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コオロギ科スズムシ亜科の一種です。
その名の通り、鈴の音のようなリーン、リーンと綺麗な声で鳴きます。
近年では野生より、販売されている鈴虫を見ることが多くなってきています。
体長17~25mm程です。
東北南部以南のほぼ日本全国に分布しています。
成虫は夏に出現し、森林またはススキなどの多い暗い茂みの地表に生息しています。
自然の豊かな農村などでは、田畑の脇の草むらで大きな石やコンクリート片などをひっくり返すと、多数の個体が潜んでいる姿に出会うこともあります。
物陰に隠れていることが多いです。
基本的に夜行性です。
昼間は草むらの石や枯れ木など、地表の物陰に隠れています。
陽がしずむとエサや求婚相手を求めて活発に活動しはじめます。
美しい鳴き声を出すのも夜ですが、陽ざしの弱い曇りの日には昼間でもよく鳴きます
鈴虫のような小さな昆虫は天敵が多いため、体は外敵から見つかりにくい黒色です。
そして、体の倍以上ある長い触角でまわりの様子をうかがい、危険を感じると瞬時に翅をたたんで草むらの陰に逃げます。
しかしバッタや コオロギ と違い、地表を歩くだけで跳びはねることはほとんどありません
鈴虫のきれいな鳴き声は、オスがメスの関心を引きつけるためのものです。
鈴虫の右の翅の裏にはヤスリのようになった脈があり、これを左の翅の表側にある突起部分でこすって音を出します。
その音は翅と翅の間にできる空間で響き合って大きくなります。
鈴虫は6月上旬に孵化し、2カ月の幼虫期間を経て成虫になります。
さなぎにならず、幼虫からそのまま成虫になります。
2カ月の繁殖期間で交尾と産卵を行います。
鈴虫はカマキリなどと同じで交尾の後、オスがメスに食べられてしまいます。
これはオスが交尾の後急激に弱ってしまうのと、メスが産卵前になるとたんぱく質を必要とするからです。
そのため、メスの寿命方がやや長くなります。
メスは交尾後も旺盛な食欲で生き抜いて産卵に備えます。
またメス個体の場合も腹部の卵巣が未成熟な時期には、産卵時期に比べ体重が軽くなっています。
そのため、晩夏から初秋にかけて飛翔していることが確認できます。
水銀灯や時には家屋の明かりに来ることもあり、このことから近親交配を避け各地の生息域に分散している可能性もあります。
この時に産まれた卵は冬を越し、次の夏に孵化します。
10月下旬には、ほぼ全ての野生個体が死亡します。
飼育下ではさらに遅くまで生存することもあります。
食性は雑食性で、野生下では草木の葉や小昆虫の死骸等を食べています。
古くから鳴き声を楽しむ対象とされ、平安時代から貴族の間では籠に入れ楽しまれていました。
しかし、江戸時代に虫売りの手で人工飼育が始まり、盛んに販売されるようになりました。
現在では簡単に養殖物が手に入りますが、野生の固体も全国に分布しています。
鈴虫の 飼育は容易 なので、ぜひチャレンジしてみてください。
自然が少ない地域など、野生で捕まえることが難しい場合でも、鈴虫はペットショップで簡単に手に入ります。
夏にはスーパーマーケットでも販売しているところは多いです。
値段は購入場所やサイトによってまちまちですが、1ペアで150円~450円程度です。
鈴虫はオスしか鳴かないので、メスよりもオスの方が値段が高く、その差は50円前後となっています。
ペアで購入すると少し安くなるところもあります。
卵を買うことも出できて、値段は20~30個入りで550円前後です。
用意する物は、 飼育ケース、マット、水入れ、エサ、隠れ家の5点 です。
飼育ケースは市販の昆虫用の飼育ケースで構いません。
ジャンプ力はありますが、ガラスやプラスティックは上らないため、ある程度の高さがあればプラケースやガラス水槽などで飼育できます。
たくさん飼う場合は、大きめの飼育ケースの方が望ましいですが、それ以外で注意すべきポイントは特にはありません。
マットは市販で鈴虫用のマットが売られていますので、それを用いましょう。
100円ショップでも売られているので安価で入手できます。
マットは適度に湿らせましょう。
産卵させることを考えている場合は、4~6cm程になるよう深めにマットを敷いてあげましょう。
水入れは、小まめの霧吹きで加水していれば、特に必要ないものです。
しかし、マットが湿っているとカビが生えやすくなったりします。
それを防ぐ為にマット表面を乾燥気味にしておいたり、長期間放置しても生きられるようにしたい時などは、水入れを置くのが良いでしょう。
