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猫に中毒症状を引き起こす植物は、700種類以上もあるといわれています。
そのため、身の周りのほとんどの植物が、猫に毒性を持つ可能性があると考えても用心しすぎではありません。
猫は犬と違い高いところまで行動することができるため、いたずらを防ぐことが難しいです。
また、食べなくても興味本位でかじってしまうことは、猫では非常によく見られる行動です。
このような猫の性質から、猫と暮らしながら自宅に観葉植物を置くということはハードルが高いと言えます。
植物の中には、飲み込まなくてもかじるだけ、また花瓶の水を飲むだけでも症状を引き起こしてしまうものもあります。
毒性の強いものであれば、ほんの少しかじっただけでも命に関わる事態になってしまう可能性もあるのです。
ここでは、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)が中毒症状を起こす植物として分類している観葉植物の中から、身近なものを取り上げます。
猫を飼っている方で、ご紹介する植物、または同じ科の植物がある場合は、中毒を起こす危険性があるためすぐに撤去してください。
学名:Cycas revoluta, zamia species
科:ソテツ科
南国感あふれる観葉植物のソテツは、学校の校庭などでよく見かける身近な植物です。
鉢植えの小さいタイプも観賞用に販売されていますが、実は猫に中毒症状を起こします。
葉や幹など、全ての部位に毒性があります。
特に種子(実)は毒性が高く、たった1つ2つ食べただけで深刻な中毒症状を起こすことで知られており、ASPCAでは 重度の中毒症状を起こす植物 に分類されています。
中毒症状の中でも心配なのが 肝機能不全 です。
ソテツを摂取すると、数分以内に嘔吐を起こすことも一般的に認められています。
また、繰り返し吐くような 重度の嘔吐 を引き起こすこともあるのです。
他の症状としては 血便・痙攣・食欲不振 などが挙げられます。
学名:Epipremnum aureum(ゴールデンポトス)
科:サトイモ科
観葉植物として有名なポトスですが、実は猫に中毒症状を起こします。
ASPCAでは軽度の中毒症状を起こす植物に分類されています。
飲み込まないで、ただ噛んだだけでも症状を発症することがある ため注意が必要です。
症状は 口腔内の不快感、炎症、消化管・唇・口腔内・舌の腫れ、流涎、嚥下困難 などが挙げられます。
重症になると呼吸困難 を引き起こすこともあるのです。
ポトスは垂れ下がるようにして鑑賞されることが多いです。
そこがおしゃれなのですが、猫にとっては揺れ動く葉っぱが魅力的なので、いたずらする危険性が高いと言えます。
学名:Scindapsus pictus
科:サトイモ科
ポトスに似ていますが、シラフカズラといいます。
英名では Silk PothosやSatin Pothosと呼ばれています。
口の中に不快感を起こしたり、 口腔内・唇・舌の腫れ、流涎、嚥下困難、嘔吐 を引き起こします。
学名:Schefflera
科:ウコギ科
和名はヤドリフカノキといいます。
症状としては 舌・唇・口腔への刺激や強い炎症、ヨダレ、嚥下困難 を起こします。
学名 :Brassaia actinophylla
科:ウコギ科
軽度の嘔吐下痢 を起こします。
学名:Dracaena spp.
