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洗濯ネットに入れると、暴れたりパニックになる猫はどうしたらいいの?
猫と洗濯ネット。
一見不思議な組み合わせのように思うかもしれませんが、猫との暮らしの上で活用法がたくさんあります。
猫は狭いところが大好きです。
狭いところにいると落ち着きやすくなりますし、怖い事があるときも狭いところに逃げ込む性質 を持っています。
そのため、洗濯ネットの中に入れてあげると、囲まれていることから安心することが出来るのです。
この性質を上手に利用して、日々のお手入れや病院でのケア、通院時の便利グッズとして猫に洗濯ネットを利用する方やおすすめする獣医さんが増えているのです。
動物病院でも使用しているところは多く、必須アイテムといっても過言ではないと思います。
通気性のいい洗濯ネットは、ある程度の時間いれておいても安心です。
また、外側から猫の様子を伺うこともできるので、すぐに異常に気付きやすいです。
ただし、中に入ったままでは水を飲むことやトイレが出来ませんので、 外出時、処置中など一時的な使用 にとどめてください。
特に夏の暑い時期には通気性が良いといっても、興奮で体温が上昇し熱中症になってしまうこともあります。
夏の時期は特に使用時の猫の様子に気を付け、使用時間も最低限にするようにしてください。
猫の大きさにもよりますが、猫に対して小さすぎても大きすぎてもあまりよくはありません。
ぴったりサイズでは、猫にとって窮屈に感じてしまう可能性があります。
中に入れて様々な態勢をとらせたり、爪切りなどの処置を想定すると、少し大きめのサイズがおすすめです。
猫が香箱座りをした長さにプラスして、少なくとも2〜30cmは欲しいところですね。
一般的な猫の大きさから考えると、60cm位の長さのある洗濯ネット なら快適に利用できると思います。
子猫や大型種の子、また太ってる子ではこの限りではありませんので、 ご自分の愛猫のサイズにあった大きさのものを選択 しましょう。
猫を洗濯ネットに入れるのには、少しコツが必要な場合もあります。
猫の習性を上手く利用して、洗濯ネットに入れてあげましょう。
動物病院を受診するなど、有事の際にのみ洗濯ネットやキャリーケースが登場すると、これが出てくるとよくないことが起こると学習し、嫌がって逃げるようになります。
洗濯ネットやキャリーケースは普段から目につくところに置いて おいたり、特に出かける予定がない時でも洗濯ネットやキャリーケースを出してみるということが大事です。
普段からキャリーケースの中でごはんやおやつを与えたり、快適な敷物を猫のくつろぎスペースにすることも良いでしょう。
いざという時に、猫が嫌がらずにキャリーケースに入ってくれる可能性が高くなります。
また、 落ち着ける環境を作るためにグッズを併用 することもおすすめです。
このフェリウェイという商品は、猫のフェロモンを科学的に合成したもので、猫を安心させる効果が期待できます。
スプレータイプの他にコンセントを使用して広い空間に拡散するタイプもあります。
用途によって、どちらか使いやすい方を選択して頂いて構いません。
スプレータイプの方が、直接キャリーケースや洗濯ネットに吹きかけることができるのでおすすめです。
使用方法は、猫を入れる30分〜1時間ほど前に、キャリーケースの四隅の猫の顔の高さあたり、洗濯ネット全体に吹きかけます。
しっかりと乾いてから、猫を中に入れるようにしましょう。
強い匂いはしませんが、吹きかけた直後は吸い込むとむせることもありますので、時間を置いてから使用するようにしてください。
また、猫によってはマタタビもリラックス効果が期待できます。
ただし、逆に興奮状態になってしまったり、全く効果のない子もいますので、使用前に自宅で試してみてから洗濯ネットで使用してみましょう。
キャリーケース自体にあらかじめ洗濯ネットを設置 しておくと、スムーズに猫を洗濯ネットに入れることが出来ます。
頭から猫を洗濯ネットに入れると、逃げにくく上手く収まってくれる可能性が高いです。
キャリーケースは天井がガバっと開くタイプ のものが、猫のストレスを最低限にして出し入れすることができますし、一人で猫を洗濯ネットに入れるときもやりやすくおすすめです。
キャリーケースにすでに嫌なイメージを持ってる猫では、キャリーケースに設置するとうまくいかないこともあります。
その場合は、 小さめのダンボール箱に洗濯ネットを設置 しておき、猫が箱に収まったらチャックを閉めるという方法もあります。
洗濯ネットの中におやつを入れておいて、猫が入ったら素早くチャックを閉める のもおすすめです。
また、寝てる時にさりげなく被せてしまうというのもひとつの手です。
洗濯ネット利用時は、 チャックを閉める時に猫のヒゲや、体毛を決して挟まないように注意 してくださいね。
繊細な猫ではそれがトラウマになり、二度と洗濯ネットを使用できなくなる可能性もあります。
もし、 試してみて猫が洗濯ネットに入るのをすごく嫌がったり、入ってからもパニックになるようなら、洗濯ネットの使用はやめましょう 。
猫にもそれぞれ個性がありますし、暴れる子を無理やり洗濯ネットに入れるのは、飼い主さんの怪我や信頼関係の崩壊にも繋がる可能性があります。
他にも猫を落ち着かせる方法はありますので、後述する方法を試してみてください。
猫を入れるための洗濯ネットの形状は何点かあります。
大きく開く方が洗濯ネットに猫を出し入れしやすいので、猫と人間のストレスが軽減することが期待できます。
網目が粗いものの方が隙間から爪を出して爪切りできたり、中の様子を確認しやすかったりと利点がたくさんあります。
また、洗濯ネット越しに注射を打てたりもするためおすすめです。
100均の洗濯ネットでも、サイズが合えば利用できます。
