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猫がストレスを感じたときに見られるサインについてご紹介します。
ちょっと気になる体調の変化や行動は、ストレスが原因かもしれません。
ストレスがかかり過ぎると、自律神経のバランスが乱れたり、ストレスホルモンであるコルチゾールが多く分泌されたりすることで、体に様々な不調が表れます。
猫に以下のような不調が見られた場合、ストレスによって症状が引き起こされている可能性があります。
一方で、このような症状が表れた際には、重大な病気が隠れていることもあります。
体に気になる症状がある場合には、軽く考えず動物病院を受診するようにしてください。
「極度の緊張からお腹が痛くなった」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
これは、過度なストレスがかかったことにより自律神経のバランスが乱れ、交感神経ばかりが働いてしまい、消化管の動きを調整する副交感神経が働かなくなったことで起こる症状です。
猫でも同様に消化器に影響が表れることがあります。
嘔吐もストレス反応の一種である場合があります。
猫は吐きやすい動物ですが、回数が増えたなど気になる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
猫は食餌に対するこだわりが強い動物なので、単に今与えているフードに飽きている場合もありますが、ストレスを感じて食欲が落ちている可能性もあります。
一日以上食べない状態が続くときには、肝臓に負担がかかっていることも考えられるので、受診するようにしましょう。
ストレスが原因で膀胱炎になり、血尿が出ることがあります。
引越しや模様替えでトイレの場所が変わったり、新しい猫を迎えてその猫がトイレを使うようになったりすると、おしっこを我慢してしまうことがあり、それが膀胱炎に繋がると言われています。
食欲が低下して、水分摂取量が減ることも膀胱炎の一因になります。
ストレスを感じたときに、猫がする行動を見てみましょう。
以前はあまり鳴き声をあげない猫だったのに、しきりにニャーニャー鳴くようになった場合には、強いストレスと感じていることが考えられます。
トイレのしつけは出来ているはずなのに、急に失敗するようになった場合、ストレスが原因かもしれません。
トイレを新しいものに取り替えたときやトイレの場所を変えたときに起こります。
また、飼い主が忙しくてトイレの管理が充分に出来なかったり、来客などでトイレの場所まで行きにくくなったりすることが続くと起こることもあります。
マーキングとは違い、尿や糞便の量が多いことが特徴です。
傷や出来物など、皮膚に異常があるわけではないのに、肢やお腹をペロペロ舐める仕草をすることがあります。
グルーミングのときにも同じ行動をするので、皮膚に影響がなければ心配ありませんが、ストレスを感じて行っている場合、毛が抜けてしまったり、皮膚が赤くなるまで舐め続けてしまったりすることもあります。
自分の尻尾を追いかけ、噛んでしまうことがあります。
また、肢を舐めながら爪を噛むこともあります。
このような行動が頻繁に見られるときは、ストレスのほかにも皮膚炎など病気の可能性もありますし、噛んで傷になったところから細菌感染を起こすこともあります。
酷くなる前に動物病院を受診しましょう。
猫は、どのような場面でストレスを感じやすいのでしょうか。
家庭で飼われている猫がストレスを感じやすいシチュエーションをいくつか見ていきましょう。
「犬は人に付き、猫は家に付く」と言われることもあるくらい、猫にとって居住空間は重要なものです。
同じ家でも、家具の配置が変わっただけでストレスを感じる猫もいます。
今まで静かだった家に、赤ちゃんが生まれたなど、新しい家族が増えるとそれがストレスになることがあります。
人間の赤ちゃんは、急に泣いたり、尻尾を掴んできたりと猫にとって動きが読めず、恐怖を感じてしまうことがあります。
また、犬や猫を新たに迎える場合も、相性によっては大きなストレスになることが考えられます。
飼い主の仕事の都合などで、留守番の時間が増えることもストレスになる可能性があります。
飼い主がいるときにはいたずらしないのに、留守中に飼い主の物を壊したり、部屋のドアなど出口となる場所に爪跡や何か破壊された物があったりする場合、飼い主が不在であることに不安を感じている可能性があります。
ストレスから体に不調が表れることがあるとお話しましたが、逆に病気がストレスの原因となることもあります。
体に不快感があることは、ストレス以外の何物でもありません。
健康なときは穏やかな猫だったのに、痛みで気が立っていて、飼い主にも噛みつくというのはよくあることです。
また、病気になると定期的に動物病院へ通わなければならないこともあるでしょう。
老猫に多い腎不全などは、頻繁に点滴をするため病院へ通わなければならず、猫にとってストレスになります。
病気や怪我の種類によっては、エリザベスカラーを着けたり、注射をしたり、美味しくない薬を飲まなければならなかったり、猫にとって嫌な刺激が沢山あります。