科:リュウゼツラン科
日本では「 幸福の木 」という名前で見かけることも多い植物です。
ASPCAでは、 中程度の毒性の植物 に分類されています。
少量の摂取の場合は、 軽度の嘔吐下痢 を引き起こします。
大量に摂取 すると ぐったり してしまったり、 早い呼吸や心拍数の上昇、よだれ、腹部の不快感 などを発症する可能性があります。
学名:Aloe vera
科:ユリ科
身近な植物であるアロエですが、猫に毒性があります。
症状は 嘔吐・下痢・食欲不振 などが挙げられます。
学名:Lilium longiflorum
科:ユリ科
観葉植物ではありませんが、猫にとって毒性が極めて高く、 死亡率も高い危険な植物 なのでご紹介します。
ASPCAでは 重度の中毒症状を起こす植物 に分類されており、腎臓に対して強い毒性を持ちます。
腎臓が破壊されることにより、誤食後数時間で嘔吐、ぐったりする、食欲不振な どの症状を発症します。
そして、症状が進むと 腎臓が機能しなくなり死に至るのです 。
特効薬のようなもなはありません。
なお、ユリのどの部位を食べても中毒症状を起こします。
とても恐ろしいのが、 ほんの少量摂取しただけでも強い症状を起こす ことです。
例えば、猫が花瓶に生けてあるユリの側を通って、体に花粉がついたとします。
その 花粉を猫が毛づくろいのときに偶然舐めてしまっただけでも中毒を起こしてしまう のです。
また、ユリの生けてある 花瓶の水を飲んでも中毒を起こします 。
ここではASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)が猫に毒性がないとリストアップしている植物の中からいくつかご紹介します。
猫は本能的に葉っぱを噛んだり、風で揺れる葉っぱにじゃれついたりすることが多いです。
中毒症状を起こす可能性は低くても、植木鉢の落下や植物にダメージを起こす可能性は十分にあります。
その植物が中毒症状を起こす可能性が低かったとしても、観葉植物は猫にいたずらされないような場所に置くようにしてください。
学名:Peperomia obtusifolia
科:コショウ科
日本ではオブツシフォリアという名前で流通することが多いです。
多肉質のぷっくりとした丸い葉が特徴。
比較的寒さに強い植物なので、室内では簡単に越冬することができます。
半日陰を好むため、直射日光を避けて室内の壁側や照明の光が当たる場所に置くのがおすすめです。
学名: Schlumbergera bridgesii
科:サボテン科
ブラジル原産の植物で、12月に花を咲かせることから英名はChristmas Cactusといいます。
実際は種類によって開花時期に差があり、10月初旬から12月にかけて赤やピンクの鮮やかな花を咲かせます。
湿度や暑さに弱いので、風通しの良い半日陰で育ててください。
冬の時期に色鮮やかな花をつけるシャコバサボテンは、人気の観葉植物です。
学名:Phalaenopsis sp.
科:ラン科
開店祝いなどでよく見かける胡蝶蘭。
上手に管理すると長年楽しめるお花です。
しかし、とてもデリケートな植物であるため、猫が花をいじったりすると短期間で花が枯れてしまうこともあります。
猫のいるお家では少し難易度の高い植物かもしれません。
置く場所としては、リビングのレースカーテン越しなど、直射日光の当たらない日当たりの良い場所が適しています。
学名:Nephrolepis exalta bostoniensis
科:オシダ科
英語圏ではBoston FernやSword Fernと呼ばれることが一般的です。
シダ植物なので花や実はつけませんが、迫力のある葉っぱは魅力的にお部屋を彩ってくれます。
日陰に強い植物なので、室内での管理も可能です。
ただ、あまりにも光が当たらない場所だと葉の色が悪くなってしまいます。
直射日光は避け、やわらかい光があたる場所に置くことがおすすめです。
また、エアコンなどの乾燥した風が当たるのも良くないので、直接当たらないよう気を付けてあげましょう。
学名:Sedum morganianum
科:ベンケイソウ科
ぷっくりとした丸い葉が、なんとも可愛らしい多肉植物です。
成長して長くなってくると、垂れ下がるように伸びていきます。
その見た目から、英語圏では Horse’s Tail, Burro’s Tail, Lamb’s Tailなど、様々な動物のシッポという表現で呼ばれています。
メキシコが原産国で日光が大好き。
ただし、強すぎる直射日光は葉焼けを起こすため注意が必要です。
年間を通して、日当たりと風通しの良い所に置いてあげましょう。
葉が長く伸びていくので、吊るして管理するのもおすすめです。
学名:Chamaedorea elegans
科:ヤシ科
お家に置くだけで南国感が出るテーブルヤシ。
太陽のイメージがあるヤシの木ですが、テーブルヤシは耐陰性が高く、ある程度の日光が当たればお部屋でも元気に育ってくれます。
強すぎる直射日光は葉っぱが枯れてしまうので注意してください。
猫のいる家に観葉植物を置くのはなかなか難しいことです。
気を付けていても、植木鉢の土をほじくり返してしまったり、土のところに排泄してしまうこともよくあります。
また、猫は毒性のないとされている植物を食べても刺激で吐くこともあります。
基本的には、猫のいる空間に植物を置くことはあまりおすすめしません。
どうしても置きたいという場合は、安全性の高い植物を選択した上で天井から吊るしたり、猫の届かない所に置くようにしましょう。
その他、玄関の外に飾ることで、猫を危険にさらすことなく観葉植物を楽しめます。
造花も最近はリアルなものも販売されていますので、室内にはそのようなものを選択するのも良いでしょう。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
公開日 : 2020/09/30