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【獣医師監修】らんちゅうの歴史、値段、飼い方ついて






金魚の王様と呼ばれ、立派な肉瘤と威風堂々とした泳ぎ方が人気のらんちゅうは、金魚好きなら誰もが一度は憧れる金魚ではないでしょうか。
そんな数多くの人から愛されているらんちゅうは、和金や琉金などに比べて飼育が難しい金魚の種類と言えます。

しかし、一定の条件さえクリアできれば、らんちゅうの飼育はぐっと身近なものになるのです。

本記事では、らんちゅうの特徴や歴史をはじめ、飼育方法、値段、寿命、大きさなどを徹底解説していきます。
らんちゅうの飼育を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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【目次】【獣医師監修】らんちゅうの歴史、値段、飼い方ついて

 

らんちゅうの歴史

らんちゅうの種類

らんちゅう

更紗らんちゅう

黒らんちゅう

江戸錦

桜錦

青らんちゅう

らんちゅうの飼育

水槽の立ち上げかららんちゅうを入れるまでの手順

特徴、性格

寿命

混泳について

水槽について

らんちゅうの飼育に必要なもの

金魚用ヒーター

らんちゅう用のエサ

ろ過装置

らんちゅうの病気

エラ病

白点病

転覆病

ヘルペス症

らんちゅうの基本データ

さいごに

 

 

はじめに

 

らんちゅうはじいめに

 

らんちゅうは数多くある  金魚 の種類の中でも、その愛らしい丸いフォルムと独特の特徴で品評会が各地で開催されるほど、愛好家の多い品種になります。

そんならんちゅうの飼育は和金に比べると大変なのでは?と飼育をためらう方もいますよね。

実際のところ、和金に比べると飼育難易度は高めです。

 

しかし、「金魚の王様」と呼ばれるらんちゅうには、飼育の難しさを補って余りある程、人々を魅了して惹きつける力があります。

今回はそんならんちゅうの魅力に迫るべく、特徴や歴史、ペットショップで売られているらんちゅうの種類、実際の飼育のポイントなどをご紹介していきます。

 

 

らんちゅうの歴史

 

 

現在のような形のらんちゅうが作られたのは明治中期以降です。

原型はオランダ人によって支那の国から持ち込まれた背びれのない丸い形の「マルコ」という金魚が始まりとされています。

 

江戸時代の金魚「金魚養玩草」 には卵虫という種類の金魚が記録されており、日本でのらんちゅうの始まりは和金とマルコを品種改良により作り出したこの卵虫であると言われています。

 

数多くの品評会が開かれているらんちゅうは、大きく分けて関東筋・大阪筋・京都筋の3つに分けられます。

今市場に出ているらんちゅうはこれらの地域で繁殖されていて、大阪筋は第二次世界大戦の折、絶滅してしまいその形を取り戻そうと努力が続けられています。

 

これらの血筋が現代まで受け継がれてきたことは、一重に愛好家達の努力の賜物であり、財産と言えるでしょう。

そのため、種の存続と新たな形の追求のため品評会が定期的に開催されては私たちの目を楽しませてくれます。

 

 

らんちゅうの種類

 

らんちゅうは原産国の中国や日本各地で様々な種類が生まれ、販売されていますよね。

数多くのらんちゅうを目にすることがありますが、今回はペットショップで販売されているらんちゅうとして人気のある6種類を紹介していきます。

 

らんちゅう

 

らんちゅう

 

ペットショップで販売されている1番身近な種類のらんちゅうです。

いわゆる原種であり、身体全体が赤い素赤で成長すると20センチ前後に成長し、400円前後で購入することができます。

 

年数を重ねると頭部の肉瘤が盛り上がって、身体が分厚くなりずっしりとした貫禄のある身体になってくるのですが、この身体つきはらんちゅうすべてに共通する最終の形になります。

 

更紗らんちゅう

 

更紗らんちゅう

 

赤い身体に白の模様の入った種類で、通常のらんちゅうよりも2色の色合いに個性が出るため愛好家の中では人気があります。

模様の入り方大きさによっては1000円〜4000前後と通常のらんちゅうより高値で販売されていますが、成長すると身体の模様の入り方が変化していくという楽しみがあることから人気です。

