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ツグミは林や街路樹など、日本全国で見ることのできる 鳥 です。
身体に美しい模様を持ち愛好者も多いツグミですが、かつてはツグミを食用にする地域があったり害鳥として扱われていたりと、あまり知られていない一面もあったりします。
この記事では、そんなツグミについてご紹介していきます。
ツグミは体長24cmほど、翼を広げると39cmほどのやや大きめな冬鳥です。
体重は約75~100gで、シベリアへ北上する季節になると長旅に必要な脂肪分を蓄えるため、越冬期の約3倍、体重の10%ほどにまで達します。
飛び方は直線的で翼を数回羽ばたいては体につける動きを繰り返すことで、省エネ飛行ができるので、長距離の渡りに適しています。
外見は個体差がありますが、複雑で美しい模様の身体が特徴的です。
以下に、主な特徴をご紹介します。
ツグミは、全体的に茶褐色~黒褐色の身体をしています。
個体差が激しい種類ですが、おおよそ以下のような身体の特徴をしています。
ツグミは頭頂から首の後ろは茶~黒褐色ですが、目~頬周辺にかけて白いまゆげのように羽毛が生えています。
ツグミの特徴としておそらく最も分かりやすいのが、魚のウロコのようにも見える「胸のまだら模様」です。
このまだら模様はとくに個体差が激しいため、斑点が全体的に出ていることも、一部分のみに集中していることもあります。
鳥はそれぞれの種類ごとに歩くスタイルが異なりますが、ツグミは「ホッピング」と呼ばれる歩き方をします。
このホッピングとは、鳥が両足をそろえてピョンピョンと飛びはねて移動する歩き方のことを指します。
主に木の上などにいる鳥がホッピングで移動しますが、ツグミは周囲を警戒しながらホッピングでエサ探しをしています。
ピョンピョンと飛び跳ねるツグミの姿はまるで馬のようであることから、昔は「鳥馬(ちょうま)」と呼ばれていました。
ツグミは独特の面白いポーズをとることでも知られています。
エサを食べるためホッピングで移動したツグミは、斜め45度に胸を反らした独特の姿勢で制止することが特徴的です。
どうしてエサ探し中にしきりに胸をそらせるのかというと、見晴らしの良い地上でエサを捕食するため、ツグミの天敵である猛禽類から身を隠すことができないからです。
ピョンピョンと数歩移動しては胸を斜め45度に反らして立ち止まり、あたりを警戒しています。
ツグミは外見的な特徴の個体差が激しいため、オスとメスの違いが分かりにくいと言われています。
しかし、「背中の色」と「胸のまだら模様」でオスかメスかを見分けることができます。
身体の色や模様が濃く、はっきりしているほうがオス。
翼や背中の褐色味が強く、色が薄いほうがメスです。
ツグミの亜種として、「ハチジョウツグミ」がいます。
日本の八丈島で捕獲されたことが、和名の由来とされています。
ハチジョウツグミは体長24cmほどで、羽は黒褐色の個体とそれに茶色がかった個体がいます。
ハチジョウツグミは、胸からお腹にかけてツグミ同様にまだら模様がありますが、ハチジョウツグミは斑点の色が赤褐色であることが特徴とされています。
夏にシベリア北部で繁殖し、冬になると中国北部へ南下し、冬を越します。
日本でも、少数のハチジョウツグミが冬を越すために飛来しています。
ツグミは日本や中国、台湾などのアジアを中心に、世界各地に分布しています。
なかには、ヨーロッパに生息するとてもめずらしいツグミもいます。
以下がツグミの種類です。
ツグミはムクドリと間違えられることがしばしばありますが、
などの特徴から、比較的簡単に見分けることができます。
ツグミは10月頃になるとシベリア中部から大群で南部の日本や台湾、中国南部の山林へ渡ります。
山林でしばらく群れで行動をしたのち、徐々に散らばり、それぞれ平地の里山や農耕地・草原・都市部などに移動し、冬を越します。
翌年3~5月頃には再び群れとなって、繁殖をするためにシベリアへと北上していきます。
