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サメは海に住む、軟骨魚類の1種です。
軟骨魚類とはその名の通り、骨格がやわらかい軟骨で作られている魚の仲間です。
私たちの骨は基本的に硬骨(こうこつ)という硬い骨でできていますが、鼻や耳は軟骨でできています。
サメは全身の骨が私たちの鼻や耳と同じ柔らかい骨でできていると思うと、ちょっと意外ですよね。
サメの仲間はなんと500種類以上も存在し、その大きさや生態も様々です。
実は1億年以上も前からほとんど姿を変えず、現在まで生き残っていると言われています。
鮫は世界中、あらゆる海域に生息しています。
サメは種類によって大きさが異なります。
最大のサメはジンベエザメで、最大で12mもの大きさになります。
まれに12mよりも大きくなる個体がいるとも言われ、サメの仲間のみならず魚の仲間で最も大きな体を持っています。
最小のサメはコビトザメの仲間(ツラナガコビトザメ、オオメコビトザメなど)で、体長は最大でも22cm程度です。
12mと22cmの動物が同じ種類と考えると、なんだか不思議な感じがしますね。
サメには声帯がないため、鳴き声はありません。
ただし、釣り上げられたサメが「グー」「キュー」と鳴くことがあります。
これはサメが鳴いているというより空気が勢いよく食道を通ることで、鳴き声のような音がしているのではないかと考えられます。
ほとんどのサメは肉食性です。
クジラやオットセイ、アザラシなどの海棲哺乳類や海鳥を食べるホオジロザメ、タコやイカを食べるイヌザメ、主にプランクトンを食べるジンベイザメなど幅広い食性のサメがいます。
多くのサメの体は 流線型の形 をしています。
水の抵抗をなるべく少なくして、スムーズに泳ぐためにこのような形をしていると考えられています。
また、サメは 非常に優れた嗅覚 を持っています。
特に動物の血や皮膚に含まれるたんぱく質の臭いに敏感で、プールに血を数滴垂らしただけでも臭いを嗅ぎつけることができると言われています。
サメは意外と目が良く、 水中では人より視力が良い と言われています。
網膜にタペタム(タペータム)と呼ばれる反射板のようなものが付いているため、暗い場所でもしっかりと物を見ることができます。
そして、サメの特徴の1つである鋭い歯は、主に食べている物によって形や並び方が異なります。
どのサメにも共通しているのが、 歯が抜けても抜けてもすぐに次の歯が生えてくる ことです。
サメの歯は内側から外側に向かってゆっくりと動き、古い歯をどんどん押し出していくベルトコンベヤーのような面白い構造になっています。
サメには実に様々な繁殖方法があります。
現在わかっている範囲でも、上記の3パターンに分かれています。
寿命は長く、数十年生きる種が多いとされています。
脊椎動物の中で最も長く生きることで知られている、 ニシオンデンザメの寿命は400年程 と言われています。
サメは500種類を超える とされ、大きく8つの目にグループ分けされています。
さらに、その目から約30のグループ(科)に分類されていますが、専門家でもサメを正しく分類するのは難しいです。
ここではサメの8つの目について解説します。
しりびれがあり、エラの穴が5つあり、背びれが2つある、そして背びれに棘があるグループです。
体が小さい種類が多く、人を襲うようなことがほとんどないのが特徴です。
例:ネコザメ、カリフォルニアネコザメ、シマネコザメなど
しりびれがあり、エラの穴が5つあり、背びれが2つある、そして背びれに棘がなく目より前に口があるグループです。
熱帯から温帯に生息し、おとなしい種類が多いのが特徴です。
例:ジンベエザメ、コモリザメ、トラフザメ、アラフラオオセ、イヌザメなど
しりびれがあり、エラの穴が5つ、背びれが2つあります。
そして、背びれに棘がなく目より後ろに口があり、瞬膜(まぶた)があるグループです。
現生サメ500種中300種ほどが分類されている、サメの中でも最大のグループです。