 

黒らんちゅう

 

 

らんちゅうの黒色のもので更紗らんちゅうに比べて人気はありませんが、成長すると黒々と光る身体が水中で目立ち綺麗です。

こちらは1000円前後とらんちゅうの中では安価に購入できる種類で、混泳のらんちゅうとして人気があります。

 

しかし、黒らんちゅうは表皮の欠けが目立ちやすく成長途中で黒色が薄くなってしまうケースがあるので、衝撃を与えないように水中にカバーなどをつけて追突などを防止することが大事です。

 

江戸錦

 

 

らんちゅうと東錦の交配種で柄はキャリコ(赤白黒の3色からなる)のらんちゅうです。

更紗らんちゅうと同じように、成長すると身体の柄が変化していくことが魅力で、育てる楽しみがある種類なので人気です。

 

大きさにもよりますが、2,000円〜4,000円前後で販売されてされており、値段の幅が激しい種類ですが黒が入ることにより高級感がでるため、見栄えが良いらんちゅうですね。

 

桜錦

 

 

江戸錦とらんちゅうの交配種でピンクっぽい透明のウロコがキレイな種類のらんちゅうですが、身体に赤やうっすらキャリコが入ることがあります。

その名の通り桜を思わせる薄紅色の身体は水槽に花を添えるのに欲しいらんちゅうですよね。

 

人気種ですが、交配が難しい種類であることから市場に出回る数が少なく、3,000円~5,000円前後と少々お高めです。

 

青らんちゅう

 

あまり出回らない珍しい種類のらんちゅうです。身体は銀色っぽい渋みのある色合いのらんちゅうになります。

 

尾が他のらんちゅうに比べて長く、オランダの青文(※上画像参照)のような姿をしています。

美しい姿ゆえ、販売されていたらすぐに完売してしまうほどらんちゅう愛好家に人気があります。

 

そのため価格もお高めで、5,000円~1万円前後で取引されています。

 

 

らんちゅうの飼育

 

飼育挿絵

 

実際にらんちゅうの飼育を検討してみると和金の飼育に比べて気を使う部分がいくつか存在します。

らんちゅう飼育のポイント、実際の水槽の立ち上げ方等を交えてらんちゅうの生態をクローズアップしていきます。

 

水槽の立ち上げかららんちゅうを入れるまでの手順

 

  1. 用意した水槽をきれいに洗い、天日干しして完全に乾かします。
  2. 水道水にカルキ抜きを入れます。最初は白く濁りますが10分ほど置くと透明になり水がなじみます。
  3. カルキ抜きした水をゆっくりと静かに入れます。らんちゅうは底を這うように泳ぐため、腹部を傷つけないよう、砂利は敷き詰めないほうが良いです。
  4. ろ過装置をセットして魚を入れない状態で水を循環させます。この時1晩~2日放置しておくとろ過フィルターにバクテリアが定着し水質が安定します。最低でも半日はおきましょう。
  5. 購入してきたらんちゅうを袋ごと水につけて40分置き、水槽の水と袋の中の水の水温を合わせます。
  6. 袋の中の水を少し捨てて、水槽の水を袋の中に入れて30分置きます。これを2~3回繰り返して袋の中の水を水槽の水と水質を同じにします。
  7. 袋の水は汚れていて水質の悪化につながるので、らんちゅうのみ水槽に移します。これで水合わせが完了です。

 

らんちゅうをお迎えした日は移動と環境の変化によりらんちゅうにストレスがかかっているので、可愛いらんちゅうに一刻も早くエサをあげたいところですが、その日は絶食させ胃腸を休ませます。

 

既に飼育しているらんちゅうの中に新しい子を加える場合には、新しい子が菌を保有している場合があるので、別の水槽で水合わせを行い、2~3日様子を観察してから混泳させると良いでしょう。

 

つなぎ

 

特徴、性格

 

らんちゅうの最大の特徴は背びれがない点であり、尾びれも他の金魚に比べて短く、尾ビレは金魚の典型である3つ尾、4つ尾、さくら尾のどれかになります。

盛り上がった頭部の肉瘤はらんちゅうの最大の魅力で大きく立派に成長させることが愛好家の間では最大の楽しみであり、最終目標になっています。

 

