょう。
便の回数が増えていたり、便の水分量が多い時には、おならも多く出る傾向にあります。
下痢の原因によっておならが増えるかどうかも変わるのですが、排便回数が多いケースでは腸が便を絞り出そうとする動きが多くなるので、おならも多くなります。
腸内細菌のバランスが崩れている時は、おならの臭いも変化するため、飼い主さんがおならに気付くことも多いかもしれません。
下痢でおならが多いからと言って怖い病気という訳ではありませんが、このケースでは犬はお腹が痛いことが多いので、病院で下痢を治す治療を受けるようにしましょう。
呑気(どんき)をすることが多い犬種はおならが多くなります。
犬種で言えば短頭種はおならが多い傾向にあります。
鼻ペチャの愛称もあるほどで、その表情や仕草からとても人気の犬種であるフレンチブルドッグは、おならが多く出る傾向があります。
軟口蓋過長(なんこうがいかちょう)であることも多く、かつ鼻の孔が生まれつき狭い鼻腔狭窄の傾向もあり、空気が気道ではなく食道に多く入ってしまいがちです。
さらに、お腹も繊細なフレンチブルドッグが多いので、軟便や下痢になった時には臭いの強いおならがよく出ます。
他の犬種と比べると鼻がめり込んでいる形状をしていることが多く、鼻からの呼吸は得意ではないために呑気は多くなります。
軟口蓋が長いケースもあるので、興奮時にはフガフガと呼吸しずらい様子があり、空気が胃の方へ入ってしまうのでしょう。
鼻炎で鼻が詰まっていることも多いので、鼻水が多く出る時には治療をおすすめします。
自力でごはんを食べることができなくなって、飼い主さんに食餌の介護をしてもらっている高齢の犬は年々多くなっています。
その食餌の介護の中でも、注射筒(針のついていない注射器)を使って食餌を口に少しづつ入れて貰うタイプの給餌では、どうしても空気も一緒に飲んでしまうことが多いことからおならも増える傾向にあります。
この場合は病的なものではないので、食餌の介護によっておならが増えても心配することはないですが、ごく稀にお腹がパンパンになるほどガスが溜まってしまうこともあるため注意が必要です。
お腹の動きが悪くなっている時にはお腹のガスで痛みも出るので、獣医師と相談してお腹のガスの対策を取るようにしましょう。
犬のおならをあえて減らす必要はないですが、もし腸内細菌のバランスが悪い、あるいは消化吸収に問題があるという時には、いくつかの対策を実施してみましょう。
腸内の問題ではなく、呼吸器の問題が原因の時は、原因治療をすることが大切です。
犬用の乳酸菌サプリメントはたくさんの種類が販売されており、犬が嫌がらずに食べてくれるような工夫もされているものが多いです。
「何だか、この子のおならが増えた気がするんです…」という飼い主さんの愛犬に乳酸菌のサプリメントをおすすめしたところ、おならが気にならなくなったということがありました。
おならの回数が減ったのでなく、おならの臭いが減ったことが気にならなくなった要因かもしれません。
ただ、サプリメントについては効果のあるものと無いものがあるので、購入には注意が必要です。
かかりつけの獣医師におすすめのものがあるかを聞いてみると良いでしょう。
おならの回数や臭いは食べ物によって大きく変化しますので、おならが多い時や臭いと感じる時にはドッグフードを変えてみるのがおすすめです。
便秘気味な犬であれば、良質な繊維質の入っているドッグフードに変えてみて、便秘が解消されるかどうかを試してみてください。
可溶性繊維と不溶性繊維は腸内細菌のバランスにとって非常に重要な要素となりますので、臭いの軽減にも役立つことがあります。
呼吸器の問題があっておならが増えているのであれば、出来る限りその問題を軽減してあげることが大切です。
鼻づまりや、咳による呑気(どんき)が増えると犬も苦しいことが多いので、飲み薬によって原因治療をすることが推奨されます。
軟口蓋過長(なんこうがいかちょう)や鼻腔狭窄(びくうきょうさく)が重度である場合には、犬の日常生活が息苦しさの連続であることが多いので、外科手術が実施されます。
呼吸がスムーズになると、自然とおならも減るでしょう。
犬のおならは正常な状態でも出るため、不自然でなければ心配する必要はありません。
ただ、あまりにも回数が増えたり、臭いがキツくなったと感じる時には、何らかの原因が隠れているかもしれません。
おならであっても「今までと何か違う」と飼い主さんが気付くのはとても大切なサインであることが多いので、異変を感じたらすぐに獣医師に相談してみてくださいね。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/03/03
公開日 : 2023/03/03