例:アカシュモクザメ、イタチザメ、オオメジロザメ、ヨゴレ、ヨシキリザメ、ネムリブカ、ニシレモンザメなど
しりびれがあり、エラの穴が5つあり、背びれが2つある、そして背びれに棘がなく目より後ろに口があり、瞬膜(まぶた)がないグループです。
同じ目の中でも肉食のホホジロザメ、プランクトン食のウバザメなど、生態が全く異なる種がいるのが特徴です。
例:アオザメ、シロワニ、ホホジロザメ、ウバザメ、ミツクリザメ、ニシネズミザメ、メガマウスなど
しりびれがあり、エラの穴が6~7つあり、背びれが1つあるグループです。
深海から見つかることが多く、原始的なサメの特徴を色濃く残しているのが特徴です。
例:エビスザメ、ラブカなど
しりびれがなく、体が平たくない、吻が短いグループです。
深海に生息する種類が多く、目立たないためあまり名前が知られていないサメが多いのが特徴です。
例:アブラツノザメ、ダルマザメ、ヘラツノザメ、ニシオンデンザメ、オキコビトザメなど
しりびれがなく、体が平たくない、吻が長くノコギリのようになっているグループです。
名前の通りノコギリのような吻(口やその周辺の部位)を持っているのが特徴です。
例:ノコギリザメ、ミナミノコギリザメ、ニシノコギリザメなど
しりびれがなく、空がエイのように平たく、口が前の方についているグループです。
非常にエイに似ているサメの仲間で、海底に隠れて獲物を待ち伏せするという特徴があります。
例:ホンカスザメ、カリフォルニアカスザメ、カリブカスザメなど
サメといえば 映画ジョーズのモデルである「ホホジロザメ」 を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
現実のホホジロザメも映画のように大きな口を開け、その鋭い牙を向けながら執拗に追いかけてくるようなイメージを持っている人もいるでしょう。
しかし、凶暴なイメージとは裏腹に、人を襲う可能性があるのは500種類を超えるサメの仲間の中でもホホジロザメやイタチザメなど ほんの数種類 しかいません。
世界レベルで見ても、1年の間にサメに襲われて命を落とす人数は10人程度とされています。
実はサメは好き好んで人間を襲うことはありません。
ときおり海水浴場やサーファー、漁師がサメに襲われたというニュースがあります。
しかし、これは人間が水面でバタバタと水しぶきを上げながら泳ぐ姿が、アシカやカメなどに見えて襲い掛かった可能性が高いとされています。
ちなみに、ホホジロザメは物を食べるかどうか試し噛みして、美味しくないと判断すると吐き出すというグルメな一面もあります。
サメは食材として世界中で利用されており、毎日多くのサメが漁獲されています。
サメの年間水揚げ量は 60~70トン にも上るとされ、人間によって命を落とすサメの数は正確に数えるのが難しいレベルです。
なぜこれだけのサメが漁獲されているかというと、まずサメのヒレが 中華料理の高級食材フカヒレ として珍重されていることが挙げられます。
サメの肉は食用になるものの鮮度が落ちやすく、鮮度が落ちるとアンモニア臭を発することからあまり好まれません。
そのため、特に発展途上国ではサメを捕獲した後、生きたまま背びれと尾びれだけを切り取り、残りの部分は捨ててしまうという漁師も少なくないようです。
サメは性成熟するまでに時間がかかる種類が多いため、フカヒレ目的の乱獲によって個体数が減る状態が続くと、あっという間に絶滅してしまうのではないかと心配されています。
サメは古くから色々な方法で活用されてきました。
まず サメの肉は食用 に用いられています。
そのまま食べるのはもちろん、はんぺんや竹輪などの練り物用にも使われてきました。
サメの肉を使った練り物は、ふんわりとなめらかな食感に仕上がるそうです。
また新鮮な海産物が手に入りにくい青森県や広島県などの一部地域では、サメの肉が重宝されてきました。
そして、 サメの皮は刀剣の柄や鎧の装飾品・滑り止め としても使われてきました。