3~4年手塩にかけて成長してくるとずんぐりとした体つきになり、ゆっくりと浮遊するよう泳ぎます。

 

性格は大人しく、ほとんどケンカもしません。

人にもよく慣れ、水面にエサをねだりにくる姿は可愛らしく飼い主を魅了します。

 

寿命

 

寿命は10年前後で、大切に育てると15年以上生きる長寿の個体もいます。

2〜3年は水面を短い尾ビレはで一生懸命泳ぐ姿を楽しみ、4年程育てると肉瘤が発達していき、身体に厚みが出てきて立派に成長してきます。

 

この時期になると大きくなるにつれて模様の入り方も変化していくので、飼育の実感が味わえ、「金魚の王様」の名の通り大きくなった体は存在感があり、飼い主は達成感と満足感を得られでしょう。

 

混泳について

 

混泳は性格の穏やかさから、らんちゅう同士で混泳すると色とりどりのらんちゅうが泳ぐ水槽は宝石箱のようで、人目を引きつけます。

しかし、らんちゅうを立派な個体に成長させたい場合は単独での飼育をおすすめします。

 

らんちゅうは動きがゆったりとしていておとなしい性格なので、混泳している場合エサを満足に食べられず、成長しない場合や同じ水槽での飼育は衝突して身体を傷つけてしまうリスクがあり、さらには感染症が発生した場合水槽内のらんちゅうが全滅してしまう危険があります。

苦労して育てたらんちゅうが弱り、全滅してしまったら悲しいですよね。

 

他の金魚と混泳させる場合には性格の大人しい琉金、オランダなどの同じおなかの深いタイプの子が良いです。

和金などのフナ尾の金魚は性格がきつく、動きが速いのでらんちゅうが負けてしまう場合があるので、水槽を広いものにするなどの工夫が必要です。

 

水槽について

 

らんちゅうは上から見た姿が綺麗ということで、「上見」を楽しむために改良を加えられた底の浅いらんちゅう用の水槽が販売されています。

ペットショップで5,000円~10,000円前後で購入でき、複数の色の違うらんちゅうを入れるとカラフルな色彩で水面に漂う優雅な姿を観察できます。

 

もちろん、水槽の大きさも様々で飼育しているらんちゅうにあった水槽を選ぶことができ、たらい等の形もあるのでハスを浮かべたりレイアウトを自由にすることも可能です。

 

 

らんちゅうの飼育に必要なもの

 

金魚鞠

 

一般的な金魚を飼育するうえで必要なものをそろえていただければ問題ないですが、らんちゅう飼育におすすめのアイテムをご紹介します。

 

金魚用ヒーター

 

 

金魚の飼育の場合ヒーターを用意していなくても室内で飼う分には問題ありません。

 

しかし、らんちゅうの場合消化不良を起こしやすく、おなかにガスがよくたまります。

その際にヒータを用いて水温を25℃にあげることで消化を促し、ガスを体外に排出することができます。

 

いきなり水温を上げすぎてしまうとらんちゅうがびっくりしてしまうので、時間をかけてゆっくり上げてくださいね。

 

らんちゅう用のエサ

 

 

ペットショップなどに行くと、らんちゅう用のエサが販売されています。

通常のエサと比べて肉瘤が発達しやすい成分が含まれており、らんちゅうにあわせてやわらかい沈下性のエサです。

 

また、らんちゅうは赤虫なども好んで食べ、栄養価も高く水分量も豊富なのでぜひ与えたい食材ですが、あげすぎると水を汚してしまうので、量には注意が必要です。

残ったエサは水質の悪化につながるので、取り除くようにしましょうね。

 

ろ過装置

 

 

ろ過装置は通常の金魚を飼育するうえでも必要なものですが、らんちゅうはゆっくりと泳ぐので強い水流が苦手。

ボコボコと強いエアレーションがでるタイプのろ過装置は避けていただき、上部フィルターのようにろ過作用が強く消音のものがおすすめです。

 

 

らんちゅうの病気

 

病気挿絵

 

らんちゅうがかかりやすい病気と治療方法について紹介します。もしもの時の参考にしてくださいね。

 

