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犬が足舐めをする場合は様々な要因が考えられますが、主に身体的要因と精神的要因に分けられます。
身体的要因は、身体の原因を対処してあげる必要があります。
また、精神的要因は飼い主さんとのコミュニケーションの改善が必要になってきます。
いずれにせよ早く気付いて対処していくことが重要になりますので、これからそれぞれの具体的な要因についてご紹介します。
犬が足舐めする理由の一つとして アレルギー が考えられます。
アレルギーは食事が原因となるものや、花粉や植物・ハウスダストなど生活環境に起因するものがあります。
また、アレルギーの場合は、手足だけを痒がるのではなく、身体全体に症状が出ることが多いため、顔・背中・お腹など他の部位も痒がり、酷くなると自身で毛をむしったり噛んだりしてしまうこともあります。
悪化すると脱毛して皮膚がむき出しになったり、出血することもあります。
犬の足舐めが足だけではなく、他の部位にも見られるかどうかが一つのポイントとなります。
アレルギーの場合は、その原因を取り除くことで犬の足舐めを防ぐことができます。
食事やおやつを新しい種類のものに替えたタイミングで症状が見られた場合や、季節性が見られた場合は、アレルギーが原因となっている可能性があります。
環境中のアレルゲンによる痒みの場合には、完全に取り除くことは不可能です。
シャンプーなどで洗い流す工夫も大切ですが、痒みを抑えるお薬も併用することが多いです。
新しいものを与える際は、その後の様子を注意深く観察してあげると良いでしょう。
ただし、アレルギーの原因や対処を素人が勝手に判断するのは危険ですので、症状が現れた場合は、まずは行きつけの動物病院を受診してください。
次に挙げられる原因の一つが 指間皮膚炎 です。
これは、犬の肉球に炎症が起きてしまうものです。
肉球の指の間や隙間に炎症が起こり、かゆみが出るので、犬が気になって患部を舐めたり噛んでしまいます。
指間皮膚炎は、患部を舐めたり噛んだりする頻度が多いと、そこから菌が繁殖してさらに悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
見た目の特徴として、炎症が起こった部位は赤くなって腫れ上がります。
犬が必死に足舐めをしている場合で、足だけを気にしていて指や肉球の隙間が赤いなどの症状がある際は、指間皮膚炎の可能性が考えられます。
指間皮膚炎の要因は様々ですが、主な原因は以下の通りです。
筆者の愛犬も以前指間皮膚炎になったことがあり、この病気はとても治りづらく繰り返してしまうのも特徴なので、痒がっている姿を見るのはとても辛かったです。
まずは、定期的に犬の足裏の状態を観察してあげてください。
また、夏の暑い時期は涼しい時間帯に散歩に行くなどして原因を少しても減らしてあげましょう。
それでも発症してしまった場合は、繰り返さないためになるべく早く見つけ、早期に対処してあげることが大切です。
炎症が見られる場合は、なるべく早く動物病院へ連れて行きましょう。
犬の足舐めにおいて最も怖いのが 病気 に起因するものです。
足舐めくらいなら大したことないと考えてしまう方もいるかもしれませんが、実は大きな病気の兆候の場合もあります。
具体的には下記が挙げられます。
犬の背骨部分には、脊髄と呼ばれる神経の束があります。
脊髄は、脳の指令を体全体や四肢に伝達したり、反対に体で感じる感覚を脳に送る役割があります。
脊椎の間を結びつけているのが椎間板です。
この椎間板の内部にゼリー状の髄核があり、脊椎のクッションのような役割を持ち、通常は脊椎への衝撃を吸収してくれます。
しかし、椎間板や髄核が飛び出て脊髄を圧迫してしまうのが椎間板ヘルニアです。
脊髄への直接的・物理的に強い圧迫が生じるため、ひどい痛みが伴います。
椎間板ヘルニアには、首と背中の2パターンがあり、それぞれ症状も異なります。
どちらも最初は痛みから始まり、悪化すると歩行障害や麻痺に繋がるとても怖い病気です。
足を舐める原因である可能性は低いですが、もし「キャン!」と痛がるところがあったり、元気が無いときには注意が必要ですね。
関節とは骨と骨の間にあり、この関節があるおかげで足や体などを曲げることができます。
関節の表面は軟骨で覆われ、関節への衝撃を和らげる機能を持っています。
この関節部分に炎症が起こる病気です。
原因は加齢や遺伝、体重増加による関節への負担、外傷など様々です。