わさびをすりおろすためにも、鮫皮を使ったおろし器が良く使われています。
※実はこの「鮫皮」はほとんどの場合サメではなく、アカエイの皮が使われていたようです。
また、深海ザメの 肝臓の油(肝油)からはスクワレン (肝機能を向上させる効果があるとしてサプリメントとして使用される)や スクワラン (化粧品の原料として使用される)を得ることができます。
さらに、 軟骨からはグルコサミン (関節痛を軽減させる効果があるとしてサプリメントとして使用される)という、人間にとって有用な成分を得ることができます。
このようにサメは全身余すことなく、有効利用されてきました。
分類:軟骨魚綱
和名:鮫
学名:
ネコザメ目(Heterodontiformes)
テンジクザメ目(Orectolobiformes)
メジロザメ目(Carcharhiniformes)
ネズミザメ目(Lamniformes)
カグラザメ目(Hexanchiformes)
ツノザメ目(Squaliformes)
ノコギリザメ目(Pristiophoriformes)
カスザメ目(Squatina)
英名:Shark
分布:世界中の海域
大きさ:
最大種のジンベエザメで12m
最小種のコビトザメの仲間で22cm程
鳴き声:鳴かない
食性:肉食性
繁殖:
性成熟:種類によって大きく異なるが、不明な種も多い
妊娠期間:種類によって大きく異なる、ウバザメで3年程
産子数:種類によって大きく異なる、ジンベエザメで300匹程
寿命:数十年生きる種が多い、最も寿命が長いニシオンデンザメで400年程
サメは非常に種類が多く、それぞれが全く異なる大きさや性格をしています。
ホオジロザメやジンベエザメを自宅で飼育する訳にはいきませんが、小型のサメであれば飼育することが可能です。
熱帯魚や淡水魚を扱っている、ペットショップで販売されていることがあります。
ショップによっては生体や卵の通信販売を行っていることもあるようです。
サイズや種類によって値段に差があります。
15cm程のイヌザメでおおよそ3,000円~6,000円程、シマザメで8,000円程、トラザメで6,000円程で販売されています。
サメは一部の種類がワシントン条約(CITES・サイテス)の付属書Ⅱ類に掲載され、国際間の取引が規制されています。
しかし、その対象となっているのはホホジロザメ、ジンベエザメ、ウバザメ、ヨゴレなど大型のサメがほとんどです。
現状ペットとして飼うことができるサイズのサメに関しては、あまり気にしなくても良いでしょう。
サメを入手したら、次は飼育のために必要なものを用意していきましょう。
種類によって必要なものが異なる可能性がありますが、最低限必要だと考えられるのは以下のアイテムです。
種類によって異なりますが、ほとんどのサメは肉食性です。
新鮮な魚やイカの切り身やエビなどを与えましょう。
生ものを毎日買いに行くのは非常に手間がかかるため、無理をしない範囲で冷凍品や人工飼料に挑戦すると良いです。
上手く冷凍品や人工飼料に慣れてくれれば、毎日のエサやりが非常に楽になります。
小型のサメであっても、なるべく広い水槽を用意してあげる必要があります。
成体の大きさの2倍程度の大きさ を目安として考えると良いでしょう。
サメは体が大きいだけではなく、肉を食べることから水が汚れやすい傾向にあります。
水槽の大きさに見合った、強力なものを用意した方が良いでしょう。
それでも汚れが気になる場合は、プロテインスキマーと呼ばれる海水水槽専用のろ過装置を導入するのも1つの手です。
海に住んでいるサメを飼う場合は、人口海水を用意する必要があります。
海に住んでいるサメは体の構造上、淡水で生きることはできないからです。
人口海水の素は欠かすことができないものですが、大量に買い置きすると湿気で固まってしまう可能性があるので注意してください。
人工海水を作る時や水槽の環境を管理する時に必要となるアイテムです。
人工海水を作った時は、必ず比重を測ってからサメの水槽に入れてください。
