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目薬がどうしてもさせない、嫌がって噛む場合はどうしたらいい?
犬に目薬が必要になる病気は様々あります。
目の表面に傷がついてしまったり、まぶたの病気、乾性角結膜炎、結膜炎、白内障、緑内障など。
犬を飼っていると、目に異常があって目薬を処方されることは珍しいことではありません。
目の異常に対しては、目に効果が高い目薬を使用する方が全身の負担も軽減できますし、効果も高いからです。
一時的な目の傷に対する治療や、感染性の病気では、短期間で目薬の投薬が終了することも多いです。
しかし、ドライアイ、白内障、緑内障などは長期的に目薬をさす必要があり、大変苦労される飼い主さんも多いです。
動物病院で使用する薬では、動物用の薬以外に、人間用の薬の量を計算して処方することもあります。
目薬に関しても人間用のものを使用することもあるのです。
そのため、「処方された目薬が自分の持っているものと同じだった」という経験のある方もいらっしゃると思います。
最近では、通販で目薬を購入することもできるので、自分で購入して使ってみようかと思うこともあるでしょう。
また、動物の眼球にホコリが入ってるのを見つけたり、目やにがはりついてたりする時。
犬の目が少しだけ赤かったり、ショボショボしているのに気づいた時。
人間用の市販薬を少しだけなら、自己判断で使用してもいいのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
前述のように、人間用の目薬を犬に治療で使用することはあります。
ただし、そのことが人間用の市販薬を自己判断で犬の目に使っていいということにはなりません。
犬用であれ人間用であれ、自己判断での点眼は目の状態を逆に悪くしたり、犬との信頼関係を損なう可能性もあるからです。
犬は目薬をさされることが苦手な子が多いです。
人間でも、しなくてはいけないとわかっていても、目薬が苦手な方も多いと思います。
犬はなぜそれをしなくてはいけないのかという理由を理解することができないので、人間よりも嫌がる子が多いです。
市販されてる目薬の中には、副作用を起こす可能性が低いものもあります。
ただし、 安易に目薬をさすことは犬と人間の信頼関係を崩すことになる可能性もあり、決しておすすめできません 。
眼球についた目やにやホコリを取りたい場合は、無理しなくても自然に排出されますので、あえて点眼する必要はありません。
また、 自己判断での点眼を行うことで目の状態が悪くなったり、目の病気の発見が遅れてしまうことも あります。
さしている点眼薬の成分によっては、長期の使用で目に穴が開くなど重度の影響を及ぼす可能性もあるのです。
そのため、目薬をさすにあたっては 獣医師の診察を受けて、適切な点眼薬をきちんと検査を受けながら最短の使用期間で使うことが重要 です。
目薬をさすことが必要な場合、どのようにさしたら犬の負担を和らげることができるのでしょうか。
床で犬が自由に動ける状態で目薬をさすのは、どんなにおとなしい子でも困難です。
抱っこするか、もしくは手伝ってくれる人がいるなら少し高い机の上などで抱きかかえてもらいましょう。
この時に 犬の背中が自分のお腹とくっつくように、犬と自分が同じ方向をむくように抱えるのがポイント です。
歯磨きガム、ささみジャーキー、クリーム状のおやつを塗ったおもちゃなどを食べさせながら行いましょう。
普段はあまり与えないような、 犬が夢中になるほどの好物がおすすめ です。
真正面から気合たっぷりで目薬を握りしめて、犬と向きあってさそうとすると犬が怯えてしまうことが多いです。
目薬をさす場合は、 直前まで犬にできるだけ勘付かれないように 行いましょう。
犬の背中と自分のおなかがくっつく状態で抱っこしつつ、 犬の目線に目薬の容器が入らない ように近づけます。
目薬をさす時に宙ぶらりんで行うと安定しないので、必ず犬の顔の上に支点を作りましょう。
後ろから、犬を怖がらせないようにそっと容器を持っていない方の手で犬の顔を固定します。
親指を頭、残りの指で側面〜顎をホールドすると良いでしょう。
容器を持っている手の小指の側面全体を下まぶたにあて、そっと下にさげるようにします。
眼球にポチョッと落とすとびっくりしてしまう子も多いです。
目頭の辺りに落として、顔を優しく傾け目の中に入れるようにすると刺激が少ないので、犬の驚きも軽減することが期待できます。
どうしても犬に目薬をさすことが困難な場合は、 まず剤形を変えられないか主治医に相談 してみましょう。
目につける薬には液体タイプの目薬の他にも、種類によっては眼軟膏といってクリーム状のものもあります。
体温で溶けて目の中に入っていくので、目を閉じた状態でまぶたの上から塗るだけでも効果が期待できます。
寝ている時に、こっそり目頭の辺りにさしてみるのも一つの方法ではあります。
自分の子でも可能か、一度試してみるのも良いと思います。
嫌がって噛むほど負担になってる場合は、目薬を治療として継続することは現実的ではありません 。
他の治療法がないか、主治医と相談 する必要があります。
病気によっては、外科手術や全身投薬が適応になる可能性もあります。