エラ病

 

エラブタをパカパカさせていたり、エラブタを閉じて呼吸を苦しそうにしていた場合はこの病気が考えられます。

 

原因はエサのやりすぎによる消化不良、水質の悪化、そして菌や寄生虫が感染することなどが挙げられます。

 

治療方法は、症状のあるらんちゅうを隔離して食塩治療して経過観察します。

食塩による治療は塩分濃度が0.5%になるように水1ℓに対して食塩を5g入れます。

食塩水浴は殺菌効果があり、また金魚と水槽の塩分濃度をあわせることで浸透圧の調節を楽にしてくれる働きがあります。

 

さらに、新陳代謝を活発にして傷の回復を早める効果もあります。

消化不良でエラ病を発症していた場合は、この食塩水浴を一週間絶食しながら続けていると、体内からたまったフンが出てきて回復に向かいます。

 

食塩浴は症状が軽度のうちに実行していただき、自ら泳ぐことができず水面に浮かんでしまうほど弱っている個体は、食塩の刺激に耐えられない場合があるので控えてくださいね。

 

症状の重い子は、隔離して少しづつヒーターで水温を25℃ぐらいまであげて経過観察をしましょう。

また、水質の悪化(不純物が浮いている、PHが高い等)が見られる場合には、新しく作った水を水槽の三分の一交換して様子を見ます。

 

白点病

 

季節の変わり目に発生しやすい白点虫という寄生虫が起こす病気ですが、白点虫は金魚なら保有している菌で普段は症状がでなくても水質の悪化や急激な温度変化、完成していない水にいきなり移すなど金魚の抵抗力、免疫力が落ちた時に発症する病気です。

金魚のかかる病気としては有名な病気で体に白い白点虫が異常繁殖して呼吸困難、衰弱していき死に至ります。

 

治療方法は初期の段階でしたら食塩浴が有効であり、この時ヒーターで水温を上げるとより効果が出ます。

 

また、白点病の薬も市販されているので、薬浴して治療することもできます。

 

転覆病

 

琉金やらんちゅうなど丸い金魚に起きやすい病気で、発症すると水面にプカプカ浮いてしまい自分で泳ぐことができなくなり、衰弱死してしまいます。

冬場など水温の低下により動きが鈍くなると、食べたエサを十分に消化できなくなってお腹にガスがたまり発症します。

 

治療方法は食塩浴をしながらヒーターで25℃前後まで水温を上げて、一週間絶食させて経過観察します。

上手く消化できればたまっていたフンがお腹から出てきて回復することもありますが、治らないことも多いです。

 

予防として、水温を15度以上にしておくと良いでしょう。

 

ヘルペス症

 

キンギョヘルペスウィルスに感染して起こる病気で、金魚の造血組織を破壊して貧血を起こし約1週間で死に至る病気です。

感染力が非常に高く、混合感染をこして身体に様々な症状が現れます。

 

外見的な変化はほとんど見られませんが、エラ部分が白く濁ったように変色します。

 

原因は、水質の悪化や新しく導入した金魚がウィルスを保有していた場合です。

 

治療方法は、水温を上げてエアレーションを一緒にして酸欠状態を改善させることですが、何の症状もなく一晩で死んでしまうこともあるため治療は難しいです。

 

 

らんちゅうの基本データ

 

原産国:中国

値段:400円から数万円

種類:らんちゅう、更紗らんちゅう等

寿命:10年前後

体長:20cm前後

特徴:背びれがなく尾びれも短い。頭部に肉瘤がありずんぐりとした丸い身体をしている

性格:人になれやすく大人しい

かかりやすい病気:エラ病、白点病等

注意点:丸い身体つきのため、エサの食べ過ぎによる消化不良を起こしやすい

 

 

さいごに

 

まとめ挿絵

 

今回はらんちゅうの生態について解説しました。

 

らんちゅうの飼育は決して難しいものではありません。

金魚の中でも特別ならんちゅうはとても育てがいのある将来性をもった金魚であり、人を惹きつける不思議な力がありますよね。

 

ぜひ本記事を読んで、らんちゅうに興味を持っていただければ幸いです。

 

 

監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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