強度では劣る可能性がありますので、パワフルな猫さんを飼っていて心配な場合は、しっかりと強度のあるものを選択する方が良いかもしれません。
また、猫専用の洗濯ネットに似た袋もあります。
こちらの「おちつくネット」は、あらかじめ猫専用で工夫して作られているので使いやすいです。
大きさは約55cm×約65cmのゆったりサイズ。
粗目の二重メッシュになっており、通常の洗濯ネットに比べるとかなり丈夫です。
また、ファスナーのスライダーポケットが付いているため、猫が内側から開けにくくなっています。
このようなものを使用するのも良いでしょう。
猫を洗濯ネットに入れることができれば、猫のストレスを軽減しつつ、色々とできることがあります。
猫を洗濯ネットに入れたまま 爪を切ることができます。
この場合、目の粗い洗濯ネットに入れることが重要ですので、爪切りを考えてる場合はそのような洗濯ネットを使用していきましょう。
また、猫のストレス度合いに応じて足を一本ずつ洗濯ネットから出して爪切りをする場合もあります。
いずれもタオルにくるむだけよりは、人間も猫も安全度が高まるためおすすめです。
運動能力が高い猫の場合、 受診中に暴れて脱走してしまうということも無くはありません。
洗濯ネットで受診すると、脱走する可能性をかなり下げることができて安心です。
聴診や、簡単な触診なら、洗濯ネット越しに行うことも可能 ですし、目の粗い洗濯ネットであれば 注射も洗濯ネット越しに行うこともあります。
採血の際にも、必要な部位だけ洗濯ネットから出して対応することも出来ます。
「うちの猫に洗濯ネットを試してみたけど、逆にすごく暴れてストレスになっていそう、どうしたらいいのかな?」という方も中にはいらっしゃると思います。
ここでは、洗濯ネットで暴れてしまう猫さんの対策方法をお伝えします。
視覚が遮られると、しっかりと隠れられてるという安心感を猫に与えることができます。
自宅のニオイがついた安心できるタオルで、そっと体全体を顔も覆い隠すように包みそのままキャリーケースに入れてしまいましょう。
ポイントは、自宅のニオイがついているタオルであるということと、大きめのすっぽりと包めるサイズであること、ひっかかれるなど怪我を防ぐためにも少し厚手であることです。
このようなタオルをキャリーケース以外にも、もう一枚診察時に使えるように持参していくと、猫の安心感をアップさせることができるためおすすめです。
キャリーケースに入れたら、更に外側を大きめのタオルや風呂敷で目隠ししてあげましょう。
動物病院には様々な動物が来ています。
特に犬が苦手な猫は多いので、視界を遮ってあげることがおすすめです。
中の様子が確認しにくくなるので、時々猫の状態を確認するようにしてください。
「キャットフレンドリークリニック」とは、猫の飼い主さんが動物病院を選ぶ際の‟道しるべ“となるよう、国際認定機関である国際猫医学会(ISFM)によって確立された 「猫にやさしい病院」の国際基準の規格 です。
「キャットフレンドリークリニック」の認定基準にはゴールド・シルバー・ブロンズの3つのレベルが設定されています。
色々な基準があるのですが、待合室が犬と別々になっていたり、猫の知識が豊富なスタッフがいたりと、通院が苦手な猫のストレスに配慮してくれる病院です。
このような病院を選択して受診することも、猫のストレス軽減には大きな効果が期待できます。
また、いずれの場合も前述のフェリウェイやマタタビなどの リラックスグッズの使用を併用することもおすすめ です。
性格的にどうしても通院することが難しい。
そんな猫さんの場合の対策方法をご紹介します。
最近は往診専門の動物病院も増えてきています。
往診では、行える検査や処置に限界がありますが、 通院が激しいストレスになってしまう猫の場合は検討 するのも一つです。
また、検査が必要でない処置、ワクチン接種など予防のときには往診を利用し、病院での検査や処置が必要な場合は通院をするという方法もとることができます。
猫にストレスを出来る限りかけずに、適切な医療を施すため検討してみましょう。
特に通院が猫にとってひどいストレスになってしまう場合は、 健康面で問題が無いことを確認した上で安定剤などを使用するという選択肢 もあります。
通院時に頓服として安定剤を使用することで、猫のストレスや人間側の負担を大きく減らすことが出来るのです。
嫌がる愛猫を動物病院に連れていくのは、飼い主さんにとっても大きな負担になります。
死に物狂いで暴れてる愛猫を見ると、「この子のために連れてきているはずなのに…」と辛い気持ちになることもあるでしょう。
また、激しく暴れて猫や人間が怪我をしてしまう可能性もあります。
そのため、あまりに激しく嫌がる時は、かかりつけ医に相談してみることがおすすめです。
かかりつけ医で安定剤の処方が難しい場合は、動物の精神科である動物行動学に詳しい獣医師や、行動診療を専門とする獣医師に相談してみることがおすすめです。
必要な検査や処置でも、猫にとっては大きなストレスになってしまうこともあります。
無理に押さえつけて行うより、リラックスできるお薬を使用してあげる方が良いこともあります ので、動物病院が苦手な子は検討してあげてください。
洗濯に使うだけではなく、実は猫とも相性の良い洗濯ネット。
手軽に手に入るのも嬉しいですよね。
上手に活用して、愛猫の通院の負担を少しでも軽減してあげましょう。
また、使用する洗濯ネットは普段から飼い主さんや、猫自身のニオイをつけておいてあげると安心感も高まります。
いざ受診するときに困らないように、日頃から準備して備えておくことが大切です。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
最終更新日 : 2020/12/07
公開日 : 2020/12/07