散歩に行きたがらない、家の中でも動かなくなった、ソファーや段差を嫌がるようになった、体を触ると嫌がるなどの症状が見られます。
高齢になって足先の関節に慢性的に疼痛があると、その痛みを軽減したくて足先を舐める犬がいます。
受診して、レントゲン検査を実施すると判断することが出来ます。
免疫の異常が原因で発症する免疫介在性関節炎(膠原病)です。
関節の腫れや破壊によるひどい痛みや歩行障害、身体のこわばりなどが主な症状です。
脊髄の中にある血管が詰まってしまう病気です。
血管が詰まると脊髄に十分な栄養を送ることができず、体に指令を送っている脊髄を圧迫するために麻痺を引き起こす病気です。
具体的な症状として、痛みのない歩行障害、立つことができない、前足や後ろ足が動かせない、肢の痺れなどが挙げられます。
上記で取り上げた病気の症状の一つとして、犬の足舐めが見られる場合があります。
もちろん、犬が足舐めしたからといってすぐさま病気を疑う必要はありませんが、他にも該当する症状や異変が見られた場合や気になることがある際は、まずはかかりつけの動物病院に相談してください。
犬の足舐めの原因として ストレス が挙げられます。
犬も人間同様に日々ストレスを感じて生活しています。
特に犬は私たち人間の生活に合わせている子が多いため、その分ストレスも溜まりやすいかもしれません。
例えば、下記は犬に大きなストレスを与えます。
犬は元々群れで生活する動物なので、飼い主である人間と一緒に過ごす時間が何よりも幸せです。
しかし、反対に大好きな飼い主との時間が少ないとストレスを感じやすいです。
そのようなストレスから犬は足を舐めることがあります。
十分な散歩と飼い主とのコミュニケーションは犬のストレスを軽減 します。
時間に余裕がある時は ドッグラン に遊びにいっても良いでしょう。
もし天候などの理由によって外にいけない場合は、室内でボール遊びをしてあげたり、日頃からよく話しかけてあげたりと構ってあげましょう。
運動をたくさんすると家でも疲れて寝てしまうので、お留守番も上手にすることができます。
犬の足舐めは 飼い主に構って欲しいという欲求 から起こることもあります。
このように日頃不安がある中で、普段なかなか構ってくれない飼い主さんが、足舐めをしている時に心配そうに声をかけてくれたことを覚えていて、足舐めをすると構ってもらえると誤った認識をしてしまいます。
大好きな飼い主さんに心配してほしくて足舐めをすることがあります。
このような場合の足舐めの見分け方の一つとして、 飼い主がいない場合でも足舐めをするか がポイントとなります。
飼い主の前ではよく足舐めをするのに、飼い主が見ていない時は全くそのような素振りを見せないのであれば、構って欲しい欲求からこのような行動を取っている可能性があります。
この場合は、飼い主が心配して構えば構うほど悪化してしまいます。
根本的には、飼い主さんともっとコミュニケーションを取りたいという気持ちから来ていますので、まずは愛犬と触れ合う時間を増やしてあげましょう。
ただし、足舐めをしている最中に構ってしまうともっと構って欲しくて足舐めが悪化するので、足舐めをしていない時を見計らって積極的にコミュニケーションを取ってください。
人間でいう貧乏ゆすりのようなもので、犬が暇でなんとなく足舐めを始めたのがいつのまにか癖になってしまっているパターンです。
ご飯を食べたあと、なんとなく暇だからやっている、することがないからやってみるといった感じです。
しかし、これが癖になってしまうと前述の指間炎に繋がることもあるので、なるべく早めにやめさせてあげることが大切です。
この場合は 癖づけさせない、暇な時間を多く与えない ことが重要です。
足舐めを始めた場合は、他のことに注意を向けさせてください。(足舐め=飼い主が構ってくれるとならないように注意)
日中、十分な散歩やおもちゃ遊びなどのコミュニケーションをとって疲れさせるなどして、暇つぶしによる足舐めを防ぎましょう。
犬の足舐めについて身体的要因と精神的要因をご紹介しました。
どちらの要因だとしても、まずは飼い主さんか愛犬が足舐めしていることに気付き、獣医師などの専門家と相談しながらなるべく早く対処してあげることが重要です。
犬は言葉を発することができないので、自分で「かゆい」「痛い」「不安」と伝えることが難しいです。
飼い主さんが積極的に普段から愛犬の身体と触れ合って気にかけてあげるようにしましょう。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/09/20
公開日 : 2020/03/26