水入れは、小さなタッパー等の浅い入れ物をマットに半分ほど埋めてあげましょう。
乾燥防止や足場にするためにミズゴケを入れてやるとより安全です。
ミズゴケには保水力に優れていますので、水やりを忘れたとしても、長期間生きられます。
スズムシはよく水を飲みます。
野菜をスズムシに与えるのは、栄養面からではなく、ほとんどが水分補給のためです。
ケース内の湿度調整の役割も兼ねて、小皿などに水を入れておきましょう。
エサに関しては、 人工飼料が最も手軽でおすすめです。
スズムシ・ コオロギ 専用として販売されています。
しかし、人工飼料が植物性の場合は共食いが起きる可能性があるので、動物質のエサとして、鰹節を一緒に与えるとベストです。
人工飼料のような粉末状のエサや鰹節などは、マット上に撒いたりするとすぐにカビが生えて腐るので、必ずエサ用の皿などの上に入れて与えてください。
ナスやキュウリもエサになりますが、マットに直接つくとカビが生えるので、直接つかないように串に刺して与えます。
ただし、ナスやキュウリは腐りやすいので小まめに交換する必要があります。
飼育が面倒になるため、人工飼料を与えているのであれば特に与える必要はありません。
ケース内の湿度によっては、エサにカビが生えやすくなりますので、できるだけ通気をよくしましょう。
エサできるだけは毎日取り替え、清潔にしましょう。
鈴虫の給餌に鈴虫のえさ皿&スプーンがあると便利です。
隠れ家に関しては、割れた植木鉢を使うことが多いです。
隠れ家になれば何でもよいのですが、おすすめは 炭 です。
炭を何本か組合せ、隙間をつくり、隠れ家にしましょう。
炭がどうしておすすめなのかと言うと、1つは 鈴虫が黒い物を好む という特性があるからです。
そしてもう1つは、炭に消臭効果があるため、 飼育ケース内の臭いを軽減させることができる からです。
温度に関しては、常温で問題ありません。
出来るだけ風通しの良い場所がよく、直射日光が当たる場所は避けてください。
ある程度は多頭飼育も可能ですが、足場も無いほどの密度では傷付けあったり、体力を消耗し易く好ましくありません。
多頭飼育の場合は共食いを避けるため、特に動物性のエサを多く与えるようにしてください。
オスとメスの見分け方としては、メスには 産卵管 があります。
これが1番大きい目印です。
特に何もしなくても、オスとメスを同じ飼育ケースで飼育していれば自然と交尾します。
メスは卵を持つと腹部が膨れてくるので、見た目で分かります。
メスは長い産卵管をマットに突き刺して黄色く細長い卵を産みつけます。
鈴虫の卵は、長さ約3mm、幅約1mmの大きさをしています。
1匹で100~150個ほどの卵を産みます。
産卵が終わるとメスのスズムシは一生を終えます。
卵は飼育ケース側面から、見えることも多いので、よく観察してみてください。
産みつけられた卵は約2ヶ月かけて成長し、卵の中に細胞が作られます。
細胞ができあがると、卵は硬い殻に守られて乾燥や低温に耐える事が出来ます。
9~10月は飼育ケースを温度変化のあまり無い暗い所に保管します。
成虫は冬前になると死んでしまうので、死骸や餌を片付けましょう。
そして、乾燥を防止する為に、ケースと蓋の間に保湿シートや新聞紙などを挟んで乾燥を防ぎしょう。
越冬中はマットを凍らせないように注意してください。
冬があまりにも寒い地域の方は、マットを冬場だけ乾燥させると良いようです。
3月中旬頃から飼育ケースを取り出し、暖かい所へ置いておきます。
マットがカラカラの状態の場合はコップなどでゆっくり時間(2日以上)を掛けたっぷりの水で湿らせます。
マットを掴んで団子状になる位が適度な湿度です。
外の気温が24℃~25℃を超えると孵化が始まります。
一般的には翌年の5~6月あたりです。
産卵させたメスの数やマットの状態で、産まれて来る幼虫の数は増減します。
多すぎる分は飼育ケースを増やしましょう。
多すぎて飼育しきれない場合はそのまま飼育すると数は自然に減っていき、飼育ケースに適した数が残ります。
1齢から7齢を経て、成虫となっていきます。
夏の終わりから秋にかけて、終齢である7齢が脱皮すると翅が生えた成虫になります。
羽化したては翅が真っ白で、よく目立ちます。
数日もすれば、きれいな音色を響かせ始めます。
私たちの心を癒してくれる鈴虫の音色をまた聞きたくなってきたのではないでしょうか。
飼育もしやすいので、ぜひ飼ってみてください。
公開日 : 2016/11/14