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どのようなワクチンを打てばいいの?狂犬病をはじめ9種類のワクチンが存在
犬アデノウイルス1型感染症(犬伝染性肝炎)(3種〜9種ワクチン)
犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)(3種〜9種ワクチン)
犬レプトスピラ病黄疸出血型(7種〜9種ワクチン) 、犬レプトスピラ病カニコーラ型(7種〜9種ワクチン) 、犬レプトスピラ病へブドマディス(9種ワクチン)
どのワクチンを使えばいいの?犬の予防接種(ワクチン)の選定方法
予防接種とは、予防したい病気のウイルスなどの病原性を弱めた「抗原(こうげん)」を接種して、意図的にその病気にかかった状態を作り出すことです。
そうすると、体内で免疫反応が起こり抗体が産生され、それらの病気に掛かりくい身体になるのです。
人間であっても犬であっても、予防接種の基本は同じです。
ひと言でいえば「プチ感染」なので、犬によっては副作用が出ることもあるため注意が必要です。
しかし、生き物である以上、「病気」が避けられない問題なのは人間も犬も同じです。
ましてや、犬は言葉が話せない分症状の見極めが難しいので、飼い主が積極的に感染予防をしてあげなければなりません。
ワクチンには生ワクチンと不活性化ワクチンがあります。
ここでは、それぞれどのような違いがあるのかを解説します。
ウイルスや細菌の毒性や発病力を弱めて作ったワクチンです。
ウイルスや細菌が体内で増殖するので、体内で免疫反応が強く起こり、発熱やアレルギー反応が生じることもあります。
メリット: 免疫の成立が早く、免疫持続期間が長い
デメリット: 感染症の症状が出る可能性がある
現在のワクチンはこの「生ワクチン」が主流です。
死滅(不活性化)したウイルスなどを使用しています。
狂犬病の予防接種は法令で定められていますが、それ以外は飼主の裁量で決められます。
なお、ワクチンはある程度まとめて接種するのが基本です。
これらは 「混合ワクチン」 と呼ばれています。
「犬」という文字を含みますが、ヒトを含む全ての哺乳類が感染します。
狂犬病に感染した動物に咬まれた箇所からウイルスが侵入して、感染者をほぼ100%死に至らしめます。
日本では狂犬病が発生したケースはありませんが、発症後の有効な治療法はないため最も注意が必要です。(年1回の狂犬病予防接種は法律で義務付けられています)
最も多くの混合ワクチンに含まれており、特効薬が無いと言われ、感染率、死亡率が高い病気です。
発熱、鼻水などの風邪に似た症状から始まり、進行すると鼻や肉球が固くひび割れたようになるハードパットという症状が起こります。
さらに進行すると痙攣を引き起こし、死亡に至ることも多い病気です。
命が助かった場合でも、チックなどの後遺症が残ることがあります。
成犬に比べ、子犬が発症した時の致死率が高いです。
パルボウイルスに感染した犬が排泄した便などから感染します。
ほかに、感染した犬が触れた食器やタオルなどの身の回りの物、世話をした人の手や服を介して感染してしまうこともあります。
消化管にウイルスが感染すると、激しい嘔吐とケチャップのような血便が出るのが特徴です。
心筋に感染すると、感染して1日以内に亡くなってしまうこともあります。
感染率と死亡率が高く、特に子犬は要注意です。
感染している犬の排泄物から経口感染する、子犬に発症しやすい病気です。
下痢、嘔吐などの症状から、何の症状も出ず亡くなることもあるため注意が必要です。
感染回復した犬の中には、ブルーアイという目が青白く見える後遺症が起こるものもいます。
咳や鼻汁などの風邪のような症状が起こります。
パラインフルエンザや細菌、マイコプラズマなどと混合感染を起こすと、ケンネルコフといわれる子犬の間で流行する感染症を引き起こします。
発熱、咳や鼻水などの「風邪」に似た症状を発症します。
アデノウイルス2型や細菌、マイコプラズマなどと混合感染を起こすと、ケンネルコフといわれる子犬の間で流行する感染症を引き起こします。
下痢、嘔吐から脱水症状を引き起こす感染力の強い病気です。