ストレスが全くない状況を作ることは出来ませんが、なるべく愛猫にストレスを与えることは避けたいですよね。
ここでは、ストレスを軽減するために飼い主が出来ることをお話します。
猫は、家具の位置や家の中の物の配置を覚えていて、それが変わると不安になることがあります。
どうしても模様替えしたいときには、一度に家具を動かすのではなく、猫の様子を見ながら時間をかけて行いましょう。
また、猫のトイレやキャットタワーなどは、出来れば場所を移動しない方が良いでしょう。
模様替えと違い、引っ越すときは間取りなどもあるため、物の配置がガラッと変わることはやむを得ない場合も多いと思います。
その場合、トイレや食器、爪とぎ、キャットタワーなど猫の使っているものは買い替えず、そのまま持って行きましょう。
キャットフードも、今まで食べていたものを引越し先でも与えられるようにストックしておきましょう。
初めは慣れない場所で、猫もなかなか落ち着かないと思います。
そのような状態でいきなり広いところへ出すと、家のどこかへ隠れてしまって出てこなくなることがあります。
新居に慣れるまでは猫の安全を考えて、生活範囲を狭めておく方が良いでしょう。
引越し前から広めのケージを用意しておき、しばらくその中で暮らせるように慣らしておくと安心です。
慣れたらケージから出しますが、いきなり全ての部屋を開放しておくのではなく、一部屋だけで生活するようにします。
そうやって少しずつ行動範囲を広げていきましょう。
ストレスによる膀胱炎を予防するためには、トイレの配置に気を配る必要があるかもしれません。
設置場所がうるさいところだったり、冬場寒いところだったりすると、猫が行きたがらないことがあるためです。
また多頭飼いの場合、トイレの数も重要です。
最低でも頭数プラス1個は用意するようにしましょう。
さらに、トイレの容器や砂は猫の好みに合っているかよく観察することも大切です。
特に新しいトイレ容器に買い替えるときや違う種類の猫砂を使用する際には、今まで使っていた猫砂を混ぜながら徐々に新しいものに慣れさせると良いでしょう。
猫は高い場所にいることで、落ち着くという習性があります。
キャットタワーなどを用意することで、不安を軽減させることが出来ます。
ストレスサインが多いと感じた場合は、高い場所でご飯やおやつをあげることで、ストレスを軽減させられることもあります。
人間の赤ちゃんや同居動物を迎えてから、ストレスサインが増えたと感じたら、猫が離れて落ち着ける場所を作る必要があるかもしれません。
赤ちゃんであれば高い場所には登れないので、キャットタワーなど高い場所を用意することで、猫の安心出来るスペースを確保することが出来ます。
同居動物、特に猫同士の場合、相性が良くないと感じたら、寝る部屋を分けるなど、別々の場所で生活させた方が良いこともあります。
ストレスがかかると、食欲とともに飲水量も減ってしまうことがあります。
摂取する水の量が減ることは膀胱炎の原因になりますし、腎臓にも負担がかかります。
猫は新鮮な水を好むので、水はこまめに取り替え、水の入った容器を数ヵ所に設置しましょう。
どうしても飲んでくれない場合は、餌の水分量を増やすことも考えた方が良いかもしれません。
ドライフードからウェットフードに変更したり、肉を茹でたスープをかけたりして食べ物から水分を取るという方法もあります。
忙しいときでも遊ぶ時間をなるべく確保しましょう。
遊ぶ時間を増やし、充分に運動させることは、留守中の不安を軽減すると言われています。
歳を取った猫は遊びに誘っても乗ってこないかもしれませんが、優しくマッサージをするなど、かかわる時間は若い頃と同じくらい取るようにしましょう。
忙しいときにはなかなか難しいかもしれませんが、動物病院へ行くときには、なるべく空いている時間を選びましょう。
犬が苦手な場合には、猫専門の病院や車で診察まで待つことが出来る病院など、猫に配慮のある動物病院を選ぶのもひとつの方法です。
待っている間は、キャリーケースの上からタオルをかけるなど、外が見えないようにすると良いでしょう。
皮膚など体そのものに病気はないけれど、しきりに舐めたり、噛んだりする行動を放っておくと、皮膚炎になったり、辞めさせようとすると飼い主を噛むようになったりと、皮膚も行動も悪化する場合があります。
毛が抜けてしまったり、皮膚が剥けてしまったりしている場合には、行動治療を行っている病院に相談しましょう。
猫のストレスサインやストレスの原因、解消方法などについてご紹介しました。
愛猫のストレスサインを見逃さず、なるべく早く対処することが大切です。
日々、猫の様子をよく見て、その猫に合ったストレス対策を行っていきましょう。
愛猫と沢山コミュニケーションを取り、一緒に過ごす時間を大切にしたいですね。
執筆・監修:獣医師 近藤 菜津紀(こんどう なつき)
原因不明の難病に20年以上苦しみながらも、酪農学園大学獣医学科を卒業後、獣医師免許を取得。
小動物臨床や、動物の心理学である動物行動学を用いたカウンセリング、畜場での肉の検査(公務員)など様々な経験を経て、現在は書籍の執筆や講演活動などを行なっている。
車椅子生活をしながら活動する、日本で唯一の「寝ながら獣医師」。
最終更新日 : 2021/02/04
公開日 : 2021/02/04