噛む犬に無理に点眼を行うことは、飼い主さんと犬の信頼関係を壊してしまう可能性もありますし、怪我の恐れもあり大変危険です。
無理しないようにしましょう。
また、香水用のアトマイザーなどを使用して目薬をスプレー状にし、犬に吹きかける方法は、通常の点眼方法よりも刺激がかなり強くおすすめできません。
その方法で目に薬剤を入れることができても犬を驚かせてしまい、信頼関係の不安定化や、今後更に顔周りを触らせなくなったりする可能性も十分に考えられます。
普通の点眼方法では、難しい場合はやはり他の治療に関して主治医と相談することがおすすめです。
眼の病気の中には、通常の生活を送るために継続的な点眼が非常に重要な治療となるものもあります。
その中でも、代表的な病気をご紹介します。
緑内障とは眼の中にある眼房水という水がたまりすぎ、眼の中の圧力が高くなりすぎて痛みを起こしたり、失明してしまうこともある恐ろしい病気です。
様々な原因で起こりますが、白内障に続発することもあるため注意が必要です。
眼球が大きく膨らんだことで、気づかれる飼い主さんも多くいます。
基本的に点眼薬や内服薬の治療が選択されますが、状態によっては外科手術も適応になります。
痛みが非常に強く失明の危険もあるので、眼の内部の圧力を下げる治療としての目薬はとても重要です。
人間のドライアイのように、犬にも眼を覆う涙の量が減少することにより似たような症状を起こす疾患があります。
ウエスティやパグなどに多く認められ、乾性角結膜炎といいます。
べったりとした目やにが、たくさん出るのが特徴です。
痛みを伴うことも多く、二次的に感染症を起こすこともあります。
原因も様々ですので、きちんと原因を確認し治療を選択することが重要です。
単純に潤いを補給することだけが治療ではなく、目の状態や原因によって様々な点眼薬を使用する必要があります。
水晶体がなんらかの原因で白濁した状態を白内障といいます。
犬でも糖尿病などの疾患によって発生することもあります。
他にも、加齢に伴って起こったり先天的に発生することもあるのです。
ただし、老化現象により水晶体の中心部が白く見える核硬化症というものもあります。
こちらも眼が白っぽく見えますが、視力に影響を及ぼしません。
白内障の進行抑制を期待して目薬が処方されることもありますが、根治的治療は外科手術です。
加齢による白内障の場合、痛みを伴ったり命を脅かすことはありませんので、点眼治療は必須ではありません。
ただし、白内障に続発する可能性のある目の病気は痛みを伴うこともあり、積極的な治療が必要です。
そのため、白内障になったら定期的な検査をすることが重要となります。
眼が白く見える病気は、白内障以外にも様々なものがあります。
犬の眼が白いことに気づいたら、きちんと検査をしましょう。
白内障は加齢に伴い発症することが多く、命に関わる疾患ではないため、目薬を使用するべきか否か迷われる方が多いと思います。
現在白内障で使用されているライトクリーン、カリーユニ、カタリン、シーナック、クララスティルなどの点眼薬は、飼い主さんも名前を聞くことが多いのではないでしょうか。
これらの点眼薬はさしてるからといって、白内障が良くなったりするわけではなく、進行を抑制する効果を期待して処方されています。
眼科専門動物病院の獣医さんの中には、これら白内障の目薬は積極的に使用していない方もいます。
お話を伺うと「実際に犬の白内障の進行を抑制できるかどうかという根拠に乏しいから」という理由だそうです。
ただし、効果がないとも完全には言い切れないので、飼い主さんによっては使用を希望される方もいます。
また、継続的にそれらの点眼薬を使用することで、点眼に慣れさせることができるというメリットもあります。
白内障は進行するとぶどう膜炎や緑内障など治療として、点眼が必要な他の重大疾患を併発してしまう可能性があります。
そのため、点眼に慣れておくことは重要なことなのです。
白内障というと、点眼薬を定期的にするというイメージが強いかもしれませんが、それ以上に眼科検診を定期的に受けることが重要です。
したがって、眼科専門動物病院では進行抑制を期待する点眼薬の使用よりも、定期的な検査をしっかりと行うことに重点を置いています。
そうすることで、外科手術も視野に入れながら併発疾患を見逃さず柔軟に対応していくことができるのです。
犬の目薬はさすことが難しく、治療時に大変な思いをする飼い主さんはたくさんいらっしゃいます。
犬にとっても、そのくらい激しい抵抗が必要なくらい嫌な治療になりやすいので、自己判断での安易な点眼は避けましょう。
点眼することが犬にも飼い主さんにとっても負担になるようなら、無理せず主治医に相談してください。
また、眼科疾患は専門性が高い分野なので、眼科専門動物病院にセカンドオピニオンをとることも一つの方法だと思います。
多様な治療の選択肢を提案してくれるので、飼い主さんにとっても犬にとっても負担の少ない治療を選択できる可能性もあります。
眼科手術は一般動物病院では対応が難しいことも多いので、眼科に関しては専門動物病院で定期検査をするというのもおすすめです。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
最終更新日 : 2021/01/28
公開日 : 2021/01/27