ツグミは、他の多くの鳥とは違って「鳥目」ではないため、夜間に視界が悪くなりにくいです。
タカなどの天敵もなく、背に日を浴びない夜間に渡ることで、より安全な移動ができます。
ツグミは渡り鳥であるため、一年を通して食糧の確保・環境・繁殖などに応じて長い距離を移動します。
おもな分布を以下にまとめました。
<夏季>
<冬季>
秋ごろになると、日本のあちこちでツグミを見かけることができます。
日本国内へ渡来したツグミは、主に
などに生息しています。
ツグミの巣は、生垣や木・藪や壁・納屋などに作られることが多く、おわん型のとてもかわいらしい見た目をしています。
おもに草・ワラ・動物のフンや枝などの材料を用いて作られます。
動物のフンや自分の唾液を巣に混ぜ合わせることによって粘り気があり、かたくて丈夫な下地を作ることができます。
さらに、内側にはコケや木片を貼り付けて、より丈夫な巣になるような工夫がされています。
ツグミは雑食性のため、基本的になんでも食べますが、特に虫を好んで食べます。
胸を張って木の枝にとまり、地上に降りてホッピングをしながら土の中や枯葉の下などにいる虫を探します。
などをおもにエサとしています。
春ごろ、越冬し北上する前に、長距離を飛ぶためにツグミはエネルギーを蓄えようとします。
餌を食べる量が増え、餌探しに熱中する様子を見ることができますよ。
冬に落ち葉が積もっている公園などに行けば、ツグミ独特の胸を張って歩くスタイルでエサを食べている光景を見かけることもあります。
個体差がありますが、ツグミの寿命はおよそ10年とされています。
かつて日本では、焼き鳥などの料理にしてツグミが食べられている地方もありましたが、現在ツグミの捕獲は鳥獣保護法により禁じられているため、食べる機会はほぼありません。
しかし、現在も伝統的にカスミ網猟をしていた地方でツグミを食用にする習慣が残り、密猟は完全になくなったとはいえず問題視されています。
かわいらしいツグミですが、前述の通り捕獲は厳重に禁止されているため、もし見つけたとしても絶対に捕まえないようにしてください。
もしも捕獲している人を見かけた場合は、警察へ通報をしましょう。
ツグミを傷付けてしまったり、殺してしまったりした場合は法律により罰せられ、「懲役1年以下または100万円以下の罰金」が課せられます。
まれに、地方のスーパーなどで海外で捕獲されたツグミが販売されている場合があるようです。
購入する行為自体には問題はありませんが、野鳥保護の観点からは積極的に購入することはおすすめできません。
カスミ網猟とは、細い糸などで作られた網を空中に渡し、そこに飛んできた野鳥を捕獲するといった方法です。
衝突した鳥は反射的に網を足で掴み、足で掴んでいる物を蹴って空中に飛び出して羽ばたこうとします。
しかし、網は細い糸で作られているため鳥の体を空中に投げ出すのに充分な反動を得ることができません。
捕まった鳥はいつまでも網を掴んでは蹴る動作を繰り返し、衰弱していきます。
もがくうちに網に絡まり、羽根を傷めたり、長時間に渡り無理な体勢で拘束されるため、疲労や重力で血行が阻害されて死んでしまうこともあります。
ツグミは果樹などの畑を荒らす「害鳥」としても知られています。
農家では、ネットなどでツグミから作物を守る対策が行われていますが、ツグミがネットに絡まり逃げられずにいるところを見かけることもあります。
その場合は、放っておくとツグミが死んでしまう可能性があるので、放してあげましょう。
ツグミは「クィクィ」もしくは、「キュイキュイ」「キュッキュー」と美しくさえずりますが、日本でそれを聞ける機会はほとんどありません。
日本国内では、「ジジッジジッ」といった地鳴きを聞くことができる場合はありますが、基本的には鳴かないため「口をつぐむ」の意で「ツグミ」という名前の由来にもなっています。
渡り鳥のツグミは、冬の時期に日本各地で見ることができる鳥です。
寒い冬ですが、ツグミを見つけにバードウォッチングに出かけてみるのも良いと思います。
ツグミを観察して、オスとメスを見分けてみるのも楽しいですよ!
公開日 : 2017/12/12