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うさぎは、一般的に牧草を中心にペレットや野菜、果物を与えて育てます。
しかし、部屋を散歩させている間に「何か食べてる…」なんて動作をすることはありませんか?
うさぎは興味本位で床に落ちているものを食べることがあります。
これが時に大きな事故に繋がることもあるため注意が必要です。
特にチョコレートは、中毒になる可能性もあり大変危険です。
もしうさぎがチョコレートを食べてしまった場合、体調にどのような変化があるのでしょうか。
また、食べてしまった時はどのように対処すれば良いのでしょうか。
犬や猫にチョコレートを与えると良くないと聞いたことがある人は多いと思います。
うさぎも同じように、チョコレートは与えてはいけません。
その理由は、犬や猫の理由と同じで、中毒症状が起こることによります。
特にうさぎは、犬猫より体が小さいので少量でも危険です。
うさぎや犬猫にとって危険なチョコレートに含まれる物質は「テオブロミン」。
テオブロミンはカカオに含まれる苦味成分で、中枢神経や血管に作用し、人間にとっては覚醒効果が得られる物質です。
しかし、うさぎはこのテオブロミンを素早く分解することができないため、中毒症状を起こしてしまいます。
テオブロミンはカカオの量と比例しており、ビターチョコレートなどカカオを多く含むものには、より多くのテオブロミンが含まれています。
逆に、カカオの量が少ないホワイトチョコレートやミルクチョコレートはテオブロミンの量も少なくなります。
もちろん、テオブロミンの量が少ないからといってチョコレートを与えるのは危険です。
また、チョコレート以外にもコーラやお茶、カカオ入りの食品にはテオブロミンが入っているので注意してください。
チョコレートを誤食した小動物は、嘔吐、下痢、動悸、興奮、痙攣、不整脈、多尿など、様々な中毒症状が出ます。
時には昏睡状態に陥ることや、摂取量が多ければ最悪死に至ります。
犬と猫では、致死量(それを食べたら半分が死んでしまう量)は体重1kgあたり100〜200mgと言われています。
それより少量でも、(20mg/kgくらいから)軽度な中毒症状である嘔吐や下痢などの症状は出てきます。
うさぎのテオブロミン致死量は明確にはされていませんが、体重が犬猫よりも少ないので注意が必要です。
内臓が小さいため中毒の影響を強く受け、より危険な状態に陥りやすいのです。
前述したように、うさぎは床に落ちているもの、目線の先にあるものを興味本位で食べたりかじったりしてしまうことがあります。
当たり前のことですが、チョコレートなどうさぎが食べてしまうと有害なものはうさぎの背の高さ、うさぎが届く範囲に置かないようにしましょう。
また、部屋をこまめに掃除をして、部屋散歩の時に食べこぼしなど 誤食することを予防しましょう。
もしうさぎがチョコレートを食べてしまった場合は、迷わず動物病院へ連れて行きましょう。
飼い主の自己診断や治療は危険です。
被捕食動物であるうさぎは、なるべく自分の不調を隠す傾向があるので、「症状が出ないから安心」とは言えません。
また、中毒症状自体、すぐに現れず翌日、翌々日に現れるケースもあります。
できるだけ早めに、うさぎの診断も行なっている獣医師に診てもらうのが良いでしょう。
夜間に誤食した場合にも診察可能な動物病院や緊急外来病院もありますので、早急な対応を心がけてください。
しかし、知っておいてもらいたい事実もあります。
うさぎは犬や猫のように、吐かせる処置が出来ません。
体のつくりから、吐くという行動が出来ないのです。
また、テオブロミンの解毒薬というものもないので、体に入ってしまったチョコレートを無かったことすることは、動物病院でも無理なのです。
そして、チョコレートにはカフェインも含まれており、そちらでも中毒症状が出る可能性があります。
うさぎの誤食では、点滴で体内濃度を下げたり、お腹を動かすお薬で排出を促したり、吸収を防ぐようなサプリメントを処方されることはありますが、劇的な効果のある治療というものは無いということを知っておきましょう。
うさぎ型のチョコレートが可愛いと近年人気なのはご存知でしたか?
うさぎにチョコレートを食べさせるのはNGですが、人間がうさぎチョコを食べるのはもちろんOKです。
イースター期に販売されるうさぎ型のチョコレートも人気。
イースターは日本人にはあまり馴染みのないイベントですが、欧米では春の豊穣を祝う大切な日です。
この時期、各国のスーパーマーケットや百貨店は豊穣を意味するうさぎや玉子の商品が満載です。
中でも人気なのが、スイスのチョコレート会社・リンツのうさぎ型チョコ。
イースター時期に日本でも販売されていますので、ぜひチェックしてみてください。
うさぎは体が小さい分、少量の誤食も命取りになってしまいます。
また、体の不調を隠す動物なので症状が分かりにくいことも多いもの。
チョコレートの誤食に限らず、新しいものを与える前に害がないか必ず調べるのが良いでしょう。
なお、うさぎを診療できる動物病院はまだまだ多くないのが現状です。
普段からうさぎの健康チェックを行うとともに、うさぎを診てくれる獣医師を探しておくようにしてください。
うさぎとの楽しくて健やかな生活のために、しっかり見守ってあげたいものですね。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/03/14
公開日 : 2017/01/16