また、水槽はどうしても水だけが蒸発し、水槽の中の塩分濃度が濃くなってしまう傾向があります。
こまめに塩分濃度を確認して水を換える、水を足すなどして極端に塩分濃度が高くならないように気を付けましょう。
サメを購入することはそれほど難しくはありませんが、海水魚を飼育するのは容易なことではありません。
こまめに水質チェックをしてあげられるでしょうか、面倒がらずに海水を調整することができるでしょうか。
毎日新鮮なエサを用意してあげることができるでしょうか、金銭的に余裕はあるでしょうか。
自宅で飼えるサイズのサメとはいえ、イヌザメで5年ほど、トラザメで12年ほどは生きると言われています。
その間ずっとお世話をし続けることができるか、あらかじめよく考えてからお迎えするようにしてください。
サメは多くの水族館で飼育・展示されています。
水族館に行ってサメの大きさや歯の鋭さ、体型などをじっくり観察してみてはいかがでしょうか。
ここ目ではサメ好きの方にもそうでない方にも、ぜひ行って頂きたい水族館をご紹介します。
世界最大級の大水槽 である「黒潮の海」では、巨大なジンベエザメやナンヨウマンタが飼育されています。
美ら海水族館は世界で初めてジンベエザメの長期に渡る複数飼育に成功し、繁殖を目指していることで有名です。
黒潮の海では15時と17時の1日2回、飼育員が餌やりをしながら動物について解説する給餌解説が行われます。
巨大な水槽の中でジンベエザメが立ちあがる、迫力満点の食事シーンは必見です。
住所:沖縄県国頭郡本部町字石川424番地
マップ: Googleマップ
電話番号:0980-48-3748
入園料:
一般 1,850円
高校生 1,230円
小・中学生 640円
6歳未満は無料
営業時間:
10月~2月 8時30分~18時30分
3月~9月 8時30分~20時
休園日:12月の第1水曜日とその翌日(木曜日)
公式ホームページ: 沖縄美ら海水族館
茨城県にある大洗水族館では、 日本で最も多くの種類と数 のサメを飼育しています。
なんと飼育しているサメの種類は54種、サメの繁殖にも力を入れています。
有名なノコギリザメやシュモクザメの他、あまり見たことがない珍しいサメを数多く観察することができます。
住所:茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8252−3
マップ: Googleマップ
電話番号:029-267-5151
入園料:
大人 1,850円
小・中学生 930円
幼児(3才以上) 310円
2才以下は無料
営業時間:9時00分~17時00分
休園日:公式ホームページ「 営業案内 」に記載
公式ホームページ: アクアワールド茨城県大洗水族館
都内にあるにも関わらず、大きな動物や魚を多数飼育している水族館です。
「シャークホール」コーナーでは巨大なサメの1種、シロワニが悠々と泳ぐ姿を見ることができます。
ちなみに、品川駅から徒歩で行ける「マクセル アクアパーク品川」とは全く別の水族館なので注意してください。
住所:東京都品川区勝島3-2-1
マップ: Googleマップ
電話番号:03-3762-3433
入園料:
大人 1,350円
小・中学生 600円
幼児(4才以上) 300円
シルバー 1,200円
営業時間:10時00分~17時00分
休園日:毎週火曜日(繁忙期は営業)
公式ホームページ: しながわ水族館
人食い動物として名高いサメですが、実はほとんど人を襲うことがない生き物であることが伝わりましたでしょうか。
それどころか人の方がたくさんのサメを食べていて、彼らを絶滅寸前の状態に追いやっているのが現状です。
私たちは昔からサメを皮から内臓、骨に至るまでほとんど捨てることなく利用してきました。
彼らを一気に取りつくしてしまうことなく、持続できる範囲で利用しながら共存していく道が開けることを願っています。
最終更新日 : 2021/11/02
公開日 : 2019/04/26