パルボウイルスと併発すると非常に危険です。
レプトスピラ病は野生生物が主な感染源と言われ、人間も含む多くの哺乳類が感染する人獣共通感染症です。
レプトスピラは型が多く、ワクチンには代表的な型が混合されています。
肝臓、腎臓などに障害を引き起こし、感染する型によって救命率は変わります。
レプトスピラは腎臓内で増え、尿とともに環境中に排泄されます。
人獣共通感染症ですので、犬がレプトスピラに感染した場合は飼い主にも移る可能性があります。
そのため、尿処理は必ず手袋をして行ってください。
狂犬病ワクチンの接種は義務だとしても、9種のワクチンのうちどこまで必要かは素人には判断しかねます。
どの種類のワクチンを接種するのかは、生活スタイルによって変化します。
選定の基本は「コアワクチン」です。
この3種の病気と狂犬病が、感染すると最も命を落とす危険があると言われています。
WSAVA(世界小動物獣医師会)でも全ての犬にこれらのワクチンを接種することを薦めています。
狂犬病とコアワクチンを抑えたうえで、自分と犬の生活環境に合わせてワクチンを選びましょう。
例)
これらを踏まえて、改めて獣医さんと相談してみましょう。
狂犬病ワクチンは3,000円ほど/1回(接種料金で鑑札代金は別途必要です)
1年に1回、4月〜6月を目安に行います。
生後90日を超えた犬が対象です。
生後間もない頃は、通常母犬からの母乳で育ちますので、その中にあらゆる病気への抗体(移行抗体)が含まれています。
生後およそ3〜4週間で離乳食に移るので、母親からの抗体も40〜150日で消滅してしまうのです。
母乳を通した抗体(移行抗体)が子犬の体内にある間は、予防接種をしても抗体が作られません。
移行抗体が残っているか消失しているかは、個体差があり月齢だけでは判断できません。
そこで期間を空けて複数回、予防接種をすることでしっかり抗体を作ります。
例)
感染予防の意識が高いペットショップやブリーダーさんは、母犬の妊娠前に新たに予防接種をして、母乳に含まれる移動抗体を高めることもしています。
子犬を譲り受ける、購入するときに尋ねてみると良いでしょう。
1年に1回というのが今までの慣例でしたが、最近では、ワクチンの抗体価を確認して抗体価が十分あれば接種しないこともあります。
これは比較的新しい考え方で、「十分抗体価があるのに追加接種を行い負担をかける必要があるのか?」という観点で提唱されました。
抗体価の測定を行い、十分な抗体価がないものを接種するという方法です。
興味のある飼い主さまは、抗体価の検査を実施している病院で確認してみましょう。
個体差があるのは言うまでもありませんが、年齢と共にワクチン接種時の負担がキツくなります。
混合ワクチンも種類が多いものは副反応が生じる場合があり、俗にいう「アナフィラキシーショック」に陥る可能性もあるのです。
ワクチンを接種して、しばらく時間が立ってから容体が変わることもあります。
その際に病院が時間外ということが無いよう、 予防接種は必ず午前中に行うことをオススメします。
繰り返しになりますが、適切なワクチン接種には獣医さんの診断が欠かせません。
最終的な決定権は飼い主さんにありますが、決して素人診断だけで判断しないことが重要です。
本記事が獣医さんの診断結果やアドバイスを理解する一助となれば幸いです。
愛犬の健康を守るためには予防接種は欠かせないもの。
しかし、それ以上に日頃から愛犬のしぐさやトイレなどの様子をキチンと観察すること。
常に健康状態を把握することが、愛犬との幸せな時間を過ごす秘訣だということを忘れずにしてください。
監修:獣医師 平松育子(ひらまつ いくこ)
山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部)卒業後、複数の動物病院で勤務医を経て、ふくふく動物病院を開業する。
また、YICビジネスアート専門学校ペット総合科で講師を務める。
その他、AIAJ認定アロマテラピーインストラクターとして、人とペットが楽しめるアロマテラピーにも取り組む。
飼い主様としっかりコミュニケーションを取ることを大切にし、飼い主様とペットの笑顔に繋がる診療を心がけている。
公開日 : 2016/05/10